魔王少女の女王は元ボッチ?   作:ジャガ丸くん

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ふむ。私が来た!




……いや。本当にすみません。

前回9/23からおよそ4ヶ月以上更新してないとか……
すんません……

それでも待ってくれた方々のためにようやくかけました!

就活の年ということもあり、なかなか更新できなくなっていきますが、それでも待っていただからと幸いです。


さてさて、久々なので少し文が変かもしれませんが、変であればご指摘お願いします。


ではではどうぞ!








女王壁越えの時

"感動の再会"、そういってもいいものだろう。幼い頃、訳合って離れ離れになった親友と時を超えた出会い。

 

 

それは人だろうと悪魔だろうと、妖怪だろうと、たとえ人外であろうと素晴らしいものだ。

 

 

ドラマやアニメなどでそういったものが好きな人々であれば感動の涙を流し、ドラマの中の登場人物でさえ、その再会を祝福するだろう。

 

 

だがしかし、だがしかしだぁ。

 

 

ドラマではこういう感動の場面ではあまり意識されないことだが忘れてはいけないことがある。

 

 

そう、TPOだ。

 

 

場合はわかる。

そういう風に行動しても仕方ないだろう。

 

 

 

でも……

思い出してほしい。

 

 

今どういう時だ?

どういう場所だ?

 

 

 

先ほどまでリタは駅員と口喧嘩をしていた。

当然それを止めるために駅員は何人も近くにいる。加えていえば、俺とグレモリー、ソーナ及びその眷属もいるのだ。

 

 

場所は駅だ。

 

 

そして少し前まで彼女達は互いの名前を呼ぶのに少しだけ大声を出していた。

 

 

そうすれば当然その他の視線も集まってくるわけだ。

 

 

つまり、俺が言いたいのはだ。

 

 

 

「百合百合してるところ悪いんだけど、その辺にしといたら?リタ、小猫。いろんな人が見てるわよ?」

 

 

 

 

シノンが代わりに言ってくれたな、おい。

 

 

 

「っぁ⁉︎、だ、誰が百合百合よ⁉︎ば、バッカじゃないの⁉︎」

 

そのシノンの一言にうちの兵士は小猫から即座に離れ、顔をこれでもかというほど赤く染めながら大声をあげた。

 

 

その姿は普段の年不相応な大人ぶった態度とは違い、少女が羞恥に耐える年相応に見える。

 

「っにゃ⁉︎わ、私は……」

 

一方小猫の方も、リタに負けない程赤くなっていた。駅中であんな風に抱き合ったのだ。俺ほどではないにしろ、黒歴史にはなるだろう。

 

 

「おーおー、おあついこった」

 

「ひゃひゃひゃひゃひゃ」

 

『………』

 

 

おい阿伏兎、茶化すのやめてやれ。フリードも笑いながら激写するのはやめい。他のやつに至っては呆然としてるじゃねぇか。

 

シノンとソーナは額に手を当ててるけど…

 

 

「ひゃひゃひゃひゃひゃ」

 

よほどツボに入ってしまったのか、或いは久々に会う彼女に対して弄りたい気持ちが勝ったのかフリードの笑いと激写は止まらず、次第にリタの身体がプルプルと震え始めた。というかリタの周囲の空間も震えてる。僅かだが魔力が溢れ出てるし……

 

 

 

「っこの!!!!」

 

 

あ、切れた……

 

 

「いつまでとってんのよ、この変態!!!」

 

 

フリードのソレに堪忍袋の緒が切れたのか、溢れ出ていた魔力が彼女の周囲に収束し魔法陣を形成して行く。

 

 

「ひゃひゃ……こりゃヤベェか……」

 

その込められる魔力量の多さに気がつき携帯をしまうと、その場から逃れようと……

 

 

 

 

 

 

 

ピシッ

 

 

 

 

 

 

できなかった……

 

 

 

「ちょっ!?氷ってシノンの姉御!!?なんでぇ!!!???」

 

 

足首から下がカッチコチである。

そりゃもうカッチコチ。

フリードが慌てて剣で氷を破ろうとするが、魔力をまとわせた剣すら弾き返す程のカチコチ度である。

 

 

「逃げられて駅を壊されても困るでしょ?自業自得なんだからくらっておきなさい」

 

とてもイイ笑顔でそういうと今度はひんやりとした青白い光がリタとフリード以外を覆い始める。

 

 

まってぇぇぇえええ俺も助けてぇぇえ

 

 

そんなフリードの声もガン無視である。シノンは駄目だと俺や他の連中にも目を向けるが誰1人として合わせようとしない。いや、いた。最後の1人で目が合う。

 

クロメだ。

フリードと目があったクロメはクスリと可憐な笑顔を彼へと向ける。そして……

 

 

 

「死んでね?」

 

 

無慈悲な一言を告げる。

 

 

 

「天光満つる処に我はあり」

 

そんな彼の後ろから巨大な魔力の奔流とともに詠唱が紡がれる。

 

 

「黄泉の門開くところに汝あり」

 

その声は先ほどまでの恥じらいを持った乙女の声にあらず。

 

 

「出でよ、神の雷…!」

 

それは、普段の大人びた彼女の声でもない。

 

 

「これで終わりよ!死ねぇぇええええ」

 

彼女が稀に見せる、怒りに身を任せた時の声である。

 

 

 

「インディグネイション!!」

 

Indignation すなわち憤怒を示す雷。

 

それが今、冥界と現世を繋ぐ駅にけたたましい轟音と共に降り立ち、1人の男の絶叫が響き渡った……

 

 

 

 

 

 

 

────────────────

 

 

 

 

「初めまして、リタ・モルディオよ。この馬鹿の兵士をやってるわ。まぁ、普段は研究所からほぼでないし、あんた達と関わることもあまりないでしょうから覚えなくてもいいわよ」

 

 

何処かスッキリとした顔の彼女はすっかりいつもの彼女に戻り、グレモリー達へと挨拶をする。

 

彼女らからすればドン引きである。挨拶の内容も内容だが、それ以上に先ほど撃った魔法により少し離れた場所で焦げたフリードが放置されているのだ。しかも未だにプスプス音を立ててるところから威力の高さが伺えるし、これ初見なのに引いてない姫島先輩はおかしい。

 

あれか?ドSだからか?

慣れてるからなのか?

 

 

「え、えっとあの……あいつは……」

 

「ああ、大丈夫よ。アレはゴキブリ並みの生命力だから。それに死んでたら死んでたで、そこまでの奴だったってだけよ」

 

匙が顔を引きつりながら聞くが返ってきた言葉がこれまた酷いためもはや全員絶句である。

 

 

「大丈夫よ、あいつなら。しぶとさだけならうちで最強だし」

 

「ゴキブリだからね。鬱陶しい……」

 

「うむ。悪は滅んだ」

 

「適切な扱いだと思うよ?」

 

 

しかし、うちの女性陣は冷たい。

 

シノンとクロメ、ゼノヴィアさらにはユウキまでがリタを援護するような形をとった上

 

「まぁ、死にゃぁしないだろ」

 

「…シノネェのおかげで……駅…壊れてない」

 

 

男性陣もフリードの心配をする者はいなかった。

 

 

「おーい、生きてるかー」

 

 

さすがに可哀想なので生存確認だけ取る。

 

ピクピクッ

 

 

うん。動いてるし大丈夫だろ。

 

 

「お前らのフリードに対する扱い酷すぎるだろ……」

 

 

そんな俺たちの仕打ちに流石のイッセーもフリードに哀れみの視線を放っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、そういえばもうあんたが帰ってくる時期だったわねぇ」

 

 

列車に乗り、それぞれの眷属ごとに分かれ席に座るとリタが声をかけてくる。というか、眷属ごとに分かれてるのになんで小猫はこっちにいるんだ……いや構わんが……

 

 

「にしてもお前さんもうちょいマシな挨拶があっただろうに」

 

 

「あんたには関係ないでしょ阿伏兎。それに私がここの面子以外と関わりを持つなんて本当にないでしょ?なら初めから言っといたほうが互いのためよ」

 

「親切さの方向がぶっ飛んでるだろぅ……」

 

結局あの後、大した交流も持たずにリタは電車へと乗っていった。本来なら向かいたい場所があったらしいのだが、行くための電車がないのと、俺たちが帰ってきたのも相まって今回は俺たちと共に帰るようだ。

 

 

「そういや、他のみんなはどうなってる?」

 

 

「ヴィザはあんたからの指示通り、あいつ(・・・)のことシゴいてるわ。他のメンツは屋敷にいると……あぁ、そういえば今朝私が出るタイミングではぐれ悪魔討伐の依頼があったってヴィザが言ってたから、誰か出てるかもね」

 

「……そうか」

 

「なによ?」

 

「いや、珍しく罵倒しないなと思ってな」

 

「あんたが私のことどう思っているか改めて理解したわ」

 

 

いや、本当に珍しい。雪ノ下程ではないがリタは昔から俺のことを罵倒することが多い。とはいえ本心じゃないのは知ってるし、いざという時は他の奴らと同じく俺の身を案じてくれるのは理解してるが、それでも全くの罵倒なしは珍しい。

 

 

「別に…ただ……久々に会ったのに罵倒するのも可哀想と思っただけ。ただそれだけよ」

 

 

ツンデレですね…はいわかります。

 

 

ゴシッ

ガッ

ボコッ

ガツン

ドシッ

バコッ

 

 

「リタは分かるがなんでシノンさんたちまで殴るんですかね?」

 

『なんとなくよ』

 

 

うちの女性陣は本当に厳しい。

そんなことを思いながら、今尚焦げたままの男をチラ見し、まぁフリードのような激烈な攻撃でなくて良かったと安堵した。

 

 

その後も互いの近況報告やら、クロメがようやく正式な眷属入りした事に対しての挨拶などが行われていく。その挨拶ではリタも普通に、というか友好的に挨拶を交わす。相変わらず仲間(家族)には優しさが出る性格である。まぁ、それが彼女のいいとこでも………

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ」

 

「ああ、何か来るな」

 

「おおよそアザゼルが来てなかったのと関係あるんでしょ」

 

「にぃ……少し先に……龍の気配ある……」

 

 

「ああ、あいつの気配だな」

 

「ってことは」

 

「まぁ、そういうことなんだろう。今のソーナの眷属とグレモリーの眷属じゃ協力してもあいつには勝てないだろうしいい相手だろ。おおよそグレモリーかアザゼルあたりがサーゼクス様に頼んだんじゃねぇか?」

 

 

はぁ、とめんどくさそうに俺らはため息をつく。確かに見知った俺らよりもあいつに頼んだほうが効率はいい。見た目的にも怪物だし。中身は普通にいいやつなんだけどな……

とはいえ俺らを巻き込まんでほしい。

 

 

 

 

「む?なんの話だ?」

 

「なんの話ですか?」

 

 

ああ、さすがにゼノヴィア達にはまだわからないか。

 

 

「ん、ああ。あのな……」

 

 

小猫とゼノヴィアに話そうと来た俺の言葉は、魔法陣による転移によって遮られた。

 

 

 

 

 

 

───────────────────

 

 

「ちくしょう!?なんなんだこいつ!?」

 

「おい兵藤なんとかなんねぇのか!?」

 

「なんで俺なんだよ!?なんとかなったらとっくにやってるわ!!!」

 

 

なんか匙とイッセーが言い合ってるが、そんなことしてる暇あるのか?

というか言い合ってないで戦え。

お前ら以外吹き飛ばされてんじゃねぇか。

 

 

「グォォォォオオオオオオ」

 

おー、すげぇ迫力。

さすがタンニーンのおっさん。

 

 

 

「せ、先輩!助けなくていいんですか!?」

 

「八幡私達も行こう!」

 

 

あー。訳を知らない2人が騒いでる。

まぁ、いきなり転移させられた上、ドラゴンと遭遇して、グレモリー眷属とソーナの眷属がやられてたらそうなるわな。

 

 

まぁ………

 

「ゼノヴィア、試験よ。あのドラゴン。討伐して見せなさい」

 

リタさんの試験が始まった……

それもベリーハードなのが。

 

「八幡達はやらないのか!?」

 

「なによ?手助けが必要なの?」

 

おい、リタ。そんな安い挑発じゃ

 

「む。必要ないぞ!確かに強そうだが、私だけでもいける!そこで私の剣技を見ているといい」

 

のるのかよ………

 

 

「はぁ、ゼノヴィア」

 

「なんだ?」

 

そんなゼノヴィアに対してとりあえず言っておこう。

 

 

「今のお前じゃ勝てないぞ」

 

「っ!」

 

俺がそういうと、彼女は顔をしかめる。

 

「ただ、まぁ。自分がドラゴン相手にどれぐらいやれるかは知っとけ。久々に実戦でデュランダル使っていいから」

 

「……わかった。自分がどのくらいか……知ってくるとしよう」

 

 

その顔はどこか悔しそうだっ。

まぁ、お前じゃ勝てないなんて主に言われたらそうなるか。でも、まぁ。所詮はまだ(・・)だ。この夏休みが終わる頃には……な。っとそうだ……

 

 

「小猫、お前も行っとけ」

 

「先輩はあのドラゴン知ってるんですか?」

 

さすがに俺らの反応見てればバレるか。

それこそゼノヴィアみたいに単純でもない限り。

 

「まぁな。だから胸を借りるつもりでやってこい。この夏休み。俺らのとこで修行するなら尚更だ。自分のレベルは知っておいたほうがいい」

 

「……わかりました」

 

 

そういうと小猫は拳を握りしめゼノヴィアの後を追っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼノヴィア視点

 

八幡に言われデュランダルを出した私はドラゴンの元へと駆けて行った。

 

正直、勝てないと言われヘコんだ。それはそうだ。確かにドラゴンは強い。でも、それでも八幡や阿朱羅丸、そして最終的にはクルルにまで特訓を施されたのだ。あまり長い時間ではない。それでも確実に強くなっている実感があった。

 

 

 

「やってみせる。あのドラゴンを」

 

 

正直燃えている。

あのドラゴンを倒せば、八幡だけでなく、他の眷属達も認めてくれる。

そんな思いが私の中で芽生えた。

 

だが、それだけではない。

私は知っている。

自分が最も弱いことを。

だからこそ、負けられない。

自分が女王のなのに。

眷属最弱。

 

そんなのは嫌だ。

そんな思いもまた、自身の中で芽生えていた。

 

 

 

 

 

 

 

そんな自身の思いを知るはずもなく眼前のドラゴンは兵藤や匙を振り飛ばし更に咆哮を上げた。

 

 

「おぉぉぉおおおおお」

 

 

そんな相手に呼応し私も吠えながら駆けて行く。

 

そんな私に対しドラゴンの拳が迫ってきた。

防ぐことは出来ない。力量的に受ければこちらが飛ばされる。故に私は身体を回転させドラゴンの拳を受け流し、足に魔力を貯め、そのままその腕を高速で走り抜けていく。

 

私が受け流したのが、或いは高速で走り抜けてくるのが予想外だったのか一瞬だけだが、ドラゴンの目が見開かれた。

 

 

しかし、それも一瞬ですぐさまドラゴンは空いている片手で私を狙ってきた。

 

でも、それでいい。

この1ヶ月程度の間だが、八幡達からは多くのことを学んできた。足に魔力を貯め一気に駆け抜ける技法もその1つだ。

 

にやり、と思わず笑みを浮かべ迫りくる拳に、正確には拳のその先、ドラゴンの腕に向け剣を振るう。

 

ドラゴンは硬い。

だが、それでもいける。

その自信があった。

何故なら自分が扱っている武器こそデュランダルなのだから。

 

この世で数少ない、特殊能力の類を持たずして伝説級武装の仲間入りを果たしたデュランダルの特性。それこそが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グォォォォオオオオオオ!!??」

 

 

先の咆哮とは違う、叫び声のような声をドラゴンは上げた。

 

そのドラゴンの片腕は大きく、深い切り傷が刻み込まれ、血が吹き出している。

 

 

そう、これこそがデュランダルの特性。

どこまでもただ強い威力。

このデュランダルは威力の高さのみで伝説級武装の仲間入りを果たしているのだ。

 

阿朱羅丸とクルルは揃って言った。ゼノヴィアこそデュランダル使用者歴代最強になる……と。

 

まぁ、理由はデュランダルはパワーゴリ押しが本来の正しい使い方だからという、ゼノヴィア的には素直に喜んでいいものかどうか迷う言葉であったが…….

 

 

切り裂き飛び出した血を頬に付けながらも、空中で体制を整え地面へと着地する。

 

そして、それと同時に後ろに飛び退いた。

 

瞬間、私が着地した点にドラゴンのしっぽが振り落とされる。

 

油断はしない。

そもそも、八幡達はあのドラゴンが格上と言ったのだ。ならば、それを倒す自信があったとしても油断だけはしてはいけない。

 

八幡達の眼がどれだけ良いのかは知っている。だからこそ油断はしない。

 

 

 

そう、していなかったのだ。

 

なのに………

 

「ぐぅ…….」

 

突如襲ってきた拳に対し今度は受け流すことができずデュランダルでガードする。

 

身体は飛ばされ岩へと激突し、周囲の岩も粉砕された。

 

「がはぁ……」

 

油断はしていなかった。

でも、見えなかったのだ。

 

飛ばされる前の場所にはドラゴンの拳があった。

 

 

先ほどとは雲泥の差の速度での攻撃。

 

「これが……ドラゴン……か」

 

様子見か、或いは他に理由があるのか。

 

あのドラゴンは手を抜いている。

 

この時そう悟った。

 

 

でも……それでも………

 

「諦める……理由にはならない!」

 

軋み、悲鳴をあげる身体を起こし剣を構える。魔力で身体の要所を覆う。全身を覆っては大量に消費する魔力も要所のみ覆うことで節約できる。それもまた、阿朱羅丸達から教わったことだ。

 

 

でも……教わったことだけでは足りない。

 

眼前にいるドラゴンは既に自分には目も向けず、小猫とやりあっている。

 

小猫もイッセー達と比べれば奮闘しているがそれでも負けるのは時間の問題である。

 

 

考えろ………

 

普段、パワーこそ全てと考える自分なりに考えていく。

どうすれば勝てるのか。

 

考えろ………

 

阿朱羅丸達には考えるよりも行動の方が自分は強くなると言われた。でも、それだけじゃこの相手には勝てない。

 

考えろ………

 

より強い一撃を出す方法を。

どうすれば、あの悪魔の様なドラゴンを倒せるのか。

 

 

悪魔のようなドラゴン………

 

 

ふと自分の中で何か、カチリとハマるような音が響き渡った。

 

悪魔とドラゴン。

 

本来なら1つにはならないもの。

 

2つのモノを1つに……

 

 

 

確証はない。

今自分の考えていることはできるかどうかなんてわからない。

そもそも、前例があるとはいえ、前例の者は無からそれを作り上げているのだ。

対して自分は既に完成されたそれと未熟な自分を合わせるような物である。

 

普通に考えれば出来るわけもなく、そもそもそんなことを考えようとすらしない。

 

 

でも………

 

 

『不可能ってのはそれを可能にできていないだけ。いずれは可能に出来ることなのよ』

かつての修行の中でクルルが自分に言っていた言葉だ。

 

「やってやるさ……」

 

そう呟き、私はデュランダルを手に取った。

 

 

 

 

 

 

 

side out

 

 

 

 

八幡side

 

それは僅かに感じた違和感だった。

俺的には、自身の実力を知ってほしいという意味合いを込めて、ゼノヴィアと小猫を向かわせた。

 

 

だが……だがしかしだ!!

 

 

 

「おい、あいつ何しようとしてやがる!?」

 

『あれは……』

 

『あっはっは、いいねいいね、ゼノヴィア。やっぱり彼女をハチの眷属にして正解だったよ』

 

 

ゼノヴィアのやろうとしていることを悟った俺とクルルは驚愕し、阿朱羅丸は愉快そうに笑っている。

 

そしてゼノヴィアがやろうとしていることに他の面々も気がついていく。

 

 

「おいおい、そんなことできんの?」

そう言う阿伏兎は驚きながらも興味深そうに目を向ける。

 

 

「……普通は無理よ。確かに木場?とか言う奴の前例がある。でも、質が違いすぎるわ」

彼女を差し向けたリタは、彼女のやろうとしていることを否定する。

 

 

「そうね、確かに無理よ。木場くんのように自身が無から作り出すんじゃないのだから」

そう言うシノンだか、その目は何処か期待がこもっていた。

 

 

「聖剣の方が……強すぎる」

先程までとは変わり興味津々の様子でユウは呟いた。

 

 

「あいつにまだそんな技は無理だろ?」

そう言いながらもフリードは彼女から視線を離さない。

 

 

「うん。実力不足」

クロメもいつの間にかお菓子を食べるのをやめていた。

 

 

そうして他の面子が期待しながらも否定する中、1人だけそんな彼らの言葉を否定する。

 

 

「いんやー。出来ると思うよ」

 

「……どうしてそう思うのよ?」

 

自身の言葉とは真反対のことを言うユウキに対してリタがゼノヴィアから目を離さずに問う。

 

 

「いやー。みんなも感じてるんでしょ。この感じ。だからみんな目を離さない」

 

その一言だけでリタは押し黙る。

 

そう。ここにいるみんなが感じているのだ。

 

自身の限界の扉を開いたその時と同じような感覚を……

 

「それにねー、わかるんだよ」

 

 

そしてユウキは続ける。

その一言は何よりも俺たち納得させた。

 

 

「同じ剣士だからね」

 

 

絶剣の名を持つ剣士がその言葉を紡いだ。それはユウキの実力を知っているものからすれば、これ以上ない言葉だった。

 

 

 

 

 

 

 

そしてその時は訪れる。

 

聖なる気と魔なる気。

 

2つの奔流がゼノヴィアを中心に溢れ出ていく。

 

 

 

小猫と闘っていたタンニーンもゼノヴィアの気配に気がつく。しかし、律儀にも待ってくれている。腕を切り裂かれながらも、ゼノヴィアの成長を優先してくれるあたり本当に感謝しかない。

 

 

そんな、多くの者に見られながらゼノヴィアは動いた。

 

その手にあるのはデュランダル。

しかし、先程までとは違う。

綺麗な蒼と金で光り輝いていたデュランダルではない。外側の金色は変わりない。しかし蒼かった刃がより深く、暗い蒼色へと染まり、その刀身からは聖なる気と共に魔なる気が溢れ出ている。

 

 

 

そうして振り下ろされる一撃の重さを知ってか、タンニーンはあろうことか大きく息を吸っている。

 

ドラゴンブレス

 

 

龍の代表的な攻撃方法であり。

高火力の技である。

 

それを格下であるはずのゼノヴィアへと向ける。それほどまでの一撃だとタンニーンも判断したのだ。

 

 

 

 

そうして2つの力がぶつかり合った。

 

 

 

そうして巻き起こった煙が晴れた先で露わになったのは。

 

地面に倒れるゼノヴィアと地面に突き刺さるデュランダル。

 

 

そして……

 

 

浅くではあるが胸部が割かれ、血を流しているタンニーンだった。

 

 

 

それのさす意味は……

 

 

「ふむ。手加減してたとはいえ……我がブレスに打ち勝つか……八幡よ、貴様またとんでもない者を眷属に加えたな」

 

 

その場の多くの者が思う言葉をそれと戦った張本人。タンニーンが呟くのだった。

 

 

 

 

 

 

 




久々の投稿どうでしたでしょうか?

サブタイトルの通り女王であるゼノヴィアが自身の壁を超えて行きました。まぁ、その辺詳しくは次話でも話します。

あと、原作ブレイク前提であってるのもあるので、デュランダルに魔力入れる?無理無理とかやめて……ジャガイモハートがブレイクする。

ゼノヴィア強くなりすぎ感については修行編で八幡達がどんなことをゼノヴィアにしていたのかを語る会を設けるのでその時に理由を説明するので悪しからず……


あ、ちなみにタグにしつこいってくらいキャラ崩壊とかそう言う関連のタグを足しました。理由は八幡じゃねぇよと言う意見が多かったからです…….

八幡オリ主化ってタグ見ろや……

と真っ黒ジャガ丸くんも出て来ましたがw(ㆀ˘・з・˘)


さてと……感想お待ちしてます。

長くまたしていた分、八幡オリ主化以外の感想ならなんでもバッチコイです。受け止めてみせます。だって待たせたんだもん………(*・ω・)ノ



……ジャガ丸くんのジャガイモハートが砕けないくらいのでお願いします(´・∀・`)

ではでは、次回更新の時にお会いしましょう。





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