魔王少女の女王は元ボッチ?   作:ジャガ丸くん

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ふぅ、今回はそこまでひどく間は空いてないはず。


さてさて新章突入。


どうぞどうぞ







突撃冥界御自宅訪問
再開の時


 

 

 

 

戸締りとは自身の家を守るための防衛行為である。これを怠るということは、泥棒さんに対してどうぞ好きなだけ盗んで下さいと言っているようなものというのが、世の見解だ。

 

だがちょっと待ってほしい。

田舎に行けば鍵なんて付いてない家もあるし、むしろ家主の知らぬ間に隣人が上がり込み、『ちょっと雨が降り出してたから洗濯物入れといたわよ』などと、フレンドリーを通り越し、もうあんた家族の一員なんじゃね?と思うくらいのコミュ力を発揮している地域だってある。

 

そう。つまり鍵という概念自体が間違っているのだ。むしろみんな鍵など付けずにオープンにしていけば、みんなのコミュ力も上がるのではないか。

 

結論を言おう。

 

戸締りなんて必要ない。

 

違うか?……うん。違うな……

 

 

いや、鍵を開けっぱなしにするにしても人がいればOKだ、よし俺が残ればいいんじゃねぇか?よし!今回の帰省はお前らだけで……

 

 

 

「さっきからなに馬鹿やってんのよ。早く行くわよ」

 

「ほら、早く行くよー」

 

 

シノンとユウキが家の玄関前でカチャカチャと鍵を閉めては開け、開けては閉めを繰り返していた俺を左右からガッシリとホールドすると俺の身体を引きずり、無理やり動かし始める。

 

あぁ、さらばマイホーム。

 

 

「にぃの家は冥界にある」

 

「ハチィ、おめぇどんだけ帰りたくねぇんだよ……」

 

そんな俺の様子を見ていたユウと阿伏兎が目を細めながら突っ込んでくる。

 

「ほいほーい、んじゃまぁ行こうぜ☆」

 

「おめぇさんは相変わらずテンションたけぇな……」

 

俺の代わりに戸締りを終えたフリードが鍵のついたチェーンを指の周りでブンブン回しながらふざけた口調で話すフリードに阿伏兎が低いテンションで反応する。

 

まぁ、阿伏兎は夜兎の上に悪魔だからな。尋常じゃないほど太陽に弱い。傘をさしているから動けないほどではないが……

 

 

「ひゃひゃひゃ、とーぜん。俺っちはあんまし屋敷に行けなかったからな。久々に帰れるってんでテンションMAXだぜ♪」

 

「……うざ」

 

「おやおや、ロリメちゃんもテンション低いなぁ」

 

「……殺すよ?」

 

「お?やるってか??上等!さぁ、殺り合おうか?」

 

 

 

「……2人とも?」

 

「「す、すんません(ご、ごめんなさい)」」

 

 

「オメェら2人は、本当にシノンとヴィザには弱いな……」

 

 

相変わらず、すぐに喧嘩を始めようとするフリードとクロメだがシノンの"いい"笑顔付きの一言で態度を一変し頭を下げる。

 

フリードに至ってはコンクリに頭を擦り付けてるし。

 

 

「ほぉらぁ、早く行こうよぉ。小猫はもうとっくに出て行ったし、早く行かないと集合時間に間に合わないよ?」

 

「八幡、私は冥界に行くのが初めてだから行ってみたいのだが!」

 

 

土壇場になって帰りたくなくなった俺の腕を揺するユウキと先日俺の家についての説明をシノン達から受け興味津々なゼノヴィアの笑顔についに根負けし、俺は自分の足で歩き始めた。

 

 

「……んじゃ、帰るか」

 

 

「「「「「「「おー」」」」」」」

 

 

 

 

夏休み初日の予定。

 

【冥界への帰省】

 

 

 

 

「やっと来ましたか」

 

「遅いわよ」

 

 

集合場所に行くと既にソーナとグレモリーの眷属達は集まっており俺達が最後だった。いやでも集合時間まで後10分もありますけど……

 

 

「時間には間に合ってるだろ?」

 

「一緒に住んでる小猫はとっくに着いてたわよ?」

 

「間に合えばいいじゃねぇか」

 

「相変わらず八幡くんは……」

 

はぁ……と、グレモリーとソーナ2人揃って額に手を当ててため息を漏らした。

 

「遅れて悪かったわね、八幡がギリギリになって帰りたがらなくなったから」

 

「また……ですか」

 

「うん、まただね」

 

それに共感するようにシノンとユウキがため息を漏らしながらソーナ達に遅れた理由を簡潔に話すと全員してジト目でこちらを見て来た。

 

「んだよ?」

 

「最上級悪魔、それも爵位を貰っている身なのですからしっかりしてください」

 

「いや、してるだろ……ただ帰りたくねぇだけで」

 

「何故ですか!ハチくん貴方は「セラフォルー様がうちに来て帰りを待ってるらしい」………」

 

「それも明日の夜に特別イベント、それいけレヴィアたんのライブを開催するらしい。俺の領地にあるスタジアムで」

 

俺の態度に対して、注意をしようとしたソーナだが、帰りたくない理由を話した瞬間、ピシリッという効果音と共に黙ってしまう。

 

周りもソーナ同様に止まってしまった。

 

「……ハチくん」

 

「なんだ?」

 

先ほどとは打って変わり、まるでお通夜の様に静かになってソーナは俺の肩に手を乗せて呟いた。

 

というか、さっきから呼び方が昔に戻ってるぞ……

 

「強く生きてください」

 

それほどまでか⁉︎

と他の奴らは思ったかもしれないが、俺とソーナにとってはそれほどなのだ。

本当に、あの人……もう少し可愛がりを抑えて、あの格好を辞めてもらえればマジでリスペクトできる方なのに……

 

「ああ」

 

そんなソーナの一言に俺は静かに頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほら、さっさと乗れイッセー」

 

「ここから降りるのか⁉︎」

 

 

テンションを下げながらも、グレモリーや眷属達にフォローを入れられながら冥界の入り口まで移動してくるとその入り口にイッセーが驚きの声をあげた。背後ではゼノヴィアやアルジェント、そして匙もここが?と阿伏兎達に聞いていた。

 

 

まぁその4人は初冥界だしな。

 

 

「まぁ、普通の上がり用エレベーターにしか見えんが、悪魔限定で地下に行ける」

 

 

「「「「地下に⁉︎」」」」

 

 

「まぁ、アレだろ?子供の作る秘密基地的な感じだよ」

 

 

『いや、それは違う(います)(な)(わ)』

 

フリードの一言に全員が否定の声をあげた。

 

 

 

 

 

 

「こ、ここが冥界⁉︎」

 

エレベーターから降りた第一声にイッセーは驚愕の声をあげる。

 

人間界と風景はさほど変わりはない。建物とかも。しかし、明らかに違うモノにイッセーは驚いたのだろう。

 

この広がる紫色の空に。

 

 

「す、すげぇな」

 

「そんな面白いもんなんてないぞ。空が紫色なのと海がない以外、人間界と変わらん」

 

「海が…ない……だと⁉︎」

 

「お前は驚く点がおかしいぞ」

 

 

とそんなことをイッセーと話していると後続も降りて来た。

 

やはり他のメンツも驚いている様だが……ってちょっと待てよ?

 

「今思い出したんだがゼノヴィアはともかく、ほかの奴らは使い魔を取りに一回冥界来たことないのか?」

 

「ええ、行こうと思ったのだけれど、専門の方が腰を痛めていたらしくて結局行ってないのよ」

 

「私のところもです」

 

ザトゥージ……

あいつ、絶対マスターにはなれねぇよ。

もう年だし、パクリだし。

 

 

諦めて人間界でGOでもやってろ……

 

 

「八幡!ここが冥界なのか!」

 

「ああ、まぁ、人間が言う所の地獄みてぇなもんだ。」

 

「そうか!なら昔私が送った連中に会えるかもしれないのか。なんだか複雑な気分だな」

 

「そうだな」

 

ゼノヴィアの言葉に笑って答えながら俺たちは駅のホームへと向かって行く。

 

俺達が先導しそれにグレモリー眷属やソーナの眷属がついて行く形だが、それでも各々が眷属という枠を超えてお喋りをしながら歩みを進めている時、唐突にその声は響き渡った。

 

 

「なんですってーーーーーー」

 

 

その声を聞いた瞬間全員がピタリと足を止めてしまう。

 

「ーーー行きがないってどういうことよ⁉︎」

 

「いえですから、本日は運休でして」

 

「知ったこっちゃないわよそんなこと⁉︎いいから出しなさい‼︎」

 

「そ、そう言われましても……」

 

 

 

……………

 

 

「おいおいなんだこの声ってどうした八幡⁉︎」

 

 

不思議に思い最初に声を出したのはイッセーだったが、俺の姿を見て心配をし始める。

 

俺の頭を抱えた姿を……

 

 

「あー、あはははは」

「まったく……」

「ひゃひゃひゃひゃひゃ」

「おいおい……」

「…………」

「あ、彼女もいるんだ」

「な、なんだ?」

 

「なんで彼女が……」

 

その声を聞いてかユウキ達も各々違う反応を見せる。唯一わかっていない眷属であるゼノヴィアは他のメンツを見て頭にクエッションマークを浮かべ、その隣ではソーナも俺と同じ様に頭を抱えていた。

 

 

 

 

「……まさか!」

 

そんな中、俺の眷属とソーナ以外で反応した奴がいた。

 

 

「ちょ、ちょっと小猫⁉︎」

 

 

突如声の下方向に走り出した小猫はグレモリーの制止の声も聞かず、全速力で向かって行く。

 

 

「はぁ、行くぞ……」

 

そう行って小猫の後を追う様に俺が走り出すとそれに続いて全員が走り出す。

 

 

 

八幡 side out

 

小猫 side in

 

私は全力で走っていた。

部長が後ろで何か言っていたが、それも聞かずに走って行く。

 

 

声のした方に。

 

だって、だってあの声は聞き間違えない。

 

 

走りながら、自身の腰に巻いてあるベルトに片手を添えギュッと握りしめる。

 

 

先輩は、先輩の眷属達はこの声の主を知っていた。そして私もこの声の主を知っている。

 

先輩と同じ、私の恩人。

 

怖くて震えて、1人寂しかった私に声をかけてくれた、私の大切な友人。

 

色々あって、長い間会えなかった。

 

でも……でも、この先に……!

 

 

そうして走って行ったその先にその人物はいた。

 

相変わらず怒ってる。

昔、使用人の人に怒っていたその姿が今の彼女と重なる。

 

頭につけてるゴーグルもサイズが大きくなっただけでデザインは変わらない。

 

 

見た目は……ほっ、私と同じ様です。

リアス部長や朱乃さんのように成長してたら少しだけ嫉妬してましたよ。

 

 

はぁはぁ、と息を漏らしながらその側まで来ると私は叫んだ。

 

 

「リタ‼︎」

 

 

突然名前を呼ばれた彼女はピクッと反応しこちらを向いて、そして……

 

 

「…白……音?」

 

 

 

「リタ……」

 

「白音⁉︎」

 

 

数メートルまで近づくと、はぁはぁと肩で息をしながらこくりこくりと首を縦に降る。

 

リタも驚きながら私の本当の名前を呼んでくれた。

 

 

「ひ、久しぶりです。リタ」

 

「白音!」

 

私がそう言うと彼女が私に抱きついて来る。

 

 

ってぇええええ⁉︎り、リタ⁉︎

 

 

「白音じゃない⁉︎久しぶりね‼︎元気だった?あんたのこと心配してたのよ。サーゼクスに聞いても大丈夫の一言でそれ以外ないし。あの馬鹿に聞いても元気そうだぞ、とか変わりないぞ、くらいしかないから」

 

抱きつきながら畳み掛けるように言葉を発する彼女に私も嬉しくなり言葉を発する。

 

 

「わ、私も、会えて嬉しいです。先輩とはつい最近ようやく先輩があの時の人だって知って。それ以前にサーゼクス様に聞いても今彼女は忙しいとかではぐらかされてたので…」

 

そう言って私も彼女に腕を回し抱き返す。

 

先輩と会った時と同じく、瞳が潤んでしまう。久々の友人が私のことを忘れずに覚えていてくれたことが嬉しかった。

 

そうして互いの身体を離し、先輩の時と同じ様に挨拶をした。

 

 

「久しぶりです。リタ。白音改め、塔城小猫です」

 

「久しぶりね、白音。いえ、小猫。リタ・モルディオです」

 

 

そういって私たちは互いに差し出した手を握りしめた。

 

 

 

 

 

 

 





うん。基本、4000〜7000の間で、たまーに1万越えの投稿をすることにしました。

その方が、そこまで間開かずに投稿できるので。


というわけで、新眷属であり、小猫の友人はテイルズオブヴェスペリアからリタ・モルディオさんでした。


ではでは、次回もお付き合いしていただければ幸いですm(__)m






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