俺のバステトがこんなに可愛いのは当たり前です 作:UtoUto
「ただいまー」
今日も仕事から帰ってきて、僕は玄関で靴を脱ぎながら一人で帰宅の挨拶をする。
独り暮らしなので、当然返事もなければ誰も出迎えてくれない。ただ仕事が終わり帰ってきたことを実感するために毎日欠かさずにやることにしている。ただの習慣かな。
さてとリビングに行こうかな?と廊下を歩いていると、リビングからなにかトテトテと足音がする。
「?」
誰だろう?不審者!?いや、軽い足音からして男ではないだろう。可愛らしい足音だ、実家の家族かな?と僕は立ち止まりながら思考を巡らせているとガチャり。とリビングに続くドアが開いた。
「おかえりにゃさいませ!!ますたぁ!!!」
そこから出てきた子は少し幼いような小さな女の子だった。
しかし、
その子を見たとき僕は驚きのあまり手に持っていた晩御飯の材料の入ったレジ袋を廊下に落としてしまった。
乾いた袋の音と中の材料の落ちる重たい音が鳴った。
「ふにゃ!?……もお!びっくりしたにゃ!ますたあ具合でも悪いのかにゃ?」
びっくりしたのは恐らく僕が荷物を落とした音にだろう。
そしてそのことで具合が悪いのかと思ったのだろう。でもそうじゃない、そうじゃないんだ。
その子は、すこし褐色の肌に、露出の多い服装、パッツンの長い黒髪にエジプトっぽい髪飾り。そして…
ネコ耳。。
これは、
これは!?
「なんでバスにゃんが三次元にいるんだああ!!!???」
夜の7時。僕の絶叫が鳴り響いた。
すごく…近所迷惑です。
「ただいまー」
いつも通りの毎日。僕は仕事から帰宅しいつもよろしく挨拶する。
ただ、少しいつもと違うところがある。
それは……
「おかえりにゃさい!ますたあ!」
トテトテという足音と共にリビングから一人の女の子が僕を出迎える。
「ただいま、さてと、晩御飯作ろうか、バステトは何がいい?」
そう、あれからバスにゃんが何故三次元にいるのかを話しここで暮らしているのだ!
僕は数日前の絶叫の後の出来事を思い出していた。
「んー、じゃあ、気付いたらここにいて、元の君のいた場所、つまりモンスターBOXには戻れないんだね?」
冷静になった僕はとりあえずリビングまで行きテーブルに座りバスにゃんから話を聞く。
「あ、僕がプレイヤー……あー、マスターってことはなんで知ってたの?」
要約するとこういう事らしい。そして僕の質問に対してバスにゃんは画面の中から見えてたとのことだそうです。
あと、ごく自然に膝の上に座るバスにゃん。自然すぎて突っ込めなかったよ!
こわい!こわいわ!
「とりあえず、まあ、戻れる方法なりなんなりが見つかるまで一緒に頑張ろうね?僕も探してみるよ」
とりあえず膝の上に感じる温もりや柔っこい感触は無視して(できてない)そう言葉をかける。
バスにゃんはとても笑顔ではしゃぎ
「にゃあ!ますたあ!ありがとー!大好きにゃあ!」
とこっちに向き直り僕に抱きついきながら言った。
やばい、やばい。何がやばいかって柔らかい感触が。しかもいい匂いがする。このままではやばい、しかもこれこっち側向いて膝の上座って対面(ry
相手は二次元の住人とは言えロリだぞ!僕はろりこんじゃない(呪文)
好きなキャラにロリが多いがそれは運営のバグだ!
「ますたー、急に固まってどうしたの?」
僕が煩悩とサバイバルしているとバスにゃんは不思議に思ったのか上目遣いで心配してくる。
駄菓子菓子今の私にそれは反則だと思うの。
「いや、あの、」
僕が挙動不振になっているとバスにゃんは察しが付いたのか悪戯な笑みを浮かべた。
「ねえねえ、ますたー、どうしたの?
教えて、欲しいにゃ…?」
抱きついたまんま体を更に密着させて僕の首に手を回し耳元で囁くバスにゃん。
もうやめて!僕のライフはゼロよ!
「ますたーは私の事…嫌いにゃ…?」
少し不安そうな声色で囁かれる。
僕の理性という名のライフが本当にゼロになる。
そして僕は。
女神(ネコ耳付き)に抱きついたのだった。
割愛〜
という事があり、僕は今、このバステト。パズル&ドラゴンというゲームのキャラクターと二人で暮らしている。
あの後壮大なコンボを繰り広げていたわけだがそんな事があった気配は今は微塵も感じさせない。
「んー、僕らの関係って一体…?」
トテトテと僕のカバンとレジ袋を持ちリビングに歩いていくバスにゃんを見ながら僕は1人誰にも聞こえない独り言を呟いた。
「…ますたー」
いつの間にか僕のそばに戻ってきていたバスにゃんが僕の服の袖を掴み僕を呼ぶ。
「ん?どうしたの?」
「わたしは、ますたーのこと、好きだからね?」
僕の独り言を聞いていたのかバスにゃんは僕の不安を取り除くようにそう言った。
嬉しくなってバスにゃんに
「ありがとう、僕もだよ。」
と言うとバスにゃんはとびきりの笑顔で僕に抱きつきながら
「にゃ!知ってるにゃん♪」
と、言うのだった。
今日もまた素敵な日になったな、と僕は心から思ったのだった。
「っと、そろそろご飯作ろうにゃ!私も手伝うよ…?」
バスにゃんは僕に抱きつくのをやめて話を変えるようにそう言った。
ふふ、微妙にその頬が赤いのを見逃すような僕ではないぜ!
バスにゃんは自分から人をからかったり小悪魔的なところがあるんだけど!でも打たれ弱いのだ!
「…できるの?」
バスにゃんと二人で過ごすようになってからバスにゃんがご飯を作ってるところを見たことのない僕はつい気になって聞いてみる。
「当たり前にゃ!
…わたしこれでも女の子なんだからね?」
少し怒ったように上目遣いという必殺の武器を駆使しながらこちらに返事するバスにゃん。
頼むからそれはやめてくださいと土下座したくなるレベルの武器だと思う。僕の理性的な意味で。
「へえ、そうなんだ?
まあ、いっか、キッチン行こうか」
そう言いながらバスにゃんと廊下を歩きキッチンに向かう。途中バスにゃんがレジ袋の取っ手の片方を持って恋人みたいじゃね?とかいう煩悩と戦ったのは完全なる余談です。
〜閑話休題〜
「「ごちそうさまでした」」
二人で食後に手を合わせる。これも最早僕の日常になっている。
「さてと、バステト、君が君の世界に戻るための方法を調べよっか」
僕は佇まいを正してバスにゃんに言う。僕たちはなにもこの数日間、イチャイチャしてただけではないんだ。そう、この可愛い猫娘、バスにゃんがパズドラの世界に戻るための方法を探してもいた。
……今の所全く見当もつかないけどね!
「んー、私はこのままますたーと一緒に過ごすのもいいと思ってるにゃ♪」
食後だからか機嫌のいいバスにゃんは尻尾をフリフリしながら上目遣いでそう言った。かわいい。
「…かわ…ってそうじゃなくて、それはすごく嬉しいんだけど、でも知っておいて損はないでしょ?」
危うく煩悩が暴走してしまうところだったが僕はなんとか持ちこたえてバスにゃんを説得?する。
「でもますたー、心当たりあるの?」
しぶしぶといった感じでバスにゃんが聞いてくる。
「んー…そうだなあ、とりあえずバステトが来てから全く開いてないパズドラを開いてみようか。」
と、その時だった。
「あー!ますたー!私甘いもの食べたくなったにゃん!デートしよ?」
とぎこちない様子でバスにゃんがいった。
「ん?まあ、いっか、よし、行こっか。」
…それにしてもあの時のバスにゃん、まるでパズドラを開くのを止めようとしていた…?
まさかな。
なんとなく違和感を感じながらスマートフォンを机に起き出かける準備をした。
酷評待ってます