コミュニケーション能力の低いこの僕でも、友達はいる。祭はその少ないうちの一人。それだけじゃない。あともう一人友達がいる。
楪いのり
それがその人。彼女はEGOISTというバンドのボーカル。そんな人とどうして友達かというと、たまたまこの廃墟同然の建物の中で出会ったのだ。
ちなみにEGOISTは最近人気急上昇中のバンド。動画投稿サイトにPVを投稿すればすぐにミリオン。CDを発売すればすぐに完売といった、人気具合だ。
学園祭のpvをここで作成し始めた二ヶ月前に怪我をしてた彼女を手当てしてから仲良くなった。と思う。
始めてあったはずのあのとき、彼女は『久しぶりぶりね、シュウ』と呟いた。
しばらく彼女はそこで暮らしていた。
集はいのりに食事を運んでいた。祭にはばれないようにやっていた。何だかんだと祭は心配性なのだ。知らない女の子と絡んでると知ると彼女は、ここまで着いてきてしまうだろう。
そうなってしまうと、学校の皆にいのりがここにいるとばれてしまうかもしれない。
だから、祭はここにはつれてこれない。いのりに会えなくなるのは辛いから。
「おはよう、集」
「こんにちは」
「もうそんな時間?」
「そう……」
「……」
いつもこの程度の会話のみ。これで仲が良いと言えるのだろうか?そう疑問に思いながら今日も動画を完成させるためにパソコンに向かう。
いつも、いのりは挨拶を終えると歌を歌うか、綾取りを一人でやっている。
現役の歌手にBGMをしてもらっていると考えると豪華だが、彼女は自分が歌いたいから歌っているだけ。
今日も今日とて歌っている。
「ねぇ、シュウ」
「なに?」
「あなたは覚えてないの?」
「何を?」
「覚えてないならいいの……」
「そう?」
このやり取りも何度目か覚えていない。何を聞かれているのか、何で聞いているのか、わからない。
そんなこんなで一日が終わる。
別れの挨拶の時、いのりは「あなたはいつもここにいる。友達がいないの?」
「と、友達ならいるさ……」
「そう?私にはそうは見えない」
「……」
「それじゃまたね」
「うん、またね」
と、長くはないが短くはない別れの挨拶は終わり、家に帰った。
家につくと、留守電が入っていることに気がついた。
『メッセージは一件です。(ハレです。まだ帰ってきてないの?携帯にもでないし、寝てるの?ま、気がついたら連絡してね)以上で再生は終わります』
祭、何かに用事があったのかな?けど、もう遅いし明日でいいよね。
何て考えながらシャワーを浴びていると部屋から電子音が聞こえてきた。
電話でなきゃ……
軽く体を拭きながら電子音を響かせている携帯に向かう。
「もしもし?」
『やっと出た』
「ごめん、今シャワー浴びてた」
『なら、ちゃんと着替えてからまた電話して』
「わかった」
『うん、また後でね』
そういって電話を切った。
思ったより床びしょびしょだな……。拭かなきゃ……
と、考えながら服を着てお風呂を軽く掃除、それが終われば床を拭く。
ここ最近この日本ではよくテロが起きる。それが何を訴えているのかはいつもテレビが教えてくれる。テレビを見ない僕には祭が教えてくれる。
今、また、どこかで爆発が起きた。それがなんなのかは祭が教えてくれるはず。
そう考え、祭に電話をする。
何度かプルルと鳴るがなかなか繋がらない。もう寝たのかな?何て考えながら暫くすると通信が切れる。
「寝ちゃったか……時間かけすぎたな……」
何て思いながら今日という日を終えた。
次の日の朝
朝日が眩しく目が覚めたが、そこまでいい気分というわけではなかった。
窓から見える景色は見なられた街から黒い煙が上がっている異様な光景。
確実になにかがあったとわかる光景はいつもテロの標的とならない中心街のもの。そこから分かることはいつもと違い被害を受けた誰かが、知り合いかもしれないということ。自分は良くても友達はダメかもしれない。そう思うといてもたってもいられなくなった。
(ハレ……)
友達の事が気になった。いのりは街の外れに住んでいると言う話だから多分大丈夫だと思う。しかし、祭は違う。
気にしていると、すぐに家を出る時間になったので着替えていつもの時間に家を出た。
(大丈夫だよね、ハレ……)
そう思いつつも、いつも祭が乗ってくる駅を通過した。
(今日は少し遅いだけだよね?……)
そのまま学校に着き、教室に入るといつもより人が少ない気がした。
教室に入ってくる人を見ながら過ごしているとすぐに授業開始時間になった。
(ハレ、休みかな?)
気になったので一応メールを送った。
そのままその日の授業は終わり下校時間になった。
携帯を見ても何の連絡もない。何かあったのか、気になりながらもいつもの廃墟へ向かう。
どうでしたか?
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