久しぶりなのに短くてすみませんm(_ _)m
今回迷いに迷って、眷属1人出すことにしました(レーティングゲームに向けて)
この子は結構当初から眷属にしようと思いながら、いつ出そうかなぁと思い、長門が表舞台に立つ時に一緒にお披露目かと思いながらも今回出すことにしました。
「あーーもーー暇っす!」
日の時間が長くなりつつあるこの時期、灼熱の外界とは打って変わり、文明の叡智(エアコン)を効かせた部屋にてその声は響きわたる。
白のTシャツと短パンを身にまとった少女は夏らしくアイスの棒を食べながらも文句の声をあげた。
活発そうな見た目と違わず声をあげた彼女の対面には静かに氷菓を頬張る魔女服の少女。
駒王町の端にある高層マンション、比企谷八幡が眷属長門有希の部屋は夏の暑さにも負けず、文明の恩恵を最大限に享受していた。
「ハッチ達やワガママ姫が居ない間の街のパトロールって言っても、ハッチが正体を明かした今、この街に来る阿呆はそうそう居ないっすからねぇ」
そうボヤいている彼女の言う通り、八幡達が冥界に里帰りしてからこの街にはぐれが来たことはない。
仮に来たとしても今こうしてボヤいている彼女からしてみれば大概のはぐれ悪魔ならば処理出来うる上、対処できない場合は最悪有希が出張ればいいだけである。
しかし、鬼呪龍神皇がこの街にいることが各勢力に知れ渡ってからというもの、この街に来る人外の数は目に見えて減っていた。
そのおかげでこうして彼女達は部屋の中で自堕落に生活しているわけだが、その反面やることがないというのも事実であった。
「はぁ、うちも冥界に帰りたかったっス。ハッチ達はあの女王の特訓に付き合ってるだろうし、うちらだけ仲間はずれっすよぉ〜」
チュパっとアイスを舐め終えた彼女は棒をゴミ箱へと投げ捨てバタンと床へ体を投げ出し手足をバタつかせる。
ナザリックにいるメイド長と同じ黄金色の髪がクシャリと床と頭の間で潰れ、バタつかせる度にツインテールは揺れ動いているが、満足したのかピタリと動きを止めれば、普段のつり目が緩み口を尖らせ
「ユッキーはずっとここにいるけどいいんすかぁ〜?」
対面に座る有希へと問いかける。
「もうじき、私も表に出る時がくる。それまで何の問題もない」
しかし帰って来たのは機械的な返事。
面白くない。
そう思った彼女は身体を起こし、その青い瞳で有希を捉えた。
「む〜、ユッキーはそればっかっす!仮にユッキーがそうだったとしても何でうちまでここで待機なんすかぁ〜」
詰まる所、彼女が言いたいのはそこである。
八幡の決定故に従っているが自分のことを未だ秘密にしていなくてもいいのではないか。
そもそもフリードやクロメと言った人物達や未だスパイ活動に奔走している眷属、そして彼女自身のことも既に首脳陣は知っているのだ。
彼女が生きていること、そもそも八幡の眷属候補であったことを聞いた際、首脳陣。
特にアザゼルはポカンとしたアホヅラを晒したらしいがそんなのは彼女にとってはどうでもよかった。
大事なのはもう出ても問題ない自分が出されていないことである。
「うぅ……ハッチに限って意味のないことはしないと思うっすけど…早くハッチのとこに行きたいっすぅ〜」
先程まで元気だった彼女は途端にしぼんでいってしまう。心なしか黄金色に輝いていたはずの髪の毛の色が薄くなったようにも見えた。
「大丈夫」
「んぁ〜?」
そんな彼女が見るに耐えなかったからか、或いは同じ眷属であるからか、有希は手に取っていた氷菓を一旦手放すと視線を彼女へと移し
「あなたの出番はもう来る」
「へ?」
一枚の紙を彼女へと差し出した。
「今度、若手メンバーと彼がレーティングゲームをする。そこが貴方の初陣。私はまだ出れないけど、貴方は来るように書いてある」
「………ほへぇ?」
ポカンと呆けたのも束の間、差し出された紙を目にも留まらぬ速さで掻っ攫うと先程までの様子が嘘のように、食い入る様に紙へと視線を移した。
読み進むにつれその身体はプルプルと震え出し、皺1つなかった紙は握られる強さが増したせいで次第にしわを増やしていく。
「んんんん、やったっすぅ〜〜!!」
震えが止まったかと思えば今度は紙を握りしめたまま両手を天高くあげ立ち上がり歓喜の声をあげた。緩んでいた瞳はいつものようにつり目に戻り、どこか気の抜けていた顔は先程とは違う形で緩んでいた。
「やった、やった、やったったぁ〜!ついにうちの出番っすねぇ〜!!!」
テンション0、100%もかくやと言った具合の移り変わりを見せた彼女は尚も歓喜の声をあげ続ける。
先程まで暇で仕方なかった身と例に漏れず八幡の眷属であると考えれば妥当な反応ではあるが……
「………」
そんな有頂天な彼女とは対照的に、役目を終えたといった様子で有希は氷菓へと再び手を伸ばし始める。もぐもぐ、と恋やユウとはまた違った大食いの有希は氷菓を口に運びながらも視線は目の前の同僚に向けたままだった。
「(彼女は優秀。そもそもスパイ行動の際、他に一切悟られることがなかった)」
その心中では目の前の彼女のことを考えている。
「(グレモリーは全く気がついていなかった。けど、そもそも過保護とも言える彼がアーシア・アルジェントの件で完全にスルーするはずがない。たとえフリードがいたとしてもそう。確実に2名以上当てる)」
「(あの時、彼が動かなかったのはスパイが
「(そう。優秀。けど……)」
「空回りしないことを忠告する」
考えたが故に言葉を発した。
「わかってるすよぉ〜。うちだってハッチの眷属なんすから、みっともない格好できないっす♪」
が、そんな忠告も聞き流すかのように返事をする。
はぁ、と彼女には聞こえない程度の嘆息が吐かれた。
有希自身、勘というものをあまり信用していないが珍しくこの時は不安を覚えた。
目の前の彼女はレーティングゲームで何かやらかす。
そんな勘がどうしてもしてしまうのだ。
「………ミッテルト」
彼女に聞こえないほど小さな声で有希は彼女の名を不安げにつぶやくのだった。
感想は受け入れよう。
心が持つかどうかは別としてw
プロフィールにミッテルトを追加しておきましたので。
眷属今どんな感じか確認したい方はそちらをお読みくださいませ!