櫻田家の隣の家の長谷川家   作:遊斗

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こういう話を書いてみたかったってのがありましたね。
そして前回からの続き的な流れです。

今日は城下町のダンデライオンのDVD第3巻が届く日です。届いたら即座に観なければ。
楽しみで仕方ないです。




14cm

 

 

「じゃあ、明日は駅で待ち合わせで良い?」

 

「良いのに、そんな気を使わなくても。」

 

「約束は約束よ。」

 

学校の昼休みに明は奏から呼び出しがあって何事かと思いきや、先日、明と灰の勝負で勝った方が奏と1日遊ぶという賭け事をし、見事明が勝利を収めた。だが、負ける事が嫌なだけであって、賞品に興味が無かった明だった。

 

「灰兄に譲っても良いんだけどなぁ…絶対に納得しないけどさ。」

 

「灰と出掛けたら、うるさいわよ。灰と修ちゃんが。」

 

「確かに…」

 

賭け事を申し出た張本人と賞品を出した張本人。それを無しにすると、うるさいのは一目瞭然だった。

 

「じゃあよろしくね。」

 

「分かったよ…」

 

納得のいかない顔で戻る明に、茜は不満そうな顔で出迎えた。

 

「かなちゃんとデートの話?」

 

「デートじゃないよ。はぁ…賭け事を断っとくべきだったよ。」

 

「そんなに奏さんと出掛けるのが嫌なの?」

 

「嫌じゃないけど、その日は引き篭もってゲームするつもりだった。」

 

この答えに、花蓮と茜は苦笑で返した。

 

「長谷川って偶に子供っぽいよね。しっかりしてるけどさ。」

 

「子どもは上に居る、それに白兄に負担がかかるから。」

 

「渚ちゃんもだけど、皆白さんが大好きだよね。」

 

「あぁ、俺達のお兄さんだから。」

 

明のこの言葉がとても印象に残った2人だった。

放課後になると、葵と白が迎えに来て4人で帰る事になった時に、事は起こった。

階段に差し掛かると、茜が階段を踏み外し、転けそうになる所を明は掴むが、体重移動が上手くいかず一緒に落ちてしまった。

 

「きゃっ!」

「つっ!」

 

ゴゴンッと大きな音を立て、茜を庇えたのだが、2人とも頭を打ってしまったようだ。葵と白がすぐさま駆け寄った。

 

「大丈夫!?」

 

「明、茜ちゃん!」

 

「あれ、あんまり痛くない。」

 

「っ〜、茜さんが無事なら良いよ。」

 

「「?」」

 

葵と白が難しい顔になった。

 

「ごめん茜さん、今………っ!?」

 

《茜》は上手く立ち上がれず、よろけて尻餅をつき、違和感に気付いた。

 

「身体が…重い…は? 声も……」

 

自分の身体を良く見ると、細い。そして滑らかではあるが胸もあり、女子の制服を着ていた。

 

「茜?」

 

葵が心配そうに《茜》の顔を覗き込んでくる。

 

「何お姉ちゃ…わぁっ、声が低…」

 

声は《明》の方から聞こえた。そして、茜も気付いたようだ。葵と白も違和感を持っていた為、すぐ答えにたどり着いた。

 

「身体が…」

 

「入れ替わってる……」

 

そう、茜と明の身体が入れ替わっていたのだ。

全員冷や汗が流れ、白の提案ですぐにここから離れる事にしたのだが、さらに問題が発生した。

 

「なんか、身体が凄く重い…」

 

「私立ち上がれない程重くないよ!?」

 

茜(明)が立ち上がれなかった。腕も上手く上がらず、壁に背中を預けている体制になっている。

 

「そうか!茜さん、能力の制御の仕方を教えて!」

 

「せ、制御の仕方? え、え〜っと……あれ? どうやってるんだっけ?」

 

明(茜)はいつもどうやって制御しているのか思い出せなかった。

 

「今はこうしよう。」

 

白が茜(明)の肩を掴むと、能力が解除され立ち上がる事が出来て、すぐさまその場から離れた。

とりあえず白の部屋に集まる事にした4人。都合が良かったのが、両親は夜にならないと帰って来ず、灰は出掛けている。渚は岬のお手伝いをしているらしかった。

 

「明、ちょっと離れるよ。茜ちゃん葵、明をお願い。」

 

白が離れた瞬間に、茜(明)はすぐに崩れ落ちた。

 

「大丈夫?」

 

「能力に慣れるまで時間がかかりそう…」

 

家族が戻ってくるまでに能力を制御出来るようにならなければ、怪しまれてしまう。だけど、床が軋まない程度には制御出来ているようだ。

 

「なんか…寒い…」

 

改めて見ると茜(明)の顔は真っ青だった。

明(茜)と葵が慌てふためき、ベッドにあった毛布を被せた。

 

「と、ととりあえず落ち着こう!」

 

「いや、白兄が落ち着こうよ。」

 

戻って来た白は、お茶を飲んで皆で落ち着こうと思ったのだろうが、持ってきたのは、何故かお箸とお皿だった。

 

明以外の3人は一先ずお茶を飲んで一息ついた。

 

「変な感じだな、明なのに茜ちゃんだなんて。」

 

「私も何か違和感が…特に下半身が……」

 

明(茜)の発言に、沈黙する一同。明(茜)は恥ずかしさの余り、真っ赤だった。

 

「それを言うなら、俺もだよ。声もそうだし、スカートだからスースーすらよ。」

 

「茜の声で俺って言うのが凄く違和感があるわ。」

 

兎に角、1度状況を整理した。茜と明の話では、階段から落ちた時に、お互いに頭をぶつけたようだ。ただそれだけ。

 

「白の能力とかで何とかならないかな?」

 

「それは無いかな。能力が有効なら、触れた時点で戻れてる筈だから。」

 

「じゃあもう一度やってみるとか? 頭をぶつけるとか…」

 

「………それは覚悟してたけど、茜さんやってみる?」

 

「えっ? やるしか無いのなら…」

 

明(茜)も覚悟を決めるしかなかった。だが、ここでもまた問題がある。茜(明)は動けないのだ。今まで寝てる状態で話していた。

なので、明(茜)が思いっきり頭突きをする事になった。

 

「自分に頭突きをするなんて…」

 

「それはこっちもだよ。自分の顔が迫ってくるんだから。」

 

「や、やるよ。」

 

「頼む。」

 

1度深呼吸して、茜(明)を見た。そこで思ってしまった。この状況は《明》が《茜》に迫って来る事を。そこに気付いた瞬間にまたも顔が真っ赤になる明(茜)。でも、茜(明)の為だ。やるしかなかった。

 

「行きます!」

 

同時に目を瞑り、ゴン!っと大きな音を立てた。

 

「っ、イッッッッッタァァァァァ!!」

 

茜が悶えた。これは成功なのか…っと、葵と白は思った。

 

「あれ? やっぱり痛くない。」

 

明の口調が明らかに茜だった為に、失敗だったようだ。

その後、色々試そうとしたのだが、明(茜)が自分の身体を傷付けたくないと却下した。まあ、当たり前の話なのだが。

 

「はぁ…やっと分かってきたよ。重力制御。」

 

起き上がるまで出来るようになった茜(明)。少しずつだが、制御出来るようになったようだ。

 

「もうすぐで皆が帰ってきちゃうな。」

 

「えぇ!? ど、どうするの!」

 

「その前に最悪の事態も想定して、今日と明日の話をしよう。」

 

「っと言いますと?」

 

「この身体のまま1日をやり過ごす。」

 

「えぇ!?」

 

「茜さんには悪いと思うけど、明日は奏さんと出掛けてもらう。」

 

「ぇ………」

 

明(茜)の時が止まってしまった。

この身体で奏と出掛ける。いつもだったら姉妹で遊びに行くだけ………だが、男の身体で奏と出掛ける=デート。

そう解釈してしまい、固まった。

 

「お願いだ茜さん。今は茜さんにしか出来ない事なんだ。」

 

茜(明)がそう呼びかけると、明(茜)の時が戻った。普段から他人を頼らない明が頼っている。好きな人が頼って来ているのだ。これは嬉しい事だ。だが、難易度はかなり高いのが……

 

「うん、頑張るよ!」

 

っと、返事をした事を後で後悔する事になる。

それと同時に、灰が帰って来た。

 

「ただいま〜!」

 

「帰って来た。茜さん、今から言う事だけ注意して、一人称、二人称を意識して、後は戻った時にどうとでもなるから。」

 

「う、うん。」

 

「白兄、茜さんをお願い。」

 

「分かった。」

 

ここまでしっかりとした《茜》を見た事が無かった葵は感動していた。

 

「茜……」

 

「お姉ちゃん、そっちは明君だよ。」

 

一先ず、今話しとくべき事は話した。後は家族に心配をかけない事を心掛ける事に専念する事を違う4人だった。

 

「ただいま〜って葵さんに茜ちゃん。」

 

「こ、こんにちは。」

 

「こんにちは灰さん。」

 

ギョッと、灰以外一斉に茜(明)に振り向いた。何故なら、微妙に違和感はあるがほぼほぼ《茜》だった。

 

「そろそろ帰りますね。」

 

「えっ、あき…茜?」

 

「行こう、お姉ちゃん。」

 

まだ完全に能力を制御しきれていない為、ゆっくりと立ち上がる茜(明)。そして茜(明)を支える葵。

 

「お邪魔しました。」

 

と挨拶をして帰って行った2人。

 

「あんれま、もうちょっと居ても良かったのに。」

 

灰は自分の部屋に戻って行った。

 

「き、今日はよろしくお願いします!」

 

「こちらこそ。まあ…あれだ。無理に頑張らなくて大丈夫だよ。俺が出来る限りフォローするから。」

 

「は、はい!」

 

「とりあえず、3つの難関を考えよう。」

 

「難関?」

 

「着替えとトイレとお風呂だ。」

 

首から蒸気が昇り、耳から噴出した。

 

この日、茜はとんでもなく恥ずかしい日になる事だった。

 

 

 






後2話くらいやるかもしれないです。この流れだと。
「早めに終わらせ!」とか思う人は申し訳ないです。暖かくお付き合い下さいますようお願いします。

・櫻田 茜(明)
重力制御を少しだけ使える事に成功し、支えがあれば歩く事が出来る程になった。

茜の身体になった時に思った事は、重い。これだけ。

一応説明しときます。
2人は身体の記憶で、内股とか歩き方に違和感を覚える人は居ません。あるとすれば、茜(明)と葵が帰る時に、足がプルプル震えてたくらいです。
なので、日常生活で支障はきたす事は無いです。下手をしない限りは。

では、また次回に。

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