こういう話を書いてみたかったってのがありましたね。
そして前回からの続き的な流れです。
今日は城下町のダンデライオンのDVD第3巻が届く日です。届いたら即座に観なければ。
楽しみで仕方ないです。
「じゃあ、明日は駅で待ち合わせで良い?」
「良いのに、そんな気を使わなくても。」
「約束は約束よ。」
学校の昼休みに明は奏から呼び出しがあって何事かと思いきや、先日、明と灰の勝負で勝った方が奏と1日遊ぶという賭け事をし、見事明が勝利を収めた。だが、負ける事が嫌なだけであって、賞品に興味が無かった明だった。
「灰兄に譲っても良いんだけどなぁ…絶対に納得しないけどさ。」
「灰と出掛けたら、うるさいわよ。灰と修ちゃんが。」
「確かに…」
賭け事を申し出た張本人と賞品を出した張本人。それを無しにすると、うるさいのは一目瞭然だった。
「じゃあよろしくね。」
「分かったよ…」
納得のいかない顔で戻る明に、茜は不満そうな顔で出迎えた。
「かなちゃんとデートの話?」
「デートじゃないよ。はぁ…賭け事を断っとくべきだったよ。」
「そんなに奏さんと出掛けるのが嫌なの?」
「嫌じゃないけど、その日は引き篭もってゲームするつもりだった。」
この答えに、花蓮と茜は苦笑で返した。
「長谷川って偶に子供っぽいよね。しっかりしてるけどさ。」
「子どもは上に居る、それに白兄に負担がかかるから。」
「渚ちゃんもだけど、皆白さんが大好きだよね。」
「あぁ、俺達のお兄さんだから。」
明のこの言葉がとても印象に残った2人だった。
放課後になると、葵と白が迎えに来て4人で帰る事になった時に、事は起こった。
階段に差し掛かると、茜が階段を踏み外し、転けそうになる所を明は掴むが、体重移動が上手くいかず一緒に落ちてしまった。
「きゃっ!」
「つっ!」
ゴゴンッと大きな音を立て、茜を庇えたのだが、2人とも頭を打ってしまったようだ。葵と白がすぐさま駆け寄った。
「大丈夫!?」
「明、茜ちゃん!」
「あれ、あんまり痛くない。」
「っ〜、茜さんが無事なら良いよ。」
「「?」」
葵と白が難しい顔になった。
「ごめん茜さん、今………っ!?」
《茜》は上手く立ち上がれず、よろけて尻餅をつき、違和感に気付いた。
「身体が…重い…は? 声も……」
自分の身体を良く見ると、細い。そして滑らかではあるが胸もあり、女子の制服を着ていた。
「茜?」
葵が心配そうに《茜》の顔を覗き込んでくる。
「何お姉ちゃ…わぁっ、声が低…」
声は《明》の方から聞こえた。そして、茜も気付いたようだ。葵と白も違和感を持っていた為、すぐ答えにたどり着いた。
「身体が…」
「入れ替わってる……」
そう、茜と明の身体が入れ替わっていたのだ。
全員冷や汗が流れ、白の提案ですぐにここから離れる事にしたのだが、さらに問題が発生した。
「なんか、身体が凄く重い…」
「私立ち上がれない程重くないよ!?」
茜(明)が立ち上がれなかった。腕も上手く上がらず、壁に背中を預けている体制になっている。
「そうか!茜さん、能力の制御の仕方を教えて!」
「せ、制御の仕方? え、え〜っと……あれ? どうやってるんだっけ?」
明(茜)はいつもどうやって制御しているのか思い出せなかった。
「今はこうしよう。」
白が茜(明)の肩を掴むと、能力が解除され立ち上がる事が出来て、すぐさまその場から離れた。
とりあえず白の部屋に集まる事にした4人。都合が良かったのが、両親は夜にならないと帰って来ず、灰は出掛けている。渚は岬のお手伝いをしているらしかった。
「明、ちょっと離れるよ。茜ちゃん葵、明をお願い。」
白が離れた瞬間に、茜(明)はすぐに崩れ落ちた。
「大丈夫?」
「能力に慣れるまで時間がかかりそう…」
家族が戻ってくるまでに能力を制御出来るようにならなければ、怪しまれてしまう。だけど、床が軋まない程度には制御出来ているようだ。
「なんか…寒い…」
改めて見ると茜(明)の顔は真っ青だった。
明(茜)と葵が慌てふためき、ベッドにあった毛布を被せた。
「と、ととりあえず落ち着こう!」
「いや、白兄が落ち着こうよ。」
戻って来た白は、お茶を飲んで皆で落ち着こうと思ったのだろうが、持ってきたのは、何故かお箸とお皿だった。
明以外の3人は一先ずお茶を飲んで一息ついた。
「変な感じだな、明なのに茜ちゃんだなんて。」
「私も何か違和感が…特に下半身が……」
明(茜)の発言に、沈黙する一同。明(茜)は恥ずかしさの余り、真っ赤だった。
「それを言うなら、俺もだよ。声もそうだし、スカートだからスースーすらよ。」
「茜の声で俺って言うのが凄く違和感があるわ。」
兎に角、1度状況を整理した。茜と明の話では、階段から落ちた時に、お互いに頭をぶつけたようだ。ただそれだけ。
「白の能力とかで何とかならないかな?」
「それは無いかな。能力が有効なら、触れた時点で戻れてる筈だから。」
「じゃあもう一度やってみるとか? 頭をぶつけるとか…」
「………それは覚悟してたけど、茜さんやってみる?」
「えっ? やるしか無いのなら…」
明(茜)も覚悟を決めるしかなかった。だが、ここでもまた問題がある。茜(明)は動けないのだ。今まで寝てる状態で話していた。
なので、明(茜)が思いっきり頭突きをする事になった。
「自分に頭突きをするなんて…」
「それはこっちもだよ。自分の顔が迫ってくるんだから。」
「や、やるよ。」
「頼む。」
1度深呼吸して、茜(明)を見た。そこで思ってしまった。この状況は《明》が《茜》に迫って来る事を。そこに気付いた瞬間にまたも顔が真っ赤になる明(茜)。でも、茜(明)の為だ。やるしかなかった。
「行きます!」
同時に目を瞑り、ゴン!っと大きな音を立てた。
「っ、イッッッッッタァァァァァ!!」
茜が悶えた。これは成功なのか…っと、葵と白は思った。
「あれ? やっぱり痛くない。」
明の口調が明らかに茜だった為に、失敗だったようだ。
その後、色々試そうとしたのだが、明(茜)が自分の身体を傷付けたくないと却下した。まあ、当たり前の話なのだが。
「はぁ…やっと分かってきたよ。重力制御。」
起き上がるまで出来るようになった茜(明)。少しずつだが、制御出来るようになったようだ。
「もうすぐで皆が帰ってきちゃうな。」
「えぇ!? ど、どうするの!」
「その前に最悪の事態も想定して、今日と明日の話をしよう。」
「っと言いますと?」
「この身体のまま1日をやり過ごす。」
「えぇ!?」
「茜さんには悪いと思うけど、明日は奏さんと出掛けてもらう。」
「ぇ………」
明(茜)の時が止まってしまった。
この身体で奏と出掛ける。いつもだったら姉妹で遊びに行くだけ………だが、男の身体で奏と出掛ける=デート。
そう解釈してしまい、固まった。
「お願いだ茜さん。今は茜さんにしか出来ない事なんだ。」
茜(明)がそう呼びかけると、明(茜)の時が戻った。普段から他人を頼らない明が頼っている。好きな人が頼って来ているのだ。これは嬉しい事だ。だが、難易度はかなり高いのが……
「うん、頑張るよ!」
っと、返事をした事を後で後悔する事になる。
それと同時に、灰が帰って来た。
「ただいま〜!」
「帰って来た。茜さん、今から言う事だけ注意して、一人称、二人称を意識して、後は戻った時にどうとでもなるから。」
「う、うん。」
「白兄、茜さんをお願い。」
「分かった。」
ここまでしっかりとした《茜》を見た事が無かった葵は感動していた。
「茜……」
「お姉ちゃん、そっちは明君だよ。」
一先ず、今話しとくべき事は話した。後は家族に心配をかけない事を心掛ける事に専念する事を違う4人だった。
「ただいま〜って葵さんに茜ちゃん。」
「こ、こんにちは。」
「こんにちは灰さん。」
ギョッと、灰以外一斉に茜(明)に振り向いた。何故なら、微妙に違和感はあるがほぼほぼ《茜》だった。
「そろそろ帰りますね。」
「えっ、あき…茜?」
「行こう、お姉ちゃん。」
まだ完全に能力を制御しきれていない為、ゆっくりと立ち上がる茜(明)。そして茜(明)を支える葵。
「お邪魔しました。」
と挨拶をして帰って行った2人。
「あんれま、もうちょっと居ても良かったのに。」
灰は自分の部屋に戻って行った。
「き、今日はよろしくお願いします!」
「こちらこそ。まあ…あれだ。無理に頑張らなくて大丈夫だよ。俺が出来る限りフォローするから。」
「は、はい!」
「とりあえず、3つの難関を考えよう。」
「難関?」
「着替えとトイレとお風呂だ。」
首から蒸気が昇り、耳から噴出した。
この日、茜はとんでもなく恥ずかしい日になる事だった。
後2話くらいやるかもしれないです。この流れだと。
「早めに終わらせ!」とか思う人は申し訳ないです。暖かくお付き合い下さいますようお願いします。
・櫻田 茜(明)
重力制御を少しだけ使える事に成功し、支えがあれば歩く事が出来る程になった。
茜の身体になった時に思った事は、重い。これだけ。
一応説明しときます。
2人は身体の記憶で、内股とか歩き方に違和感を覚える人は居ません。あるとすれば、茜(明)と葵が帰る時に、足がプルプル震えてたくらいです。
なので、日常生活で支障はきたす事は無いです。下手をしない限りは。
では、また次回に。