櫻田家の隣の家の長谷川家   作:遊斗

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明が透明の能力を使っている時は『』を使っています。能力の対象になった人物も同じです。
やっている意味はあるのか分かりませんが、実験です。




2寸

 

 

櫻田家の隣に引っ越して2日が経った。

長谷川兄妹はこの日から学校に転入する事になっていた。

 

「皆、用意は出来た?」

 

「大丈夫だよ、母さん。」

 

父の健吾は執事の為、皆が起きる頃にはもう家を出ていた。そして、母の恵は渚の中学校に引率し、残りの3人は共に登校するのだが、灰は早めに行ってみたいとの事で、恵に返事をした後、すぐに居なくなっていた。

 

「相変わらず、早いな灰兄は。じゃあ行こうか白兄。」

 

「うん。じゃあ母さんと渚、気をつけてね。」

 

「ありがとう。でも、お兄ちゃんも無理しないでね。」

 

「大丈夫。明も居るし、クラスには葵さんも居るし。じゃあ行ってきます。」

 

「「行ってらっしゃい。」」

 

明と白は2人で学校に向かった。

少し歩くと、見知った後ろ姿が目に写った。

それは何かから隠れる様にしゃがんでいる茜と、宥める葵だった。

 

「おはようございます。どうかしましたか?」

 

「あっ、明君に白君、おはよう。茜がね…」

 

「茜ちゃんがどうかしたんですか?」

 

「カメラが苦手なのよ。」

 

成る程と。2人は納得した。

この町には監視カメラが2000台も設置されているのだ。茜は極度の人見知りである為、監視カメラさえも苦手の対象なのだ。

 

「はあ、茜さん。映らなければ良いんだよね?」

 

「え?……う、うん。」

 

「じゃあ手を出して。」

 

「手を…?分かった。」

 

明が手を差し伸べ、茜はそれを掴んだ。

 

「こうすれば良いでしょ。」

 

それだけ言うと、明と茜の姿が消えた。

 

「明君の能力って他人にも有効なんだ。」

 

『まあ、自分は必ず消えなきゃいけないけどね。』

 

「先に行ってても良かったのよ。今日から転入って聞いたけど、時間は大丈夫?」

 

『時間は大丈夫だよ。それに、一応執事候補の者が王族の方を見捨てるわけにはいかないでしょ。』

 

やや憎まれ口だが、優しさが込められていた。

 

『あ…ありがとう。明君。』

 

『………ほら、行くよ。』

 

茜には、明の姿が見えているのだ。その顔は少しだけ赤い気がしていた。

 

『俺達の姿が見えないと思うけど、一応2人の後ろに居るから気にしないで。』

 

「分かった。じゃあ行きましょうか、葵さん。」

 

「そうね。明君、優しいんだね。」

 

「明は憎まれ口を叩きつつもなんだかんだで優しいですから。」

 

『2人共うるさいよ。』

 

周りから見れば、葵と白の2人で登校しているように見える。学校に着いた後に、葵は質問責めされたのはまた別の話。

 

学校に着くと能力を解除し、茜と明の姿が現れた。

 

「茜さん、こんな事は滅多にしないから。」

 

「うん、分かってる。それでも今日はありがとう。」

 

「………………」

 

「照れてますね。」

 

「照れてるね。」

 

「だからうるさいよそこの2人!」

 

茜と葵と別れ、職員室へと向かい、当たり前なのだが既に灰は居た。それぞれの担当の先生に挨拶を済ませ、HRの為にそれぞれの教室へと案内された。

 

3人は執事候補という事が説明されてあったため、白は葵と同じクラス。灰も修と奏と同じクラスへ。明も茜と同じクラスへとなる様に、学校側から配慮されていた。

 

HRが始まると明は教卓の隣に立ち、自己紹介をした。

 

「今日から転入する事になりました、次期王様の執事候補の長谷川明です。どうぞよろしくお願いします。」

 

執事候補という事は必ず言いなさい。と、父から全員に言うように言われていた。

 

明は面倒だと思ったのだが言わざるを得なかった。

 

自己紹介が終わり、席まで案内された。やはり配慮なのか茜の後ろの席だった。

HRが終わると色んな人が集まり、明に質問が飛び交った。

 

「執事候補って他に誰がいるの?」

 

「執事ってどんな事するの?」

 

「さ、櫻田さんとどんな関係なんだ!?」

 

「どこから来たのー?」

 

などなど……明も一応執事候補の為、こういう事態も訓練されている。それが故に全ての質問にちゃんと答えてると、あっという間に時間が過ぎて行き、授業の開始のチャイムが鳴った。

 

「長谷川君、さっきの質問に聴けてたなんて凄いね。」

 

次の休み時間に、茜の親友の鮎ヶ瀬花蓮がやって来た。

 

「訓練されたからね。こういう事を。」

 

「たくさん質問される事?」

 

「そう。王様への質疑応答の時間があるから、執事になったらもしもの場合を想定されての訓練だから。」

 

「他には何を訓練したの?」

 

茜も気になったのか、聞いてきた。

 

「護身術とか。一応、俺達兄妹は我が身に変えてでも王族を守るから。」

 

「茜に王子様が現れたね。」

 

「そ、そんなんじゃないでしょ!」

 

このやりとりに、聞き耳を立てていた男性陣が居たとか居ないとか……

 

「茜ー、明君、迎えに来たよ。」

 

放課後、葵と白が一年棟まで迎えに来てくれた瞬間に、すぐに囲まれてしまった。

現在、世論調査の投票で1位は葵なのだ。やはりと言うか、学校内でも相当な人気だった。

 

そこでも、葵が男性と一緒にいるのが珍しいのか質問が来たのだが、白が対応して鎮めたのだった。

 

校門まで来ると、修と何故か項垂れている見知った背中が見える。どう見ても灰だった。

 

「どうしたの、灰?」

 

「修ちゃんに……修ちゃんに……」

 

「修さんに?」

 

「修ちゃんに彼女がいたんだよぉぉぉぉぉお!!」

 

「ちょっ!!ま、まだ彼女じゃないから!」

 

「まだって事は……ちくしょぉぉぉぉぉお!!!」

 

能力を使ったのだろう。その背中は見えなくなっていた。

 

「へぇ、修さんには彼女になりそうな人が居るんだ。」

 

「なりそうって言うか…なんというか……白さんやめて下さいよ。」

 

「ごめんごめん。つい気になったから。」

 

「返事を保留しているくせに。」

 

茜のジト目に、目をそらせるしかない修だった。

 

「どんな人なの?」

 

「どんな人かって言うと、そうそういない素朴さを持っていて、オシャレをしているけど内側からにじみ出る素朴オーラが半端ない子だ!」

 

「「「「(ん?それは褒めているんだろうか?)」」」」

 

修の力強い力説なのだが、疑問を持たざるを得なかった。

 

「まあ、なんにしてもその人が王族になるのならお世話をする事に変わりないよ。」

 

「おっ、明は優しいな。」

 

「うるさいよ。」

 

長谷川兄妹の初登校は終わった。

 

 

 






続いて、三男の紹介。

・長谷川 明(アキラ)
長谷川家の三男。
誕生日は9月。
高校1年生。
能力は透明人間(インビジブル)。自分を透明にする事も出来るし、対象に触れるとその対象も透明にする事も出来る。
落ち着いた性格でしっかり者。面倒そうな目が特徴的。
少し荒い言葉使いをする事がある。灰に対しては特に荒い。でも、憎まれ口を叩きつつも、その中には優しさが含まれている。
好きな事はあらゆるゲーム。カードゲーム然り、ボードゲーム然り、テレビゲーム然り。
髪の色は黒で、能力を使用する時の色は見えない。透明なので。

私がイメージしている声優さんは内山昂輝さんです。
灰同様、皆さんの好きにイメージして貰って良いです。

次は白か渚のどちらかなんですが、紹介が先延ばしになる場合があるかも……

では、また次回に。

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