ダンジョンに愛を求めるのは間違っているだろうか   作:羽吹

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 ユウ視点ではないので、原作寄りの雰囲気に。
 三人称難しぃ。



第15羽 金色の目標

 眩しいんだ。

 綺麗で。眩しいから、憧れて。

 

 必死に近づこうと、努力して。

 

 必死に自分の可能性を信じて。

 

 必死にまだ諦めないと叫んで。

 

 目が焼けた。

 綺麗で。あんなに眩しいから。

 

 目指したものには、決してなれない。

 

 

  第15羽 金色の目標

 

 

「アイズ、ティオネ、ティオナ、レフィーヤの班。

 僕、ガレス、ベート、ラウルの班」

 

 この二つの班に分けて、採取を行う。

 団長のフィンさんがそう言って。

 私はその言葉を反芻する。

 

 アイズ、ティオネ、ティオナ、()()()()()

 

 レフィーヤ? 私?

 あの、私まだレベル3です、よ?

 

「私がメンバーですか? そんな、無理です!」

 

 その叫びは虚しく響き。

 ユウさんとリヴェリア様に相手にされなかった。

 

 そもそも、失態を犯したばかりなのだ。

 ユウさんには怒られたけど、アイズさんに庇って貰えて、嬉しかった。じゃなくて。

 私に、出来るのだろうか。自信がない。

 

 ユウさんは、強い。恐ろしく、強い。

 近接戦闘において、アイズさんとも互する実力、

 遠距離魔法においても天才的だ。

 加えて、平行詠唱等の技術はオラリオにおいて、最高だと謳われている。

 

 なのに、ユウさんに教えてもらっていても、

 私の平行詠唱はまだまだ未熟で。

 モンスターに怯えてしまったりして。

 アイズさんたちの足手まといなだけだ。

 

 ユウさんやリヴェリア様の代わりに、私が入る。

 そんなことは出来ない。私には務まらない。

 

 そう言っても聞いて貰えず、探索が始まった。

 

 ーーー

 

「いっくよーっ! てりゃぁ!」

 

 巨大な双刃が、モンスターを切り裂いて。

 力任せの断頭が、叩き付けられる。

 

「前に出すぎよ! アイズ、フォローお願い!」

「分かった」

 

 怒鳴り声と、静かな声。

 次いで聞こえた声のすぐ後に、風が走る。

 ティオナの近くにいたモンスターが吹き飛んで。

 金色の銀閃が瞬いた後には、何も残らない。

 

「あたしは、右をやるねー」

「うん、じゃあ、左は貰うよ」

 

 言い切らない内に、二人ともが飛び出した。

 吹き飛んでいくモンスター。

 荒れ狂う悲鳴と怒鳴り声。

 

「前に出過ぎるなって言ったでしょ、二人とも!」

 

 あーもう、何でこうなるのよ! と叫んで。

 もう何でもいいわよ、面倒くさい、と。

 そう頭のネジが飛びかけたところで。

 

 レフィーヤ付近にモンスターが居るのが見えた。

 投げナイフ。投擲。目に。止まらない。

 

 レフィーヤの前に飛び込んで、

 モンスターの顔面を切り取った。

 

 倒れたモンスターとともに。

 レフィーヤの詠唱が止まった。

 

 しばらくして、前衛から音が止んで。

 帰ってくるアイズとティオナが戦闘の終了を意味していた。

 

「すいません。私、また。役に立てなくて」

「まあまあ、こういうこともあるって」

「うん。そもそも、今回のことはモンスターの接近を許した私たちの責任」

「その通りよ。前に出過ぎるなっていったのに」

 

 ……ごめん。とアイズたちが謝って。

 

「あの、私。足手まといですよね」

 

 沈み込んだ後輩の声が聞こえて。

 アイズはどう返したものか、と悩む。

 

「そんなことはないって。

 レフィーヤならやれるって、リヴェリアもユウもそう思ったからここに居るんだから」

 

 もっと自信を持って。と続いた声に。

 叫び声が返される。

 

「そんなことはありません!!」

 

「ユウさんなら、リヴェリア様なら。

 さっきの状態でも、対処できたはずです!」

 

 少し涙ぐんだ声に。

 どう返したらいいのかが分からない。

 

「ユウさんなら、戦いながら詠唱ができます!

 リヴェリア様なら、退避と詠唱を同時にこなしたでしょう。

 私は、どちらもできません」

 

 守って貰っているだけです。

 小さく呟いた声は、だけど迷宮には響いて。

 

「レフィーヤと私たちとじゃ、役割が違うよ」

「そうね。ユウみたいなオールラウンダーなんて、

 目指すものじゃないわ。成っているものよ。

 まずは、自分にできることをやりなさい」

「うんうん、あたしたちは何度だってレフィーヤを守るよ」

 

 だからね。

 

「今度は、レフィーヤが私たちを守ってね」

 

 ちょっと、その台詞、あたしのだって!

 え。……ご、ごめん?

 いや、謝らなくてもいいけどさー。

 

「それじゃ、魔石を回収しましょう」

 

 それを合図にして、二人一組に別れて行動を始めた。

 

 ☆ ☆

 

 目的地に着いた。カドモスの泉である。

 

「カドモスが、居ない……? でも、気を付けて。

 泉から飛び出して来るかもしれないから」

「そんなわけないでしょ」

 

 えっ、と微かに驚いた顔をするアイズさん。

 昔に何かあったのだろうか。

 

「にしても、ドロップアイテムを未回収なんて。

 これ、ちょっと嫌な予感がするわね」

 

 泉水を採取しながら、皆で会議。

 まずはフィンたちと合流することを決める。

 

 急いで引き返そうとしている時に。

 

「あああああああああああああっっ!!」

 

 悲鳴。腹の底まで響くような、絶叫。

 

「この声、ラウルの声!?」

「急ぐわよ!」

 

 悲鳴の方向に走る。

 モンスターを速攻で倒して。

 最短距離を最速で駆け抜けていく。

 

 そして、見た。

 芋虫だ。緑色と黄色が混ざった毒々しい色。

 巨大な芋虫に追いかけられているフィン、ガレス、ベート。ラウルはガレスに担がれている。

 

 あんな芋虫は見たことがない。多分、新種だ。

 ティオナが飛び出して、芋虫に肉薄する。

 

「よせ、ティオナ!」

 

 団長の言葉を無視して切りかかったティオナは、

 武器を芋虫に突き刺して。その武器が、溶けた。

 

「無理だ。その芋虫は腐食液を吐く。

 何体かは倒せても、全滅はさせられない」

 

 つまりね。と、フィンが1拍を於いて。

 

「魔法が、必要だ。

 全力で後退しながら、あの大群を殲滅できるだけの魔法を撃ち込むしかない」

 

 それはつまり、間が悪いと言うこと。

 

「あーもう! 何でこんなとき限って!

 リヴェリアもユウもいねぇんだよ!」

「まったくじゃ。あの二人なら対処できるものを」

「その、ごめん、なさい。私じゃ……」

 

 落ち込んだような声に、静かな声が返される。

 

「レフィーヤ。自分のできることを、だよ」

「そう、それでもこの状態では貴女が頼りなの」

「っ、前からも来たよ!

 全員、右手側のルームに飛び込め!」

 

 前方からも緑色と黄色の群れが押し寄せ。

 全員でルームに飛び込んだ。

 

「ティオネ、全員に武器を渡せ。

 その後、後方でラウルを治療しろ。

 レフィーヤ、広域魔法の準備。急げ!」

「何でこんな武器を! 溶かされんだろ!」

 

 フィンの指示にベートが反発して。

 

「いや、そうじゃない。親指がうずうずいってる。

 恐らく、来るんじゃないかな」

 

 その呟いた後に、迷宮が牙を向いた。

 一面の壁から、モンスターが現れる。

 

 モンスター・パーティーだ。

 後ろからは芋虫も迫っている。

 

「アイズ、デスペレートを僕に。

 エアリアルがあれば、アイズは戦えるね?」

「うん」

「よし。レフィーヤ! この戦闘の要は君だ。

 詠唱が完成させ次第、合図を送って、撃て」

「はい、分かりました」

 

 壁際にレフィーヤたち後衛を配置して、

 彼女たちを守るように、戦闘が始まった。

 

 ーーー

 

 全力で撃つ。出し惜しみなんてしない。

 

 今この時において、私がやらなくちゃならない。

 ユウさんも、リヴェリア様も、居ないから。

 

 私のできることを、やるんだ。

 それが、皆の役に立つって言うこと。

 

 だから。

 

「撃ちます!」

 

『ヒュゼレイド・ファラーリカ!』

 

 魔力弾が、全体に降り注いだ。

 焼ける音と、着弾の轟音が空間を支配して。

 燃えて、破裂して、蒸発して、壊す。

 

 全てのモンスターが跡形もなく燃え尽きた。

 

「なんつー火力だ。くそっ、毛がちょっと焦げた」

「がはは、ここまで景気がいいと気持ち良いわい」

 

 そんな呟きが聞こえて。

 

「ほ、殆どのマインドを注ぎ込んだので、その」

「それでも、助かったよ。レフィーヤ」

「アイズさん……!」

 

 誉められた。嬉しい。

 

「良くやった。レフィーヤ。

 皆、すぐにベースキャンプに戻るよ!」

 

 芋虫が来たのは、50階層の方向からだ。

 キャンプが心配だ。と団長が言って。

 

 私たちはキャンプまで戻ることになった。

 

 ☆ ☆

 

 芋虫の彫像を見たことがありますか?

 

 私はありません。見たくもありません。

 何これ? すっごい精密なんですけど!

 

 巨大な芋虫の氷像が大量に立ち並ぶ景色。

 

「うわぁ。気っ持ち悪いんだけど」

「……ユウ。これは、悪趣味」

「おい、顔が青いぞ。大丈夫か、アイズ」

 

 アイズさんたちとは裏腹に、団長が呟く。

 

「ユウの魔法だろうね。リヴェリアのものよりも威力は低いが、無駄が少ない。

 それも、凍らせるだけではなく突き殺してある。

 だがこれは悪趣味だな。気持ち悪くなりそうだ」

 

 はぁ、と溜め息を着いた。

 

「まあ、この様子ならベースキャンプは無事だろうね」

「そうじゃな。騒ぎも聞こえん。既に殲滅した後じゃろう。

 心配するだけ無駄じゃったな」

 

 その言葉の後、一応は急いでキャンプに戻った。

 撤退の準備は始まっていて、私たちも手伝う。

 

 その時。大型のモンスターが現れた。

 下の階層から、地面を突き破って現れたのだ。

 

 そして、団長の指示で、そのモンスターをアイズさんが単独で討つことになったのだ。

 

 ーーー

 

 引き付ける必要がある。

 撤退の準備を稼ぐためだ。

 

 キャンプの方にも腐食液はばらまかれてはいる。

 だけど、今は氷と炎で被害は出ていない。

 ユウとリヴェリアが防いでいるのだろう。

 

 だが、巨体がキャンプに向かえば。

 流石に被害は出てしまうだろう。

 

 だから、引き付けなければならないのだ。

 扁平とした腕の一部を切りつける。

 私だけを狙わせて、誘導する。

 

 腐食液が鉄砲水のように吹き出される。

 斜め後ろに飛んで回避する。

 飛び散った腐食液を風で弾く。

 

 うねった多脚の一本を切り落とす。

 ちぎられた脚が膨らむのを確認して。

 巨体の周りを時計回りに回転。

 

 脚を何本か落としていると、

 扁平とした腕が回転する。

 4本の腕を受け流していく。

 1本、2本、3本、と避わして。

 4本目の腕が受け流せずに、受ける。

 

 吹き飛ばされた先で、エアリアルを展開。

 体勢を立て直して、デスペレートを上段へ。

 既に眼前に迫る腐食液は避けられない。

 避けられないのなら、避けなければいい。

 

 つまり、叩き切る。

 全力で、デスペレートを降り下ろす。

 腐食液が左右に別れて弾け飛んだ。

 私にはエアリアルのお陰で一切届かない。

 

 業を煮やした巨体は、極彩色の粉塵を展開。

 その一帯が破裂して、全体に及ぶ。

 粉塵爆破だ。けど、これは大丈夫。

 エアリアルで十分に対処できるからだ。

 

 粉塵を私の周りから吹き飛ばす。

 特に後ろ側に粉塵の濃度を上げる。

 爆風が届いて、利用して近付く。

 

 空中戦は得意だ。

 昔に白い誰かに空に閉じ込められたから。

 

 爆風をエアリアルで調整する。

 指向性を持たせて、波に乗るように。

 扁平とした腕を掻い潜って、空中遊泳。

 

 腐食液を避わして、時には叩き切って。

 腕の一本を切り取って、その爆風で離れる。

 極彩色の粉塵を放ってきたので、利用する。

 空中で方向を転換しながら、もう一度近付く。

 

 腕を切り付けていると、巨体が震えた。

 何もない顔が裂けて、腕が膨らむ。

 嫌な予感がして、退避しようとしたけど。

 

 遅かった。一気に膨らんで、破裂した。

 腐食液が噴水のように吹き出して。

 駄目だ。避けられない。なら。

 

 エアリアルを全力で展開する。

 噴水状の腐食液は薄い。凌ぎきれる。

 そして、見通しの甘さを悟った。

 

 扁平の腕が迫っていた。

 これはエアリアルでは防げない。

 

 覚悟を決める。一気に腕を掻ききる。

 エアリアルを展開したまま、腕に着地。

 デスペレートで切りつけて跳躍。

 右下の腕から、左上の腕へ飛ぶ。

 

 先程落としたのは右上の腕だった。

 だから、右の腕は全て切り落とした。

 左上に着地して、デスペレートを突き刺す。

 

 まだ左上の腕は切らない。

 腕を足場にして、左下へ跳躍。

 左下の腕を切り取って。爆風が起こる。

 

 その爆風に乗って、回転しながら上昇。

 左上の腕を掻き切って、その爆風に乗じて、

 一旦安全なところまで退避する。

 

 案の定、切られた場所から腐食液が吹き出した。

 あのままあの場所にいたら、エアリアルを使わされていた。

 

 今さら気づいた。

 既に撤退が完了した合図が送られていた。

 

 またしても極彩色の粉塵が舞った。

 それは私の追い風になる。もう、終わらせる。

 

 地面の一部を切りとる。

 そして、粉塵爆破が起こる。

 地面ごと私を浮かせたのだ。

 

 この技には、足場が必要だから。

 無理矢理にでも足場を作ったのだ。

 

 足を曲げて、予備動作。

 捻って、溜めて、見据えて、

 

 私は、風になる。

 

「リル・ラファーガ!」

 

 神速で巨体に接近。着弾。突き抜ける。

 空中で勢いを殺しながら、巨体に向き直って。

 その巨体が爆発したのを確認する。

 

 って、腐食液が凄い勢いで襲ってくる!

 エアリアル! 駄目、吹き飛ばされる。

 死にはしないだろうけど、体を打ちかねない。

 

 キンっ、と音がして。

 私に着いていた細氷が光って。

 私を覆うように氷が展開された。

 

 氷ごと吹き飛ばされた。

 エアリアルで調整して、地面に着地。

 

 うん、何とか、なった。

 この氷、かなり柔らかいのだ。

 衝撃が吸収されて、私にあまりダメージが来なかったのである。

 

 ☆ ☆

 

「まだ行けたのにー! 暴れ足んなーい!」

「あんた、武器溶かされたでしょ」

 

 何言ってるの、と続いた。

 

 今回の遠征の目的地は59階層だった。

 なのに、50階層で撤退したのである。

 

「武器がないのに進めるかよ」

 

 ベートがそう返して。だが、真実だった。

 芋虫の腐食液で武器の殆どが溶かされたのだ。

 

 そのまま、何人かの愚痴が聞こえて。

 

『ヴォオオオオオオオオオオオ!』

 

 と、唸り声が聞こえた。

 大量のミノタウロスである。

 

「うわぁ、凄い数。私が落としていい?」

「ユウはベースキャンプで暴れたじゃん!

 今回はあたしに譲って欲しいなー」

「二人とも、あんまりやり過ぎちゃ駄目よ。

 下の団員に経験を積ませてあげなさい」

 

「ラウル、フィンからの言い付けだ。

 後学のためにお前が指揮を取れ。いいな」

「は、はい! 分かりました!

 その、ティオネさん、ティオナさん、ベートさんは前衛のサポートをお願いします。

 ユウさんとリヴェリアさんは、後衛でいざというときの備えをお願い……」

 

 その時だ。信じられないことが起こった。

 余りに隔絶した戦力差にミノタウロスが恐れたのだ。

 

 ロキ・ファミリアは先程まで最深部に居たのだ。

 中層のモンスターでは、束になっても勝てはしない。

 

 そして、逃げ出した。

 まさかの敵前逃亡である。モンスターが。

 

「追え! お前たち! 一匹たりとも逃がすな!

 パニック状態のモンスターが何をするか分かったものじゃないぞ!」

 

 リヴェリアの号令。

 止まっていた動きを取り戻して、アイズたちは走る。

 

 ミノタウロスたちは最悪なことに上層に向かう。

 ティオネが17階層で指揮を取って。

 ユウとレフィーヤで15階層辺りを担当。

 10階層辺りはティオナが陣取った。

 

 更に上層に向かったミノタウロスは、

 敏捷の高いアイズとベートが担当した。

 

 ーーー

 

『ヴォオオオオオオオオオオオ!』

「にゃあああああああああああ!」

 

 転げる。凄い声が出た気がする。

 少し前まで僕がいた場所に拳が降って。

 ボゴォ、と音をたてて地面が嘘のように凹んだ。

 

 いや、無理。あれ無理。物理的に無理。

 

 何で凹んだの!?

 腕を降り下ろした時の音が。

 ヒュン、じゃなくて、ビュン、ドカン。

 

 あれに当たったらグチャ、が追加されると思う。

 

 ごめんなさい。

 迷宮に邪な夢を見てごめんなさいぃぃぃ!

 

 ドズン、とミノタウロスの蹄が地面を抉って。

 その衝撃で僕は吹き飛ばされた。

 

 地面に臀部を落として、後ずさる。

 ミノタウロスが僕に向かって突進を開始して。

 

 コツン、と後ろの壁に背中が当たった。

 目の前には巨体が眼前に迫っていて。

 

「あ、死んだ……」

 

 数秒後の未来を幻視した。

 その未来が確定しようとして。

 

 ミノタウロスが止まった。

 脚が胴体と切り離されていた。

 次いで腕が胴体と切り離されて。

 その胴体から首が弾け飛んでいった。

 

 胴体が数十もの肉塊に成り下がって。

 動脈が切り刻まれて、血が吹き出した。

 

 生臭い赤色が僕に降りかかって。

 だけど、目の前の金色の人物には、降りかかっていない。

 

 それはそうだ。モンスターの血なんて。

 好き好んで浴びたいと思う人は居ないだろう。

 

「……大丈夫ですか?」

 

 そう聞かれて。

 僕の心臓は大丈夫じゃなかった。

 

 ばくばくと。どくどくと。

 爆発しそうなほどに、強く跳ねた。

 

「う、ぅわぁああああああああ!」

 

 恥ずかしくなって。全力で疾走。

 上へ。上へと、全力で走る。

 

 急激な運動による動機よりも。

 僕の心は強く、強く叫んでいた。

 

 僕は、あの金色の人に、憧れたんだ。

 




原作を纏めながら書いている感じですね。
ユウ視点じゃないと、こうなるようです。

でも、第三者からの主人公の描写は楽しいです。
15羽にはそういう描写は少ないけど。

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