「やはり、芳しくないか・・・」
机にパサりと紙媒体の報告書が置かれる。報告書なんて電子媒体のほうが便利な今の時代だが、会議をしながらタイピングを続けられる人はあまり多くない。何が言いたいかというと、飯田は終わったばかりの会議の報告に上がったところだった。飯田が書いたばかりの文字列と活字印刷の文字が躍る資料を机に置き、その奥の椅子に座った男はそれを眺める。
大迫の机はもちろん飯田が補佐官の頃のままで、ふと補佐官時代の郷愁に駆られる。変な話だ。本当にたった数ヶ月前の話だというのに。郷愁に駆られるのは自分が逃げようとしているからだ。そう自己批判をし、自分のなすべきことに向き直る。
「はい・・・ところで
「まあな。だが君が気にすることではない。私に任せたまえ」
飯田も分かっている。大迫の手ではどうにもできない。彼に出来るのは世論に流されぬよう統合幕僚会議を抑えるだけ。世論はいつでも実現不可能なことを求める。それでも、いやだからこそ
「閣下・・・このまま、
「答えは分かっているんだろう?だったら聞くことないじゃないか」
そう返されることは知っていた。飯田は言えない思いを噛み締める。
太陽は常に動いている。例えこちらからは雨雲に隠されて見えなくとも、陽は沈むのだ。窓から見えるは雨に歪められた帝都のネオン。既に時計の針は一九〇〇をまわり、コチコチと連続音を奏でる時計も疲れ気味に聞こえる。もちろん時計が疲れているなら電池を取り替えればいい。しかし人間となるとそうはいかない。飯田は部屋に唯一残った部下に声をかける。電力消費を抑えろと言われ節電モードの部屋では、彼と飯田以外の席の電灯は消されていた。それなのに窓からネオンが見えるとは、自分の疲れが最高潮に達し、幻覚でも見えているのだろうか・・・こういったことが考えられるあたり、自分はまだまだ働けそうだ。そう結論づけるのも、自分のため。
資料をバインダーに綴じ、机の上を一通り片付けた飯田は、部下に声をかける。
「いつも遅くまですまないな、小河原」
小河原中尉はその言葉に反応し、眼鏡を一旦置いて眉間を揉んだ。彼も、いや室員全員に言えることだが、皆疲れが溜まってきている。じき本当に忙しくなる時期が来る。飯田としても早いうちに休暇を設けねばとは思っていたが、次から次へ事案が入ってきて休む間もないというのが実情であった。
「残業代も出てますし、どうせ帰っても独り身です・・・ですが、今日はなぜ自分だけ?」
少し訝しげな小河原の口調、別段非難するつもりがあるわけではないのだろうが、なぜ自分だけが残されているのか気になっているのだろう。確かにここの室員は皆優秀だ。しかし、彼らが各軍から集められたという事実は無視できない。そういう事案なのだ。
しかしまあ、いきなり本題に入るのもアレなので、飯田は自分のデスクから一つの大きな缶を取り出した。
「小河原、お前は嫌いな飲み物とかあるか」
「水分補給ができればなんでも構いませんが」
一体何を、と言いたげな口調で眼鏡を鼻に戻す小河原。飯田はやや冗談めかして言う。
「いい紅茶がある。ティータイムと洒落こまないか?」
「少佐は珈琲派だと思っていました」
「そうか・・・確かに昔はそうだった、だが転向したのはだいぶ前の話だぞ?」
自前の小型IHヒーターでやかんの水を温める。中に入っているのはただの水道水だが、そもそも日本の水は軟水なので何の心配もいらない。小河原が飯田のデスク近くにやってきて、適当な椅子を出して座った。
「ミルクも砂糖もないが、まあティーパックでないだけよしとしてくれ」
「別にティーパックでいいんですよ、今の情勢じゃ紅茶だって取り寄せるの難しいでしょうに・・・」
「俺がこだわってるんだよ、部下にだけ安物飲ませられるか」
温め途中だが、やかんの水を二つ用意したカップとポットに入れる。これらを温めておくのが重要だ。
「そういうもんですか・・・しかし転向って、何故珈琲から紅茶に転向したんです?」
「うちの嫁さんに改造された」
ちょっとユーモアを効かせて言ったおかげか、小河原の苦笑が帰ってくる。
「改造って・・・また妙な言い回しをしますねぇ・・・」
こぽこぽと泡がやかんの中で音を立てる。茶っ葉をティースプーンで掬って入れ、勢いよく沸騰した水を注ぎ込む、素早く蓋を閉じて待つこと数分。雨音と時計だけがBGMを奏でる中、思い出したように飯田はデスクの写真立てを起こした。手作り感満載の写真立てに挿入された写真に写っているのは家族三人。背景はまさかの駆逐艦だった。横須賀だろうか。
小河原も今が仕事外の時間なのは承知しているのだろう。ちょっと控えめな様子で聞いてきた。
「少佐は、いつも写真を倒されてますよね」
「職務中は家族のことを考えるだけ無駄だ」
「その写真を撮った場所は完全にあなたの職場なような気もしますが」
「これは21年の一般公開の時の奴だよ、別に変なことはしていない」
最近の集合写真では
「娘さんもいい顔をしてますねぇ」
「まあ、な」
普段の娘を思い浮かべて思わず笑いそうになったため、顔をしかめて小河原から視線を逸らす飯田。それを理解できるはずもない小河原は自分の発言の何が悪かったのか、というような顔をする。二人の間に普段は流れない空気が流れて、それを誤魔化すように小河原が口を開く。
「紅茶、もういいんじゃないですか」
「馬鹿言え、まだ一分も経ってない。味が染み出ないだろうが」
「細かいですね・・・」
「もう俺は改造されちまってるんだよ」
小河原の僅かな苦笑が漏れた。
「改造とかいう人間相手に使うにはやや物騒な言葉の割には、満更でもなさそうですね・・・未婚の人間の前で惚気ないでくださいよ」
からかう様な小河原の口調、未婚の小河原にとっては、飯田の様子はなかなか面白いものがあった。飯田はなんとも言えない表情をしてから、ベラベラ喋りだす。
「人が黙って聞いててやれば・・・お前の分はティーパックにしてやろうか?あ、でもホッチキスで止めてる奴はNGな、紅茶に含まれてる酵素はどうもホッチキスの鉄を溶かすらしくて、健康に悪い影響が出るのではないかという報告もあるらしい。今ではホッチキスを使う会社も少ないが・・・」
そこまで言ったところで飯田のトークは止まった。なんでもない。忘れてくれ。少し視線を逸らす。暗くてよかった。もし明るければ、少し顔が赤くなったのがバレたかもしれない。そんな事を思えるのも、平和の証か。
「そのうんちくも奥さんの『改造』です?」
「・・・」
回答を拒むように視線を泳がせる飯田。まるで逃げるようにポットの様子を伺う。静かな時間がゆっくりと過ぎてゆく。
「羨ましいですね」
「・・・ほっとけ」
小河原から目を逸らしたまま作業を続ける飯田。彼の視線はここでないどこかに向いている。素人の小河原には分からないが、きっとルールがあるのだろう。たちまちカップからは香り付きの湯気が立ち、紙の匂いが充満した部屋に広がる。小河原の前にカップが差し出される。結局ティーパックで出されることはなかった。そもそもティーパックがないのだろうけど。
「いただきます」
暗い部屋の中、ほんの僅かな休息を楽しむ二人。飯田はやや頬を弛緩させつつ写真を見ている。まさか写真を倒しているのは仕事中にニヤケ顔をしないためではないだろうか。そう思える飯田の休息。仕事で頭がいっぱいの人間という認識は改めねばと小河原を思わせる光景であった。
飯田夫人の趣味か、はたまた飯田自身のこだわりか。細かい装飾が施された陶器のカップが、同じく陶器で作られたソーサーと触れる音が響く。小河原はまだカップを手に持っていたので、それを置いたのは飯田の方だった。
飯田は写真立てにゆっくり手を伸ばし、存在を確かめるようにひと撫でしてからそれを倒した。彼なりの職務再開の合図だった。小河原もそんな彼の様子に身を引き締められる。飯田の顔つきはいつも通りの海軍少佐に戻っていた。何かを取り出し、低めの口調で語りだす。
「こんな情報を手に入れた」
紙を広げる。内容は昨日青葉から渡された空軍庁の内部資料コピー、それのコピーだ。いくつかマーカーが引かれてある。小河原はそれを覗き込み、唸り声を上げた。
「これは・・・空軍も面倒な事を画策しますねぇ・・・」
「ああ・・・統幕会議で空軍の連中がこれの存在を示唆したことはない。独断専行として自分たちだけでやるつもりなのだろう」
「沖縄の尻拭いのつもりですかね?」
「恐らくはそうだろう」
「・・・っにしても、ずいぶん酷いネーミングだこと」
小河原が呆れた様子で背伸びをし、それに連動するように椅子の背もたれが少し動く。飯田がやや慌てた顔をしたのは、小河原がカップを持ったままだからだろうか。小河原が小さく謝り時間が一時停止。気を取り直したような口調で飯田は逸れかけた話を軌道修正する。
「・・・ネーミングに関しては、俺も同感だ」
そうして二人はコピー用紙に躍る文字列を睨みつけた。
「しかし、何故自分にだけ?」
「俺らがこの作戦を察知したということを隠すためだ。この部署は新設されたばかり、誰がどういった立ち位置なのか把握できていない。部屋の防諜の方は最後に帰った小牧にもう一度確認してもらったから恐らく大丈夫だと思うが」
小牧は飯田の後輩、小河原にとっては軍令部時代からの先輩だ。飯田との付き合いも長い。つまりこの場でこのことを知っているのはこの三人だけか。
そこまでいったところで小河原の脳裏に疑問が浮かんだ。彼はカップに残った紅茶を飲み干すと、口を開く。
「大迫閣下への報告は?」
飯田が椅子に座り直す。節電のために彼の顔を照らすのは彼のデスクの照明と窓から入ってくるほのかなネオンの光のみ。左右から別々の色が彼を彩った。
「問題はそれだ。仮に大迫閣下がこのことを知らなかったとしよう」
するとどうなる。その問に小河原は頭を捻ろうとしたが、そもそも捻る必要のない問題だ。
「教えるべきですね」
「ああ、では閣下がこのことを把握していて、
そうなれば、上層部の了解のもとで話が進んでいることになる。もしそんなのを察知したことが知られれば、目をつけられかねない。わざと情報を下ろさないということは知られると上層部、もしくは個人の利益に関わるということ。利益を邪魔されたことで買う怒りは大きい。なるべくなら、怒りは買いたくないものだ。そんなしょうもない争いで職務を外された日には、悔やんでも悔やみきれなくなってしまう。
「なるほど・・・確かに、言わないのが得策ですね・・・」
「それに、この様子じゃ海軍には手が出せない、もう『新高』の今後は決まっているも同然だ」
「というか、『新高』博物艦やめるんですね・・・知りませんでしたよ」
航空・海洋博物館所蔵の展示航空母艦『新高』、歴戦の空母はお台場の埠頭で余生を過ごすはずだったのだが、今回の敵対的危険生物の出現による情勢の悪化により展示艦としての役目も終えることとなっていた。展示艦『新高』の閉館は六月三十日。それから展示品を全て降ろすのに多少時間はかかるし、数十年単位で放置された缶に火を入れるのは大変だろう――――同じような博物艦であるイントレピッドは長い時間をかけて溜まってしまった砂により移動の際一度座礁したという記録がある。『新高』はそれ以上長い期間放置されているわけだが、大丈夫なのだろうか?――――ともかく、準備にはある程度時間がかかる。
「準備さえ整えば、管理はすぐに空軍庁の方に移るだろう、連中は
困ったことに、今の総理は空軍よりだ。そう付け加える飯田。空軍を政治的に止める手段はないということだ。
「止められるはずがありませんね」
「幸いなのはこの作戦を事前に察知できたことだ」
それは間違いないだろう。大迫海幕長がこの事実を知っていようといまいと、どのみち自分たちに上から情報は降りてこなかった。九州防衛には空軍戦力ももちろん加味されている。この作戦で喪失が生まれるとは思えなかったが、それでも飛ばしただけで消耗品をバカ食いする航空機をガバガバ使われるのは困るのだ。ただでさえ余裕がないのだから。
「ですが、『あの』
諦め顔、というよりは呆れ顔の小河原。「佐伯大輔」というネームバリューは軍内部ではあまりに大きい。いや軍内部に留まらず、国民でも知らない人間のほうが少ないだろう。
「ともかく肯定的に考えよう、敵対的危険生物だって海底から来る以上有限のはず。漸減作戦という点では作戦名にも一致するし、もし成功するなら成功したほうがいいに決まってる」
そう言う飯田、防げないにしても唐突にその事実を知って慌てるよりも事前に何か対策ができるなら、最悪を避けることぐらいは可能なはずだ。例えば相手に打撃を与えるとか、国民に希望を与えるとか。
それはそうなのですが・・・と続ける小河原、不安げな視線がコピー紙を捕まえる。
「あの『伝説』は徹底的な防諜から生まれたもの。我々が知ってしまった時点で失敗する気しかしないのですが・・・」
そんなこと言うなよ、と思いはしたが、言いはしない。偶然か必然か、飯田も同じ感想を抱いていたからだ。
二人は無言でコピー紙を見つめる。しかし時計の針と雨の音だけがこの場を支配することはなかった。小河原が口を開いたからだ。
「ですが・・・分かりません。どうやって敵対的危険生物を作戦海域まで誘導するというのでしょうか」
正直なところ、この場で議論するだけ無駄というものだろう。情報が必要だ。
「そもそも目的もはっきりしていないしな・・・おおそうだ、目的といえばこの前のアメリカレポート、助かったよ」
思い出したように――――もしくはこの話題を保留にすると宣言するように――――デスクの一角に置かれたファイルを掲げる飯田。そこには敵対的危険生物出現以後の新聞記事やネット記事がカテゴリごとにまとめられている。
「いえいえ、純粋な興味だけで資料を集めていただけですから」
「しかしネットの記事はすぐにリンクが切れるからな。助かったよ」
アメリカの状況は、よくもないが悪くもないといったところだろうか。アメリカが初めて経験した敵対的危険生物との戦闘は4月の上旬。これから既に二ヶ月が経過しているわけだが、未だにアメリカ領が攻勢を仕掛けられたことはない。
圧倒的資源、工業力、そして時間的猶予。
それらをふんだんに用いて世界の(と言っても西側諸国の)警察を自負する合衆国が思い通りに敵対的危険生物を駆逐できたかというと、そうではなかった。
もちろん『不可能』であったという認めがたい事実もあるにはある、しかし何より・・・世論が伴わなかったのだ。
「あの国は人命優先ですからねぇ。まあ、こうなることは予測できましたよ」
「まさかあの米国が東南アジアから手を引くとは思わなかったがな・・・今後連中は輸出できなくなった在庫の処分先に悩むことになるぞ」
そう言いながらファイルをパラパラと内容を見るわけでもなくめくる飯田。小河原が何を分かりきったことを。というような口調で続ける。
「あの国は自国の利益以外に興味はありませんよ。実際問題、敵対的危険生物の存在が知られる前で貨物船被害がダントツで多かったのは米国-亜細亜ルートなんですから。無理に航路を維持しようとしたものなら、利益を得るどころかあの国でも無視できない出血を強いられますよ」
信じられない。もっとはっきり言えば信じたくない話だが、米国はアジアから手を引いた。確かに印度洋・西部太平洋を担当する第七艦隊の司令部はハワイのホノルルからフィリピンのマニラに移されたが、真珠湾に「太平洋即応群」を新設するという名目で第七艦隊所属の航空母艦がグアムから引き抜かれた以上、米国にアジアから手を引こうという意思があるのは明白であった。ハワイ‐西海岸のルートも安全でない現状を鑑みれば、決して間違った判断ではない。
それに伴う『米国基準の』莫大な経済損失をどのようにして補填するつもりなのかは知らないが、まあそれは我々日本人に口出しできる話じゃないし、関係無い話でもある。
・・・とはいえ、アメリカの撤退がSEATOの安全保障において大きな穴となるかというとそういうことはない。航空母艦なら日本と英国印度が保有しているし、そもそもグアムに配備されている時点で米国が本気で戦時にアジアを守ろうとしていないのは明白であり、それに基づいて作戦は練られてきた。
「しかし、米国が引いたことで『東』からの圧力は強まる」
「まあ、それは否定できませんね・・・」
「
「こっちが化け物との戦争で忙しいって時に・・・!」
やや大げさに怒りの表情を見せる小河原。まあ北を日本、南を中華民国に抑えられている中華人民共和国まで空母を運送する手段など存在しないのだが、東側諸国が西側を挑発するだけならこの情報を流すだけで十分だ。何より、米国へのメッセージとなる。
「出来れば敵対的危険生物以外には面倒事を抱えたくないんだがな・・・」
飯田のその言葉が日本国民、正確には日本経済の本音であった。予想以上に早い海上輸送網の破壊による資源の欠乏はこの国の基幹産業にすら影を落とし始めている。国民生活に影響が出るレベルならまだ問題ないと言えるのだが、重工業関連の後退は防衛計画そのものに支障をきたすため、決して軽視できない、してはならない問題であった。生産計画の遅れは僅かながらとはいえ実際に出始めている。こんな状況で東側とのいざこざがあったらどうなるだろうか。例え名前に『自衛』を冠していても一応はアジアの盟主。日本国自衛軍が担っているのは自国の『自衛』だけではないのだ。
敵対的危険生物からは宣戦布告されていないから。という理由で出動を拒んできた自衛軍も、正規の戦闘であれば出撃せざるを得ない。陸軍は朝鮮半島経由で派遣するからいいとして、海軍はどうするのだ?敵対的危険生物がうようよいるであろう東シナの海で戦えと?無理な相談だった。『想定外の損失』を埋める工業力は、この国に存在しない。
もっとも、ここで二人が頭を抱えてもどうしようもない問題ではある。所詮政治は軍人の関われないところに存在し。飯田たちが命じられたのは敵対的危険生物への対処だ。東側諸国との戦争じゃあない。
「東は共産、西は化物か。挟み撃ちにされたら一巻の終わりだ」
諦めたように呟く飯田。天井を仰ぎ見てもそこは暗黒に包まれている。
「それ以前に、三軍が一枚岩でない時点で敵対的危険生物相手でも勝ち目はないかもしれませんね・・・」
「まるで十五年戦争だな・・柳条湖が沖縄で、空軍が考えてるこれが
なんで中国と米国を相手にしてるんですかねぇ、などと無粋なツッコミはしない。代わりに小河原は事実のみを述べる。
「今回は得られる権益ゼロ、その上講和の可能性もゼロですけどね」
飯田と小河原は改めて机の上のそれを見た。その眼には怒りというより呆れの色。諦めだとは認めたくなかった。彼らは諦めないためにここにいるのだから。
オペレーション・ニイタカヤマノボレ
そう印字されたコピー紙は、その文字の意味を知らず鎮座している。