桜咲く道、その中心を二つの影が通り過ぎて行く。
「相変わらず、ここの桜は綺麗だな。手入れがよくなされてる。ここが道じゃなけりゃ、花見はここでしたいもんだな」
「花見をどこでやったって結局花を楽しむのは私達だけだけどね。あーあ、どうして皆あんなに花より団子なのかしらね」
「そりゃ団子が美味いからじゃないか?」
「その団子を毎回作ってるのは誰よ。ま、花を楽しむような感性が無いってもあるんでしょうけど」
「手厳しいなぁ……まったく」
などと漫才のようなやりとりをしながら歩く二人の男女。男の方の名は、「秋山秀」女の方の名は、「島田美波」両名共に、とある学園の今日二年生となる二人である。
先程のようなくだらない会話をしながら歩いていた二人の前に、巨大な学園が見えてきた。その学園の名は「文月学園」彼らの所属する学園であり、最先端のシステムを利用している試験校でもあるなかなかに優秀な進学校だ。その巨大さもあり、中々に大きな門の前に、これまた大きな男が立っている。
「「おはようございます。西村先生」」
「ああ、おはよう。秋山、島田。相変わらず仲はいいようだな」
「当然ですよ!俺が美波を不快になんてさせるわけ無いですからね」
「まあ……ね。一応はそうかしらね」
「え”、俺なんかダメなことした⁉︎やっべいつどこでした⁉︎思い出せ、俺!」
「思い出さなくていいわよ。気にして無いから。で、西村先生はなんでここに立ってるんですか?」
相変わらずの漫才のようなやりとりをしながら二人が話している男は『西村宗一』という名の、文月学園生活指導担当者だ。その肩書きにふさわしいガタイと強面だが、あくまで厳しいのは規律を守らない生徒についてのみで、普段は少し厳しいだけのどこの学校にもいるような先生であったりする。むしろ、かなり親身に生徒の相談に乗ってあげたり、不登校の生徒に対して熱意を持って関わりにいくなど、あまり今時にはいない素晴らしい先生である。
「うむ、分けられたクラスを報告する仕事を任されていてな。ちょうど、このように」
と、彼は少し小さい封筒を二人に手渡す。二人は、少し不思議そうな顔をしながらそれを受け取り、その封筒を開く。二人の封筒の中に入っていた紙には、こう記されていた。
『秋山秀 Fクラス』
『島田美波 Fクラス』
「貴様ら……何を企んでいるのかは知らんが、流石にあれはやりすぎだ。次があるなら、もう少し不自然で無いようにやるんだぞ」
「「はーい、気をつけます」」
西村がそう言うのも無理は無い。この二人、振り分け試験において全ての教科でぴったり50点をとる、ということをやらかしたのだから。しかし、二人の言葉に反省の色は見えない。どうやらあまり点数について重要視する気は無いようだ。校舎へ向かう姿を見た西村は、ため息を漏らす。
「どう考えてもあの二人は優秀なのだがな……本当の実力でFクラスになった馬鹿共は、ある意味ラッキーなのかもしれんな」
髪型をお揃いにし、自然に手を繋いでいる二人の背中を見送りながら、西村は気持ちを切り替える。特に早い二人と違い、ここからは問題児も優等生も来るような時間だ。ミス無くやらねば、そう決意し直し、校門の外に視線を直す。彼の仕事はここからが本当の始まり、と言えるかもしれない。
一方こちらは、校舎に入りFクラスへ向かう二人。まだ会話は続いているようだ。
「しかし、Aクラス凄かったな〜。最高クラスがあれだけ凄いんならFクラスもそこまで酷く無いんじゃないか?」
「逆に考えなさい、秀。Aクラスがあれだけ凄いということは、Fクラスはとんでもなく酷い、なんてこともありえなくない。って考えてた方が、もし酷かった時に心にくるダメージは少ないわ」
「まー、俺もこれくらいだろって思ってたのがDクラスだった時点で色々諦めてんだけどな。……多分あれがFクラスだ」
残されたその教室が、二人の視界に飛び込んできた……
それは、教室というにはあまりにも酷すぎた。
汚く、寒く、臭く、そしてカビだらけだった。
それは、まさに最低だった
「「…………」」
「あ…ありのままに今起こったことを」
「話さなくていいわ。何かが変わるわけでもあるまいし……」
モノローグすらネタをやらねば表現ができないのだ。直面した二人もまた、ネタで表現するしかないとしか言いようがない。そして二人は微妙な顔をしながらその教室に足を踏み入れる。ちゃぶ台と畳という昔ながらの日本家屋のような場所は、心を落ち着かせる。……もちろん、そのちゃぶ台が大量、ひび割れた黒板に薄汚れた教卓、まして汚れや異臭に割れた窓ガラス、などの要素が無ければの話ではあるが。
「こりゃ……想像以上に酷いな。とにかく汚れやら異臭やらをなんとかしなきゃなこりゃ」
「ちゃぶ台や畳はいいのね……まず汚れや異臭に気を使うなんて貴方って人は本当に主夫ね」
美波に言われたように、主夫のようなコメントをまず言ってしまうあたり、家庭的と言える。が、それは今あまり関係ないことでもあったりする。……それに、まず割れた窓ガラスやひび割れた黒板に注目しないあたり、かなり他人とずれた思考の持ち主のようだ。
「ほんっと嫌になるわね……この状況に燃えてる自分が」
だが……この二人、負けず嫌いの極致、と言えるほどに負けず嫌い、逆境であればあれほど燃える二人である。……マ○ンのパン○キンじゃあるまいし、もう少しくらい落ち着いていてもいいとは思うが、そこは今突っ込むべきところではない。
「ん?なんか今、すごく失礼なことを言われた気が……」
今突っ込むべきところではない。しかし、面倒な事とは重なるものだ。戸を開け入ってきた顔馴染みに、二人は目を丸くする。
「Fクラスってのは、ここでいいのか?……お前らがいるせいで余計に信憑性が薄いんだが」
「ソーマ?お前こそ何やってんだこんなとこで」
「俺もFクラスなんだよ。理由は「言わんでいい」……なんだよ、知ってたのか?」
「いや、知らんけどな。あらかた、振り分け試験の最中に体調不良になった人が出て、そいつを助けた奴を教師がディスったから答案用紙を破って退室した。ってところだろ」
「……お前やっぱり知ってただろ」
「いんや、マジで知らんかった。ともかくソーマもFクラスか。こりゃ、今年の学年最強はFクラスかもな」
現れた男の名は『
「まー、なんでもいいか。じゃ、クラスメイトとしてよろしくな、ソーマ」
かたや、『天才にして秀才にして天災』と称される男、秋山秀は
ーしかし、彼は、彼らは、まだ知らない。知るよしも無い。このクラスに属することになる者たちは皆、
『真性のバカ』
であるという事を……
「……ところでさ」
「ん?なんだよソーマ。まだなんかあるのか?」
「お前やっぱり知ってたんじゃ無いのか?」
「いや、本当に知らなかったさ。ただ、起きた出来事は知らなかったが、お前のことはよく知ってる。つまりはそういう事だ」
「……お前はなんでも知ってる、みたいな節があるからな、ちょっとばかし気になってな」
「なんでも知ってるわけねーだろ。知ってる事だけだ」
「お前いつもそれだよな。気に入ってんのか?」
「まあな。さ、取り敢えず席決めとこうぜ。……決まってないみたいだし」
「本当、このクラス酷いわね……先が不安だわ」
ハッピーニューイヤー!(クソ遅い)
と、いうわけで久々すぎる投稿ですね。
いやー、色々申し訳ないです。
さて、話は変わりますが、一つアンケートを取らせてください。理由といたしましては、昨年末にあげた活動報告で話してはいますが、私の頭の中にはたくさんのお話の設定やシーンが詰まりに詰まりすぎています。というわけで、これから先、何を書いていくか、更に、投稿を定期的にするか、する場合はどの程度か、更には文字数はどれぐらいがいいか。その辺を聞きたいのです。次にできるだけ早くワルブレを投稿したら、ワルブレの後書きにもこの文を載せておきます。アンケートについては活動報告で詳しい事を話します。期間は……ワルブレを投稿してから一ヶ月、にさせていただきます。何卒、ご協力お願いします。