あなたは、日本で最大の歓楽街はどこか知っているだろうか。答えは大概の日本人ならこう答える。東京にある「神室町」という街だ、と。そして「神室町」の事を話すのであれば、同時に「神室町の伝説」についても話さなくてはならない。
曰く、「日本最大の極道組織『東城会』を1人で壊滅させた男がいる」
曰く、「かつて18人を1発の無駄玉もなく、たった一度の僅かな被弾で絶命させ、その後2度も脱獄した男がいる」
曰く、「とある極道組織の構成員100人から神室町を身一つで守り抜いた男がいる」
などと、神室町には様々な男達の伝説が存在する。
これは、後にその様な伝説となる男の、「伝説となった物語」を語る、現実の様な、空想のような。そんな、一つの伝説の物語。
「ようこそ神室町へ‼︎歓迎するよ。……もっとも、もう少し穏やかな理由でこの街にきてくれれば、クラッカーの一つでも鳴らしてあげたんだけどね。……あんたら、本気かい?」
「ふざけてんじゃねえぞ!早く強え奴出せっつってんだろうが!『堂島の龍』を出せってよぉ!」
ここは神室町のとある一角、何人かの見た目から「チンピラ」という印象のある方が声を荒げ、それにもう一人、赤いジャケットを着た男が対応していた。どうやら、
「あいにく堂島の龍は今この場には呼べないよ。……俺を倒せなきゃ、ね」
「上等じゃねぇか!おい、やっちまうぞ!」
チンピラの方は腕に覚えでもあるのか、神室町の伝説の1人、「堂島の龍」を所望し、それを赤……いや、ワインレッド、と言うべきな色をしたジャケットの男が止めていた、という状況だったようだ。がしかし、ワインレッドのジャケットを着た方が、「堂島の龍に会いたければ俺を倒せ」と言い出した。数で囲み、チンピラ達はすぐに倒してしまおうとしているようだ。その時、不思議なことが起こった。
「遅いよ。その程度で堂島の龍に挑む気かい?」
囲まれたはずのワインレッドのジャケットの男は、
訳が分からない。そうとしか言えない状況に、先程からこの状況をハラハラしながら見守っていた野次馬達も、呆然としていた。さらに続けて
「ダメだね、『堂島の龍』に挑みたいなら出直してきな」
一瞬にして全員を昏倒させ、そう告げる。恐ろしく強い男は、その場からスッと離れる。まるで街をぶらぶらと散歩するかのようなペースで、である。彼が強いのもそのはず、彼の名は、「
「ったく、最近になってまでまだあんなのがいるなんてな。どうにも、『堂島の龍』の噂は強いねぇ。お陰で儲けちゃいるけどね」
などと秀は呟きながら、自らの会社へとぶらぶらとした足取りで歩いて行く。今日の様な出来事もまた、彼にとっては日常の一部に過ぎない。それゆえ、彼はどうも退屈した様な口調である。
「戻ったぞー」
「お疲れ様。新しく来た仕事は無いからそろそろ今日は店じまいしましょうか?」
「ん、それが良いだろうな。じゃ送ってこうか?」
「いや、今日は泊まらせて貰うわよ。じゃなきゃこんな時間までいないもの。いいでしょ?」
「……わかったよ、美波」
彼が店に戻ると、助手の
ー物語はまだ、始まらない。
こんな感じです。今回はプロローグのため短いですが、次からはばんばん書いていきますよ〜!