魔王少女の女王は元ボッチ?   作:ジャガ丸くん

11 / 56
今回は短め次回も少し短めにします。
その後は長いのがくるかと……

そしてまさかのお気に入り1000超えた……
みなさんありがとうございますm(__)m

そしてやばい、キャラが崩壊し始めたかも……


白と黒の激突

「ふぁ……眠いな」

 

小猫と甘いもの巡りを行った翌日、俺は自宅であくびをしながら朝食を作っている。とはいえ俺が作ってるものといえば、昨日の夜に作ったタレにつけておいたローストビーフを挟んで作ったサンドイッチくらいだ。しかし、明らかにそれ以上の食事がテーブルの上には既にセッティングされていた。俺が作った物の他にもホタテの貝を器にして作られたグラタン、カルパッチョ、オムレツ、ピザなど多くの食べ物が並べられていた。ここにさらに今俺が温め直しているビーフシチューが加わるのだ。種類が多すぎるし、そもそも一つ一つが尋常じゃない量のためとても1人で食べきれるものではない。というか軽く10人前はある。

 

とはいえ朝食がこの量になった数日前から余りが出たことはない。

 

「「いただきます」」

 

そう言って俺と数日前俺の家に転がり込んできた小猫は手を合わせると食べ始める。

 

「先輩このローストビーフサンドすごく美味しいです」

 

「おう、そう言ってくれると作った甲斐がある。」

 

小猫の賛辞の言葉を素直に受け止める。小猫は俺にそう言った後もサンドイッチを頬張っているが、その姿を見ると何故か癒される……

 

「このシチューも美味しいです」

 

そう言って今度は小猫は温め直されたビーフシチューを口にした。

 

まぁ、美味くて当然だろうな……だってそのシチューは…………

 

「さすがシノンさんですね……」

 

そうこれを作ったのはシノンなのだ。

この料理だけではない。テーブルの上に置かれている殆どはシノンが作ったものだ。しかしシノンが作ったものだけではない。ローストビーフサンドに使われているパンを作ったのはヴィザだし、ホタテのグラタンはユウキだ。それ以外にも所々にシノン以外の奴が作ったものが含まれている。

 

「まぁ、そうなんだが……量が多いよな……」

 

「先輩今までどうしてたんですか?」

 

「無理やり腹に納めてた……」

 

俺の呟きに彼女は反応してきたが俺の顔は微妙な顔をしていた。

 

「あいつらが俺の事を心配して料理とかを魔法で送ってきてくれるのはありがたいんだが……俺は子供か……」

 

そう言って思わず嘆息を吐いてしまう。

 

そう、これらの料理は全て俺の眷属から送られてきた物だ。一時期俺が仕事で飯を食う暇すら惜しんで動いていたら、いつの間にかあいつらからこうして送られてくるようになってしまった……

 

 

「ヴィザ翁達も先輩のことを心配してるんですよ」

 

そう言って彼女は一度食事の手を止める。

(余談だがグレイフィアがヴィザのことをヴィザ翁と呼んでいたためかグレモリー眷属達もそう呼ぶようになった……)

 

「そりゃわかってるが……」

 

俺としても彼らの気持ちはわかってる。だからこそ反応が微妙なのだ。

 

「まぁ、今は小猫がいるから大丈夫なんだけどな」

 

そう言って俺が笑うと、はいっと小猫が相槌を打ち俺たちは食事を再開する。

 

そう、彼女……塔城小猫はライザー・フェニックスとのレーティングゲーム後、俺の家に住み始めたのだ。しかもこのことをリアス・グレモリー及びその眷属達は知らない。ちなみに俺の眷属達も……バレたら俺どうなるんだろう……

 

ぞわっ

 

なんか怖くなったので考えるのをやめた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「八幡⁉︎八幡じゃねぇか⁉︎」

 

久々の学校への登校途中聞き覚えのある騒がしい声で呼ばれるが俺と小猫は振り向かずにそのまま歩いていく。

 

「いやいや、無視するな‼︎お前なんでここ数日学校休んでたんだよ⁉︎」

 

「やめてください。俺に朝から美女2人を、股にかけつつイチャイチャ登校してくる、侍らせ男の友人はいないので」

 

「侍らしてねぇよ‼︎」

 

肩に手をかけられ、それを払いながら俺が言うと再びイッセーが叫んだ。

 

「イッセー先輩朝からうるさいです」

 

「そうだぞ、この時間まだ寝ている奴だっているかもしれないんだ、迷惑を考えろ」

 

「誰のせいだ、誰の⁉︎それにお前だって小猫ちゃんと一緒にいるだろ⁉︎」

 

はぁはぁと肩で息をするイッセーに対し

 

「つーか昨日も会ったろ。何驚いてんだよ、キメェよ。小猫を見ながらはぁはぁ興奮してんじゃねぇよ」

 

「先輩……助けて下さい……」

 

「なんで俺が犯罪者みたいになってんの⁉︎」

 

再び俺と小猫はからかい始める。

 

「その辺にしてあげてくれないかしら?」

 

「おはようございます、八幡さん、小猫ちゃん」

 

そんなイッセーを見かねてか、彼と一緒に登校してきたリアス・グレモリーが彼に助け舟を出す。その隣ではアルジェントが笑いながら挨拶をしてきている。

 

「よう、リアス・グレモリー、それにアルジェントも。」

 

「おはようございます」

 

そんなリアス・グレモリーとアルジェントに挨拶をし直すと俺は再び足を動かし始める。

 

 

「そ、それで昨日は聞きそびれちまったが結局どうして休んでたんだよ」

 

そんな俺たちを追うように歩くイッセーは懲りずに聞いてきた。まぁ、これ以上からかうのは可哀想だしな……

 

「仕事だ仕事。お前らの相手をしてやってた間溜まってた仕事とかがあるんだよ」

 

面倒臭いので適当に言っておく。まるっきり嘘ではない。実際仕事である。別にこいつらを相手していた間に溜まったものではないが……

 

「っ………すまねぇな」

 

「別に気にすんな、受けたのは俺なんだ。」

 

俺の言葉を受けバツの悪そうな顔をするイッセーだがそんなイッセーに俺はいつも通りの感じで流し、学校へと向かうのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、めんどくせぇな」

 

 

学校に着いた後、登校の様子を見ていたらしい松田と元浜2人に絡まれたが、アルジェントとだけでなくイッセーがリアス・グレモリーとも同棲を始めたことをゲロって俺への視線を回避した。がんばれイッセー。

 

 

そんな久々の学校が終わった放課後、面倒臭がりながらも俺はオカルト部へと向かっていた。理由はなんでもソーナのところの新人とイッセー達との顔合わせに俺も参加してほしいらしい。リアスだけから言われたのなら断ることも簡単だったろうがソーナからも言われたとなれば断るなんてありえない。

 

サーゼクス、グレイフィア、セラフォルー、ソーナ……あの4人は俺の中でも特別な相手なのだから……

 

 

コンコン

 

「失礼するぞ」

 

オカルト部前に着きドアのノックと共に俺が入るとそこには既にソーナもリアスも顔合わせを始めていた。

 

「誰だお前?」

 

最初に声をかけてきたのは最近ソーナの眷属になった男……たしか匙とかいう奴だ。

 

「2年比企谷八幡だ。そこの兵藤一誠の友達だよ」

 

「ふーん。こいつのね……今大事な話してるからちょっと席外してくれねぇかな?」

 

どこか見下した感じが含まれた言い方を彼はした。それはイッセーの友人だからか、あるいは俺の体質のためだからかははっきりとしないが……

 

「だとよソーナ。帰ってもいいか?」

 

「いいわけないでしょう……」

 

「お前会長に対してなんて口聞いてんだ‼︎」

 

俺がソーナに話しかけるとその馴れなれしい話口調にか匙が激怒するが……

 

 

「やめなさい匙」

 

その匙をソーナが静めた。

 

 

「でも、会長こいつは……」

 

 

 

「わざわざ気配を消して……昔と違って少しだけ意地悪になりましたか?八幡君」

 

「さぁな。なったとすれば確実に主の影響だな」

 

「なんか……ごめんなさい……」

 

「別にかまわねぇさ、俺は今の自分が大好きだからな」

 

「そういうところは変わらないのね」

 

 

「あ、あの‼︎」

 

匙を無視して会話を始めるが、そんな俺たちのやり取りを見ていた匙が再び声をあげた。

 

「会長はこいつと知り合いなんですか?」

 

俺たちの会話を聞いてか恐る恐る聞いてきた彼にソーナはこの前真羅先輩に答えた時と同じように俺の説明をする。

 

「八幡君はお姉様、セラフォルー・レヴィアタン様の女王よ」

 

『はぁぁぁぁああああ⁉︎』

 

真羅先輩以外のソーナの眷属が全員声をあげるが、もはや見慣れた光景である。

 

「で、でもこいつ悪魔の気配が……」

 

「八幡君はいつも気配消してるのよ」

 

そう言ってソーナは俺へと視線を向けてくる。向けられた俺は肩をすくめ、それと同時に悪魔の気配をもどす。

 

 

『っ⁉︎』

 

突然露わになった悪魔の気配に驚く面々もいるが既に経験しているリアス・グレモリーやその眷属、真羅先輩は不思議そうに俺の方を見ていた。

 

「そんで顔合わせも終わったし帰っていいか?」

 

「少しぐらいゆっくりして行ったらどうです?八幡君、あまり休んでないんでしょ?」

 

「休める立場じゃねぇからな」

 

「ヴィザ翁達が心配してわたしにも様子を聞いてくるんですよ。私も皆さんと同意見です。偶には息抜きにお茶でもしませんか?」

 

「この後も仕事があるから、また今度な」

 

周りが置いていかれる中俺たちは会話を続けていく。匙と小猫の視線がすごく気になるが……

 

 

「そうやっていって、ほとんどしてくれたことないじゃないですか……」

 

「ソーナ……お前……」

 

「……なんですか?」

 

「拗ねてんのか?」

 

「っな⁉︎」

その一言でソーナの顔は急激に赤くなる。目を見開き口も半開き状態だ。

 

「だ、だ、誰が拗ねてるんですか⁉︎別にハチ君が構ってくれてなくても私は全然……」

 

「呼び方……昔の呼び方に戻ってんぞ……」

 

 

「っ〜〜〜」////

 

俺の言葉に今度は声にならない声を出しながら顔を背けてしまう。その様子をソーナの眷属の多くは唖然とした様子で見ており、グレモリーの眷属ほとんどはうわぁとこちらをジト目で見ていた。

 

 

ただ……

匙は白眼にしながら泡を吹いており

小猫はこちらを睨んでいる。

 

 

「まぁ今度お茶くらいなら付き合ってやる。だから今日はもう失礼するぞ」

 

そう言って俺が立ち去ろうとしたその時だった。過去最大級の爆弾がその場に投下された。

 

 

「せーんぱい」

 

「ん?」

 

先ほどまで睨んでいた小猫が満面の笑みで俺の方へ寄ってくるとその言葉は発せられる。

 

 

「あんまり遅くならないでくださいね。先輩が帰ってくるまで待ってますから」

 

『はい⁉︎』

 

全員の声が重なった。

比喩ではない。本当に全員の声がハモったのだ。先ほどまで白目をむいていた匙も、顔を真っ赤に染め背けていたソーナも、ジト目で見ていたグレモリー眷属も、唖然としていたソーナの眷属も全員だ。

 

「ど、どういうこと小猫⁉︎」

 

真っ先に声を出したのは小猫の主であるリアス・グレモリーだった。

 

 

「そのまんまの意味ですよ。レーティングゲームの後から私は先輩の家でお世話になってますから」

 

『はぁぁぁぁああああああああああ⁉︎』

 

全員がその言葉を聞き叫んだ。その拍子に部室の窓は割れ、校舎外にも響き渡る。

 

 

「おい、八幡どういうことだよ⁉︎」

「あらあら小猫ちゃんも大胆ね」

「なんで私に報告しなかったの⁉︎」

「小猫ちゃん……だから八幡さんと登校してたんですね」

「ヒッキーが………」

『…………』

 

多くの者が何も言えない中、グレモリー眷属の一部はなにやらごちゃごちゃ言っている。

 

しかしだ……

 

「あの小猫さん………」

 

いきなり爆弾投下しなくても良かったんじゃ……

 

 

「先輩、今日も一緒に寝てくださいね」

 

あ、やべぇ。

さっきの比にならない大きさのも投下された。

 

 

「どういうこと?」

 

聞こえてきた底冷えするような声に振り向くと、そこにはかつて無いほど怒りのオーラを纏ったソーナが仁王立ちしている。

 

「どうもなにも、先輩と一緒に寝ただけですよ。先輩と一緒にいると暖かいですし、撫でてくれる手加減も最高です♪」

 

ドヤァァァとものすごいドヤ顔で小猫が言うとソーナは青筋をピクリと動かし無慈悲な宣告をしてくる。

 

 

「八幡君……」

 

「は、はい……」

 

「このことはシノンさん達にも報告します」

 

「ふぁい………」

 

 

「それと小猫さん」

 

「なんでしょう?」

 

「負けませんよ?」

 

「望むところです」

 

その日俺は、久々に女の怖さを再認識した。

そして周囲にいた男性陣も同様だろう。

いい笑顔を向け合う2人を見てイッセーは震えてるし、木場も後ずさってる。

匙だって膝から崩れ落ちて……ってこれは違うか……

 

 

結局俺が部室を出て行ったのはこれから1時間後であり、後日俺がシノン達にこってりしぼられるであろうことは容易に予測できた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ようやく解放されたか……」

解放された時には俺は既に疲弊していた。

 

 

 

 

あの後も小猫とソーナの話し合いは終わらず、終いには小猫は甘いもの巡り(俺の息抜きのこと)も話し始めソーナを更に煽り立てた。

ソーナもソーナで俺の小さい頃の話を引き合いに出し、小猫のことを煽り返す。その内容は常に俺のHPを削り続けていく。

 

そんなことが続きヒートアップした2人を止めたのはソーナの親友であり、小猫の主でもあるリアス・グレモリーだった。

 

 

「小猫いい加減にしなさい‼︎ソーナも、眷属が見てるわよ」

 

そう言われて2人はようやく正気に戻り周囲を見渡した。膝をつき白くなっている匙を除いた全員が唖然を通り越し、更には呆れを通り越して微笑ましそうに2人のことを見守っていた。

 

そうして自分達がとっていた言動を振り返った2人はかつて無い羞恥に襲われ耳まで真っ赤にしていく。

 

「本当に帰っていいか?この後も仕事があるんだよ」

既にメンタルHPがレッドゾーンに突入していた俺は割と本気で帰りたかった。

 

 

「まぁいいわ。ただ後日小猫のことについてしっかり聞かせてもらうわよ」

 

そんなリアス・グレモリーの言葉に俺は肩を落としながら部室を後にした……

 

 

 

「遅くなっちまったからな。あいつが怒ってなきゃいいんだが……」

 

そんなことを1人呟きながら俺は街中を歩いていた。協力者とこの後会う予定だったが、ソーナと小猫との件があったため結構遅れている。

 

俺が協力者と呼ぶ者。

 

それは本来眷属になるはずの者があえて眷属にならず、各勢力に混ざってスパイ紛いの行為をさせている者達である。

 

当然今回の相手もそう言った行為をしているわけで俺と会える時間も限られている。

 

 

「急がねぇとな」

 

俺がそう思った矢先だった。

それ以上に重要になるであろう案件が目の前にうつる。

 

「もう、全然つかないじゃ無い‼︎」

 

「わ、私のせいか⁉︎」

 

目の前で口論をしている2人の女性?声から女性と判断したが顔が隠れるほど深々とかぶったフード付きの白いローブを身に纏い、どう見ても不審者にしか見えなかったが俺が注視したのは彼女達から感じられるモノだ。

 

1人は手に持っている大きな布を纏ったモノから、もう1人の方は二の腕付近から感じられるモノから……

 

それは間違いなく聖剣と呼ばれる類のものが出す独特の雰囲気が感じ取れた。

 

そこで俺は瞬時に協力者の言葉を思い出し、彼女達が教会から送られてきた聖剣使いだと判断する。

 

「あ、あの……」

 

俺が出来る限り自然の状態を保っていると突然彼女達から声をかけられた?

 

 

「ん?なんだ?」

 

 

できる限り普通で、いつもと変わらないように返事をする。既に身体は仕事モードに移り変わっていた。

 

「えっと、道を聞きたいのですが……」

 

「いいですよ」

 

「ホントですか⁉︎」

 

俺の言葉にあからさまに目の前の人物は喜び始める。

 

 

「ほら言ったじゃない。日本は親切な人もたくさんいるって」

 

「ここに来るまで何回も騙されたがね……」

 

ああ、何回も聞いてその度に騙されたのか……でもそれは確実にお前らの服装がアウトなんだぞ……とは口が裂けても言えなかった……

 

 

「えっと駒王学園の行き方を教えて欲しいんですが……」

 

「ああ、それならこの道をまっすぐ行けば着くぞ。でも、今日はもう遅いからたぶん入れないと思うぞ。それに明日は学校自体休みだから行くなら明後日にしとけ」

 

「あ、そうですか……ありがとうございます」

 

「本当に助かったよ」

 

そう言って2人はお辞儀をしてくる。

 

「いや、別に大したことじゃねぇよ」

 

そう言って俺はその場を離れるもしばらく彼女達のことを監視していた。俺の言葉を素直に受け取ってくれたのか、彼女達はその日学園に行くことが無いことを確認し俺は急いで待ち合わせ場所に向かう。ぶっちゃけ3時間ほどオーバーだ。たぶんキレられる。そんなことを思いながら俺は街中を走っていく。

 

 

 

 

 

 




感想などお待ちしております。

次回は少々長めに書く予定ですのでお楽しみにm(__)m

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。