模倣の決号作戦(改稿前)   作:帝都造営

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勝利への旅路②

 核、という兵器はなかなか扱いが難しい。東西はそれぞれ仮想的を何百回と殲滅できる数の核兵器を保有しているが、実際の問題としてそれを撃ってしまえば大変なこととなるからだ。

 

 抑止力。それが核兵器に託された『神話』であった。

 

 しかし今の時代、核兵器が抑止力にすらならない、むしろ維持費をバカ食いするだけの無駄な兵器であることは明白だ。実際、何度も起きている上海事変や、ソマリア沖で日ソ機動艦隊が火花を散らした時も――――両国は核保有国であったにも関わらず――――世界の終わりは訪れなかった。

 だから印度や満州から短距離の戦術核は消え、国内に設置されていた報復用ミサイルサイロの規模も縮小されつつある。既に英国印度と自由フランスは地上配備の核を全て退役させ、日本も17年に撤去された本州のミサイルサイロに引き続き、28年までに沖縄と北海道に残るミサイルサイロも廃止する予定であった。

 

 ・・・とはいえ核兵器は持っていないと不安だ。平和を訴える平和主義者だって痴漢スプレーぐらいは持っていることだろう、人間、武器の持ち過ぎは気持ち悪いが、無防備なのは本能的に無理なのである。

 

 ではどのように核の抑止力を持てばいいか。配備数が少なくなるのだ。敵国にも、テログループにも破壊される心配がなく、有事の際にはすぐに発射できる場所がいい。

 

 だから、地表の七割を占める海に隠そうという結論に至る。海の中ならだいたい安全だし、移動すればいいのだから防諜も完璧だ。

 故に、世界が敵対的危険生物に侵されつつあるこの瞬間も、北極海で、大西洋で、東西の潜水艦は世界の引導を握っている。

 

 

 

 それが翔鶴型原子力潜水艦。魚雷管八門、VLS6セルを備える日本の抑止力だ。

 

 

 

 

 

 

 

【模倣の決号作戦番外編】

 

――――勝利への旅路――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 英国印度はセイロン島、コロンボ軍港の日本軍に割り当てられた区画。タクボートにエスコートされゆっくりと入港するのは、黒光りする丘。その特徴的なフォルムから巨大な葉巻型の船体が想像され、その圧倒的な存在感に飲まれそうだ。

 

「あれが翔鶴型・・・」

 

 小河原自身、翔鶴型を直に見るのは初めてだ。それも当然、日本の保有する唯一の原潜、翔鶴型。これには多くの機密が詰まっている・・・日本国自衛海軍の装備品でも最も暴かれてはならない存在だ。彼女らは呉の柱島を母港としてはいるが、もちろん姿を見かけることはまずない。

 

 その船体の上にちょこんと乗っけられた司令塔――――目の見えない潜水艦でも艦橋は存在する、その小さな司令塔には艦を操るための様々な情報が集約されるのだ――――の上に見張りと思しき乗組員の姿、そしてその真横ではためく軍艦旗。陸側の周囲には補給作業のための人員が集まってきており、下手なイベントよりかは賑わっている。

 

 

 そして、艦は遂に桟橋へと到達する。地上側の要員が流されないように舫いを投げ、艦を固定。その間に桟橋と潜水艦の間に橋がかけられ、潜水艦のハッチが開く。そこからまるでモグラ叩きのモグラ役かのようにひょこりと現れた佐官服。モグラ叩きと違うのはそのまま全身が艦の外に出てしまうところぐらいだ。そしてそれに続く副官と思しき佐官。自軍に割り当てられた港なので出迎えの儀式などはないが、それでも地上側にいた全ての作業員たちが彼に敬礼する。もちろん小河原も敬礼し、それから進み出た。相手は橋を通って桟橋に降り立ったところだった。

 

「統合幕僚本部敵対的危険生物対策室所属、小河原淳中尉であります」

 

 所属と名前、挨拶の基本だ。

 

「出迎えご苦労、私が『瑞鶴』艦長を勤める大熊だ」

 

 

 翔鶴型二番艦『瑞鶴』。就役は2000年初頭、ソビエト潜水艦との衝突事故(・・)でも無傷だったことから幸運の女神とも呼ばれている艦(ふね)、その艦長が小河原の挨拶に応じた。

 

 二人はそのまま事務室の入る基地の建物へと足を向ける。瑞鶴の軍艦旗が、艦長を見送るように揺れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こちら、作戦指令書になります」

 

「うむ」

 

 小河原は封印付きの封筒を取り出した。潜水艦に求められるのは機密性であり、その行動に触れる人間は可能な限り少なくしたいところである。通常任務ならともかく、今回のような特殊ではこういった古典的な連絡手段を用いることもある・・・古典的とは、それだけ信用できるということだ。

 まあ、第二次世界大戦における空母の立ち位置がそうであったように、古典的なものが全て良し、とされないのが世の中の難しいところなのではあるが。

 

「・・・了解した。補給作業が完了し次第、作戦行動に移ろう」

 

 そう言いながら大熊艦長は指令書を封筒に仕舞う。それから彼は自身の預かる潜水艦の姿を窓越しに眺める。

 

 それから呟くように一言。

 

「セイロン(ここ)へ来る途中ラジオで聞いたが・・・中国の件で小河原中尉は何か知ってないのか?」

 

 そういう大熊に、小河原は僅かに顔色を濁らせた。

 

「生憎存じ上げません。中華共和国名乗る武装勢力は何がしたいのやら」

 

 中国の件・・・大熊が言わんとしているのは間違いなく昨日の夜発生したテロ事件のことだろう。あまりに急な事件に朝の新聞にはそのことは掲載されておらず、ラジオやTVニュースのみが慌ただしくそれを伝えていた。攻撃を受けたのは北京の英国大使館や英国系列企業など数箇所・・・話によれば日本の大使館や領事館も攻撃を受けたそうだが、規模や被害状況などはさっぱりである。報道で大使などの安否に触れていないことを考えると、それすらも不明なのに違いない。

 

 大熊は疲れたような表情を作り、やれやれといった様子で言う。

 

「全く、核攻撃の次は隣国のテロ騒ぎ・・・こんな情勢下で虎の子の原潜を共産制海権下の海域まで持ち出していいのかね」

 

 ああ、別に海軍幕僚部(ぐんれいぶ)への文句じゃないからな・・・と思い出したようにつけ加える大熊。どっしりとした態度は、中尉という4つも下の階級を前にしての態度か、それとも彼特有のものか。

 

「ご安心を、敵対的危険生物(今回の件)に関しては東西双方に軍事協力を探る動きが見られます・・・軽く数えて何千万人が犠牲になっているんです。流石にいがみ合う時でもないでしょう」

 

 小河原は軽く応じる。4つも階級が上の人間に対して使うべき言葉使いなのかはともかく、彼の言う「いがみ合う時ではない」、それはきっと、今の人類の共通認識なのだろう・・・沖縄で100万、ジャワで推計7000万・・・その後は避難活動のおかげで被害のうなぎのぼりは避けられたが・・・それでも被害は増え続けているという。正確な統計が出てくるのはまだまだ先の話だろうが、二次被害含めて既に一億は犠牲となっているだろう。

 

 こんな状況で、東側が西側にちょっかいを仕掛けるだろうか。少なくとも、表立っては仕掛けないはずだ。

 

「まあ、結局そうなるわな・・・とはいえこちらは原潜、そして乗員の命を預かる身だ、自分の艦が参加することは本当に意味あることなのか、頭の片隅でぐらい疑問に思わせてくれよ」

 

 そう言いながら大熊は頭の後ろで腕を組んだ。重心が移動したせいで、彼を支えるパイプ椅子の結合部がキシキシと音を立てる。

 

 大熊・・・その名前に恥じぬ巨体を持つ彼に対し、小河原がまず抱いたのは「変わった軍人だ」という印象であった。まず知っての通り軍人は命令を遂行する機械だ。命令は絶対であり、それに抗うことは許されない。しかし彼は、命令の意味を考えること位してもいいではないかと『初対面の』小河原に言い放った。

 型破りの人間なのか、それとも世界の引導を握る原潜乗りは皆こうなのか。

 

 

 そんな思いで向けられた視線に大熊は立ち上がって答える。それからまるで思い出したような調子でいうのだった。

 

「さて、今なら『瑞鶴』を案内する時間があるが・・・」

 

 

 来るかね? 俺の艦(ふね)に。

 

 

 そう笑う大熊大佐。小河原はそこに、まるで娘を自慢したがるかのような親の顔を見た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「翔鶴型が採用しているのは原子力ギアード・タービン推進方式・・・馬力はざっと620,000・・・どうでもいいかもしれないが、先代翔鶴型は160,000馬力だったらしい。ほぼ四倍だな」

 

 潜水艦の設計において重要な事・・・それは言うまでもなくどこまで多くの装備品を無理なく搭載できるかにある。軍艦設計の基本ではないかと思われるかもしれないが、潜水艦ほどそれに気を使う艦種はいない。なんせ、水上艦は艦隊を組んで互いの弱点を補えるが、潜水艦は単独行動が基本だからだ。

 そうなればまあ、艦内は狭い。小河原は大熊の後に続いてゆくが、瑞鶴の乗組員とすれ違う時はいつも肩がぶつかりそうになり気を使わせられる・・・これで原潜――――なんでも、蒼龍型などの通常動力型潜水艦ではもっと狭いそうだ――――だというのは驚きである。

 

 食堂や司令塔などの主要施設を小河原に紹介する大熊、彼の瑞鶴――――というよりかは翔鶴型――――の自慢話はまだ続く。

 

「しかしこいつの最大の売りは馬力じゃねぇ、その静粛性だ。あの米シーウルフ・ファミリーを越す馬力を持ちながら大して五月蝿くもない・・・2005年の演習で『翔鶴』を操った天才艦長が空母『伊勢』の真横に浮上したときは見ものだったなぁ・・・」

 

 そう言いながら大熊は『瑞鶴』の壁をトントンと叩く。2005年の演習の話は当時まだ小学生であった小河原もよく覚えている。当時の軍事雑誌には『翔鶴型、米潜シーウルフを超える!!』などという記事で掲載されていたが、当時の『伊勢』が所属していた二航戦の護衛艦たちは軍令部からの大目玉を食らったことだろう。

 

 その時の大熊がどこにいたかは知らないが、潜水艦乗りとしてはまあ、嬉しいことに違いなかっただろう。小河原はそんな感想を抱きつつ、大熊の話に相槌を打つ。

 

「ああ・・・そう言えば中尉は狭いところは平気なのか?」

 

 小河原の相槌が下手だったのか、それとも小河原の表情が曇っていたのか、大熊はふとした拍子にこちらを向き、気遣うように発言。

 小河原はすぐ返答する。

 

「狭いなんてとんでもない、一度でいいから『瑞鶴』の名を預かる艦には乗ってみたかったんですよ」

 

「ははは、中尉とはいい酒が飲めそうだ・・・」

 

 世辞と受け取ったのか、大熊の乾いた笑い声が狭い通路に響く。補給作業中ということもあり『瑞鶴』艦内はひっきりなしに乗組員が往来しているが、彼の笑い声は通路でつながる場所にいたその殆どの者に届いたことだろう。

 

「小河原、と言ったな、なかなか面白いやつだ。短い期間だろうが、我が艦の客人として、ゆっくりくつろいでくれ」

 

「では改めてまして・・・この小河原、原潜『瑞鶴』にお世話になります」

 

「よし任された」

 

 と大熊、今後の任務がどうなるかはともかく、航海だけは心地よいものとなるかもしれない。大熊の曇りのない表情が小河原にそんな予感を抱かせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それ以後、大熊と話す機会は得られていない。

 

 まあそれは当然のことだ。原子力潜水艦『瑞鶴』がセイロン島での補給を済ませ早くも三日、『瑞鶴』はインド洋をマダガスカル島へと向けて目下進行中・・・艦を動かすということには艦長の存在が必要不可欠だし、ただ乗せてもらっているだけの小河原と違い、乗組員にはもともとの仕事がある。

 

 もちろん小河原にだって仕事は割り当てられている。しかしそれは「マダガスカルへ向かえ」という指令。

 

 

「放射能汚染を考慮すれば・・・まあ、わざわざ原潜を用いる理由もわかるんだがなぁ・・・」

 

 そう誰にでもなく呟けば、蛍光灯だけがチカリと瞬く士官室。小河原に割り当てられた空き部屋であったその部屋は、広くはないのだが狭くはない。景色が見えなければ持ってきた詩集を読む気にもならない。

 

 

 しかし、困ったことに――――もしくは幸いなことに――――やっておいたほうが後で助かる事ならある。

 

 小河原が取り出したのは愛用のバインダー。かつて上司である飯田にも差し出したが、カテゴリごとに記事をファイリングするためのものだ。

 まあ、流石に今回の出張では任務の特性から大量の記事を手に入れるのは叶わないので、とりあえず一冊だけに全てのカテゴリを収集しておくつもりだ。

 

 

 小河原は鞄よりファイル、そして数冊の新聞紙を取り出した。新聞記事を集めるのは学徒であった頃からの趣味というか習慣だ。以前は軍事系記事を並べては楽しんでいるだけだったが、今ではファイリングのカテゴリも政治経済へと拡大され・・・。

 

「・・・」

 

 小河原は机に一応並べてみた新聞を見やる。英国印度遠征軍到達、クアラルンプール戦線押し返し図れるか。パナマ共和国へ米軍主力到達。SEATO南北アメリカ連合軍本格行動開始。中華人民共和国(ソビエト・チャイナ)にてテロ行為、被害は不明。

 

「・・・抽象的な記事ばかりだ」

 

 役に立たないなと言わんばかりの調子で言う小河原。事実彼が手にとった数社の記事はどれも抽象的な内容ばかり、そりゃ軍事作戦の詳細を発表しないのは当たり前だし、中国での一件は発生したばかりだ。

 

 ・・・発生したばかりの一件。小河原は『瑞鶴』の出航間際に手に入れた夕刊を手に取る。

 

「中国・・・今度は第十一次か?」

 

 中華人民共和国との戦乱の歴史は長い。中国共産党と中国国民党の国共合作が崩壊し、満州国にソビエト軍が流れ込んで以来、黄河・長江流域を争う両勢力は激しく対峙している。

 

 

 経済危機により波及したとも言われる第十次以降、中途半端な市場開放がヘタを打った中華人民共和国の脅威は減衰していたはずだが、まさかこんな形で火がつくとは。恐らくは中華人民共和国の組織力の衰退、それと外敵(SEATO)が混乱の最中にいることをいいタイミングとするつもりだろうが・・・。

 

「・・・まあ、すぐ鎮火のオチかね?」

 

 小河原はそう言いながらもその記事を切り取る。写真すら添付されていない小さな記事ではあったが、世界の大事は小さなボヤから始まるものだ。

 

 

 ――――中華人民共和国への空母売却計画は、原爆投下で潰えただろうか・・・。

 

 

 どうでもいいことを想う小河原、空母を売却すれば即戦力になるわけじゃないし、

 

「どうせ、ソビエトチャイナが驚異になる頃には、SEATOは敵対的危険生物の餌食だろうよ・・・」

 

 

 小河原はファイルにゆっくりと新聞を貼り付ける。パナマ侵攻を報じる日本語の号外の横に、核兵器投下の号外が貼られ、その横にアメリカ大陸の戦況を報じる記事が添えられる。

 

 ゆっくりと進む時計の針――――もちろん無音で回るそれ――――だけが彼を見守る。いつもの糊と特有の臭みを持つ新聞紙。

 

 

 

 

 

 

 

 ――――思えば、

 

 

 

 

 初めはたった一隻の貨客船の沈没事故だった。

 

 

 

 事故にしては異常、攻撃にしては執拗。伝言者(メッセンジャー)を残さない時点でテロとは考えづらい。

 とは言え・・・

 

『SEATO、東南アジア条約機構は、今回の一件を受けてシナ海特設掃海群の設立を決定しました。戦力は日本、中華民国、フィリピン、インドネシアより供出されると・・・』

 

 ・・・始めは誰もが、本気で人間の仕業だと考えていた。

 

 

『フィリピン沖にて米船籍の貨物船が消息を絶ちました。これをSEATO・・・』

 

 

 さて、あの頃の自分はなんて言っていただろうか。ソビエト・ロシアが満州里条約を破るなんて、俄かには信じられない、そんな呑気な事を言っていたのではないだろうか。

 

 本気で。

 

 

 

 

 

『おはようございます。2022年3月3日、「おはよう日本です」早速ですが、先日発生した詳細不明の勢力による沖縄諸島への攻撃は・・・』

 

 

 

 

 被害は拡大した。陸軍将校たちは勇猛果敢に戦ったそうだが、沖縄は陥落。それ以下の練度、物量しか持たないジャカルタ守備隊は即座に壊滅。SEATO軍が戦線を構築する頃には、既に千万を超える行方不明者が生み出され・・・違う、奴らに食い殺されていた。

 

 

 日本を中心としたSEATO諸国は船団護衛により貨物船を護衛。

 船団を組み始めた貨物船の被害は減少・・・仮初とは言え状況は落ち着いた。『潜伏級』が現れるまでの、ほんの僅かな時間ではあるが。

 

 ・・・そうだ、これまで話題に挙げてこなかったが、敵対的危険生物の船団、もしくは軍艦に対する攻撃、これには理由は分かっていないが一定の法則がある。

 

 まず、敵対的危険生物が自発的に攻撃するのは無防備な船――――小型の貨客船から大型タンカーまで、種類は問わない――――のみ、どうしてだか軍艦(ネイビー)や海岸警備隊(コーストガード)などを初めに狙うということはない。

 

 しかし、攻撃を仕掛けられれば話は別だ。

 

 攻撃を受けた敵対的危険生物は恐ろしい勢いでその艦艇に襲いかかる。沖縄沖の『雷(いかづち)』は威嚇目的だったはずの攻撃に反応した敵対的危険生物に食いちぎられ、派遣されたアメリカ艦隊も数十分のうちに壊滅。もちろんそれは今日までインドネシア周辺で戦い続けてきたSEATO諸国海軍にも言えたことで、海底から無限かと思わせるほど大量に湧き上がってくる奴らに処理能力が飽和し、飽和した艦から一隻、また一隻と沈められていっている。

 

 

 ・・・敵対的危険生物対策室(うち)の室長も頑張って水際阻止作戦を考えているけれど、そもそも海軍大国を名乗る日本が海上で防ぐことを考えない時点で、海での抵抗はお察しであろう。

 小河原海軍中尉改め、小河原統合軍中尉・・・そんな時代が近いうちに来る・・・。なんて、洒落にもならない。

 

 

 

 

 

 

「ほんと、洒落にもなんねえな・・・」

 

 

 

 瑞鶴よ、この人類の惨状・・・貴艦(おまえ)はどう思う。

 

 小河原はそう呟き天井へと顔を上げた。現実逃避かもしれないが、許してくれ、瑞鶴。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 鋼鉄は、答えない。

 

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