「うん、分かった。直ぐ行くよ」
「電話何だって?」
「緊急事態だって。直ぐに城に向かうよ」
台風が過ぎ去ってから数日。小雨のある日、父親からの緊急召集。何やら大変な事が起こったようだ。準備が出来次第、4人は城へと向かった。
城に着くと、険しい表情健吾が迎えた。
「良く来た。王様が倒れてしまってな」
「た、倒れたって…何があったの!」
やや食い気味に灰が聞いてくる。王様が倒れたとあれば一刻を争う事態だ。
健吾が思い詰めた表情になり、口を開いた。
「ギックリ腰だ」
「「「「……………は?」」」」
「ギックリ腰だ」
「うん、分かってるよ、うん。あのね父さん、僕らが言いたいのは父さんが何故そんなに思い詰めてるのか聞きたい」
「ば、ギックリ腰は大変なんだぞ!身体を動かそうとしただけで痛いし、動けないんだぞ!」
白けた目となる4人。王様に対してではなく、健吾に対してだ。
「とにかく歩きながら説明する。先に櫻田家の皆も集まってるからな」
曰く、お妃であるさつきをお姫様抱っこをしようとしたら、抱えた状態でギックリ腰になってしまったとのこと。さつき自身も色んな意味でショックを受けていた。それを聞いた4人は同時に苦笑していた。
王様が動けない為、その子供達である葵達が仕事を引き受ける流れとなった。そしてフォローをする為に白達もそれに着いて行くという事だ。曽和や楠などの協力もあり、それぞれ明日の仕事を分散する事になった。
食事会には葵と健吾と楠。年度末の予算調整には奏と遥と灰。報道陣へのインタビューは岬と曽和。留守番である栞と光の面倒を渚が見る事に。
そして、先日の台風の影響で土砂崩れで道が塞がって孤立している村へのお見舞いに修と輝と茜と白と明が行く事になった。
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次の日の朝、蒸し暑さもある中での車で移動中。本来なら修の
「
「ね、最初に会った時言った通り、話す事でも無い能力でしょ」
「いやいや、俺らには有効じゃないですか。特に
「俺の場合、常にブレイクアウトなんだよ。ごめんね」
能力を止めさえすれば誰からの能力も受ける筈。でも、白は常に能力を使い続けなければならない理由があった。
土砂崩れが起きた現場まで着くと、車が止まった。確かに道路が塞がれており、ここから先に進むのは無理だ。
復旧作業している人達も難航している様子だ。
「ここは僕の出番ですね!」
「あまり無茶はするなよ」
輝が現場に行き、
「輝君は俺と明で見てるから、修と茜ちゃんは先に支給品を届けて」
「分かりました。輝を頼みます」
茜と支給品が入っているトラックに触れると、瞬間移動した。
「ここに来たは良いけど、俺らにやる事あるかな?」
「輝君に一大事が起きた場合の俺達だよ」
「何も起きなきゃ良いけど…」
空を見上げると、雨が少しだけ強くなった気がした。嫌な予感が過ぎる明だ。
作業員達の手伝いをしつつ、輝の様子を伺っている。能力があったとしても、まだ幼い身体という事もあって心配なのだ。
「ちょっと行ってくる」
「気をつけてね」
明が輝の所へと向かう。
天候の事もあり、これ以上土砂崩れが起きないという事は無いからだ。
雨により、地面が更に崩れやすくなっている筈だ。
暫くすると、何故か灰がやって来た。
「兄さん、手伝いに来たよ」
「あれ、予算調整は?」
「僕を誰だと思ってるのさ。そんなもの高速で出来るさ」
余りにも早く終わった為、こっちに向かわされたのだ。他の所に行く事も出来たが、手は足りてるようだ。
「そうか。灰が居てくれるなら百人力だよ」
手順を説明しようとした瞬間、地面が揺れた。明の嫌な予感が当たってしまい、輝の真上から土砂崩れが起きてる。このままだと輝が巻き込まれてしまう。明は早急に走り出して輝を掴み、後ろに投げ飛ばした。
「白兄!」
声が届くだろう相手に思い切り叫んだ。白と灰は同時に振り返り、直ぐに理解して灰が走り出した。
地面に落ちる前に輝をキャッチして、白の隣に置き、また走り出した。今度は明を助けなければ土砂崩れに巻き込まれる。思い切り走るのだが…
「明ぁぁぁぁあ!!」
間に合わなかった。そのまま巻き込まれ!明の姿は見えなくなり、視界は土砂でいっぱいとなった。
「え、あれ?僕は…」
輝が先程まで居た位置とは違う事に気付いた。自分が居た筈の位置を見ると理解した。
「明兄様…!」
「待って」
能力を使って、直ぐに掻き分けに行こうとするが、白によって打ち消されてしまった。
「何で止めるんですか!?」
「力任せに掻き分けたら更に崩れるかもしれないから」
っと、優しく教える。直ぐに助け出したいのは白も同じだ。だけど、取り乱している場合では無い。
1度深呼吸をして、何かを決意をした。
「後は俺達が何とかする。直ぐに修が来てくれると思うから、救急車を用意して欲しい。良い?」
「え…お兄様達が…?」
何をするのか分からない輝。「大丈夫」と、輝の頭を撫でてから走り出した。
作業員達もどうすれば良いか悩んでる状態だ。灰も能力を使おうとするが、迂闊に触れない事を理解している為、手を出せないでいる。
「ねぇ灰、
「こんな時に何!?」
「良いから」
「出来る。…だけど、長くは続かないけど何で?」
「俺がこれを全て吹き飛ばす」
灰は一瞬理解出来なかった。だけど直ぐに理解して止める。
「だ、駄目だよ兄さん!そしたら兄さんまで…」
「このまま何もしなかったら明を助け出せないよ」
「…っ!?」
「そんなのは嫌だ。明を失いたくない」
「で、でも葵さんが悲しむぞ!」
「何もしなかったら余計に悲しむ。それに葵も理解してくれる」
土砂崩れに巻き込まれたなら死んでてもおかしくない。だけど、生きてるいる事信じて、やれる事をやろうとしていた。
「なら、修ちゃんを呼べば…」
「電波が届かないんだ」
そう、この場に電波が繋がっておらず、電話が出来ないのだ。
それに、灰が修を連れ出す事も出来そうだが、時間が掛かる。今は一刻を争う事態だ。
「先にこの場にいる人を全員下がらせて」
「…分かった」
灰としては納得はしていないが、他に手段は無かった。能力で作業員の全員を輝のいる所まで運んだ後、白の所へと戻った。
「下がらせたよ」
「ありがとう。後は頼んだよ」
「僕も元気で居られる自信は無いね。でも、渚がいる」
「うん、そうだね…じゃあ、準備は良い?」
「いつでも」
白は土砂へと手を翳し、深呼吸をした。
「じゃあ行くよ。3」
灰も走り出す体勢をしている。
「2」
「兄さん」
「1」
「死ぬなよ」
常に使い続けている能力…
白が
実は白は能力を2つ持っており、ある時期から副作用によって様々な物を破壊し、遂には白の身体まで破壊してきたのだ。その為一時は心肺停止まで追いやられたが、もう1つの能力である
土砂が砕けたと同時に灰も本気で能力を使った。全てがスローに見える世界。
灰だけがこの時間の中を意識的に動けている。
粉々となった土や石を掻き分け、血だらけになっている明を見つけ、直ぐに病院へと運び出した。
それが一瞬の出来事。
周りに居た人達は何が起こったのか理解出来て居ない。
すると、土砂を吹き飛ばした張本人である白の身体から血飛沫が上がり、倒れてしまった。
この後土砂崩れの音を聞きつけた修が来てくれて、輝が泣きながらも説明し、能力で救急車を持って来て白を病院へと運んで行った。
・長谷川 白
数年前に偶像破壊が
一時心肺停止まで陥るが、能力制御を発動したお陰で一命を取り留めた。
能力の四字熟語って凄く悩む。ポンポン浮かぶ人って凄いですよね。
では、また次回に。