天罰代行   作:神納豆

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どうも初めての方は初めまして。
そうでない方はどうもです。
神納豆でーす。
新作ですね、はい。
どうぞご覧下さーい。


崩れはじめた日常

 日が傾き薄暗くなった森のなかを三人組のパーティーが駄弁りながら歩いていた。

 

 パーティーは男が三人。全員中層では十分に戦える装備をしており、スキル熟練度もそれなりにあるようだ。

 

「今日も何事もなく終われたな」

 

 背中に大きな盾を背負い、腰にメイスを下げた鎧姿の男が言う。

 

「なぁ、そろそろメインの階層一つ上に上げないか?」

 

 片手剣を装備した軽装の男が提案する。

 

「そうだな、俺たちのレベルも上がったし、スキルや武器も充実してる。

 俺はいいと思うぞ。メイズの意見に賛成だ。ギースはどう思う?」

 

 そう言って鎧姿の男——ミルガード——か一歩後ろにいたギースという男に話しかける。

 

「へっ⁉︎あっはい。えっと…僕もミルガードさんに賛成です」

 

 ギースは背中に槍を背負いメイズと同様に軽装をしていた。

 

「相変わらず堅いってギース!もっと気楽にいこうぜ!」

「えっ、でっでもメイズさん」

 

 メイズがギースの肩に手を回すが、ギースは困惑した様子だ。

 

「やめろメイズ。ギースが困ってるだろ」

「ちぇっ、ミルドも堅いっての。もっとくだけた感じでいいのによぉ」

 

 舌打ちしてメイズは先を歩き出す。

 

「はぁ、いつもメイズの奴がすまないな」

「いっいえ!ミルガードさんが謝ることないですよ!

 メイズさんは暗い僕にも明るく接してくれるので助かってます」

「そうか」

 

 そのギースの言葉を聞いてミルガードは顔をくずす。

 

「おーい!何やってんだ二人とも!おいてくぞ〜!」

「ああ、今行く!」

 

 ミルガードとギースは先に行ったメイズを追いかけて走って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 三人が立ち去った道に、木の上から人が飛び降りてきた。

 

 

 その人影は三人が歩いていった方向を向いていた。

 

 

「次はあの方々ですか、神よ

 

 

 では私めがあなた様に代わり、あの者たちに神の教えを説いてきましょうぞ」

 

 

 その人影はそうつぶやくと姿を消した。

 

 

 頭の上にオレンジに輝くカーソルを携えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん?」

 

 先頭を歩いていたメイズが何かを見つける。

 

「どうしたメイズ」

 

「いや、あそこ誰かいるぜ」

 

「何?」

 

「こんな時間にですか?」

 

 現在午後6時、もう辺りはかなり暗くなってきており、そう時間の経たないうちに完全な暗闇に包まれるだろう。

 メイズ達もかなり遅くまで狩りを続けていたため、少し急いでいたところだ。

 

 

 そこにいた人影はかなりの大柄な人だ。背中にこれまた大きな両手剣が吊ってある。

 

 

 そしてその頭の上にはオレンジ色に輝くカーソル、すなわち犯罪者プレイヤーだ。

 

 

 そのことに気付いたメイズ達はすぐさま己の武器を構える。

 

「こんばんは、皆さん。

 どうしたのです?そのような物騒なものを構えて」

 

 そのオレンジプレイヤーは笑顔を浮かべて話しかけてきた。

 

「犯罪者が俺たちに何の用だ」

 

 厳しい顔のミルガードがオレンジプレイヤーに問い掛ける。

 

「自己紹介がまだでしたね。

 私の名はディヴァイン。しがない代行者をしております。

 以後お見知りおきを」

 

 そう穏やかな声で自らの名を明かした。

 

「代行者?」

「ええ、神がこの下界で行うことを代行者が代わりに行うのです。

 神はお忙しい方なのです。下界に降りるのにも手間と時間がかかるため我々代行者が生まれたのです」

 

「で、その代行者さまが何の用だよ」

 

 メイズが挑発するように言う。

 

「あなた方に神の教えを説きにきたのです」

「教え…ですか?」

「そうです。この世界は神が与えたもうたもの。

 戦いなどせずに静かに暮らしませんか?

 神は全てのものを愛しています。愛する者が傷つけば誰もが悲しみます。それは神も同じことなのです。

 戦いは憎しみしか生みません。憎しみは戦いを生み、また戦いが憎しみを生む。

 そんなものは止めましょう。神も望んではおりません」

 

 ディヴァインはそう語った。

 

 だが、メイズとミルガードは怒りの表情で言い返した。

 

「戦いを止めろ?はっ、冗談じゃない。戦いを止めたらどうやってこの世界から出ろっていうんだ!」

「そうだ、俺たちはこのふざけた世界から脱出するために戦っているんだ。ここで止めるなどもってのほかだ!」

 

 メイズとミルガードが反発する。

 無理もないだろう。この常に死と隣り合わせのデスゲームから脱出するために今まで戦ってきたのに、その努力を全て捨てろと言ってきたようなものだ。

 

 何も言葉を発さないギースも、顔に怒りの表情を浮かべている。

 

「そもそも、俺は神なんてもんは信じてねぇんだよ」

 

 メイズが吐き棄てるように言った。

 

 

 沈黙が辺りを支配する。

 

 

 沈黙を最初に破ったのはディヴァインだった。

 

「なるほど、あなた達は神の教えに背き、あまつさえ戦いを続けるというのですね。

 長き戦いによって魂が汚れてしまったのですね。

 仕方がありません、神よこの者たちのたましいを浄化いたしましょう」

 

 そう言ってディヴァインは背中の巨大な両手剣を引き抜いた。

 

 その両手剣は見れば見るほど奇妙な形をしていた。

 

 鍔がとても長く、片方だけで50cmはあるようだ。

 

 刀身も長く2mはあり、幅も40cmほどもある。

 

 最大の特徴は刀身の中にも30cmくらいの柄があることだ。

 

 その両手剣はまるで十字架のようである。

 

 ディヴァインはその大剣を地面に突き立てた。

 

「代行者には神の教えを広めるとともにもう一つ、役割が与えられています。

 それは天罰の代行です。

 魂が汚れてしまった者たちを神は天罰をもって浄化します。

 その代行も我ら代行者の使命なのです」

 

 そう言ったディヴァインの顔は天使のような微笑みを浮かべていた。

 

「…っ! 狂ってやがる」

 

 メイズが苦虫を噛み潰したような顔で言った。

 

「それでは、代行者ディヴァインが天罰代行を開始します」

 

 首に下げていた十字架を取り出したディヴァインはそう言って微笑みを消し、厳しい顔になった。

 

 その瞬間、武器を構えていたメイズ達に強烈な殺気が襲いかかった。

 

「来るぞっ‼︎」

 

 ミルガードが警戒の声を上げる。

 

 

 そして両者は示し合わせたように、同時に走り出した。

 

 

 




この代行者はfateのとは違うので悪しからず。
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