魔王少女の女王は元ボッチ?   作:ジャガ丸くん

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長いことお待たせしました。
しかし、待たせて申し訳なかったのですが今回はかつてないほど短めです。

次回投稿は1月中旬を予定。(次話は1万越え予定)
それからは週一投稿していこうかと思います。

ではでは


眷属と認められて……(短話)

駒王学園。

この学園の体育館では現在進行形でなんとも言えない雰囲気が漂っていた。4大魔王の1人、セラフォルー・レヴィアタン様の我儘がなんとか収まったと思った矢先、八幡の新しい眷属…ゼノヴィアがやってきたからだ。

 

え?なんでそんな雰囲気になるの?

 

ゼノヴィアが来た瞬間、一瞬頬を膨らませたセラフォルー様とシノンにユウは現在、目を細めながら……まるで値踏みでもするかのような視線を彼女に向けていた。

 

いや、まぁそういう目で見る理由は大方わかるけども………もっとオブラートに包んだ感じに出来ませんかね……

 

 

「あっと………新しく八幡の眷属になったゼノヴィア・クァルタだ。よろしく頼む……」

 

 

ゼノヴィアもその視線の意に気がついたらしく表情を硬くする。

 

 

「通信では会ったけど、実際に会うのは初めてね。改めて挨拶するわね。八幡の眷属のシノン……駒は僧侶。よろしくねゼノヴィア」

 

3人の内初めに挨拶したのは面識があったシノンだった。ゼノヴィアに対して思うところがあったのかその話し方はいつもの彼女そのものだ。

 

「魔王でハチ君の主セラフォルー・レヴィアタンだよ。私のハチ君の眷属としてよろしくね。」

 

それに追随する形でセラフォルー様が挨拶をする。何故か私のという部分を強調して……それとすごくイイ笑顔だ……具体的にどれくらいかと言うと軽く俺が震えそうになるくらい。

 

「……ユウ…………にぃの眷属で戦車……よろしく……」

 

ユウはユウで未だに値踏みするようにゼノヴィアを凝視していた。

 

「おーい、新しい家族なんだから仲良くしてくれよー」

 

3人の挨拶に思わず俺は脱力してしまう。シノンはどうやら納得してくれたようだが、セラフォルー様とユウは明らかに納得していないようだった。

 

「お、お姉様落ち着いてください。」

 

先ほどまで泣きかけていたソーナもそんな姉の姿を見て声をあげる。周りに視線を移せば、全員の顔が引きつり、僅かながら後退していた。

 

まぁ、ユウやセラフォルー様の雰囲気を間近で受ければそうなるのは仕方ない。

 

一方は魔王であり、もう一方は俺の眷属における現時点のもう1人の最強の悪魔だ。

 

俺の眷属で規格外は多くいるものの、中でもヴィザとユウは現時点において他の眷属とは明らかに違う強さを持っていた。

 

そして威圧という点ではユウは確実にヴィザよりも強い。それは彼らの戦闘スタイルの影響があるだろう。ヴィザが技術の強みがあるのに対しユウの強みは純粋な戦闘力。

おそらく、こと体術のみの戦闘においてはユウは俺よりも強いだろう。

 

補足として言うならばユウを現眷属最強として推しているのは俺であり、ヴィザを推しているのが俺の神器の中にいる奴ら(・・)だ。

 

 

そんな俺の眷属と主が納得せずゼノヴィアのことを見ているのだから周りも気が気ではないだろう……しかし

 

 

「まぁ、これからハチ君のことよろしくねゼノヴィアちゃん。」

 

そう言ってこの雰囲気の原因の片割れが笑顔でゼノヴィアに抱きついた。

 

「え……うぇ⁉︎……ちょっ…………」

 

 

セラフォルー様にいきなり抱きつかれたゼノヴィアは何が何だか分からず、普段は出さないような顔を見せながら戸惑いの声を上げた。

 

それもそうだろう。今抱きついているセラフォルー様は先ほどまでの雰囲気とはまるで違うのだから。

 

「セラフォルー様?」

 

そんな彼女の行動が理解できなかったのかユウはセラフォルー様の方を向きながら首を傾げた。

 

 

「うーん。正直なところを言うと君みたいな子をハチ君の眷属……それも女王の駒を渡すなんてもったいない‼︎って言うのが本音なんだけどね。でも、ハチ君が選んだことならいいかなって今思い直したんだ。ハチ君もそれにムカつくけど彼女も人を見る目はピカイチだからね♪」

 

彼女……それが誰のことかわかる者はこの場において数名しかいなかった為、皆が頭にクエッションマークを浮かべている。ただ1人、あの日の惨状を間近で見たソーナだけが顔を暗くした。

 

 

ゼノヴィアはゼノヴィアで混乱しながらも認めてもらえたということは頭の中に入ってきた為安堵の息を漏らす……

 

 

「にぃ……」

 

そんなゼノヴィアの安堵を打ち消すようにもう1人の原因が俺に声をかけてきた。

 

「ん?なんだユウ」

 

「なんで女王の駒をだしたの?」

 

そのユウの問いかけに俺へと視線が集中する。

 

 

「別に、今回眷属にしたいと思ったのは俺だが渡す駒の種類を決めたのは俺じゃねぇよ。」

 

その俺の答えに、阿朱羅丸の存在を知る者達は目を見開いた。

 

「あーちゃんが?」

 

ユウもやはり驚きを隠せないようだった。

まぁ、阿朱羅丸が女王を出すという選択をした事は実際驚くべきことなのだろう。普通に考えて今のゼノヴィアには女王の駒に見合う資質など見受けられない。そう思っているであろう眷属達に対して俺は忠告した。

 

「シノン……それにユウもだが……うかうかしてるとユウキだけじゃなくてゼノヴィアにも抜かれるぞ」

 

今度こそ彼らは絶句してしまう。

ユウキならばまだわかる。

ユウキなら……成長速度も戦闘センスも、そして神器もとんでもないものである彼女ならば少なくとも数年後にはユウやヴィザすら超えうる可能性があるからだ

 

しかし、まさか自分達が完全に格下として見ていた……自分達の足元にすら及ばないであろうと思っていた人物がいつか自分達を超えると暗に自分の主から言われるとは思わなかったのだろう。

 

俺の言葉から数秒の間の後ユウはゆっくりとゼノヴィアの方へと歩き出し彼女の前まで来ると深々と頭を下げた。

 

「ん、ごめん……今回のはユウが悪い……改めてよろしく」

 

そう言って頭を上げると手を差し出す。

その差し出された手をゼノヴィアはどうするか迷ったが、それも一瞬だけですぐにユウの手を握った。

 

そんな何処かいい光景の外でリアス達は終始冷や汗を流していた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(なぁ、お前こうなるとわかっててユウに説明とかしなかったろ?)

 

(自分の目で確かめて、自分の耳で聞いた方がいいでしょ?)

 

(そりゃそうだが言っといてくれればもっと穏便に済んだろ……リアス・グレモリー達を見ろ、彼奴ら冷や汗だらだらだぞ……)

 

(まぁ、彼女達は……ほら、外野だから)

 

(ひでぇな)

 

しかし、ユウとゼノヴィアとの光景や空気に成り果てているリアス・グレモリー達の横では、初めから通信でゼノヴィアの眷属入りの経緯を完全に把握していたシノンは俺の言葉にてへぺろとばかりにはにかんでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




待ってたのにこの量⁉︎とお怒りになる方がいるかもしれませんが、すみません。次回は一気にギャスパーの話まで通り過ぎていく予定なので許してくださいm(__)m


では、次回は面白いであろう話を行きます‼︎

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