天罰代行   作:神納豆

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遅れてすみません


崩壊した日常

 走り出したミルガードは毎日モンスターと戦うときと同じ指示を出した。

 

「メイズ!ギース! いつも通りにやるぞ!」

「「了解!」」

 

 三人の配置は、ミルガードを先頭にして左後ろにメイズ、右後ろにギースという、矢じりのような三角形の形で進んでいる。

 対してディヴァインは巨大な両手剣の柄を左手で持ち、刀身の中の柄を右手で持って後ろに引きつけた状態で走っている。

 ミルガードはディヴァインとの距離が縮まると立ち止まり、大盾(タワーシールド)を構える。

 

 ミルガード達のパーティーはそれぞれ役割がはっきりと分かれている。

 

 大盾(タワーシールド)を持ち鎧を着込んだミルガードが敵の攻撃を受け止め、隙を作る壁役、タンク。

 

 片手剣のみを装備し、軽装のメイズは高火力高機動の攻撃役、アタッカー。

 

 長槍や投擲用のピックなどを装備したギースは二人の補助役、サポーターをそれぞれ担っている。

 

 練度の高い連携を持ったパーティーなので、多少レベルの高いモンスター相手でも勝利を納めることができていた。

 

今回も同じようにミルガードが攻撃を受け止め、その隙にメイズやギースがソードスキルで決めるパターンを行っていた。

 

ディヴァインがその巨大な両手剣を振り下ろした。

 

ガアアァァン‼︎

 

大剣と大盾(タワーシールド)がぶつかり合う激しい衝突音が日が沈み、すっかり暗くなった森中に響き渡った。

 

(ぬうっ‼︎)

 

激しい衝撃がミルガードを襲う。

だがミルガードは何も焦ってはおらず、すぐさま次の指示を出す。

 

「メイズ今だ!ギースはメイズの援護!」

「「おう(はい)!」」

 

そしてミルガード自身はディヴァインを逃すまいと、大盾(タワーシールド)を前に押し出し右手に持ったメイスを振るう。同時にメイズが反対側から走り込んでソードスキル《ソニックリープ》を発動して迫ってきている。ギースも後ろに回り込み、回避した隙を狙っていつでもソードスキルを発動できるように準備をしている。

避けても防いでも必ずダメージを与えられるようにした配置である。

 

しかし代行者はその連携を上回っていた。

 

両手剣から左手をはなして振るわれていたミルガードのメイスを手首を掴むことで止める。反対側のメイズは右手だけで巨大な剣を器用に扱い、ソードスキルの勢いを利用して自身の後ろに受け流す。メイズのソードスキルを回避すると同時に、メイズをギースと自分の間に入れることでギースの攻撃を邪魔する。

高い技術を持っていないとできない芸当だ。

 

そしてそのまま離れてしまう。

 

また先ほどのように向き合う両者。

 

今度はメイズが単独で飛び出す。

 

「おい!メイズ、待て!」

「俺がやる!お前らは手ぇ出すなよ!」

「まったく……ギース、すぐ援護できるように準備しておいてくれ」

「分かりました」

 

メイズは強いプレイヤーや強いモンスターに出会うと、デュエルを仕掛けたり一人で戦ったりする。

とどのつまりメイズは戦闘狂、バトルジャンキーのようなものなのだ。

相手を強者と見るやいなや一人で突っ込んでいくが、メイズ自身の技量がすぐれているため互角に渡り合うことができる。

そのためミルガードはメイズを信じて、よほど危険な状態になるまでは手を出さないようにしている。

メイズは己のステータスをフルに使って走り、その勢いのまま顔に突きを放つが避けられる。すぐさま追撃して、ディヴァインに反撃する暇も与えない猛攻を仕掛ける。

突きを放った剣をそのまま振り下ろし、その軌跡を逆に辿るように斬り上げる。さらにメイズは剣を振るい時折蹴りなどの体術を折り混ぜてディヴァインを攻め立てる。

ディヴァインは反撃せずに防御と回避に徹しているためいまだ両者にダメージはない。

 

彼らがぶつかり合ってから数分が経過した時、ディヴァインがつまづき隙を見せる。

 メイズはその隙を見逃さずに片手剣上位ソードスキル、水平四連撃《ホリゾンタル・スクエア》を放つ。

 

 片手剣を青く輝かせてすさまじいスピードでディヴァインに迫る。

 

 

 メイズ達が勝利を確信して放たれた4本の青い剣閃は――

 

 

 オレンジ色に輝く剣に全てはじかれていた。




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