バカとテストと召喚獣〜龍達の血を継ぐ者達〜   作:白波風

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今回は過去編。秀と美波の出会いです。原作主役を筆頭とするバカ達は、まだしばらくは登場しません。
※現在の美波が過去を回想する、という形で進行するので、美波の一人称視点かつ、モノローグの一人称は「ウチ」です。


時には昔の話を1 彼らの出会いと始まり

ウチがあいつと出会ったのは、高校に入学した初日だった。

ドイツからの帰国子女だったウチにとって、わからないことだらけのまま、文月学園という高校に入学することになって、そのまま新しいクラスが始まった。よくわからない日本語での自己紹介が始まったとき、彼はそこにいた。

「神室中出身秋山秀。趣味は読書と仕事。よろしく」

そんなシンプルな自己紹介だったからだろうか。それとも他がボソボソしていたり、やたら凝ろうとして失敗していた中で、すごくハッキリした声だったからだろうか。強く印象に残った人だった。思えば、あれは『一目惚れ』と言うべきものだったのだろうと、今更ながらに思う。

「シまダ ミナミ でス。よろシクおネガイしマス」

ウチといえば、こんな情けない片言でしか自己紹介できなかった。ドイツからの帰国子女だ、と担任の先生がフォローをしてくれたけれど、それにしても、と思ってしまったウチは、この時すでにあいつに影響を受けていたのかもしれない。

「ねえねえ島田さん!」

「島田さ〜ん」

「島田さん」

帰国子女というのはどうしてここまでうるさく構われるのだろうか。他にも新しいクラスメートがいるにもかかわらず、わからない日本語で話しかけられて、ウチはどうすればいいのかわからなかった。うるさいうるさいうるさい!もう、朝見た女の子が言ってた日本語が確か人を黙らせてたような、そう思った時だった。

「落ち着きなよ君達。島田さんが気になるのはわからないでもないけど、日本語に不慣れなのにそんなに話しかけられたら困っちゃうよ」

あの、秋山秀という男だった。私を囲んでいた女子達にそう言うと、

「そ、それもそうね。ごめんなさい。島田さん」

そう言ってクラスメートは離れていった。

「さて……Es freut mich dich kennenzulernen,Herr Shimada(はじめまして、島田さん)」

「Si……Sie können nach Deutschland sprechen!? ︎(あ……貴方もドイツ語を話せるの⁉︎)」

※以下、二人はドイツ語で会話しています。

「ま、ドイツ語くらいは一般教養だよ。それはともかく、さっきのクラスメート達の非礼を詫びさせてもらえないか?」

彼は、そんな信じられないことを言った。だってウチに彼は迷惑をかけていないのだから、そんなことなどしなくてもいいはずなのに。

「やめて!貴方がしたことじゃないじゃない。なんで謝るの?」

「俺がしたことじゃなくても、あれは俺と同じ日本人がしたことだ。日本人は『帰国子女』っていうものにやたらなまでに興味を持つ傾向があるわけで、きっと不快に感じちゃったことだろう、と思ってな」

彼は、そんなことを言って苦笑を浮かべていた。

「しかも、礼節がしっかりしている、なんてことを言われる国な割にやたら無神経な奴が多い。物静かって言われちゃいるが裏を返せば陰険な奴が多い。まったく、同じ日本人として悲しいよ」

ちょっとしたことだったのに、そんなところまで発展するなんて、とっても変な人だと思ってしまった。

「っとそうだ、次のLHRが終わったら今日はもう下校していいらしいんだけど、一緒に帰らない?というか、すこし俺の家に来て欲しいんだが……いいかな?」

「なにか用事?それともナンパ?後者なら遠慮するわ」

「いやなに、今日家でモーンクーヘンを作ろうと思ってね。本場の人に味見を頼みたいのさ」

モーンクーヘンといえば、ドイツではとても親しまれているケーキだ。日本語訳するとケシの実ケーキという意味で、地域によって形が変わって、ポピュラーなのはケシの実とケーキの層が三つに分かれているものだ。でも、それを作るのは意外と大変なうえに、そもそもケシの実自体日本ではあまり食べないものだ。それを……作る?そう聞いた時、ウチは何よそれ、なんて思ったりした。まあ、放課後にそれの真偽がわかるだろうと思い、ウチは同行を決めた。それが、その程度のことが、こんなに長く、深い付き合いになるなんて、ウチはこの時、予想しているわけがなかった……

 

〜そんなこんなで放課後〜

 

「こっから先が神室町。俺の住んでる町ね。あ、離れないでよ。この町なかなか複雑だから逸れると大変なことになりかねないから」

そんな言葉とともに、彼は気軽そうにその『異質な』町に足を踏み入れた。そこに渦巻くのはなんだろう、人の熱気もそうだけど、それ以上に狂気が渦巻いてるような気がして、ウチはその時、とても怖かった。離れずについて行くと、少し大きくて古めかしい喫茶店のような店が見えた。どの町にもありそうな普通の喫茶店なのに、この町にあるそれはとても浮いていた。

「驚いた?ここは俺の店の《喫茶『鳥の巣』》ってんだ。つっても、学生の身だから土日祝しか開けてないんだけどな。さ、入って。できる限り美味しく作ってみせるからさ」

そういって『CLOSED』と書かれていた看板を、『RESERVATIONS』に替えて、店の中へ彼は入っていった。あとを追うように入ったウチは、そこでびっくりしてしまった。なにせ、その内装はとても綺麗で、ちゃんとした町に開店していたなら、話題になってもおかしくないと言えてしまうほどに凄かったから。

しかも、そこで食べたモーンクーヘンはとても美味しかった。その後、大満足で帰ろうとしたウチに彼はこんなことを言った。

「土日は開いてるから都合がいいなら来てくれると嬉しいな。それとさ、君がよければ、俺に日本語を教えさせてくれないかな?きっと、役に立つ筈だから」

彼のそんな提案に、ウチはそっちこそいいのなら、と約束をして彼に送ってもらい、そんな入学初日を過ごした。

 

ーこれは、孤独な「朱雀」と、その隣に並び立ち、そんな「朱雀」を助ける「鳳凰」の、偶然であり、また必然でもあった出会いから始まる成長の物語の、最初の1Pである。

後にこの日は、とあるカップルの結婚記念日となるが、それはまた別の話である……




次回からやっと原作です。書きたい小説のネタがガンガン降ってきてちょっと頭がオーバーヒートしそうです。とにかく、これとワルブレをやっつけたいですが……ワルブレもまだ1巻分すら終わってないんだよなぁ……はぁ……
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