魔王少女の女王は元ボッチ?   作:ジャガ丸くん

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前回長かった分今回は少し短めです。

みなさんのおかげでお気に入り600越えしました♪───O(≧∇≦)O────♪ありがとうございます。

では本編の方どうぞ


温泉というコミニケーションツール

 

 

 

 

小猫side in

 

 

 

「んにゃ〜」

 

宿に戻った後私はみんなと温泉に入っています。いきなりハードな特訓をして疲れた身体から疲れが抜けて出て行くのを感じながら私はお湯に浮かびながら空を見上げます。周りでは部長達もそれぞれ温泉を堪能しており、端の方にはあの2人もいます。ユウキさんとシノンさんがいる為か端の方で湯に浸かってますが、そんな風になるなら一緒に入るなと思います。まぁ、本人達もあまり乗り気ではなかったところを部長に誘われたわけですが……

 

部長もさすがにこのまま不仲の状況でやって行くのはまずいと気がついているんでしょうね。

 

その2人が警戒するシノンさん達はというと仲良く互いの背中を流しあっています。それにしてもあのお2人もかなりのものですね……どうして私の周りにはこうも大きい方が多いのでしょう?私は浮かぶのをやめ、座りながら自分のモノを見つめます……

 

「どうかしたの小猫?」

 

そんな風に私が自分のモノを確認していると、この中でも大きい人代表の部長が話しかけてきました…………………

 

 

「いえ…なんでも」

 

なんか悔しいので私は鼻の下までお湯に浸かりながら返します。

 

「そう……」

 

何故か部長も元気がありませんね。

いや、まぁ不仲なことを懸念しているんでしょうが、そこまで考えなくてもいいのでは?

あの2人は正直いてもいなくても同じだと思いますよ…………戦力的には……

 

「……そういえば部長…………」

 

「何かしら?」

 

私は思い出したように部長に尋ねます。

 

「部長って貴族ですし、そういう高貴な位の人って幼い頃誘拐とかありがちな話ですけど、そういうことはなかったんですか?」

 

先輩の話を聞いててなんで部長が今までに先輩のことを知らなかったのか疑問に思ったんですよね………

 

「?特にないわよ。人間の世界ではありがちかもしれないけど、悪魔の世界でそんなことをすればどうなるかわからないし……それに私はお兄様がいるから手を出してくるような輩はいなかったわ……今回のライザー以外………」

 

「そう……ですか」

 

「いきなりどうしたの?」

 

「あ、いえ……ちょっと気になっただけです」

 

「そう……」

 

やっぱり部長は知らないみたいですね……

なんででしょう?

先輩が嘘をついてるようには思えませんし……

 

部長はどうやら全員のところを回っているらしく、今度はお2人の方へと向かって行きました。部長がいなくなった後も考え続ける私の背中に物凄く冷たいものが触れてきました。

 

 

「ひにゃにゃ⁉︎」

 

突然の冷たさに思わず声をあげ振り向くと、そこには氷の塊を持ったシノンさんと先ほどまでシノンさんと一緒に身体を洗っていたユウキさんがいました。

 

「八幡に聞いたんでしょ〜」

 

チャポンとユウキさんが私の隣に入ってきながら言ってきました。

 

「んにゃ⁉︎」

え?バレてます??

いやまぁ、少し遅くなりましたし勘ぐられても仕方ないですが、そんな簡単にバレるものですか⁉︎

 

「だからリアス・グレモリーにもあんなこと聞いたのよね?」

そう言ってシノンさんは持っていた氷をお湯の中に投げ入れた後、私の空いてる方の隣に入ってきました。……は、挟まれた⁉︎

 

 

「え、えっと、その……」

 

ゆっくりと近づいてくるお2人に気圧される私の頬にはツーと汗が流れ落ちます。決してお湯に浸かりすぎていたというわけではないです。

 

「ふふ、まぁ八幡のこと大切にしてあげてね」

 

ジリジリと近寄ってきたシノンさんは近くのをやめ、私に呟いてきました。

 

「え?」

 

「んー、別に怒ってたり、どうこうしようとかじゃないよ?ごめんね、なんか意味深な行動して。八幡が教えたならそれだけ。別に僕たちがどうこう言うのは違うからね」

 

そう言ってユウキさんも近づくのをやめてきました。

 

「ユウキさんとシノンさんは知ってるからあんな行動をするんですか?」

 

先ほどまで2人が出していた雰囲気が冗談だと気付いた私はふぅ、と一息つくと2人に質問を始めます。

 

「ん?まぁ、もちろんそれもあるけども、したいからしてるだけだよ。八幡に抱きついたり撫でられたりするのは気持ちいいからね」

 

ユウキさんの返事にシノンさんも私もとばかりに頷いてます……

 

「お2人も……先輩のこと好きなんですね……」

 

ん?私は思わず何といった⁉︎

お2人もってそれって自分で言っちゃった⁉︎

 

「「"も"、ねぇ~」」

 

んにゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ

やっぱり反応してきた。

急激に身体が暑くなっていきますが少しでも隠れるため再び鼻の下までお湯に浸ります……

 

「あははは、小猫ちゃんも大胆だね」

 

ユウキさんが笑いながら言ってきます……

不覚でした……

 

「そうね……私も……私達も好きよ。私達の主としても、1人の異性としても……私達は八幡のことが好き。」

 

シノンさんが僅かに顔を上気させながら発してきた言葉に私はピクンと反応します。

 

「うん、そうだね。でもまぁ、僕達だけじゃないよ。眷属の子は殆どと言ってもいいね。さっき小猫ちゃんがいない時に話してたけど、そもそも八幡の眷属は、八幡に惹かれた者たちが集まった集団だから」

 

なにゃ⁉︎

私がいない間にそんなこと話してたんですか⁉︎

詳しく聞きたかったです……

 

「まぁ、でも私たちの中では鶴の一声でそういうゴタゴタは消えたんだけどね」

 

「鶴の一声?」

 

「誰が正室になるかよ」

 

「ぶふぅぅぅううう」

 

シノンさんの言葉に私は盛大に吹いてしまいました。口が湯に浸かっていたので、吹いた瞬間押し出された湯が鼻の中に入ってきてすごく痛いです。

 

「ケホッケホッ」

 

「あはははは、盛大に吹いたね」

 

ユウキさん笑い事ではないと思うんですけど…

 

「ど、どういうことですか?」

 

「一時期問題になったのよ。誰が将来八幡と共に歩むか……八幡がいない時にその話になって全員でどんぱちやり始めちゃったの……」

 

そ、そんなに苛烈な競争率なんですか……

 

「そんな時にヴィザがね『そもそも王とは美女を侍らせるものです。それは我々の王である八幡殿も同じでしょう。ならば妃が1人だけというのもおかしな話なのでは?』って言い出したの。そうしたらみんな"それだーっ"てなってその場は収まったわ……」

 

ヴィザさん…なんてこと言ってるんですか……

ってかシノンさん達それでいいんですか?

いやまぁ、先輩の側にいれるなら私もそれはそれで充分に嬉しいのですが……

 

 

「それからだよねー。今度は誰が正室になるかって話になったのは。まぁ、みんな側にいるとしても、結局それを決めるのは八幡だからそれぞれ頑張ろうってことになったけど……」

 

ユウキさんが笑顔で言ってますが、結局正室の競争率は高いままなんですね……厳しい戦いです……………でも、負けられません

 

「わたしも負けられません……」

 

私の言葉に2人は笑いながらがんばろーと腕をお湯から出し空へと突き上げる。

 

「っとそういえばどうしてリアス・グレモリーが知らないのかって話だったわね」

 

思い出したようにシノンさんが言ってきました。そういえば忘れてました……

 

「は、はい。」

 

「それね。彼女が寝てたかららしいわよ」

 

「はい?」

 

え?どういうことですか?

 

「あの日、会議をしていたサーゼクス様達の隣の部屋で遊び疲れた彼女は寝てたらしいわよ?それでグレイフィアが側にいて、襲撃があった瞬間彼女の周囲に結界だけ張ったらしいわ」

 

「結界ですか?」

 

「そ。それであのシスコン魔王が『リーアたんが起きたらどうするんだ‼︎』って向かってきた相手を倒したらしいの」

 

それは……………ちょっと引きます。

というか

 

「シスコンなんですか?」

 

部長のお兄さんって……

 

 

「シスコンね。サーゼクス様もセラフォルー様も。こっちが引くくらい。まぁ、サーゼクス様はセラフォルー様と違って表にはそんなに出さないけど……」

 

そういえば先輩もグレイフィアさんに向かってあのシスコン野郎とか言ってましたね……

 

「それで知らない部長って……」

 

その後も交流とかなかったんですか?

 

「まぁ、八幡は神器が神器なだけにそんなに表立って目立った行為はしないんだよ」

 

ああ、そうでした。

先輩の神器はものすごい奴でしたね……

 

「ま、そんな理由だよ。だから八幡のことを知ってる人って案外少ないの。まぁ、貴族の老害達には物凄く有名なんだけども………」

 

 

「なんでですか?」

 

 

神器のことがありますし、有名なのはいろいろと問題も起きるんじゃ………

 

 

「昔…….と言ってもわりと最近ね。3ヶ月くらい前。転生悪魔の八幡が爵位を持ってることや魔王の片腕として動いてることが気に食わなかった老害達がいて、突っかかってきたんだけど……」

 

「けど?」

 

「合同レーティングゲーム……老害達は4人……つまりは4人の眷属達総出で、こっちは私達だけの1対4のレーティングゲームをしたのよ」

 

「1対4⁉︎」

 

「あれは楽しかったよね。最終的にパーフェクトゲームになったし」

 

笑いながら語る2人に私は開いた口が塞がらない。では何か?先輩達はおよそ4倍の数を相手に1人も脱落することなく倒しきったのか……

 

「強すぎませんか?」

 

「まぁ、もともと八幡が規格外だからね。主が規格外だと、駒1つ分の価値も変わってくるから、そのまま眷属も規格外が多いのよ」

 

遠回しに自分たちが規格外であると認めたシノンさんは楽しそうに話している。

 

「私……追いつけるのかな………」

 

先輩にいつか守れるくらい強くなると言ったものの、本当に追いつけるのか少しだけ不安になってしまいました………

 

 

「大丈夫、大丈夫。しっかり強くしてあげるよ」

 

その横でわたしの特訓相手であるユウキさんは笑顔で言ってきますが、その笑顔は少し怖かったです………明日から、もっと頑張らないと…

 

 

 

小猫side out

 

八幡side in

 

 

 

「ふぅ、体から疲れってもんが抜け落ちるな」

 

「お前は爺か⁉︎」

 

俺のジジ臭い言葉にイッセーの奴は反応する。

 

 

「うるせぇ、明日のメニュー倍加するぞ?」

 

「すみませんでした‼︎」

 

俺の言葉にイッセーは手のひらを返し速攻で謝ってくる。

 

「まぁ、どちらにせよ倍加の予定だがな?」

 

そんなイッセーに俺は真実を告げる。

 

「理不尽⁉︎」

 

「勝ちたいんだろ?」

 

「勝ち……たい…です」

 

「なら倍加」

 

俺の残酷な言葉にイッセーはクソォーと膝を地につける。そんな様子を木場は苦笑いしながら見ている。おい、こっち見て頬を染めるな気持ち悪りぃ………

 

「イッセー殿、しっかりと湯に浸かり疲れを落とした方がいい。明日は今日よりも厳しくなるでしょうからね。木場殿もです」

 

2人にそう声をかけるヴィザも頭の上にタオルを乗せている。年不相応なその体はムキムキとは言わないが、鍛えられている筋肉はそれだけで老兵であるヴィザの、これまでに蓄積された層の厚さを感じさせる。

 

「…………」

 

「どうかいたしましたか?」

 

木場に視線を向けられていることに気づいたヴィザは手で掬った湯を肩にかける。

 

「あ、いえ。ヴィザさんはユウキさんと同じく騎士と言っていたので……ユウキさんとどちらが強いのかと……」

 

同じ騎士である木場からすればそれは気になるところなのだろう。

 

「はて。有利な相手不利な相手ならば断言することはできますが、真に己より強いか弱いかは勝負が決した後にのみ分かることでしょう。ユウキ殿とは手合わせはしたことがあっても、互いの全力を出し合ったことはありませんからね……」

 

ヴィザのやつ回りくどく言いやがった……

 

「えっと……さ。それってつまりどういうことだ?」

 

復活したらしいイッセーはヴィザの意味深な言葉に首を傾げている。

 

「はぁ、イッセーわからないなら覚えておけ。ある程度の実力があって、平然とこういう深い言葉を言える奴は、高確率で強い奴だ」

 

「んっと……要はユウキよりも強いのか?」

 

俺の言葉にイッセーは更に問い返してくる。

 

「強いも何もヴィザはうちの眷属最強を張る男だぞ。まぁ、相性もあるから一概には言えないが……」

 

「「んな⁉︎」」

 

回りくどく言うヴィザに代わり俺がストレートに言い直すと木場とイッセーは2人して俺の言葉に驚いているが、嘘は言っていない。

 

「純粋な剣の腕だけで言えばユウキの方に分があるさ。才能って意味ではシノンの方がヴィザよりもある。だけど、ヴィザは剣の達人な上に他の眷属達に無いこれまでの経験に基づいた高度な技術や戦術がある。」

 

目をパチクリさせる2人に俺は続けて言う。

 

「他の奴らの場合駒に性能以外にも役割とかつけたがるだろ?大概女王が王のサポート役とか、眷属最強とか……サーゼクス様の場合は女王は俺の嫁‼︎とか。うちではそこまで駒自身に意味をつけてないんだよ。その証拠に俺の手の行き届かない案件はヴィザに任せてるし、そもそもうちにはまだ女王がいない」

 

その言葉に今度こそ2人は絶句してしまった。

当のヴィザは絶句しながら見つめてくる2人を他所に笑いながら答える。

 

「とはいえ、実際ユウキ殿達と全霊で戦ったことは本当にありません。故にどちらが真に強いかはわからないのですよ。特にユウキ殿のように戦いの最中で進化していく相手ならば尚更のこと。いつか全霊でお手合わせをしてみたいものですが」

 

その言葉と漂う余裕が強さの証である。

実際にヴィザの実力は阿朱羅丸すら強いと言っているほどなのだからうちの中でトップと言っていいだろう。それこそうちが家族のような体制ではなく、他と同じ上下関係の強い体制ならばヴィザは間違いなく俺の女王の駒を手にしていただろう。まぁ、女王の駒じゃない理由は特にないのだが…転生させる時、駒は適当に選んでるし……

 

 

「どうしたらそんなに強くなれるですか?」

 

絶句から帰ってきた木場が最初にはなったのは疑問の言葉だった。

 

「修行や実践しかないでしょう。修行で身につけた物を実践で使い、それが相手に通用した時、初めて一歩踏み出すことができるのですから。ユウキ殿のように実践の中で次々と生み出していく方は稀です故」

 

そこまで言うとヴィザは一度湯から上半身を出し岩風呂の石の上に腰を下ろす。

 

「しかし、先程もそうでしたが、木場殿は少々焦りすぎかと……」

 

「ん?」

 

ヴィザの言葉に俺が反応してしまう。

先程が何をさすかはわからないが、おそらく俺のいない時に話していたことだろう。

 

「どうして……でしょう」

 

木場は少しだけ狼狽えながら返してくる。

 

「先ほどシノン殿が言っていたように。強さとは結果ではなく、そこに至るまでの過程の中にこそあるものです。今の木場殿はまさに結果のみを求めているように見える。どのような結果を……どのようなものを望んでいるのかは存じ上げませんが、ただ結果のみを求めていては、それは決して手に入ることはないでしょう」

 

さすがだなと思った。

俺はサーゼクス様からリアス・グレモリーの眷属のことについて聞かされているし、何よりも見てきたからわかっていることだが、ヴィザはそうではない。ヴィザは木場のことなど今日あっただけで知りはしないのだ。

 

にもかかわらず、ヴィザは木場の悩みを見抜いている。木場の過去からくる強さを求める気持ちに気づいている。

 

 

「焦らずに進みなさい。私達は悪魔。時間ならばたくさんある。ゆっくりでいいのですよ。少しずつ少しずつ、それでも確かに進んでいればいつか叶えることは可能なのですから。」

 

 

その言葉を聞いた木場は黙ってしまう。

いろいろと思うところがあるのだろう……

イッセーはイッセーでまた話についていけてないようだが……

 

「ふぅ、だいぶ長湯してしまいましたね。私はこれで失礼します」

 

そう言ってヴィザは立ち上がり風呂場を後にした。ヴィザが消えた後、それに倣うように俺もあがっていく。

 

その後、俺とヴィザが脱衣所で服を着替えている時に小猫達女子の声とイッセーの悲鳴が聞こえた気がしたが、俺とヴィザはそそくさと脱衣所を抜け出すと、シノン達が上がり文句を言ってくる前に寝ようと心に決め部屋へと向かっていった…………

 

 

 

 

 

 




今回はお風呂でのやり取りでしたね。
いつものように誤字脱字のご指摘や感想などお待ちしております。

ではまたお会いしましょうm(__)m

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