随分と遅くなりました。
待ってくれていた方に申し訳ないです。
本気でネタが思いつかなかったもので。
原作より前に岬と紗千子が開合します。
「えぇ!? アイドルになったの!?」
休みの日に久しぶりに遊ぶ事になり、ファミレスで昼食を食べている渚と岬。そして今年1番の衝撃な出来事だと思った岬。
店内に響き渡る大声に何事かと何人かが2人を遠巻きに見ている。 岬が王族という事もあるのだが…。
アイドルになる事を宣言してから、渚はすぐに行動した。 まずは事務所に入る事。
これは意外にもすんなりと通り、晴れて紗千子やらいとと同じ事務所になった。 まだ研究生としての扱いだが、第1段階は突破した。 後はここから駆け上がるのみだ。
「まだ研究生扱いだよ。」
「何で言ってくれなかったの?」
「いや〜…なんと言いましょうか…結果が出てから教えたかったの。」
「どうして?」
「アイドルになるって言っておいて、それからなれなかったらちょっと恥ずかしいと思いまして…はい…」
岬に言わなかったのは単に忘れていた訳では無く、メイド以外の事を目指す以上結果を出した後に報告したかったからだ。
少し報告が遅れた事に気不味い表情の渚。
だけど岬は気にしていなかった。
「そんな事ないよ。 夢がある事は良い事じゃん!」
「ありがとう。 とりあえず結果を少しでも出せたってのが良かったけど。」
「でもさ、メイドはどうするの?」
やはり気になるところはそこだった。
渚に1番の夢を聞いた時に必ず出てくるのは、専属のメイドとなる事だったのだが、それ以外の事を目指していたのにも驚きだ。
「メイドは続けるよ。 それに、専属のメイドになる事も目指す事になってる。」
「目指す事にってどういう事?」
「それがお父さんからの条件だったから。 本当はお父さんは私がアイドルになる事は大反対してたんだけど、お母さんやお兄ちゃん達が説得してくれたから許して貰ったんだ。 だけど、条件としてメイドも続けて、尚且つ専属のメイドになる事も諦めない事も。」
「なんか凄い事になってるね。」
「私が抜けてしまったら、実質的に灰お兄ちゃんと白お兄ちゃんのどちらかしか居なくなってしまうからね。」
「あれ? 明さんは諦めたの?」
「専属候補から外されたって話は聞いてない?」
「聞いてるけど、明さんなら反発すると思ってたから。」
「前は心配してたんだけど、今はなんか吹っ切れて生き生きしてる感じがしてるのよ。 何か始めたのかな?」
レッスンなどで忙しい為、家族との会話が減って来ている渚だった。
決して家族が嫌いという訳では無く、寧ろ大好きだ。 だけどメイドの訓練に最近頻繁になっている定期検診に加えて、アイドルのレッスンが入った。
いつも以上に多忙となっているのだ。
その為、明と茜がヒーロー活動をしている事しか知らなくて、具体的に何をしているのかはあんまり知らなかった。
「ふ〜ん…ところでさ、渚はそのまま売り出すの?」
「っと言いますと?」
「顔がバレてるじゃん。 何より王様の専属の執事やメイドを目指すっていう事で、世間から知られてるし。」
「一応少しだけ変えてるよ。 髪は今は長いけど、能力で短めにしてるよ。」
「それってバレない?」
「意外とバレないものだよ。 アクセントを1つでも加えるだけで人の印象って変わるもんだから。」
普段は長い髪を横で結んでサイドテールにしているが、アイドル活動をする時はショートにしているようだ。
「名前は?」
「
「そっか〜渚がアイドルか…。 これからは光の護衛にもなるんだね。」
「そうなるかな。 あっでも、予定が空けば岬やハル君の護衛になるよ。 その代わりに別の護衛が来るよ。」
「明さんか灰さんか白さん?」
「交代制で迎えに来るって。」
現状として長谷川家の中で遥と岬の2人と一緒に居られるのは居ない為、代わりを用意する事になった時に、3人が同時に立候補した為、交代制となった。
「それにしても……この後どうする?」
前までは2人で色んな所に遊びに行ってて、遊び尽くしたと行っても過言じゃない。 だが、この町に飽きたという事もないが、何処かに行く気分と言うより、話していたい気分の2人だ。
「じゃあ、誰か呼ぶ?」
「誰かって?」
「ちょっと待ってね…あっ、さっちゃん?」
「さっちゃん?」
携帯を取り出して誰かへと電話をする渚。 聞き覚えがあるようでないような名前が出て来た。
電話の相手は偶然にも休みであり、近くにいる事が分かり、今いるファミレスへと誘った。
そして来た相手にポカンとする岬。 それと同じく、渚が一緒にいた相手がまさか王族だとは思ってもいなかった電話の相手だ。
「ね…ねぇ、渚…この人って…」
「うん、そうだよ。 岬が思ってる通りの人だよ。」
「まさか米澤…」
「そう、さっちゃんだよ。」
まさかアイドルが呼ばれて来るとは思っても居なかった為、驚いている岬だった。
逆に紗千子も同じ反応で、まさか渚が一緒にいる相手が王族だとは思っても居なかった。
「渚、この方は…」
「うん、櫻田岬。 私達のご主人様の1人であって、私の友だちだよ。」
「ははははは初めまして! 私米澤ーー」
「あー! それ以上は言わなくて大丈夫だから!」
いくら変装をしているとはいえ、この場に王族とメイドの卵…そしてアイドルが揃っていると分かれば大騒ぎになる事は確実だ。 紗千子がフルネームを言う前に岬が止めた。
とりあえず席に着いて再度注文をしてデザートを食べる事になった。
だけど、紗千子の握っているスプーンは震えている。
「そんなに緊張しなくても大丈夫だよ。」
「い…いえ、そんな…きき緊張なんてしてないれす!」
「「(あっ、噛んだ)」」
緊張した上で噛んでしまい、顔が真っ赤になる紗千子。
どういう事か説明して欲しいと、紗千子は小声で渚に話しかけてきた。
「ね…ねぇ、岬様と友だちだったの!?」
「言ってなかったっけ?」
「聞いてないわよ! それに櫻田家の人と会えるなんて思いもしないよ!」
「(実際光とは会ってるんだよなぁ…) 大丈夫だよ。 今は王族としてじゃなくて友だちとして一緒にいるんだから。 ね、岬!」
「え? あっ、うん。 そうね。」
よく分からないけど返事をする岬。 急に振られても困るといった感じだ。
櫻田家の執事とメイドとは聞いていたけど、まさか友人関係にあるとは思ってもいなかったようだ。
「さっちゃんもそんなに畏まらなくてもいいよ。 硬いよ?」
「そ、そんな事言ったって…」
パフェを食べながら小声で話す2人を見ている岬。
紗千子が困っているのは確実に自分の存在だという事は自覚している。 更に言えばファミレスの中であり、アイドルがいる事がバレれば大変な事になるのは間違い無しだ。
「ねぇ2人とも、場所変えない?」
「い、いえ…私はここで大丈ーー」
「そうしようか。」
紗千子が言い終わる前に渚が決定した。
決して逃げたい訳ではないが、逃げ道を1つ塞がれてしまった。
「私の家に行く?」
「岬様の家!?」
「岬の家だとさっちゃんが硬直しちゃうよ。 私の家にしよう。」
渚の家なら…っと少しホッとしている紗千子。
そうと決まればすぐに食べ終え、移動する事にした。
やはりと言うべきか、道中紗千子は未だに硬かった。
そして紗千子はまたも驚愕する事になる。
「ねぇ…渚の家って…」
「そうだよ。 岬の家の隣だよ。」
どう見ても櫻田家の名札がある。 その隣に長谷川の名札。
岬の家より緊張しないでしょ。という渚に対して、そういう事じゃないと心の中で突っ込みを入れていた。
「ただいまー!」
「お邪魔しまーす!」
「し、失礼します。」
三者三様の言葉で家へと入ると、白が出迎えた。
「おかえり、岬ちゃんと…米澤紗千子さん?」
「は、はい! 米澤紗千子です、お邪魔してます!」
「そんな畏まらなくて良いよ。 渚の兄の白、よろしくね。」
「よろしくお願いします。」
「ゆっくりしていってね。」
招き入れると、白は台所へと向かって行った。 どうやら夕御飯の支度をしている最中のようだ。
部屋に入り、机を囲むように座った。
「さて、改めて紹介するね。 こちらは私の友だちであって、先輩の米澤紗千子だよ。」
「うん、よく知ってる。」
何故か遠い目の岬、光が関係しているからだろう。
当の紗千子は萎縮している。
「ねぇ、明さんと灰さんは?」
「2人共定期検査に行ってるよ。 明お兄ちゃんはそろそろ帰ってくる頃だと思うけど、灰お兄ちゃんは張り切ってる頃だと思うから、まだ帰ってこないよ。」
「張り切ってる頃って?」
「新しい事への挑戦だって。 何なのかは知らないけど。」
渚の言う通り、灰は走っていた。
それはさて置き、未だに固い紗千子をどうほぐすかだ。 そこで渚は閃いた。
「さっちゃんの為に私が一肌脱ぎますか!」
「えっ、何する気!?」
唐突にやる気を出した渚に不安しか覚えない紗千子だった。
深刻な顔をして2人の顔を交互に見渡し、そして…
「恋バナを始めようか…」
「「は?」」
紗千子と岬がシンクロした瞬間だった。
「えっあれ、違った?」
「違うも何も急過ぎるわよ。」
「あっれ〜、おかしいな。 私の取って置きの話題だったんだけどなぁ…」
「じゃあ何かあるの?」
取って置きと言われると気になってくる。 がしかし、聞かれると固まってしまった。
「え゛っ…え〜っと…、あはは。」
「無いなら渚はお手付き1回。 はい、さっちゃんの番。」
「えっ!? この話続けるの!?」
岬が回し始めた事に驚く紗千子。 岬がこの話を止めるのかと思っていたが、自分に振られた事により乗り気なのを感じた。
「恋バナ…恋…え〜っと…」
「流石にアイドルだと恋愛は難しいか。」
「私じゃなくてらいとの事なんだけど、灰さんと付き合ってるらしいけど、いつ何処でどんなデートをしているのか気になるって言うかーー」
「ちょちょちょちょちょっと待ってさっちゃん!」
「え!? 嘘、いつお兄ちゃんは付き合ってたの!?」
まずはらいとと灰が付き合っているという事に驚く2人。 本当は紗千子の勘違いなのだが…
「いつって、確か去年の夏頃って言ってた気が…」
「って事は渚達が引っ越して直ぐって事?」
「もしかしてお兄ちゃんって……ロリコン?」
らいとの正体は、小学生である櫻田光だという事を知っている岬と渚は、小学生と高校生が付き合っている=灰はロリコンと出来上がってしまった。
「お兄ちゃ〜ん!」
叫びながらも灰に電話をかける渚。 本当に付き合っているのかを確認したかった。
『渚どしたー?』
「お兄ちゃんに彼女いるって本当!?」
『え!嘘!? 僕に彼女がいるの!? どこ!今から探しに行くかーー』
灰の反応を聴いて確信した。 灰とらいとは付き合っていないと。
「お兄ちゃんとらいとは付き合ってないよ。 さっちゃんの勘違いだよ。」
「確かにあの反応は…でも、思えばちゃんと確認してなかったかも。 ごめん。」
一先ず落ち着きを取り戻す為に、3人ともため息を吐いた。 そして同時に笑い出した。
「まさかさっちゃんがそんな話題を持ってるなんて思わなかったよ。」
「だ、だってあの時は付き合ってるとばかり思ってたから…」
「それだったらさ、2人は渚のお兄さん達の中で付き合うとしたら誰が良いの?」
新たな話題が岬から振られる。 これまた困った内容だ。
「え〜、考えもしないよ。 だってお兄ちゃん達だもん。」
「私も…まだそんなに知らないし…」
「って事は…」
「岬様は3人の中の誰かが!?」
渚と紗千子が導き出した答え。 変な方へしか進まない。
「そんな訳ないでしょ! 異性として好きとかじゃなくて普通に好きだよ!」
「じゃあ私とは遊びだったの!?」
唐突に入ってくる渚の茶番。
「そんな訳無いよ! 私は渚が大好きだ!」
「岬ー!」
「渚ー!」
そして暫し抱き合う2人。 反応に困っている紗千子に対して振り向くと、2人は腕を広げて仲間に入れようとしている。
「「さぁ!」」
「行かないわよ!」
「行かないってさ。」
「だったらこっちから行くしかないでしょ!」
「きゃー!」
渚と岬に襲いかかられ、揉みくちゃにされる紗千子。 悲鳴は上げているが、案外楽しそうである。
「ただいま、お菓子持って来……』
悪いタイミングで定期検査を終え、白にお菓子を持って行くよう言われた明が入って来た。 明の目には紗千子を襲っている百合展開にしか見えなかった為、姿を消して扉を閉めた。
「待って明さん! 誤解だから!」
新たな誤解が生まれたが、直ぐに解決するであろう。
その日から3人は仲良くなり、紗千子は岬様から岬と呼ぶようになった。
そして、灰は帰って来る前まで紗千子が居た事を知り、会えなかった事への激しい断末魔をあげた。
さらに彼女が見つからなかった断末魔もあげるであろう。
渚の話となると友だち関連が多いような気がしないでもない。
1番書いてないのが話が白だけど。
・長谷川 渚
アイドル事務所に入り、レッスンとメイドの訓練の日々を過ごし、岬との時間が減ってきている。
だけど、親友である事に変わりはない。
次回は長谷川家の秘密に関する話です。
ではまた次回。