不定期すぎる更新なれど細々更新です。
マシロのヒロインの1人がようやく登場。
心地の良い日差しが足元を照らす森の中。
僕はビィと一緒に森を歩き回っていた。
ビィと一緒に冒険するのも慣れたものでナナカマド博士と別れてから丸1年。
たくさんの場所を冒険してきた。
ジョウト地方、ホウエン地方。
それからシンオウ地方。
どの地方も同じ場所は何一つとしてなく、出会ったポケモンの種類も様々だ。
見たことのないポケモン、言葉でのみ伝えられてきたポケモン。
好奇心を刺激するものばかりで時間はあっという間に過ぎ去っていった。
旅の仲間であるダンバルはすくすくと成長し、ついには進化までした。
今まで腕1本な見た目だったけれど、腕が2本生えたUFOみたいな見た目になっている。
名前はわからないけれど、進化した時の嬉しさは言葉にならなかった。
ビィと一緒に跳ねまわるように喜んだあの時は今でも鮮明に思い出せる。
悩んだ末につけたニックネームは「クロス」。
背中の模様がクロスしてたところから貰いました。
そして、旅の仲間も増えた。
ジョウト地方、ヒワダタウンの南に浮かぶ島。
水の都 アルトマーレ。
町全体に水路が張り巡らされ、ゴンドラで移動する水の都は一番歴史の古い町と言われるだけあってただただ圧倒されるばかりだった。
芸術は凄いし、食べ物も凄くおいしい。
水を泳ぐポケモンは楽しそうで、丁度運良く見れた水上レースと言うお祭りもやっていて活気が凄かった。
そこで小さな女の子と出会い、水上を走るゴンドラに乗せて運んで貰ったり、その子の親に町外れの南の孤島に連れて行って貰ったりもした。
「(おい、ビィ……)」
「(ん、なに?)」
「(ビィちゃん……もしかして……)」
その南の孤島で出会ったのが、ビィの隣を浮いているラティオスとラティアス。
病院で見た図鑑に出てくる空を飛ぶジェット機みたいな見た目で、脚は無く、腕は細い。
光を跳ね返す青い体毛が特徴なのがラティオス。
赤い体毛が特徴なのがラティアス。
兄妹と思うくらい仲が良い2匹だ。
孤島で出会った彼らと僕と小さな女の子は時間を忘れて遊んだ。
何度も孤島に連れて行って貰って色々な遊びをした。
僕がその町を離れるまで、ずっと。
僕と一緒に旅をしたいと言って凄く驚いたのと、それを聞いた女の子を泣かせちゃって大変だったを覚えてる。
「あの子、元気かな。あげた帽子、今でも被ってくれてるかな」
別れの日、女の子に再開の誓いとしてプレゼントした白い帽子のことを思い出し、つい独り言が口をついで出た。
ラティオスとラティアスを博士から貰ったボールに入れて町を出るフェリーに乗った時、手を振ってくれたあの女の子は元気にしているだろうか。
ついぞ名前を聞き忘れてしまったけど、また会える。
そう思う。
ちなみにラティオスとラティアスの名前は水の都の守り神から貰った。
どんな名前にしようか悩んでたところに見かけた町に飾られた水の都の守り神の絵。
その絵に書かれたポケモンと見た目が似てたから、そのまま名前を付けちゃったけど嬉しそうだった。
思い出したことに顔を崩していると前を進むラティオスとラティアスが止まる。
それと一緒にビィも。
「(また……なのか?)」
「(ねぇ?またなの?)」
「(また……かも……)」
地図を持ったラティオスがビィをじっと睨む。
地図を見て心配するラティオスに睨まれて小さくなるビィ。
僕とビィたちはたくさんの場所を冒険してきた。
と、同時にたくさんの
実はビィは時間を移動できてしまうポケモンみたいで、時々ふわっとした感覚と共に光に包まれる。
その次の瞬間には時間を渡っていることがある。
それと同じように、寝て朝起きたら数年時間が経ってましたとか、その逆に数年戻ってましたとかも結構あった。
最初の頃はまったくわけがわからなくて怖かったり、ふわっとした感覚に慣れなくて気分が悪くなったりもしたけれど今ではもう慣れた。
人間の慣れると言うことは凄いと思う。
本当に……。
時間を渡るのはビィが怖いと思ったときとか、寝ているときに怖い夢を見たとき。
そして、ビィが時間を渡ろうと意識した時。
今ではある程度コントロールができるようになってきて、いきなり時間を渡ることは少なくなってきてる――。
――はずなんだけれど。
「(また……時渡りしちゃったみたい……)」
「((……))」
ラティオスとラティアスが頭を抱えた。
「あはは……」
同時に出る僕の乾いた笑い声。
こうして偶に、
時を渡ると何が大変なのか。
まずは何処にいるのかわからない。
同じ場所ならまだ良いほうで基本地図は役に立たないし、いつなのかわからないとどうしようもない。
それに時計は使えなくなるし、渡って出た先によっては凄く寒かったり凄く暑かったりする。
そして、一番の問題は……
「食料……足りるかな……」
「(あはは……どうしよう……)」
「(どうしようか……)」
「(どうしましょう……)」
そう、残りのご飯が足りなくなるのがとても困る。
普通はこの森を抜けようと目標を立てるとその目標の達成のために必要な物を揃える。
森を抜けるのにかかる日数から食料や消耗品の量を考え、安全に抜けるための道を調べる。
調べて大丈夫となれば十分に休んで体調を整える。
そして、森を抜けるまではこれくらいあれば十分と思う量の少し多めの量を準備して森に入る。
海を渡る時も同じ。
多過ぎても重いだけだし、少な過ぎても丁度でもいざという時に困るから。
でも時を渡っちゃうと話が変わる。
何処にいるかもどちらに進めばいいかもわからないから食料がなくなる心配が出てしまう。
今回は森だから木の実とかあるからいいけれど……。
「この前の海の上じゃなくて良かった……」
森とか山ならまだしも、海の上に突然時を渡ったときは大変だった。
とっても。
「(はぁ……さて、どうしたものか)」
「(まずはここが何処か知らないといけませんね)」
「(ごめんなさい……)」
小さくなって僕の肩にちょこんと座ったビィを撫でつつ、ラティオスから渡された地図をしまう。
「ラティアス、ちょっと周りを見て来てくれる?」
「(うん、任せて)」
空に溶けるように姿が見えなくなり、飛んでいくラティアスを見送る。
姿を見えなくするのは野生のポケモンから襲われないようにするためともう一つ。
襲ってくるのはポケモンだけとは限らない。
ポケモンを捕獲するためにハンターの人も襲ってくる。
珍しいポケモンは襲われやすい。
ナナカマド博士から教えて貰ったことは本当で、珍しいと言われるピカチュウがハンターの人に襲われてるのを見て助けたこともあった。
見えなくするだけで襲われる事はほとんどなくなるし、ラティアスが安全に帰って来れるならその方がいい。
あったばかりの頃はラティアスとラティオスが光を屈折させて姿を消すことができるなんてことは露ほど思わず。
突然目の前に現れたラティアスにびっくりして、女の子と一緒に泣きそうになったのは内緒。
ラティオスは目を閉じて近くに危険なものがないか見てくれている。
エスパータイプのポケモンは超能力と呼ばれる不思議な力を使えるらしく、その力で物を動かしたり相手の攻撃を防いだり、周りの危険を察知してくれる。
そして、旅の仲間である4匹全員がエスパータイプなのだ。
心強いことこの上ない。
「(うん。なにも危険はないようだ)」
「ラティオスありがとうね」
「(ラティオスありがとうー!)」
目を開けたラティオスが危険がないことを教えてくれる。
僕の肩からラティオスに向かって飛んで行ったビィがラティオスの首に抱きついた。
「(おっと、危ないぞ)」
「(ふふふ、ただいま)」
抱きついてきたビィをラティオスが受け止めるのと同時に姿を消したラティアスが戻ってきた。
「おかえり」
「(あちらに街が見えたわ。近くに見える街は他にはないからまずは行ってみましょう)」
「うん、わかった。ラティ、ビィ、街へ行くよー」
「(ああ、わかった)」
「(うん、わかった!)」
ラティアスが教えてくれた方角をコンパスで確認し歩き出す。
どんな街だろう、好奇心から少し足が早くなる。
時を渡った後の冒険はいつも新鮮だ。
自分が知らない場所に行く。
それはいつだって新しい驚きと楽しさでいっぱいなのだから。
登り始めていた太陽が天に昇るころ。
ラティアスが見た町まで後もう少しと言うところまで歩いてきた。
「今回はそれほど迷わずにこれたね」
「(そうだな。いつもこれくらいならいいのだが)」
「(それよりもお腹減ったー)」
「(ビィちゃんもう少しだから頑張ろう?)」
デパードなのかとても高いビルが森の木々の上に見えるおかげで迷わずにすみそうだ。
「(あ、この先に少し開けた場所があるわ。そこで少し休憩しましょう)」
「ありがとうラティ。お腹も減ったし、そこでお昼ご飯にしようか」
「(ごはんー!)」
お昼ごはんが食べられると聞いて喜んだビィがフワリと肩から飛びたつ。
スルスルと木々の間を泳ぐように舞うと気が急いたのか先に行ってしまった。
「(私がついて行こう)」
「うん、お願い」
ビィを心配したラティオスが姿を木々に溶け込ませながら後を追う。
その姿を見送りながら足を少し速める。
「ビィのためにも早くいかないとね」
「(ええ)」
木々の間を足早に歩き、木漏れ日が強くなるその先へ進む。
「はぁ……私は……」
口をついて出たのは溜息。
私に似つかわしくないと言われたそれは、私の耳に響くと同時に森へ消えた。
私はここへ来てなにをしようと言うのだろう。
なにをしたいのだろう。
「ここまで来て、私は……」
繰り返し口を突いて出る独り言が嫌になる。
もう残り数日しかないと言うのに。
迷っている暇なんてないというのに。
こんな場所で休む時間などないというのに。
「私は……」
「ビィィィ!」
「えっ?」
聞いたこともない鳴き声と同時に私の目の前をなにかが駆け抜ける。
「ビィィィ♪」
駆け抜けたそれは、森の中にあるぽっかりと木々が開けた広場の中心へ勢いよく舞い上がった。
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