第20話
私達はオカルト研究部に入部する事になった。
兵藤君は眷属のため、
私は監視の意味合いを含めて。
その時に悪魔にならないか勧誘を受けたりしたが断っておいた。
私に対して
そうして、日が過ぎていき現在は放課後。オカ研の皆はいつもの通りこれから契約活動に勤しむのだろう。
兵藤君は初日にまさかの魔力がほぼ無くて魔法陣すら使えないという事態が発覚してから、自転車で依頼主の所に向かうというこれから先が不安になるような状態だ。
私が疑問に思っていた兵藤君の神器だが、部長(この際呼び方を変えてみた)が言うには【龍の手】と呼ばれるものらしい。
効果は持ち主の力を二倍にする、というもの。
……どう考えてもおかしい。
実は龍の手自体はそこまで珍しくもなく、効果も弱い。
特に元が人間だった兵藤君の力が二倍になってもそこまで強くはない。
なのに、兵藤君は兵士の駒を8個全て使わないと転生出来なかった。
…もしかして兵藤君の神器は龍の手では無い?
だとしたら一体………
うーあー、わからん!!
私はアザゼルさんみたいに神器の事は詳しくないし。
そもそも兵藤君の神器を生で見た事も無いし!
《芽衣さん、とりあえず早く向かった方がいいんじゃないですか?
相手を待たせてるみたいですし。》
おっと、そうだった。
実は私、今オカ研にはいません。
ではどこなのかというと、町はずれの路地裏にいたりします。
というのも、堕天使側である少女を保護する事となったのですが、少女がこの町にいるという事で私にその子を保護しろとの命令があり、現在その担当の堕天使と待ち合わせているのです。
わざわざ防諜のために町はずれの路地裏という、めんどくさい所に集合させる辺り余程その子は重要性が高いのでしょう。
…なんで今年になってから厄介事が増えるのかなぁ。
「……………なに、これ。」
《…ダメですね、全員死んでます。》
私がその待ち合わせ場所に着くと、そこは一面、血の海だった。
恐らく三人いたであろう堕天使は全員心臓の部分を巨大な針のようなもので刺されていて、首がねじ切られている。
争ったあとが無いことから、一瞬で全員やられてしまったのだろう。
それぞれの断面や貫通痕から血が湧き出るように流れ、地面を赤く塗りつぶしている。
「…資料も何も無い。
全部持ち去られたのか。」
一応死体を調べたが、そこからは何も出なかった。
恐らく襲撃した犯人が持ち去ったのだろう。
犯人…現時点じゃ断定出来ないけど、私は柏原優子がこれをやったと思っている。
だとすると、彼女も例の保護対象の少女を狙っているのでしょうか。
…とにかく情報がほしい。
こうなれば一度
多分部長が監視をしているだろう場所で魔法陣なんて使えば一発でバレる。
こういう時に私の偏った適性というものが恨めしく感じる。
彼らには申しわけないが亡骸はそのままにして一旦この場を離れる。
もし仮に見つけられたら厄介だ。
一応、電話で報告はしたので誰かが回収してくれるだろう。
夜、部長より急遽呼び出しを受けたので呼び出し場所の廃工場まで走っていく。
既に他のみんなは到着しているらしく私だけが遅れているという状況だ。
…というのも直前まで私の存在を忘れていたらしく慌てて呼ばれた、といったほうが正しいが。
「…ぜぇ…お待た…ぜぇ…せしまし…ぜぇ…た…」
「…ごめんなさい、まさかそこまで急いで来るとは思ってなかったわ。」
「いえ……大丈夫です…から…
せめて…1分ください…」
家からこの廃工場までは、だいたい15分から20分かかる。
それをたった
…我ながら頑張ったと思う。
「…大丈夫です。
それで何故私も呼ばれたのですか?」
「そうね、今から説明するわ。
この先の廃工場にはぐれ悪魔がいる。
それを討伐しろって言われてね。
貴女にはその手伝いをしてほしいの。」
「…なるほど。」
はぐれ悪魔。
主を裏切る、または主を殺し欲望のままに暴れまわる者共。
それがこの町に他所から逃げ込んだらしい。
そして今そのはぐれ悪魔、バイサー……だっけ?
それと木場君と小猫ちゃん、そして姫島先輩が戦っている。
部長は兵藤君に悪魔の駒の特性を教えているし、ぶっちゃけすることがない。
仕方なく戦闘を観察するけど…うん、これもうイジメだよね。
木場君は高速で動き回りつつ確実に剣で切り裂いていき、
小猫ちゃんはパワーにものを言わせてぶん殴ったり物を投げつけたりしている。
姫島先輩は雷を落として戦っている。
魔法攻撃が得意らしいが…うん、やっぱり
やってる事がドSの所業だ。
「ねぇ、芽衣。
聞きそびれていたけど、貴女の神器ってどういったものなのかしら?」
戦慄しながらも戦闘を見ていた時、部長が突然聞いてきた。
確かにあの時は有耶無耶にはなったが私の神器の詳細は分かっていないため気になるのも当然だろう。
…でも私も自分の神器の事は分かっていない。
専門家のアザゼルさんをもってしても何もわからないのだ。
曰く、多数の神器と神器モドキの集合体とは言われたが結局何を足したのか、また発動条件すら分かってないのだ。
それをどう説明しろと……
まてよ。
どうせ分からないのならでっち上げればいいんだ。
だったら…
「具体的な名前は不明ですがどのような効果をもたらすかは分かりますよ?」
「え、貴女自身も分かっていないの?」
「ええ、あの時は詳しく調べる時間もありませんでしたし、それに私自身も知りたいとは思わなかったので。」
「そう…
それで?その効果ってなんなのかしら?」
あっ、部長の目がちょっと輝いている。
多分新しいおもちゃを見つめている子供のような目と言ったら分かりやすいか。
要は興味津々なのだろう。
だったら丁度いい、目の前にはおあつらえ向けのターゲットもいますし、ちょっと頑張りますか。
未だにフルボッコにされながらもまだ生きているバイザーに近づきながら右手にブレードを出す。
「私の神器の能力は身体能力の底上げと強化、そして物質の収容と保存。」
「…物質の収容と保存?」
「簡単に言えば…物であるならなんでも取り込み保存、そして出したい時に出せるという言わば倉庫のようなものです。」
「……ちょっと地味ね。」
「言わないでくださいそんなの分かってますから!」
そうだよ!
私も考えついた時地味だなぁ、て思ったよ!
でもこうしないと武器をどっから出したか説明出来ないし!
「ぁぉあぁぁぁ!」
「!高那岐さん、危ない!?」
「…ちょっと五月蝿いですよ。」
ため息をつきそうになった時、急にバイサーが私に目掛けて突っ込んできた。
恐らくこの中で唯一の人間だし、弱いと判断されたのだろう。
振り下ろされる足を敢えて踏み込み、躱す。
そのまま下へと潜り込むように屈みながら前へと踏み出す。
反転、姿勢を変え上を向く。
目の前に広がるのは無防備な蜘蛛足の腹。
迷うことなくブレードを敢えて刃を左に向けて突き入れる。
「あがぁぁぁぁ!?」
バイサーは痛みに震え、のたうち回ろうとする。
そうなれば当然、私は押し潰される。
フルパワーで押し返せば大丈夫なのだが、そんな事をしたら確実にみんなに怪しまれる。
なのでブレードのトリガーを引く。
トリガーの作動により火薬に点火、爆発。
それにより発生した爆風をブレード背面より圧縮、排気。
圧縮された熱風がさながらジェットエンジンのように推進力を産み、ブレードは刃を向けた左側へ直進。
私は柄を両手で握りしめてその場で小さく跳ぶ。
推進力を得たブレードはバイサーの腹を左側に切り裂きながら進み、私の体も左側へと飛ばされる。
そのまま転がるようにして着地、起き上がりバイサーを見据える。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!?」
腹の切断面からは絶え間なく血が溢れ、痛みによりのたうち回るバイサー。
だが、その目には私に対する憎悪が渦巻いておりまだ戦意を喪失してはいなかった。
「この、クソガキがああぁぁぁぁぁ!」
叫びながら突進をしてくる。
しかし、痛みに耐えているのだろう。勢いは薄れ、ただ直進をしてくるだけのように見える。
「ここで終わらせてあげます。」
私はそう告げるとブレードを左手に持ち替え、バイザーに向かい走る。
彼我の距離がおおよそ5mを切った辺りで私は右手に新たな武器を取り出す。
それをバイサーの胴の中心に投げつけ、そのままブレードも同様に投げつける。
その武器…スパイクハンマーは真っ直ぐバイサーに突き刺さり、ハンマー自体の重みによりバイサーの動きが止まる。
さらにその上側、丁度胸の位置に当たるところにブレードも刺さる。
「あぎっがぁぁぁぁぁ!!?」
そのままハンマーとブレードの柄を踏んで跳躍、そのまま単分子カッターを出して首を切り裂く。
ゴリゴリという感触の後、単分子カッターを振り抜くとバイサーの首が落ちる。
「ぁ………がぎ………」
ドスンッ!!
首を失った身体はその場にくずれ落ち、横たわる。
「ふぅ、何とかなったか。」
「め、芽衣?」
「…?なんでしょうか?
…ってなんで離れてるんですか?」
振り返るとみんなの顔が何故か引き攣り、しかも距離まで取られてる。
「……………ハッキリ言って、やり過ぎよ。」
盛大に頬を引き攣らせていた部長はそう言ってバイサーの死体を指さした。
そのまま死体を見ると、
・首から上がなく、単分子カッターで切ったので切断面がのこぎりで切ったようになってる。
・おびただしい量の血が流れている。
・身体にはスパイクハンマーとブレードが刺さり、ブレードに至っては貫通している。
・しかもいつの間にかバイサーの元頭を踏んでいた。
oh......
確かにこれはやりすぎた。
次回はいよいよ、ハイスクールDxD唯一の良心と言われる?あの子の登場です。