ジョジョの奇妙な冒険 グランドオーダークルセイダース 作:ベロリンガRX
西暦2015年 人理継続保障機関 カルデア。
人類の未来を語る資料館に空条承太郎はいた。承太郎は自分が何故ここにいるのかわからなかった。それどころか、何故自分が生きているのかすらわからなかったのだ。承太郎は目を覚ます。目の前には謎の生物と一人の女がいた。
「………あの。朝でも夜でもありませんから、起きてください、先輩」
自分の身体が横になっている事に気がついた承太郎は、体を起こし、周りを見渡す。見覚えのない場所だった。
「ここは……何処だ?」
「はい、それは簡単な質問です。ここは正面ゲートから中央管制室に向かう通路です。より大雑把に言うと、カルデア正面ゲート前、です」
カルデア……聞き覚えがなく、身に覚えもない名前だった。
「ところで、質問よろしいでしょうか、先輩。お休みのようでしたが、通路で眠る理由が、ちょっと。硬い床でないと眠れない性質なのですか?」
「別に俺はここで眠りたかったから寝ていた訳じゃあない。むしろ、何故ここにいるのかすら分からねぇ」
「何故ここにいるのか分からない?先輩は、ここに来るまでの記憶が存在しないということですか?」
「記憶が無い……と言うより、記憶が曖昧な状態だ。寝起きで頭がぼーっとしているだけならいいんだが……」
おそらく、それはないだろうと承太郎は理解していた。うっすらとだが、承太郎は確かに覚えているのだ。あの戦いを、あの結末を。
「フォウ!キュー、キャーウ!」
物思いにふけっている承太郎の足元で謎の生物の鳴き声がした。
「……失念していました。あなたの紹介がまだでしたね、フォウさん。こちらのリスっぽい方はフォウ。カルデアを自由に散歩する特権生物です。わたしはフォウさんにここまで誘導され、お休み中の先輩を発見したんです」
「フォウ。ンキュ、フォーウ!」
フォウと呼ばれた謎の生物はこちらを見て鳴き声を上げると、そそくさと去っていった。
「……またどこかに行ってしまいました。あのように、特に法則性もなく散歩しています。」
「……見た事のない動物だな……」
「はい。わたし以外にはあまり近寄らないのですが、先輩は気に入られたようです。おめでとうございます。カルデアで二人目の、フォウのお世話係の誕生です」
勝手に奇妙な係にするんじゃあない。そんな下らない事を話していると、誰かがやって来るのがわかった。
「ああ、そこにいたのかマシュ。だめだぞ、断りもなしで移動するのはよくないと……
おっと、先客がいたんだな。君は……そうか、今日から配属された新人さんだね。
私はレフ・ライノール。ここで働かせてもらっている技師の一人だ。」
レフと名乗った男は笑顔でこちらに話しかけてくる。貼り付けたような笑顔で、話しかけてくるのだ。承太郎は癇に障るヤローだと思った。
「……空条承太郎だ」
一応名乗られたので名乗り返しておく。
「ふむ、空条承太郎君と。招集された48人の適性者、その最後の一人というワケか」
(一人で勝手に納得していやがる、ムカつくヤローだぜ)
「ところで、そろそろ所長の説明会がはじまる。君も急いで出席しないと」
「説明会だと?一体何の説明だ?」
「はい。先輩と同じく、本日付で配属されたマスター適性者の方達へのご挨拶です」
面倒だが、ちょうどいいだろうと承太郎は思った。その説明会とやらの時間を使って現状の整理を行う事にしたのだ。
「ここが中央管制室です。先輩の番号は……一桁台、最前列ですね」
「別にどこだろうと知ったことじゃあねえがな」
そう言って最前列の一番端の席に座る。とりあえず、現状を整理する。
俺は空条承太郎、
「……っと!ちょっとあなた!聞いているの!?答えなさい!!さっきから私の話を聞いてないの!?なんとか言いなさいよ!!」
「喧しいぞッ!このアマッ!!」
「んなっ……!?」
「人が考え事をしてる所に、耳元でぎゃーぎゃー騒ぐんじゃあねぇーぜ!うっとおしい!!」
煩い女を無視して部屋の外に出る。承太郎は女が騒ぐとムカつく性質なのだ。
「やれやれだぜ」
途中までマシュという女に案内されて用意された部屋に向かう。しかし、どうやら部屋には先客がいるようだ。
「はーい、入ってまー―――って、うぇええええええええ!?誰だ君は!?」
「それは此方の台詞だぜ。ここは俺に用意された部屋だと聞いたんだが……?」
「何者って、どこからどう見ても健全な、真面目に働くお医者さんじゃないかな!はじめまして空条承太郎君。予期せぬ出会いだったけど、改めて自己紹介をしよう。ボクは医療部門のトップ、ロマニ・アーキマン。みんなからはDr.ロマンと略されていてね」
「そんなことはどうでもいいんだが、今お前に聞きたいことがある。SPW財団と連絡を取る方法はないか?電話でも、メールでも、なんでもいい」
「SPW財団?そんな名前聞いたことないけど……少し調べてみよう」
「待て、聞いたことがないだと?世界有数の財団、SPW財団を聞いたことがないだと?」
「せ、世界有数だって?それなら聞いたことあると思うんだけど……」
「……ああ、そうだな。どうやらまだ少し寝ぼけているらしい、夢の話を現実に持ち込んでしまったようだ」
「そ、そうかい?それならいいんだけれど……まぁ、初めての環境に慣れないことだらけで疲れてるんだろう、ゆっくり休むといいよ」
承太郎は思った。今の時点でおそらく確定だろう。この世界は、俺が元いた世界とは別の世界なのだと。何故別世界に飛ばされた?新手の
そう思った次の瞬間、光が消えた。
「なんだ?明かりが消えるなんて、何か――」
ドギャアアアアアアン!!
「今のは爆発音か!?一体何が起こっている……!?モニター、管制室を移してくれ!みんなは無事なのか!?」
モニターに映像が映し出される。そこにあったのは、地獄だったッ!
「コイツはッ……!?」
承太郎は驚愕した。モニターに映し出されているのは、一面が灼熱火炎地獄と化した完成室だったのだッ!あたりには人と思わしき残骸も転がっている。物言わぬ骸が、この惨状を呈しているのだッ!!
「承太郎、すぐに避難してくれ。ボクは管制室に行く。もうじき隔壁が閉鎖するからね。その前にキミだけでも外に出るんだ!」
そう言い残すとロマンは足早に部屋を出る。
「……………」
足元にいつの間にか現れたフォウが此方を見る。まるで早く助けに行けと催促しているようだった。
「まったく、やれやれだぜ」
「フォウ!」
承太郎はフォウを肩に乗せると部屋を飛び出し、管制室へ向かう。
「いや、なにしてるんだキミ!?方向が逆だ、第二ゲードは向こうだよ!?」
「喧しいッ!口を動かす暇があるなら手と足を動かせッ!」
「ハッ、ハイッ!!」
ロマンを黙らせ、管制室へとたどり着く。
「…………生存者はいない。無事なのはカルデアスだけだ」
「……実際に見たほうがひどい物だな」
あたりを見渡す。マシュは、何処だ?
「……ボクは地下の発電所に行く。カルデアの火を止める訳にはいかない」
「……俺はもう少し残るぜ。忘れ物があるんでな」
「そんな悠長な事を言っている暇はないんだ!いいか、今すぐ来た道を戻るんだ!まだギリギリで間に合う!寄り道するんじゃないぞ!」
ロマンは地下へ向かった。もう走る足音も聞こえない。
「おいッ!生きてるなら返事をしやがれッ!」
僅かな望みを掛けて生存者に呼びかける。その時、瓦礫の山から一人這い出てきたのは、見知った顔の女だったッ!
「マシュ!無事かッ!?」
急いで駆け寄る。まだ生きている。だがひと目で分かるほどの致命傷だった。
「………………、あ。」
ゆっくりとマシュが顔を上げる。
「しっかりしろッ!今助ける!」
「………いい、です……助かりません、から。それより、はやく、逃げないと」
その時、カルデアスに変化が起こったッ!まるで灼熱地獄のような、真紅のマグマのような、爛れた朱色に染まったのだッ!!
アナウンスが響き渡る。それは、人類の未来の破滅を告げる鐘だった。
「カルデアスが……真っ赤に、なっちゃいました……いえ、そんな、コト、より――」
突然後ろに壁が現れる。この空間は完全に隔離されてしまった。
「……隔壁、閉まっちゃい、ました……もう、外に、は」
「……いいや、問題はねーぜ、マシュ」
「……え?」
「壁が邪魔で通れねーっていうなら、ぶち壊して道を作るだけだぜッ!!」
「
バァーン!!!
掛け声とともに承太郎の背後に現れる人型の存在、これこそ、人間の生命力を具現化したパワーある
「全力でッ!ぶち抜けるぜッ!!」
承太郎は隔壁に向けてスタープラチナの拳を叩きつけるッ!!
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラッ!!」
分厚い隔壁にスタープラチナの拳を何度も叩きつけるッ!まるでダイヤモンドのように強固な壁がッ!みるみるうちに砕けていくッ!みるみるうちに壊れていくッ!!
「オォォォォォッッ――オラァァァァ!!!」
そして遂にッ!!スタープラチナが分厚い壁をぶち破ったッ!!
「これで外に出られるぜ、マシュ、さっさと掴まれ」
承太郎はマシュに手を伸ばす。あとわずかで何かが始まるようだが関係ない。コイツを連れて此処から脱出する。今はただ、それだけだ。
そうして承太郎とマシュの手が触れたとき、承太郎たちの意識は、次元を超えたッ!
これから始まる。あらゆる世界、あらゆる時代を救うための奇妙な冒険。
そのプロローグが、今、幕を開けるッ!
To be continued…