櫻田家の隣の家の長谷川家   作:遊斗

24 / 42

前書きと後書きは何を書こうかと、毎回悩んだりしてます。
まぁ別に書かなくても良いだろうけど。

勝負の続きです。



23節

 

 

コツ…コツ…

 

遠くから騒がしい声が少しだけ聴こえてくる。灰は2階の洋服売り場のフィッティングルームの中に居た。見つからないように身を屈めていた。

 

コツ…コツ…

 

上の階は特に騒がしい。なら、1階には誰もいないと判断していた。今この階には誰かがいる。しかも近付いている。

靴の音で迫ってきているのが容易に分かった。ならばここは移動する事にした。ゆっくりとその場を後にして、1階に行く為に階段へと向かった。

 

コツ…コツ…

 

1階はお客さんが出入りする場所でもあり、イベントなどもここで行われたりもしている。その為見晴らしが良過ぎる。だから、1階では見つかる確率が高いと思い、地下1階の食品売り場へと行く事にした灰だった。

 

コツ…コツ…

 

お客さんも店員も誰もいない為、静かな場所である。やはり上から少しだけ声が聴こえてきたりもする。鉢巻が取られた場合は放送がある筈だから、まだ放送がないという事は誰も取られていないという事だ。

 

コツ…コツ…

 

どうしようかと…このまま誰にも見つからずに勝負が終わるのは面白くはないと灰は思っていたが、何が近付いて来る音がする。先程と同じ靴の音が…。周りを見渡すが誰もいない。だが、油断は禁物。またその場を離れ、レジ前で身を屈めた。身を隠しながら誰が近付いているのか確認する為である。

 

コツ…コツ…

 

そして遠くからゆっくりと近付いてくる影…それは奏だった。

 

「なんだ奏ちゃんか。でも、何で居場所が…」

 

奏の能力は物質生成。あらゆる物質を生成できる能力…何か探知機的な物を使っているのかと思ったが、遠くから確認しても奏は何も持っていなかった。なら、どうして居場所が分かっているのか。

 

「(奏ちゃんのチームは他に栞ちゃんと渚だろ…うん!?何か見落としてる気がする!渚は俺に接触が禁止されている。栞ちゃんの能力は物体会話…)」

 

ゾワッと鳥肌が立った。

 

「取った。」

 

鉢巻が取られる感触がした。振り返ると嬉しそうに鉢巻を持っている栞の姿だった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「って事があったんだよ。あれはマジで恐怖だった。何処に行っても足音が聴こえるからさ。んで後で聞いたらさ、栞ちゃんが能力で僕が何処に居るのかを物体会話で聞いてたんだって。そんで奏ちゃんが生成した無線で連絡を取り合って、奏ちゃんが囮で捕まえるのが栞ちゃんだったんだってさ。いやぁ…凄かった。」

 

っと、1人でペラペラ喋っているが茜と岬から睨まれていた。輝はそんな2人を見てあたふたしている。

 

「何で捕まるのよ!もうちょっとで明さんの鉢巻を取れたのに!」

 

「えっ、マジで!? そりゃあ惜しい事をしたな〜。」

 

「それに私達罰があるんだよ。またお城のトイレ掃除とかだったら…あはぁ…」

 

がっくりと項垂れる茜。トイレ掃除が嫌ではなく、たくさんの人と会うのが嫌だった。

 

負けたチームはスタッフルームへと移動されていた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

4階レストランフロア

 

「あのまま続いてたら流石にヤバかったよ。」

 

「でもタイミングは良かったね。」

 

レストランフロアに合流したDチーム。白を追っていたのだが、どうやら逃げられてしまったようだ。

 

「ごめんね、白を逃しちゃった。」

 

「いやいいよ。見つけたらまた葵さんが追えば良いし。その方がお互い楽しそうだし。」

 

「明君意地悪だね。」

 

「なんとでも。後は渚と白兄か。」

 

1番メンバーの多かったAチームが居なくなったのはラッキーな事だ。だが、修のチームは健在だ。

 

「とりあえず探しに行こう。」

 

2人とも頷いて、上からしらみ潰しに探す事にした。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

6階映画館チケット売り場

 

「やっと追い詰めたぞ。」

 

しつこい…っと渚は内心で思った。先程振り切ったばかりなのにもう見つかってしまったのだ。

 

「修さん、しつこい男は嫌われるよ。」

 

「生憎と相手はいるんで大丈夫だよ。」

 

「ちっ、これだからリア充は…」

 

「ねえその話今関係ある?」

 

どこかズレてきていると感じた遥は突っ込まざるを得なかった。

 

「そろそろ見逃してもらって良いかな。」

 

「じゃあその鉢巻を渡してよ。」

 

「それは嫌だよハル君。チームの為にご褒美は欲しいからね。」

 

「お互い様だよ。こっちも負けたくないしね。」

 

誰がいつ動くのかを待った。修が瞬間移動をしても渚にすくに察知されるのは分かっていた。

だが、このまま動かない訳には行かない…っと思った時に、Dチームがやって来た。

 

「あっヤバッ…修さんだ。」

 

明のこの呟きが合図なのか、全員が動いた。修は明の後ろに瞬間移動移動し、渚は逃げてそれを追う遥。

明も渚同様にすぐに察知して修の手を避けた。

 

「葵さんと光ちゃんは渚を追って。」

 

「「分かった!」」

 

葵と光に指示を出してから、修から逃れる為に急いで走り出した。だが、瞬間移動で回り込まれて立ち止まった。

 

「修さんのその能力は厄介でしょ。」

 

「それは渚にも言われたな。」

 

「いや実際にそうだから。」

 

逃げる立場としては、会いたくない相手No.1の能力の持ち主だからだ。その次に岬。相手にして実感した明だった。

 

どこに逃げようか迷っている明。先回りばかりされたら逃げ場を失うばかりだ。だけど、修も動かなかった。渚と対峙して分かったのが、修から動いても避けられてばかりだった。だから相手の動きを見る事しようと考えたが…

 

「動かなきゃ取れないわよ。」

 

修の横を素通りして、明に迫って来たのは奏と栞。つい先程物音を聴いてやって来ていたのだ。

 

「ま、待て!うぉ!」

 

修も遅れを取らないように1歩を踏み出した時だ。自分の足に躓いてしまった。慌てて何かを掴み、そして迫る地面…これは痛いだろうな〜っと呑気に考え、それを避ける為に何処かへと瞬間移動した。

 

「え?」

 

「っ!?」

 

奏の素っ頓狂な声と明の真っ赤になる顔。それは奏のトップスとインナーが無くなり、豊満な胸を包んでいる黒のブラジャーが晒されたからだ。

 

「きゃあああ!!」

 

自分の身体を隠す為に身を屈め、両腕で胸を隠した。そして涙目で明を睨んでいる。

顔を逸らしたが、気不味い雰囲気が流れる。この部分はテレビではカットされるであろう。されなければ大変な事態だ。

 

「見た……?」

 

これはどう答えるべきか、凄く困る質問だ。執事としてここで嘘をつくのはどうかと思う。だが、奏を傷付けるのは良くないとも思う。いや、どう答えてもダメなのでは……と堂々巡りだ。

とりあえず上着を脱いで奏に被せた。

 

「…………」

 

何も言わずに。

 

「何か言いなさいよ!」

 

明は奏と目線を合わせ…

 

「見てしまいました。あっ…」

 

正直に答えた。

だがしゃがんだのが運の尽きで、栞に鉢巻を取られてしまった。

 

栞の雰囲気をぶち壊す行動に少し助けられた2人だった。

この後服を返しに来た修の頬には真っ赤な紅葉が咲く事になった。

 

『CチームとDチーム、アウト。』

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

渚を追っている途中で白を見つけた遥達。流石に疲れて居た為、白の鉢巻はあっという間に取られてしまった。

 

結果、奏と栞と渚のBチームが勝利に終わった。

 

その日の夕方、ソファに座って栞を抱え込みながら項垂れている奏。明に見られた事に落ち込んでいた。

 

「どうしたのかなちゃん?」

 

「何でもないわよ…」

 

勝利したチームの3人には、城のシェフ達が丹精込めて作ったジャンボショコラフルーツパフェが送られたが、流石に大き過ぎた為、栞の提案で皆で食べる事になった。

因みに負けたチームは前回同様、城のトイレ掃除だった。

 

 






「リバースカードオープン!『ラッキースケベ』」
こんな事を言ったら城の方々に消されそうだな。
長谷川執事達に。

何故か意識してもないのに長谷川兄妹の紹介回数が大体同じというのに最近気付きましてな。明が1番多いだろうなとか思ってました。

次回こそは渚か灰をメインの話にしよう。

では、また次回。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。