ダンジョンに愛を求めるのは間違っているだろうか   作:羽吹

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第14羽 イレギュラー

 

 少年がいった。

 夢がないんだ。

 

 少女がいった。

 自分がないの。

 

 青年が話した。

 希望が消えた。

 

 淑女が話した。

 愛情はお金よ。

 

 でもね、本当は嘘。

 私はね、ちゃんと持っているの。

 

 欲しいもの、欲しかったもの。

 沢山、たくさん、あった、はずなんだ。

 

 

  第14羽 イレギュラー

 

 

「新人が入ったんだよ。リュー。

 なのにね、何故か会えないんだ」

 

 廃教会に行ってもベル君に会えないのだ。

 何回行っても留守なのである。

 避けられてるの? 会ったこともないのに?

 そう目の前のリューに愚痴って。

 空になったジョッキを机に叩きつけた。

 

 遠征まで三日ある。それはつまり。

 二日酔いになってもいいということだ。

 

「ねぇ、基礎だけでも教えようかなって。

 そう思ったのにね、何でかな。リュー」

「ユウ、ちょっと飲みすぎですよ。

 相変わらずこういうことには弱いですね」

 

 特に対人関係には。

 

「こういうこと?」

「いえ。それはユウの良い所でもあります。

 危機管理は正確なので、問題もないですしね」

 

 金色の髪が揺らいで、杯が傾いた。

 今日は二人だけだ。豊穣の女主人でもない。

 適当な酒場でストレスの発散をしていると。

 

「あれ? ユウさん、ですか……?」

「ん? ミィシャ? 今頃夕食なの?」

 

 もう22時である。随分遅いな。

 

「いえ、ちょっとミスしちゃいまして……。

 エイナも手伝ってくれなくて。あははは……」

「それは、災難だったね。

 どう? 一緒に飲む? リューもいい?」

「ええ、いいですよ。しかし、驚きました。

 ユウが他人を呼び捨てで呼ぶのは珍しいですね」

 

 いや、これは敬称をつける価値を見出だせないだけだ。主に私怨が理由で。

 

「リュー、それは勘違いだ。

 この子にはとんでもないことをされたんだ」

 

 聞いてくれるかな、リュー。

 

「ギルドの、それも公式の書類を!

 更には性別の欄を。勝手に書き換えたんだよ!

 しかも、訂正するのを忘れていたらしいんだ。

 お陰で、私は三年近く性別の虚偽報告をしていたことになったんだよ! どうしてさ!」

「あ、あれはその、えっと……」

 

 リューが笑い出した。

 こんなに笑ったリューを見るのは久しぶりだな。

 

 その腹いせとして、無理矢理椅子に座らせる。

 判決。私の愚痴を聞き続けるの刑。

 

 その見返りに今日は奢ってあげよう。

 適当に料理を注文する。もう逃がさない。

 

 始めは目を白黒させていたミィシャだったが、

 次第に状況を理解したのか、おっかなびっくり食べていた。始めの内は。

 そして、酔いが回ると立場は逆転した。

 

 日付が変わる頃には三人ともぐったりしていた。

 その上、ミィシャが酔い潰れて、寝た。

 

「……リュー。お願い出来る?」

「無理です。豊穣の女主人には運べません。

 そもそも、ユウの知り合いです。

 貴方が介抱するのが筋ですよ。ユウ」

 

 あの、リュー? 私の性別、覚えてる?

 そんな私の声は虚しく響いた。

 

 ミィシャを連れて黄昏の館には帰れない。

 廃教会に帰ってもとんでもないことになる。

 その上、こんな時間に開いている宿といえば……

 

 はぁ、と溜め息を着いた。

 どうしてこうなるんだろうね。

 そう思いながら、娼婦区画に向かうのだった。

 

 ーーー

 

 目が覚めた。知らない天井だ。

 そして、私の服は何故かはだけていた。

 

 辺りを見渡して寝惚け頭で考える。ここは……?

 えっと、話でしか聞いたことはないけど。

 ここ、その。そういう所、だよね。

 …………何で、こんな所に、居るの?

 

 昨日! 昨日は何があったの!

 確か、大事な書類を無くして、怒られた。

 復旧作業に掛かって、残業がたくさん増えた。

 しかも、エイナは手伝ってくれなかった。

 その後、ヘロヘロになって食事に行くと。

 

 ユウさんに会ったんだ。

 『赤姫』ユウ。私の担当冒険者だ。

 といっても、レベル6なこともあって、

 サポーターのような仕事をした記憶はない。

 

 それでも、(主に私のミスで)関わりの多い人だ。

 そして、酒場でユウさんとその知り合いのエルフさんが二人で飲んでいた。

 

 私はそこに加えられて、三人で飲んだ。

 私は残業のせいか大量に飲んで……それから……

 

 ……。

 …………。

 ………………。

 

 き、記憶が、な、い……?

 そして、ここは、その、そういう、所で。

 

 …………え?

 …………嘘でしょ?

 

 その、ユウさんなら、まだ、その、まあ。何というか、その、ねぇ。でも、えっと。

 

「起きたんだね。もう9時だよ。

 お互いに遅刻だね。どうしようかな」

 

 そんな時に、扉が開いてユウさんが入ってきた。

 

 私を見て、何かを差し出してきた。

 はい、これ。二日酔いの薬。

 と、薬を手渡された。

 

 これ、本当は、その、アフター、とか?

 

「……? どうしたの? ミィシャ?」

「そ、その。わ、私……」

「えっ、ちょっと、何で泣いてるの?」

 

 だって、こんなのって……。酷い。

 

 ☆ ☆

 

 酷い勘違いを受けた。

 

 あの後ミィシャにとんでもない悪態を吐かれた。

 そして気付く。何て勘違いをしてるんだ。

 状況証拠はあるけども! 私はやってない!

 

 そう伝えると、更に泣かれた。

 どうすれば良いんだ。私も泣きたくなった。

 

 ベッドをミィシャに渡したせいで、

 私は寝てすらいないというのに。

 その上、ベッドから転がり落ちた彼女を戻したりしていたのだ。

 

 ミィシャを宥めて、説得した頃には、もう正午だった。

 ロキ・ファミリアの仕事、どうしよう……。

 

 取り敢えずは、私よりもミィシャだ。

 私たちの飲み会に付き合わせた結果でもある。

 ギルドには私も着いていくか……。

 

 その後、私がベル君との事で早朝からミィシャと話をしていた、ということで通した。

 この話は間違ってはいない。

 早朝(AM0時)に愚痴を聞いて。

 それから何だかんだあって、この時間になってしまった。

 うん、間違ってはいない。

 

 その事もあって、ミィシャはあまり怒られなかった。それは良いことだ。

 だが、私はそうはいかなかった。

 

 怒られた。リヴェリアから。

 襲われた。アイズから。

 

 まずは前者だ。

 魔法の連係の練習をサボったのだ。

 まあ、私の役割はリヴェリアと後方殲滅だ。

 よって、連係はリヴェリアと取ることが多い。

 全体に大きな被害がでなかったので、まだいい。

 

 後者が問題だった。

 レベル6に上がった私はアイズと模擬戦を頻繁に行っていた。私から頼むこともある。

 反応の確認なども含んでいるからだ。

 

 なのに、サボった。

 アイズさん、待ちぼうけである。

 レフィーヤも、待ちぼうけである。

 

 ……。うん、昼食代が三人前になった。

 昨日も奢ったのに……。

 

 ☆ ☆

 

 三日が過ぎた。

 あれから三回は廃教会に行ったのだが、

 その三回とも誰もいなかった。

 

 空き巣に入り放題である。

 お金なんて置いてないけど。

 

 結局、私はベル君には一回も会えなかった。

 

 そして、私はファミリアに迷惑をかけた罰として

 ギルドに遠征の手続きに行ったのだ。

 そこでミィシャに会ったりしたのだ。

 

 そして、遠征が始まる。

 

 ーーー

 

「左翼、もう少し下がって!

 そこだと遊撃が遅れるんだ!」

 

 フィンの声に同調するように声が響く。

 遊撃部隊の指揮を担当しているティオネだ。

 

「ティオナ、左翼支援、行ける?」

「当然! 取り敢えずぶった切れば良いんでしょ?」

「……アイズ! 左翼お願い!」

「何でさー! 納得いかなーい!」

 

 その指示に頬を膨らませるティオナと、

 嬉々として飛び込むアイズ。

 結果的にはどっちも変わらなかっただろうな。

 

 案の定敵の一部を殲滅してしまい、

 他の場所にモンスターが集まる。

 

 そこにベートが突っ込み、更に乱れる。

 それをガレスが上手く捌いて、通常状態に戻す。

 

 だが、すぐには体勢は整わないし、戻らない。

 崩れた左翼から2、3匹が突破した。

 こういうイレギュラーを殲滅する筈のレフィーヤが、(ひる)んで詠唱を止めた。

 そこにアイズが割り込んで、殲滅した。

 

 そして、私とリヴェリアの詠唱が完成する。

 

「ユウ、私に合わせろ。できるな?」

「うん、問題ないよ。私はいつでも行ける」

 

 そして、世界の色が一変する。

 

 左はリヴェリアの『レア・ラーヴァテイン』

 右は私の『雪の世界』だ。赤色と、白色。

 

 炎と雪が二分して、せめぎ合って消える。

 その後には、何も残らない。魔石すら残らない。

 元の荒野が広がっているだけだった。

 

 事前の練習が出来なかったが、問題はなかった。

 もう何年もリヴェリアとは連係しているからね。

 

 迷宮49階層。階層主(バロール)は居なかった。

 が、問題の多い戦闘だったね。特に遊撃が。

 これはアイズとベートは絞られるだろうな……。

 

 ーーー

 

 迷宮50階層。安全地帯だ。

 安全地帯といっても、モンスターが産まれないだけで、出現しないわけではないが。

 

 ベースキャンプを作って、怪我人を介抱する。

 リヴェリアが主導して、怪我人の治療する。

 アイズたち遊撃部隊は本丸に呼ばれた。

 

 私はレフィーヤを連れて、調理班へ。

 下処理を終わらせていると、アイズたちが帰ってきた。

 

「アイズさん、先程は助けて頂いてありがとうございました」

「怪我は平気? レフィーヤ?」

 

 はい、とレフィーヤは答えている。

 

「でも、レフィーヤは落第だよ。

 左翼から突出した敵に怯えて、詠唱を止めたね。

 何のために、普段は一人で実践させてると思っているの? こういうときに対応できる……」

「ユウ、最下層と上層では勝手が違いすぎるよ」

 

 ふむ、アイズの言うことも最もだな。

 そもそも、説教で押さえ付ける場面ではないか。

 

「うん、分かった。アイズの言うことも最もだ。

 ただ、忘れないで。レフィーヤは、決して一人で戦っている訳じゃない。仲間がいるんだ」

 

 昔の私とは、違って。

 

「はい。だから、仲間を信じて戦え、ですね」

 

 ユウさんが良く言うことですから。

 もう覚えました。と、返される。

 

 うん、それで良いと思う。

 レフィーヤは、私とは根本から正反対だから。

 

「それじゃ、話も終わったところで、料理よ!

 団長の胃袋を掴むの! 餌付けは基本よ!」

「餌付けって……。フィンさんは動物じゃ……」

 

 レフィーヤの必死の説得も虚しく、

 料理大会が、始まった。

 

 ティオナが男鍋を作り、ティオネは餌を作った。

 いや、だってあれはもう餌だよ。

 火は通ってないし、具はぶちまけるし……。

 

 アイズも酷かった。乾パン切っただけって。

 切っただけって……。

 

 結局、私とレフィーヤで料理を作った。

 

 ☆ ☆

 

「アイズ、ここは、窮屈かい?」

 

 フィンの言葉を、否定できない。

 

「……私は、もっと強くなりたい。

 フィン、リヴェリア、ガレス、ユウと同じ、

 レベル6に、なりたい。早く、行かないと」

 

 最後は、強迫されるように。

 もっと、もっと、早く。

 早く、早く、あの背中に。

 幼い頃に見た、憧れた、あの──

 

「そんなの、私だってそうだよ。アイズ」

 

 ティオナの声が。

 

「当然、私もね」

「ハッ、んなの当たり前だろうが!」

 

 ティオネの声が。ベートの声が。

 

「だからさ、アイズはね。一人じゃないんだ。

 一緒に強くなろう? ねっ、アイズ」

 

 私の中に、入ってきた。

 そっか、別に一人で走っている訳じゃないんだ。

 皆で、一緒に進んでいけば良いんだ。

 

 目の前で、フィンとリヴェリアは笑っていた。

 

 その後に、レフィーヤと話して。

 ユウからレフィーヤを庇ったり。

 

 皆と料理をして。楽しかった。

 これが、仲間。なのかな。

 

 ーーー

 

 食事の席だ。

 大鍋を囲って、皆で食べる。

 

 だが、フィンだけは別メニューで、餌だ。

 フィンの目が死んでいる。可哀想に。

 

 しばらく餌を見つめた後、何を思ったのか、

 フィンは鍋に餌を投入した。

 何てことをするんだと、皆の表情がそう叫んだ。

 

 だが大丈夫、のはずなのだ。

 ちゃんと煮沸消毒はされている。

 ある程度異物が投入されても、大丈夫。

 大丈夫なんだと、信じよう。

 

 言い聞かせて、食べる。

 ………………………………これは!?

 

 …………まずい! 言葉では言い表せない味だ。

 

「それじゃあ、今後のことを話し合おう」

 

 皆で押し付け合うように食事をしながら話す。

 

「クエストをやるよ。採集品は、カドモスの泉。

 51階層で採取する。そこで、だ。

 班を2つに分ける。アイズ、ティオネ、ティオナ、レフィーヤの班。

 僕、ガレス、ベート、ラウルの班だ」

 

 驚いた声が響き、その隙に料理を口に突っ込む。

 むー、と唸った声の後に、もう一度声をあげた。

 

「私がメンバーですか!? そんな、無理です!」

「すまない、レフィーヤ。

 ユウ、リヴェリアたっての推薦なんだ」

 

 そんな! と叫んで、私を見る。

 

「大丈夫。実践で得られるものは、多いから」

「説明になってません!」

 

 うー、と唸るレフィーヤに料理を与えて落ち着かせてやる。たーんとお食べ。

 

 私に何を言っても無駄だと悟った彼女は、

 今度はリヴェリアに抗議をしたが、料理を与えられた上で、断られた。可哀想に。

 

「そして、拠点防衛はユウとリヴェリアだ。

 本当はユウには僕たちの班に加入してほしかったんだけどね。今回も怪我人は少なくない」

 

 リヴェリアにもサポートが必要だ。

 

 そう言ったフィンだが、この采配は明らかに後進育成も視野にいれているね。

 

 ☆ ☆

 

「さて、ユウは炊事などの指揮をしてくれ。

 私は怪我人の様子を見ている」

 

 役割を分け振って、お互いに動く。

 色々と雑務をこなしていると、伝令が来る。

 

 未確認のモンスター? それも大群だと?

 リヴェリアに通達。弓兵を差し向ける。

 未確認モンスターに出し惜しみはない。

 

 私も前衛に行く。後衛はリヴェリアに任せる。

 弓では大群の勢いは止まらないか。

 遠距離魔法、はまだ。まずは研究しないと。

 遠距離で潰して情報がありません、は笑えない。

 

 簡単な氷柱(つらら)。射出。

 一匹。凍りついた。ふむ、魔法は有効、と。

 視界を塞いでも駄目。何か特殊な感知だね。

 

 水で圧殺。あれ? 何か飛び散った?

 もう一度。これは、破裂してる。

 芋虫型、爆発、か。毒の可能性が高い。

 

 そろそろ前線に接触するね。

 倒したら破裂する。気を付けるように。

 後は、たぶん毒を持ってる、と通達。

 

 だが、問題が発覚した。溶けるらしい。

 武器も、防具も、盾も、だ。

 物資の消費が激しくなるな。

 

 取り敢えずリーチのある武器で簡易の前衛壁役(ウォール)

 弓での援護、魔法での遠距離で仕留める。

 魔導士が足りないので、撤退しながら戦線を維持する。

 

 目的は時間稼ぎだ。もう情報は得たのだ。

 

 だから。潰す。

 

 合図を送って、前衛を撤退させる。

 すると、一時的に芋虫さんの群れは孤立する。

 

 『雪の世界』

 世界が、凍る。

 地面が、空気が、天井が。

 指向性をもって、白く染まる。

 

 芋虫たちが一匹残らず凍る。

 凍った外郭から針が内側に飛び出して。

 破裂した酸は氷を水に変え。そして凍る。

 溶ける速度よりも凍る方が早いのだ。

 

 後には、芋虫型の氷の彫像だけが残った。

 

 これで、終わり。

 

 ーーー

 

「流石だな、ユウ。もう終わったか」

 

 私の出る幕はなかったな、と嘯かれた。

 

「リヴェリア。そうでもないよ。

 物資が、特に装備が持っていかれた」

 

 これでは、遠征の続行は厳しい。

 

「相手は未確認モンスターだ。致し方あるまい」

 

 私とリヴェリアで事後処理と、安全確認の指示。

 やっぱり、物資がキツいな。

 デュランダルは通じたので、対策はできるか。

 

 そんな中、フィンたちが帰ってきた。

 

「ユウ、リヴェリア。聞きたいんだけど。

 あの悪趣味な芋虫の氷像は、いつできた?」

「ほんの30分程前だよ。急に襲われた。

 情報は取ったけど、要る?」

 

 その様子なら、そっちも襲われただろうしね。

 

「いや、今はいい。取り敢えず、撤退するよ。

 いつまたあの芋虫に襲われるか分からない。

 こんなことが続けば大赤字だよ。それは困る」

 

 それはそうだ。一匹に武器一本使うのだ。

 明らかに採算が会わない。

 

「えー、撤退するの? ここまで来て?」

「物資が足りねぇ、って言ってんだろ」

 

 何だよベートの癖に分かったような口を! 本当は分かってないんでしょー?

 

 と煽って。

 

 ふざけんなこのバカゾネス! 分かってねぇのはお前だろうが!

 

 と罵り合う。

 

 うん、良いことだ。こういうイレギュラーでも、

 ちゃんと平常心を保っている。

 

「ラウルとティオネは?」

「ラウルが腐食液を浴びた。今は治療中だ」

「分かった。なら、死者は居ないね。

 撤退の準備はもう始めてる。後10分あれば……」

 

 音が届く。下層の地面が、へし折られる音。

 少しの後に、巨体が現れた。

 六M(メドル)はある、人型の青緑の巨体。芋虫型の変種?

 

「人型、だと……!」

「ああ、こんなモンスターは見たことがない。

 リヴェリア、何か知っているかい?」

「いや、見たことも聞いたこともない」

 

 イレギュラーだね。

 問題は倒せないことじゃない。

 倒すことは、私一人でも、多分できるだろう。

 

 問題は、倒した後だ。

 芋虫と同型なら、破裂する。

 これでは、ファミリアのメンバーに被害が出る。

 

 幹部達なら、倒せるか……?

 私やアイズが相手をするのが一番だが。

 私なら、凍らせて腐食液を止められる。

 アイズなら、エアリアルで弾ける。

 

 決めるのは、全員の指揮権を持つフィンだ。

 

「……アイズ、撤退の時間を稼いだ後あれを討て」

 

「一人でだ」

 

 成る程、私は今回は留守番、かな。

 

「待ってください! せめて援護だけでも!」

「駄目だ。今は撤退の準備を急げ。

 それができれば、アイズも全力で戦える」

 

 この采配、アイズのガス抜きも兼ねてるな。

 仕方ない、簡単な保険だけは掛けておこう。

 

「アイズ、ちょっと」

「何、ユウ?」

「簡単なサポート用の魔法だよ。

 エアリアルが間に合わないときにでも使って?」

 

 ただの保険、といって細氷を一つ着ける。

 まあ、ただの保険だけど。

 

「うん、分かった。それじゃあ、行ってくる」

 

 そう言って、アイズは駆けていった。

 




遅くなりました。
理由は活動報告にて。

ベル君、君にはいつ会えるんだ。
それと、恋愛については(今のところ)入れる予定はありません。
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