Fate/YugiOrder   作:特撮仮面

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彼とサーヴァントとかマスターとか所長とか

「………」

「ご、ごめんね?」

「……………」

「あ、あの、先輩もこう言ってますし…」

 

 

 ペコペコと頭を下げる少女。対して、赤髪の少年は眉を寄せて不機嫌ですと言わんばかりの表情で崩れたビルの壁の上に座っていた。

 

 まあ、後頭部強打なんてやられて怒らない方が少ないだろう。少年の機嫌が治らないことに肩を落とす少女と、それを慰めるサーヴァント。

 

 

「なあ、ドントラル。あれが今の俺か?」

『ああ。あれが現在の我々の力だ』

「…そうか」

 

 

 少年――遊斗は、自分の傍らに浮遊する黒い男、ドンサウザンドと呼ばれる己の半身たる神と、先程の戦闘について話し合っていた。

 

 あの戦い。オルガマリー所長を助ける為にバリアン世界以来のモンスターの実体化を行ったが、その時の消耗の激しさが異常だった。

 

 ドンサウザンド曰く、我々はこの世界にとって異物。故に力を使用するのに必要以上の力を必要とするのだろう、と。

 

 通常の骸骨程度ならばバリアンビームなどで対処は可能だが、これも中々効率が悪い。骸骨は基本集団で動くのでチャージから発射までのタイムラグがあり、また威力も骸骨相手に二、三発は撃ち込まないと倒せないバリアンビームだけではどうしても厳しい。

 

 となればやはりモンスターの召喚が基本的な戦闘の術となるのだが――

 

 

『消耗の関係上、我々の戦術の基本となるエクシーズやシンクロを使用することが難しいのは考えものだな』

「ああ……シンクロ融合は数が少ないから別に構いはしないけど、エクシーズが出来ないのは痛いな…」

 

 

 遊斗はともかく、世界的には最近登場したためサポートが少なく、カード自体も少ないシンクロ召喚、融合召喚を主体にしたデッキはまあ良いとして、メインとなるエクシーズ召喚のデッキを使用できないのは痛い。

 

 特にNo.と名の付くエクシーズモンスターはどのカードであっても自分にとって切り札に等しい。だが、エクシーズをするためには少なくとも同じレベルのモンスターが二体必要。

 

 だが、この世界では召喚する度に何か力が消費されるらしく、まるでバリアンズスフィアキューブを使用せずにバリアンの力を使ったときのように、二体並べるだけでも結構身体に響くのだ。

 

 そうなってくれば、必然的にエクシーズに頼らない構築やデッキを使用することが基本となるのだが…。

 

 

『現在所持している我等のデッキは全てエクシーズ主体。そうだな?』

「ああ。HCや、ゴゴゴドドド、あとタキオン関係はまだモンスターの攻撃力、守備力も申し分ないから戦えるが、他はどうしてもステータスが低いからな…」

 

 

 エクシーズ召喚。同レベルのモンスターを指定の数揃えることで行える召喚方法。

 

 その性質ゆえに召喚が手軽という特性があるのだが、同じレベルのモンスターを揃えるのが、中々難しい。

 

 基本的にエクシーズを基盤とするデッキは、その性質上そこに入るモンスターたちは全て、特殊召喚能力に優れるものが多い。だが、場を整える効果を持つ分ステータスが全体的に低いモンスターが多くなるため、体力の消耗を抑えるために単体で戦わせるには些か不安要素が多い。

 

 そうなれば、単体で戦えるモンスターをメインに添える、つまり、生け贄――アドバンス召喚などによって召喚される高レベルモンスターや、基本ステータスの高いモンスターで戦うことが望ましい。しかし、これもリリースコストの確保や、数で攻められた場合と同じかそれ以上のステータスを持つ存在に襲われた場合に対処が難しい。

 

 あとは、魔法、罠カードの使用を試してみる必要がある。先の戦闘は罠カードである強化蘇生を使用したが、特にこうといったデメリットは感じられなかった。疲れが重なって鈍感になっている可能性も考えられるが、恐らく魔法、罠の使用はあまり体力の消耗を考えなくても良いのかもしれない。

 

 とはいえ、魔法罠だけで勝てる筈もないのでやはりモンスターのことを考えないといけないのだが…。まあ、慣れれば効率化は出来るだろうし、それまでの辛抱――と言ったところか。

 

 

「あー、こういう細かいこと気にするの苦手なのに…。英霊――サーヴァントか」

『過去の英雄を使役するか…。過去の死んだ英雄と言う点では、我等バリアンやアストラル世界の民もまた、同じような存在だな』

「特に七皇は皆そんな感じだもんな」

 

 

 何となく、彼処に居る黒い女の人バリアンっぽい感じだし。

 

 バリアンとは、生命が非業の死――深い悲しみや怒りなどを抱いて死んだ場合に転生する世界、バリアン世界の住人の総称である。とはいえ、これ自体に明確な区別があると言うわけではないため、正確なところは不明だ。

 

 だが、敢えて言うのだとすればバリアン世界はより高次元の世界であるアストラル世界から切り離された世界であり、その性質はランクダウンとランクアップにあると言うこと。これは同時に進化の可能性であると考えられるのだ。

 

 何故なら、アストラル世界はランクアップを目指すあまりに必要なもの以外は全て切り捨て続けたために、最近までランクアップの限界に達していたのだから。

 

 

「さっきからジロジロと…。一体何のようですか?」

「え? あ、えーっと……ジャンヌさんは綺麗だなーって」

「…まあ、良いとしましょう。ですが、ナッシュさん。独り言は止めていただけませんか? 正直キモいです」

「…はい」

 

 

 どうやら考えている間ずっと黒ジャンヌの方を見ていたらしく、彼女からバッサリ切り捨てられる遊斗。

 

 真正面からキモいと言われればいくらなんでも悲しくなってくるわけで、しょんぼりと眉根を下げる遊斗。心なしか頭のアホ毛も萎れているように見える。

 

 

『くくく、キモいそうだな?』

「うるせぇよドン千。ブッ飛ばすぞ!」

 

 

 黒ジャンヌに言われたことを物凄く気にしているらしく、牙を剥きながらも小声で囁くように声をあらげるという器用な真似をする遊斗。

 

 

「あ、あの、ナッシュ君?」

「どうしたんですか、望さん」

 

 

 朱色の髪をサイドポニーにした少女が彼に声をかける。

 

 ナッシュ、というのは彼の偽名だ。この名前は彼の友であるドルベが自分を偽る際に使用した名前であり、ナッシュとは親友の名である。

 

 

「さっきのサラメーヤって一体…」

「そうよ! あの犬はどうやって召喚したのよ!! 貴方魔術師でもなんでもないんでしょう!?」

 

 

 彼にくってかかるのは、緑に程近い銀髪に、琥珀色の瞳を持つ女性。オルガマリー・アニムスフィア。

 

 

「えと、アムニスフィアさん、でしたっけ?」

「アニムスフィアよ! あ、に、む、す、ふぃ、あ!」

「アムニスフィアさん」

「あああ! 分かったわよ! オルガマリーでも、オルガでもマリーでも好きに呼びなさい!!」

「わかりました、オルガ博士」

「…その呼び名は止めなさい。頭に爆弾はないわよ」

「分かりました。オルガさん」

 

 

 はぁ、とため息をはくオルガマリー。

 

 

「兎に角、貴方のアレは何?」

「デュエルモンスターズです」

「デュエ――なに?」

「デュエルモンスターズですよ」

 

 

 左腕に取り付けられたままの決闘盤から一枚のカードを引き抜く。

 

 No.14強欲のサラメーヤ。そう書かれたカードだ。それを望へと投げ渡す。

 

 

「あ、さっきの!」

「……攻撃力に守備力、そしてさっき言っていた効果というのがこれね…」

 

 

 彼女たちがカードを見ているが、あれはレプリカ。彼の元居た世界で市販されている、何の力もないカードだ。

 

 だが、あれは先ほど使用していたサラメーヤに他ならない。

 

 ようはカードの書き換え。あらゆる存在、概念を変化させるドンサウザントの半身としての能力で、カードを本来のNo.を市販されて危険性のないナンバーズに変化させているのだ。

 

 それに、本来のNo.たちはバリアン、アストラル世界の文字でステータスが書かれているため、仮に渡しても誰も読むことはできない。

 

 

「…何の力も感じないわ」

「…確かに」

 

 

 先ほど見たモンスターから感じた違和感は全く感じられない。

 

 どういうことなのだろうか? 首をかしげる二人。そんな二人の元に、マシュと黒ジャンヌがやってくる。

 

 

「先輩、それが彼の?」

「うん」

「一見、何の力も感じられませんが…」

 

 

 黒ジャンヌが遊斗を睨み付ける。お前、なんか隠してるか細工してるだろと、疑いどころか確信の目だ。

 

 全くもって間違えていないのが質が悪い。あくまでも自分は知りませんと白を切るように肩をすくめる遊斗。

 

 信用がないのも当然だ。この世界にはデュエルモンスターズなんて存在しないようだし、さらに言うならば自分は何処からともなくふってわいてきた謎の人物。むしろそんな自分に気を許している望――望・グランドの方がおかしい。

 

 実際、オルガマリーも含めてサーヴァントの二人も表には出さないがとても不振がっているし。

 

 

「まあ、ここで言及しても仕方のないこと…。けれど、マスターに危害を加えるのなら――」

 

 

 覚悟しなさい。その言葉と共に放たれる威圧感は本物だ。

 

 そんなことは良く分かっている。というか裏切るつもりは毛頭ない。

 

 

「まあまあ、ジャンヌ落ち着いて。ナッシュ君は悪い人じゃないよ? ちょっとギャグのセンスが無いだけで」

「すいません、アレの話は勘弁してくださいマジで」

 

 

 望のフォローに、土下座せんとばかりに頭を下げる遊斗。

 

 彼女とファーストコンタクトを図った際、上手い言葉が思い付かなかった彼が口にしたのが、

 

 隣の家に塀ができたよ、ヘイヘーイである。

 

 続いて、緊張しているらしい彼女の緊張をほぐすために何とかしようと思って放ったのが、家のベットがベットーリである。親父ギャグも真っ青なギャグ。だが、本人の気遣いが表情に出ていたのでまだ救いがあった。

 

 

「マスターは簡単に人を信じすぎよ」

「そ、そうかな…」

「…あのですねぇ――」

 

 

 そして始まる黒ジャンヌによる説教。

 

 それは、幼少の素晴らしい日々から始まり、その後彼女の審判の日まで続き、そして裏切りの、人間の黒い部分を語る。

 

 ちなみに、このやりとりは今日で三回目だ。ジャンヌに説教好きという趣味があるわけではないが望の振る舞いについつい口出してしまうらしかった。

 

 現在彼らが居るのは、霊脈と呼ばれる大地をはしる大きな力の川のようなモノが特に集中している地点。

 

 霊脈とは即ち、星が持つエネルギーの流れの総称であり、これは風水などでは龍脈と表現されたり、多くの形で現代でも語られている。基本として、霊脈が通る場所には神社や寺などと言った神聖な建造物、またストーンヘンジや魔術師の工房と言った神秘にかかわる建造物は基本的にこの霊脈に沿って、もしくは霊脈の上に建造される。

 

 このように、霊脈とは魔術などの神秘を扱うにあたってとても重要な拠点となる場所なのである。

 

 現在の彼らは、その霊脈を介することでカルデアから連絡をとり補給物資を転送したりといった作業を行っていた。

 

 カルデア――人類の先を見守り、導く機関であったそこは現在、謎の爆発事故、否、何者かの策略による爆破テロによってその機能の八割を失っており、またその爆発によって本来この場に送られるはずであった、本職の魔術師たちの殆どが意識不明の重体。冷凍保存と言う形で何とか命を生き永らえさせねばならないという、危機的状況に陥っていた。

 

 そのためこの特異点F――人類が滅亡する未来を確定させる、本来の歴史から外れた異常な過去を探索、移乗を発生させている原因を究明し取り除く作戦は、一般人枠という魔術師でも素人同然の望・グラントとそのサーヴァントであるマシュ・キリエライト、そして黒ジャンヌことジャンヌ・ダルクオルタの三人が担当することとなった。

 

 所長であるオルガマリーと、なぜかレイシフトに巻き込まれた九十九遊斗こと現ナッシュだが、現状でカルデアに帰還することはほぼ不可能である為、望と共にこの特異点Fの調査を行うこととなった。

 

 

「なんでこんな魔術師でもない男がッ!!」

「いやー、昔っから超常現象とかよく巻き込まれてましたからねぇ」

 

 

 オルガマリーが歯噛みする中、遊斗はあくまでものんびりした様子で補給物資の中にあった嗜好品である飴玉を口の中で弄びながらこれからのことを考える。

 

 彼に魔術師としての才能は無い。これは事実だ。九十九遊斗には魔術回路と呼ばれる、簡単に言えば魔力と呼ばれる力を運用するために必要な神経のようなモノが存在していない。だが、彼は仮にも神の半身。世界の理すら書き換えてしまう、千変の名を持つバリアン世界の神、ドンサウザントから分かれた存在であり、同時にバリアン世界でもトップレベルの力を持つ、バリアンだ。

 

 バリアンは生身一つで居次元空間を渡り、別世界への転移を行うことすら可能な肉体と技術を持つ。恐らく、そういった要素が絡み合ってしまい、彼はレイシフトに巻き込まれたのだろう。

 

 しかし、魔術回路が無く、魔術師としての力が無いということは人外魔境である特異点を生き抜くのはほぼ不可能であり、本来ならばこの集団で一番のお荷物になるしかない人物――の筈なのだが、

 

 

「ソォラァ!!」

 

 

 彼の拳から謎の光の奔流が放たれる。骸骨がその光に飲まれて体勢を崩し、その隙を見逃さずマシュの盾が骸骨の身体を粉々に砕く。後方に近づく骸骨、剣を振り上げ無防備となった顎を強襲する昇竜。顎、肘、膝三段階の打撃を受けて身体を宙に浮かべた骸骨の心臓部を、ジャンヌの掲げた旗が貫く。

 

 恐ろしいほどに実戦慣れした動き。近接攻撃手段しか持たないマシュと黒ジャンヌが動きやすいように、遠距離、中距離の相手にはバリアンビームを放ち隙を作りだし、相手がのろまならば果敢に懐に飛び込んでキツイ拳を叩きこむ。

 

 並の人間では相手すらできない骸骨を、サーヴァントの協力がありながらも一方的に叩き潰す遊斗。お荷物どころか、オールラウンダーである彼が居るおかげで戦闘が非常に楽になっていた。

 

 

「何なの!? その腕から出てるビームは!? というか、何であんな化け物を素手で殴り飛ばせるのよ!?」

「いや、生まれ持った力と言うか…」

 

 

 魔術とは全く違う異質な力。本当に何者なのよ、貴方…。理解の追いつかない存在に思わずため息を吐くオルガマリー。

 

 どこから来たとも分からない、あまりにも情報がなさすぎる少年――ナッシュ。だが、彼が居ることによって自分たちが大分楽になっているのは事実だ。

 

 こんな絶望的な状況であっても下手なギャグも交えて笑顔を保つメンタリティ。自分と望という非戦闘員を守りながら戦わなければならないサーヴァント二名も、彼が居るおかげである程度攻めの戦法をとることが可能となり、その力をいかんなく発揮していた。

 

 現在の彼のポジションを言うのならば潤滑油。ムードメーカーと言ったところか。彼のことを少し疑っていたマシュも、ずっと警戒してばかりだった黒ジャンヌも、幾度かの戦闘で彼に対する態度を軟化させており、マシュに至っては盾による攻撃という独特な攻撃方法を利用した、あらたな攻撃法を頭を突き合せてあーでもないこーでもないと試行錯誤までし始めていた、

 

 そして自分もまた――

 

 

「オルガさん、また考え事ですか?」

「…貴方達が皆脳筋なせいで、ねっ」

「何かすいません…」

 

 

 カルデアである程度生活していたマシュはまだいいが、一般人枠でマスターとなった望と、聖杯によってある程度の知識を持っていたとしてもやはり現代の魔術に疎い黒ジャンヌ、そして旅行者ナッシュ。デミ・サーヴァントとしてマシュも戦闘に参加しなければならないので、実質調査を行い、特異点が何故発生しているのかを考察するのは自分の役割だ。

 

 何故だろうか。カルデアで所長として働いている時よりも充実感を感じてしまうのは。

 

 

「とりあえず、明らかに歴史と違うということはハッキリとしているわ」

「歴史?」

「ええ。この町では、聖杯戦争と呼ばれる聖杯を巡る戦いが定期的に行われていたのだけれど…」

 

 

 それはあくまでも裏での話。表にここまで被害を出すような事件は発生していない筈であった。

 

 聖杯。それはあらゆる願いを叶える万能の願望器。そして、それを巡る魔術師たちの戦いと、サーヴァントと呼ばれる英霊。過去の英雄たちの再臨による、英雄譚の再来。それが聖杯戦争だ。

 

 

「ってことは、神様の息子とかも出る?」

「…理論上では、だけどね」

 

 

 マジか!? 魔術って凄いな!! オルガマリーの説明に、驚きに目を開く遊斗。

 

 そんな素直な反応は彼女がまだ一度も感じたことがないワクワクを彼女の胸に宿らせ、得意げに彼女は魔術に関して語っていく。例えば、サーヴァントのこと。若くして所長となった思い出、カルデアの作成に関わったこと。少々愚痴染みたことを思わず語ってしまった彼女だが、彼はそんな彼女の話を聞いて嫌な表情を浮かべるどころか、むしろ笑顔になっていった。

 

 

「凄いんだな」

「え? ふん、お世辞なら間に合ってるわよ」

「お世辞なんかじゃない。魔術がどうこうとか言われても分からないけど、所長になってお父さんの代わりに物凄い頑張ったんだろ? 凄いじゃねえか。少なくとも、俺はまねできないぞ」

 

 

 純粋な褒め言葉。何故この少年はこうも自分が欲しい言葉を的確に放ってくるのだ。陰で嫌味を言われることには慣れて居るものの、真正面から手放しで凄いと称賛されるなんて経験が無かったオルガマリーは、彼の言葉にどう反応すればいいのか分からなくなり、耳までリンゴのように赤く染めながらそっぽを向く。

 

 あれ? 俺何か間違えたか!? 突然勢いよく目を逸らされたことで多少なりと傷ついてしまう遊斗であったが、ふと何を思ったのか懐に手を伸ばすと、そこから取り出した一枚のカードを彼女に差し出した。

 

 

「…何?」

「それ、俺のお守りの一枚なんだけどオルガさんに渡しておきます」

 

 

 何だか、俺が持っているよりも効果がありそうなので。そう笑う遊斗。

 

 オルガマリーの手の中で微かな温もりを放つのは、一枚のカード。赤紫色のカードの外枠。名前は――

 

 

「タキオン・トランスミグレイション…」

「多分それがラッキーカードになると思いますよ」

 

 

 菱型の変な物体の描かれた一枚のカード。

 

 お守り――なんて胡散臭いモノ受け取る気は無いのだが、彼の純粋な思いを汲んで今日は貰っておくとしよう。しかし、時空の転生か。思わずオルガマリーは笑う。

 

 時空を転生させるなど、まるで自分たちが行おうとしていることではないか。

 

 彼が意図して渡してきたかどうかは分からないが、中々良い趣味をしているようだ。思わず口元をほころばせるオルガマリー。と、そんな二人の元にマシュの鋭い声が届く。

 

 

「敵性反応――!! 弓持ちが2、剣持ちが2、槍持ちが3!」

「っと、こりゃまた忙しくなるな――」

 

 

 彼が即座にオルガマリーを背中に隠すように移動する。その動きを見て改めて彼が人間離れした人物であるということがよく分かった。

 

 だが――とオルガマリーは手渡されたカードと一別し、サーヴァントの二人を援護すべく動く彼の姿を見て思った。

 

 この少年なら、否、いまこの場に居る四人は信用たる人物と判断しても良いかもしれない。何にしても、戦闘は望たちが担当しているのだ。ならば自分は、彼女たちの代わりにこの特異点Fがどうなっているのかを調べなければ――。

 

 胸にふと燃え上がる熱いものを感じ、こっそりと両手を握りしめて気合を入れたオルガマリーは、大事そうに受け取ったカードを懐にしまいながら探索を続行するのであった。




この作品における、遊戯王基準のサーヴァント及び敵キャラの強さ的な何か。

低級、中級サーヴァント:攻撃力三桁~四桁(800~1800、2000)

上級、最上級サーヴァント:攻撃力四桁~(2000、2100~3000、それ以降)

みたいな。あとは、宝具使用や、神とかそういったタイプ補正で多少上下補正が入るみたいなイメージ。

参考程度に、なんとなくそんな基準で考えた現在の鯖のステータスとか

黒ジャンヌ:攻撃力2100守備力1900(マスターである望のレベルが低いので、その分ステータスが落ちている)
マシュ:攻撃力1300守備力1800(デミ・サーヴァントなりたてで宝具も何もないし、これくらい?)
オルガマリー:攻撃力2100守備力1000(直接攻撃できないデメリット持ちのアタッカーみたいなイメージ)
望:攻撃力300守備力500(純粋にレベルが低い)
遊斗:攻撃力1950守備力1550
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