悪魔の占い師(更新凍結)   作:ベリアル

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呪いの占い師

少年と呼べばいいのだろうか。冥界にて屍の山に立ち尽くすボロボロのローブを身にまとう少年は、魔術師を暗示するタロットカードを懐にしまう。

 

生存者は彼しかいない。彼1人で大量の人ならざる異形な死体を積み上げたのだ。

 

「運がよかったな、今日は」

 

独り言を呟く。もし仮に誰かに聞かれたならば、恥ずかしさのあまり悶えるだろう。今悪魔が住まう冥界で話題になっている有名人。本名は明かされず、正体不明とされているが一部は彼を知る。

 

″呪いの占い師″

 

世間ではそう騒がれている。賞金首を狙う意から呪い、そこに占い師は彼が使うタロットカードを指す。彼は所謂賞金稼ぎ。どこぞの一味を連想させられるも、彼は誰と組むことなく1人で小さな組織や賞金首を倒して収入を得ている。

 

今日も今日とて、危ないお薬を販売していた組織を壊滅。その資金をありがたく頂戴した。

 

「帰るか…………」

 

気怠げな猫背の状態でその場から去る。

 

「―――――――ァァァァ…………!」

 

が、森がある方角に目を向けるとため息を吐く。しまったばかりのタロットカードを取り出すと、ひとりでに宙に舞ってシャッフルされていく。そこに一枚のタロットカードが彼の手に落ちる。そこに暗示された”星”が暗示されるカードを見た。

 

「………運が良かったな」

 

”星”のカードは金色の粉へと変化、彼の周囲を舞うようになる。すると、足は地を離れ森へと飛んでいく。景色はどんどん流れていく。悲鳴はいまだ聞こえてくる。それを頼りに進んでいくと真紅の髪を背中まで伸ばした少女が森を駆けぬく。後ろには真っ黒い鳥のような翼を生やした集団が少女を追い回している。

 

「堕天使か………。やっぱ運が悪かったかも」

 

少年は先頭を切る堕天使の背中に急降下。流星さながらに勢いは増していく。

 

「ぐはぁ!」

 

小さなクレーターの中心には地面に沈没した堕天使とそれに乗る鼻より上をローブで隠した少年。

 

「何者だぁ!」

 

「”戦車”。ついてないな」

 

相手の言葉を無視して新たなタロットカードを出現させた少年。光が消える代わりに、先端に刃が備えつけられたマスケット銃がどこからともなく少年の手に握られた。それに反応する堕天使の集団はすぐに少年が何者なのか理解した。

 

「呪いの占い師!」

 

「”チャリオット・オブ・カノン”」

 

声を張り上げた男の上体は吹き飛び、下半身だけとなった肉体は血をまき散らして木々の養分となる。

 

「散開!」

 

たった一人の子供を中心に大の大人が数人がかりで取り囲む。

 

「一人はグレモリー家のガキを追え!」

 

紅い髪の少女はその言葉を聞いて、立ち止まっていた足を再び動かして去っていく。一人の堕天使も動き出すが少年のマスケット銃からドングリほどの弾丸が射出され、動きを止めてしまう。

 

「グレモリー家?」

 

聞き覚えのある単語。思い出そうとしたが、光の矢が記憶の旅路に立ちふさがった。矢を放ったのは顔立ちが整った青年。

 

「なにゆえ邪魔をする、呪いの占い師」

 

「本日の運勢でな」

 

「邪魔をするなら容赦せん!やれ!」

 

細剣を片手に飛びかかる集団に一切の油断は見られない。すでに仲間が2人もやられたからだ。憤怒しながらも警戒を怠らない心構えだけでも厄介な相手であると認識した少年。マスケット銃を槍の容量で裁き、1人の首を割く。そこで一人分の穴が空く。死体を背負い投げ。盾にして刃から身を守る。仲間だった死体を突き刺した集団は動揺する。その隙を見逃さない少年はマスケット銃を集団に向けている。

 

「”チャリオット・オブ・カノン”」

 

銃口に見合わない巨大な弾丸が密集した堕天使を襲う。一人が先ほど動揺上体が消し飛び、一人は右腕を失う。彼の攻撃は終わってない。腕を失って冷静さを失った堕天使の後頭部に弾丸を打ち込み死に至らしめる。

 

「残り3人」

 

3対1の攻防。集団を率いている青年を中心に攻撃を凌ぐ少年は隙あらばマスケット銃で堕天使を撃ち抜こうとする。しかし、3人の連携は彼が思っている以上に堅実で防御寄りの編成。堕天使は気づいていないが、彼にとっては厄介な攻撃。

 

「やべ………!」

 

突如マスケット銃が”戦車”のタロットに戻る。少年は攻撃を回避しつつ新たなタロットカードを引く。暗示されていたのは本日2度目の”星”。

 

「ここは”塔”か”太陽”だろ」

 

空に浮かび上がり、愚痴を溢す少年。堕天使達は彼の行動の意図にすぐさま気が付く。

 

「逃げるのか、貴様!」

 

「”星”は戦闘向けじゃないんだよ。”悪魔”じゃないだけマシかもな」

 

それだけ言って去っていった。

 

「クソッ!グレモリー家の長女誘拐は失敗!仲間は殺される!占い師如きが!次は殺す!」

 

「次なんてないさ」

 

強烈な殺気に身を震わせた堕天使3人。真紅の髪を伸ばした好青年は貼り付けた笑顔を3人に向けている。しかし、内心穏やかではない。後ろの彼の妹であるリアスを攫おうとしたからだ。

 

「サーゼクス……」

 

「あれが”呪いの占い師”か。なかなか楽しげな神器だったな。さて、君たちの処分は死刑だ。妹を攫おうした罪は重いよ」

 

「ぬかせ、悪魔が!」

 

阿吽の呼吸で動き出す堕天使。

 

「堕天使に言われたくないよ」

 

”超越者”の一人が呟く。

 

瞬間、”紅髪の魔王”とその妹以外は屍と化す。

 

 

月日は流れ、駒王学園の数ある教室の一室で一人机に突っ伏している少年。卑猥な言葉を連発し続ける少年。

 

名前は比企谷八幡。

 

そして、兵藤一誠。

 

 

 





先の内容は特にないんです………。

SAOの息抜きにやっていこうと思っています。今でもSAOの内容が思いつかない状態なんですがね。



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