ハイスクールD×D 〜機械仕掛けの少女〜   作:礼楽

23 / 35
お待たせいたしました。 今回、特に時間がかかったのはだいたいフリードのせいです。

そして時間かけてフリードを再現しようとして失敗した挙句、喋り方がほぼ別人です。
全国のフリードファンの皆様にお詫び申し上げます。


真夜中・ザ・バトル

第22話

 

細い路地裏、そこを駆ける1人の少女がいる。

時折、背後を確認しながらその右手に抱えた物を落とさないように抱え直す。

 

深い深紅の髪には汗に混ざるように血がついており、吐く息も乱れている。

少女の左脇腹からは少量ではあるが血が絶え間なく流れており、傷口には黒い大きな針が刺さっている。

 

ブゥゥゥゥゥゥン!

 

瞬間、先程まで少女が走り抜けていた道から何かが飛び出る。

 

 

蜂。

それも人の背丈をも超える大きさの蜂だ。

その蜂は真っ直ぐに少女に向かって飛んでいく。

 

少女も蜂が追いついてきたのに気付き、左手を蜂に向ける。

その手のひらに光が瞬き、形を作り、質量を持ち、その物体が現れる。

 

 

M79グレネードランチャー

 

それを蜂に向け、発射する。

射出された弾丸は丁度少女と蜂の間で炸裂、その中から鉄の矢が大量に蜂に降り注ぐ。

 

フレシェット弾。

炸裂と同時に内包された鉄の矢が散弾のように発射される特殊弾薬だ。

 

 

鉄の矢をもろに受けた蜂は力無く地面に落ちていく。

その全身には鉄の矢か刺さり、血のようなどす黒い液体を垂れ流している。

 

少女はそのまま走る足を止めずに走る。

何故なら先程から聞こえてくる羽音はまだ途切れていないからだ。

 

「まったく!

きりがないっての!」

 

少女……高那岐芽衣はそう独りごちながら走る。

 

後ろからは先程とは別の蜂が3体(・・)向かってくる。

 

 

こうなったのには訳がある。

それは今から一時間前………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜side芽衣〜

 

「…なんで私が。」

「いや、本当にごめんな。」

「…ってか、兵藤君。

謝るくらいなら今回は頑張って契約とってくださいよ。」

 

 

買出し後、またもや部長に電話で呼ばれてとある一軒家まで行く事になった。

なんでも、兵藤君は評判│は《・》←ルビになってない良いのに契約を今まで1個も取れていないらしい。

そこで部長は人間視点からのアドバイスを得るために私を同行させたいそうな。

 

そうして途中自転車に乗った兵藤君と合流し、その一軒家に向かっているところ。

 

兵藤君は自転車を押して私の隣を歩いている。

申し訳無さそうな顔をしているのはいいけど、ちゃんと対策とかは考えているのだろうか。

 

「…そういえば、兵藤君。

今までの召喚してきた人たちってどんな人だったの?」

「ん?

どんな人って言われてもなぁ……

森沢さんは同好の士だし…

ミルたんさんは………うん。

スゲェ変わってる人だった。」

「…兵藤君もミルたんさんにあった事があるんだね。」

「…え?

もしかして高那岐も…か?」

「うん、何ていうか…変わった人だった。」

 

興味本位で今までの召喚者について聞いてみたんだけど、まさかここでミルたんさんの名前が出るとは思わなかった。

兵藤君も、ちょっと引きつった顔になっているし。

 

「…っと、ここだね。」

 

そうして話しながら歩くこと5分、目的のお宅に到着した。

 

「…なぁ、高那岐。

ドア空いてねぇか?」

「ん?…ほんとだ、不用心な。」

「もしかしたら俺達が来るの待ってて、ドア開けっ放しにしてんのかも!」

「…いやいや、君ら悪魔は普通は召喚されるはずでしょ?」

「あ、そっか。」

 

兎にも角にも、このままドアの開けっ放しは防犯上宜しくないのでとりあえず家に入って、家主を探すことにする。

 

「…おじゃましまーす。」

「ん?なんでそんな小声なんだよ?」

「いやいや、もしかしたら他の家族に黙って召喚してるかも知んないし、そもそも今私達は不法侵入真っ最中だからね。」

「…あ、そっか。」

 

玄関を抜けてそのままリビングの所までコソコソと進む。

………なんだろう、さっきからピリピリとした違和感を感じる。

 

 

「……ん!?

おい!誰か倒れてるぞ!?」

 

兵藤君が、指を指す。

その方向に中年の男性が縛られたまま倒れてる。

慌てて近寄り、脈や出血が無いか確認するがどこにも異常がない。

 

「…大丈夫。

多分、気を失ってるだけ。」

「そっか、良かった…。

でも誰がこんな事を……」

 

すぐさまに、全センサーを最大駆動させる。

今この家の中にいるのは私と兵藤君、そして目の前のこの人………それと、

後ろに1人!?

 

「兵藤君ッ、後ろ!」

 

バヂィン!!

咄嗟に兵藤君を突き飛ばし、振り返りながら単分子カッターで一閃するが、相手はそれを読んでいるかのように受け止める。

カッターを受け止めているのは光。

それも剣のように収縮された光だ。

 

「うおっと、危ねぇ危ねぇ。」

「光の剣……エクソシスト!?」

「その通りでござーいってな!」

 

ゴスッ!

「ぐっ!?」

「いってぇ……って高那岐!?」

 

一瞬の拮抗のあと、エクソシストに驚いた隙を見逃さずに蹴りを入れられた。

その勢いのまま転がりながら距離を取る。

兵藤君も状況を飲み込めてきたのか、そのエクソシスト相手に構えている。

 

「おーやおーや、悪魔と人間とは珍しい組み合わせだなおい。

これは是非ともコロコロしちゃうしか無いわな。」

 

そのエクソシストはけたけたと笑いながらも一切の隙を見せずにこちらを見据えている。

この特徴的な喋り方、白髪の少年、そしてエクソシスト。

 

これらの特徴に合う人物を私は知っている。

 

「誰だてめぇ!?」

「…フリード・セルゼン。

お前ら悪魔をぶっ殺するエクソシスト様だよ。」

 

フリード・セルゼン。

 

一部からは「味方殺しのエクソシスト」とも呼ばれている。

 

どのような相手にも姑息な手を使い、例え味方であろうとも自分の邪魔な存在は殺す…であろう。

 

そのような意味合いで付けられた二つ名だ。

 

 

「エクソシスト!?

なんでこんな所に!」

「俺はフリーのエクソシストでな、今の依頼主がここを襲撃しろっつうんだから来たんだけどもよぉ……

まさか本当に来るとは思わなかったぜ?

悪魔共よぉ!」

 

ブォン!

 

「おわっ!?」

「兵藤君、避けてて!

エクソシストの使う武器は悪魔には危険だから!」

 

悪魔である兵藤君を狙うフリードに

横から切りかかる。

だがフリードは懐から銃を取り出し、私に放つ。

銃口より発射された光の弾は的確に脳天と心臓の位置を狙っていた。

慌ててシールドを出し、防ぐ。

 

「…っち、何なんだよお前。

何邪魔してくれてんの。」

「そっちこそ。

さっさと帰ってくれないかなぁ…!?」

 

光の剣で何度も切りかかってくるのをシールドで捌く。

そのまま絶妙のタイミングで単分子カッターで突くが、フリードはそれを仰け反り躱す。

 

 

「ぜりゃあ!」

「ぐっ!?」

 

そこへ兵藤君がすかさず殴りかかる。

さすがにこれは避けれなかったのかモロに受けて吹き飛ぶフリード。

見れば、兵藤君の左腕には赤い篭手が付いていた。

あれが、兵藤君の神器…………

 

 

「…ってえなぁ!

てめぇら神器使いかよ!」

 

フリードは殴られた頬を抑えてはいるが、ダメージがあるようには見えない。

それに兵藤君も殴った時に足に銃弾を受けたらしく、顔を顰めている。

まずい、らちがあかない。

これは弱ったなぁ…………ん?

フリードの後ろに反応?

 

「フ、フリードさん、これは一体……」

「「アーシア!?」」

「イッセーさん!?

高那岐さんも!?」

 

フリードの背後から現れた反応、それは私が夕方に出会った少女アーシアだった。

てか、兵藤君もアーシアのこと知ってたんだ。

 

「おやおや、何?

おたくら知り合いなわけ?」

「ど、どうしてお二人がここに…」

「あ?

どうしても何も、こいつら悪魔とその愉快な仲間だぜ?」

「え……悪魔…?」

 

アーシアが信じられないといった表情で私達を見る。

兵藤君もショックを受けた表情だ。

おそらく自分が悪魔と知られたくなかったのだろう。

 

「まあ、いいさ。

ここでまとめてぶち殺せば問題ないしな?」

 

っく!

フリードがこちらに迫ってくるが、兵藤君はまだ動けない。

兵藤君を守りながら戦うとなると、これは少々…

 

「…おいおいおいおい。

それは一体何の真似だよ?」

「…止めて、下さい。」

「アーシア!?」

 

いよいよ覚悟とか諸々決めようとした時、なんとアーシアさんがフリードの前に入り込み、こちらを庇うように両手を広げたのだ。

 

「おーい、お前自分が何してんのか分かってんのか?てか、本気?そいつ悪魔だぜ?」

「イッセーさんも、高那岐さんも、いい人です!

私が困っていた時に手を差し伸べてくれて……例え悪魔だとしても、それは変わりません!

そんな人を殺すなんてこと、主が認めるはずがありません!」

 

剣を突きつけられ、怖いはずなのに。兵藤君や私が悪魔とそれに関係がある人と知り、ショックを受けてるのに。

それでもこの子は私達を……

 

「…めんどくせぇ、あの女からは殺すなって言われてたけどな…いちいち腹が立つんだよ!!

クソアマァ!」

「……!」

 

バシッ!

 

「…アーシア、ありがとう。

大丈夫だから。」

「イッセーさん!?」

 

アーシアさんの言葉に苛立ったフリードがアーシアさんを銃で殴ろうとした。

しかしそれは兵藤君がフリードの腕をつかんで止めた。

 

「あぁ?」

「アーシアが庇ってくれたんだ。

いつまでもへっぴり腰じゃ男が廃るってなぁ!!」ガスッ!

「ぐっ!」

 

そのまま兵藤君はフリードに頭突きする。

互いによろめき離れるが、

それでも兵藤君はアーシアさんの前に守るようにして立つ。

 

と、そのとき床が青白く光り出す。

それは徐々に形を変えていき…

 

「グレモリー眷属の魔法陣…!?」

 

兵藤君も気づく。

グレモリー眷属の魔法陣。

それが形成されていき…

 

「イッセー、芽衣、まだちゃんと生きているわね?」

「部長!」

 

リアス・グレモリーとその眷属達、彼らが現れた。

そうしてここにオカ研のメンバーが揃ったわけだ。

 

「……おう、マジか…

今度は団体様かよ。」

 

フリードも先程までの威勢は流石に保てないらしく、顔が引きつっていた。

 

「高那岐さん、大丈夫?

怪我はない?」

「大丈夫だよ、木場君。

それよりも兵藤君が…」

「…随分と私の大事なかわいい下僕達をかわいがってくれたみたいね?」

 

あ、ヤバイ。

部長声低いし、あれって怒ってるよね。

 

「…もうちょいでまとめてバラバラに出来てたんですけどねぇ。

どこぞの誰か達のせいで出来なくなっちまいましたがね。」

 

ズドムっ!

 

フリードがそういった途端、彼の後ろにあった壁がそのまま消えた。

見ると部長が手を翳した状況で立っていた。

 

「私はね、自分の眷属を大事にしているの。

だからそれを傷つける者は許さないの。」

「へ、へぇ…」

 

…完全に怒ってる。

こちらからでは顔は見えないけど、兵藤君が青ざめてるくらいだから相当怖いのだろう。

それを直に受けているフリードも、引いてる。

 

まあ、しかしこれで形勢逆転だ。

あとはこのまま、彼を縛り上げるなりして、雇い主を聞き出して……

 

 

この時、私は完全に油断してた。

部長達が来てこれでもう一安心と思っていたのだ。

だからこそ、それに早く気が付くことが出来なかった。

 

 

 

 

「……何の音でしょうか?」

 

最初に気が付いたのは小猫ちゃんだった。

皆が周囲を警戒するようにキョロキョロと見回す。

 

「……おいまさか、あのアマ。」

 

フリードが何かを呟き、顔を顰めて…

 

 

ブゥゥゥゥゥゥゥン!!

 

 

大量の羽音(・・・・・)が聞こえてきた。

 

「おい、これって…!?」

「くそ!

あのアマ、やっぱりやりやがった!!」

 

フリードも悪態をつく。

つまりはここを殲滅するために大量の蜂がここに来ているのだろう。

 

 

「部長!

周囲より多数の魔力反応!

囲まれています!」

「くっ、仕方ないわね…

朱乃!魔法陣を!」

 

部長が撤退の命令を出す。

開けた場所ならともかく、この狭い家の中では不利になると判断したのだろう。

 

「!部長、アーシアも一緒に!」

「駄目よ、この魔法陣はグレモリー眷属しか飛ばせないわ」

「イッセーさん!

私の事は大丈夫ですから!」

「アーシア!?」

 

そんな中、兵藤君はアーシアさんも連れて行けないか聞いているが、どうやらグレモリー眷属以外は魔法陣で飛ばせないらしい。

アーシアさんも別れの言葉を兵藤君に言っている。

 

……まったく。

 

 

魔法陣は輝き、皆が飛ばされる瞬間。

 

「ちょっ、高那岐さん!?」

「な!? 芽衣!!」

 

魔法陣から飛び出て、そのままの勢いでフリードに突撃する。

 

「なっ!?」

 

すぐさま銃を撃ってくるが、魔法陣を飛び出た時に起動(・・)しているので避けることは簡単だ。

 

懐に入り込み掌底、半回転し肘鉄、そのまま両手にスタンガンを出し、最大出力で当てる。

 

フリードは悲鳴を上げる暇なく失神する。

全ての打点を同じ所に集中、その上スタンガンまで浴びせたのだ。

これで失神してもらわないと困る。

 

ガシッ

 

「ふぇ!?

あの、高那岐さん!?」

「じたばたしないで、私が担いで行くから!」

 

アーシアさんの後ろに回り込みそのまま担ぎ上げる。

片腕が塞がってしまうが何とかなるだろう。

 

「な、なんで残ったんですか!」

「…いやぁ、あの部長うっかり属性持ちでね。

さっきの、グレモリー眷属しか飛ばせない魔法陣なんだけどね。

それだと私、飛ばされないんだ。」

 

グレモリー眷属専用、逆を返せば眷属以外は使えない。

つまりは私はグレモリー眷属ではないので使えないという訳だ。

 

「で、でも!」

「いいからごちゃごちゃ言わない!

黙ってないと舌噛むよ!」

「ひ、ひゃう!!」

 

全力でドアを蹴破り飛び出る。

目の前に躍り出た蜂にドアがぶち当たり、吹っ飛んでいく。

 

1、2、3…少なくとも6匹以上はいる。

あの女、ウツセミを改良したのか。

じゃないとこの数の説明が付かない。

 

「高那岐さん!後ろ!?」

 

ザシュ!

 

「あぐぅ!?」

 

突然、脇腹に激痛が……

見れば、後ろから針が刺さっていた。

近くには針を失った蜂がいて今まさに針が新しく生えようとしていた。

 

「ちょっ、そんなんあり!?」

 

毒づきながらも、左手にある物を出す。

 

M79グレネードランチャーと呼ばれるそれを目の前に撃つ。

 

それは空中で炸裂し、轟音と眩い光を放つ。

 

「閃光弾装填してて良かった…!」

 

間を縫うように、駒王学園に向かって走る。

 

アーシアは今の閃光弾で気絶してしまったらしく反応が無い。

 

「どうにかして学園まで逃げないと…!」

 

学園まで逃げれば部長達がいる。

 

 

 

 

そこまで、何としても逃げ切る!!

 




Q なんで芽衣は何時もの大火力武装使わないの?

A 使うと抱えているアーシアが超危ないです。(反動的な意味で)

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。