そういえば前回説明し忘れてました。
白、灰、明は執事。
渚はメイドを目指しています。
そして目指しているのは王様専属の執事、もしくはメイドです。
「やはり一晩もの間、娘三人と明君だけというのは…その上茜は熱で寝込んでいるし…」
「栞の面倒も茜の看病も十分よ。」
「そうですよ。何があっても3人をお守りいたしますから。」
「しかしだな、もしも強盗とか入ったら…」
「こんな能力者の巣窟に手を出す奴なんかいないってば!」
「いや!やっぱり特殊警備隊に警備させよう。」
「恥ずかしいから本当にやめて。」
「じゃあせめてー」
「さっさと行かないと無視するわよ。」
奏の強烈な一言に、押されてしまった総一郎。
10月半ば、櫻田家は遠出をしなければならなかった。執事の仕事である長谷川家の父、健吾もそれについて回り、白も一緒だ。
だが、茜が熱を出して寝込んでしまい、栞と奏が残る事に。
そして、長谷川家も恵の親戚が寝込んでしまい、その子供たちのお世話をする為に、恵と灰が行く事になった。
因みに、遥と岬と渚は修学旅行中だった。
「わ、わかったよ…ただ、これだけは約束してくれ。何があろうとも、絶対に未知の物だけは生成するな。お前の能力は万が一破産でもしたらー」
「パパ、早く行け。」
どうしても愛娘たちが心配な総一郎だった。
最後に明に「皆を任せたよ。」と一言言って、行ってしまった。
「玄関先で30分も粘るとか…」
「それだけ心配なんでしょ。」
「私達が明に襲われる事とかかな〜?」
「するとお思いで?」
「さあね。」
奏の挑発を面倒そうに対処する明だった。
2人で茜の様子を見に行く時に、事件は起こった。
「うわぁああああ!」
突然の茜の悲鳴。
「茜!どうしたの!?」
「出てきたばかりの新キャラがもう死んだ!!」
なんと、茜が読んでいる漫画の新キャラが死んでしまった!
「アンタも死ぬわよ!ちゃんと寝てなさい!」
漫画を取り上げ、すぐに寝かせ、熱を計った。
「熱が上がってる。大人しくしてろよ。」
「バカじゃないの。」
熱さまシートを取り、新しいのを準備する奏。
「今日のかなちゃん優しい。」
「いつも優しいわよ。」
「外でもわざわざ良い人演じなくたって、そのままのかなちゃんで十分選挙で勝てると思うけど…明君もそう思わない?」
「分かんねえよ。」
それだけ言うと、明は部屋を出た。
「葵姉さんに勝つには聖人君子の様な偶像でもなきゃむりなのよ。」
「そうかな?まぁ、結局勝ててないけど。」
イラッと来たのか、熱さまシートをペシッと良い音を出す程に、強めに貼り付けた。
「あいたっ!」
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明が部屋を出ると、栞が居た。
「どうしたの栞ちゃん?」
「茜お姉様におかゆ…」
「そうだね。茜さんに元気になって貰わないとね。一緒に作ろうか。」
「うん。」
台所に向かい、料理の準備をしていると奏も参加する事になった。
「栞は優しい栞のまま大きくなってね。」
何故撫でられているのか分からない栞。そして茜のくしゃみが盛大に響くのだった。
下準備を明が。味付けは栞。味見は奏がした。
美味しいのが出来て、栞は嬉しそうだった。
奏がおかゆを持っ行き、明と栞が晩ご飯を作る事にした。
おかゆの余りで雑炊を作る為に、材料を用意をしていた。
「あかね!?」
っと、奏の叫び声が上がった。
「栞ちゃん、ちょっと待ってて。見てくる。」
「うん。」
すぐに2階に上がり、茜の部屋に入った。先程よりも熱が上がり、苦しそうな茜を深刻そうに見て悩んでいる奏の姿があった。
「(どどどどどどうしよう!……な、何か処置を…そうだ!一発で効くような万能薬を生成して…)」
その時、総一郎の約束を思い出した。
『ーー絶対に未知の物だけは生成するなーー万が一破産でもしたらーー』
「(分かってるわよ!でも、躊躇して何かあったら元も子もないでしょ!) 待ってなさい茜、今万能薬をー」
「奏さん落ち着いて。」
明に止められ、ハッとした。
「大袈裟だよかなちゃん。ただの風邪だって。確かに高熱だけど。」
「万能薬なんかなくたって普通のお薬飲んで安静にしてれば平気だから…」
「茜…わ、わかった。それじゃ最高の名医を生成するから待ってなさい!」
「だから落ち着けって!」
どうやら奏ビジョンには茜の病気がオーバー気味に映っているようだ。
すると、茜かふらふらになりながらも立ち上がった。
「あーもう…もし何か生成したら逃げるよ。全力で。」
「わっ、分かったから横になって!お願い!」
「茜さんも落ち着け!」
肩を掴んで、茜を強引に寝かせた。
「明が茜を襲おうとしてる!?」
「し、しねえよ!」
茜の顔が赤いのが色っぽく見えてしまい、僅かに顔を赤くし、動揺してしまった明だった。
ドアの音がして、栞が入ってきた。
「栞っ、入ってきちゃだめよ。」
「茜お姉様…元気になるおまじない。」
栞が茜の頬にキスをした。すると…
「うほぉぉぉぉぉぉおおお!!!」
茜が嬉しさのあまり、取り乱した。
それをみた奏は取り乱したのが恥ずかしくなってきてしまった。
茜を落ち着かせ、寝かせた。
その後ご飯を食べ、奏と栞、そして明は交代でお風呂に入る事になった。
栞の髪を乾かしながら時間を確認すると、もう9時過ぎだった。
「もうこんな時間。髪乾いたらお布団に行こうね。」
「…まだ眠くない…」
さつきと総一郎が両方共いない日は珍しく、まだ遊びたいようだ。そんな妹の可愛いわがままに、奏は勝てない。
「今日は内緒で夜更かししちゃおっか。」
「うん!」
2階から物音がした。明はお風呂。だから茜が起きて行動を起こしたのだろうと思った。
「茜起きたのかしら?ちょっと見てくるね。」
「私も行く。」
栞も茜が心配のようだ。廊下に出ると、明が真剣な表情で階段をゆっくり登ってた。
「明、どうしたの?」
「なんかいる……茜さんじゃない……1人…いや、複数。」
「えっ!?ご、強盗?」
「かもね。奏さんは栞ちゃんとにいて。」
「茜お姉様が…」
「……分かった。でも、離れないでね。」
栞にお願いされると、ダメとは言えなかった。
先頭に明、続いて栞を庇うように奏が付いて行った。
茜の部屋に入る直前、僅かに修と輝の部屋から音がしたのに奏は気付いた。
「茜さん?」
明は部屋に入ると、そこに寝ていた筈の茜は居なかった。
「いない…他の部屋に…」
振り返ると、奏と栞も居なかった。
奏は不安を覚え、スタンガンを生成し、ゆっくりと修と輝の部屋の扉を開けた。
「…あかね〜そこなの……?」
すると、そこには謎の黒い影が居た。背丈は奏よりは高い。明らかにそれは人だった。
奏は全身に鳥肌が立っち、スタンガンを押し付けた。
「ダァー!!」
「アバァバババババァァ!!」
《Emergency》
スタンガンが効いたのか、相手は痺れているようだ。
叫び声に反応し、明が即座に移動した。トイレから帰って来た茜には凄まじい動きをしている明を視界に捉えた。
まず壁を走り、ドアと奏の隙間を潜った。
奏が倒した相手を掴み、手を後ろに回させ、うつ伏せにした。
「あだだだだだだ!!」
「えっ!?修さん?」
「修ちゃん!?何でここに!?」
「わ…忘れ物取りに瞬間移動で…」
「すみません、修さん!」
「ごめんなさい…大丈夫…?」
「平気だ…」
《STANDBY》
すぐに拘束を解き、壁に背中を預けさせた。
「どうしたの?って修ちゃん!?」
「よ、よぉ。」
「茜、何処に…」
「!? 来る…」
『GO』
誰かの突入の合図により、複数の人間が窓を破って入って来た。だが、明が迎え討ち、入って来た2人は蹴り落された。
「「「わあぁぁぁああ!!!」」」
茜と奏と修の悲鳴。栞は奏にしがみ付いて瞼を力強く閉じていた。
次に明は茜達に近付いている2人に移動し、1人を足払いで倒し、もう1人を羽交い締めをし、相手の足に装備されてあるナイフを抜け取り、首筋に当てた。
「全員動くな!」
明に全員が向いた。
「あ、明さん!?」
「え?」
進入してきた人達の服をよくよく見ると、王家の特殊部隊だった。
成り行きはこうだ。部屋に異常な熱源反応(スタンガン)と尋常じゃない叫び声(修)がしたから、非常事態だと思って突入したそうだ。
っと言う事を電話で上司に説明している隊員から聞き覚えのある声と名前が聞こえた。
『気付かれずに任務を遂行しろと言っただろ!』
「申し訳ございません、陛下……」
「代わって貰えます?」
「え、あっあのしかし…」
『ま、待て!代わるんじゃないぞ!』
奏の笑顔の要求。だが、何かドス黒いオーラを感じた隊員は代わるしかなかった。
「ど、どうぞ…」
『おい!聞いてるのかっ!』
「はい、聞いてますよ。」
電話の相手は王様、つまりは総一郎だった。そこから奏の説教が始まった。
この間、修は明に介抱され、他の隊員は破ったガラスなどの片付け。茜と栞は見守っていた。
隊員が撤収し、修も瞬間移動で居なくなった後。奏は茜を寝かせ、明と栞は食器の後片付けをしていた。
「疲れた…もう寝ましょう…(あ…どうしよう…治りきってない茜と栞が一緒はまずいわよね…でも、明もいるし…)」
「私はもう平気だから栞と一緒に居てあげて。」
「でも…」
「いーから。じゃないと今度こそ逃げるよ。」
「わかった!わかったから…あんたそれズルいわよ
…」
何処までも家族想いな2人だ。
リビングに戻ると2人はテレビを観ていた。
「茜に追い出されちゃった。っというわけで、栞は私の部屋で一緒に寝ましょうね。」
「イヤっ!奏お姉様と明お兄様は茜お姉様と一緒に寝てあげて!栞は1人で平気!」
っと、栞はダッシュで奏の部屋に行った。
奏と明は顔を見合わせ、なんとも言えない雰囲気が纏った。
1度明は茜の様子を見に行くと、安らかに眠っていた。
「大丈夫そうだな。」
「明は茜を見てあげてね。」
「はっ?」
奏が布団を持って入って来ていた。
「栞も茜もどっちか1人にする訳にはいかないでしょ。」
「いや、それはそうだけど…」
「襲わないでしょう。」
「だから…」
「襲っちゃっても良いわよ。」
「……っ、しないよ。」
「ふ〜ん…」
何か見透かしたようなニヤニヤした奏の笑みに、明はイラッとした。
「まぁ、茜を傷つけなきゃ良いわ。そっちは任せたわよ。」
「ああ。」
奏は部屋を出ようとして止まり、振り返らずに喋り出した。
「さっきはありがとうね。」
「何が?」
「私達を守ってくれて。」
「いや、あれは俺の確認ミスで特殊部隊の人達を…」
「それでも守ったでしょ。」
「………執事だからね。」
「そう。おやすみ。」
「おやすみなさいませ。」
顔は見えなかったが、声の雰囲気は優しかった。ただの照れ隠しのようだ。お互いに。
何故か布団は、茜が寝ているベッドのすぐ隣に敷かれていた。
「………」
布団に潜り、考え事をした。
「(この状況は絶対に灰兄に見られたらうるさくなるだろうな…)」
「う〜ん…」
ギシッとベッドが軋む音がして、ベッドを見る時には遅かった。
「ごっ!!」
茜が落ちてきた。
「えへへ〜。」
「(ヤバい…ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい!!)」
茜は寝惚けてるようだ。何故なら明を抱きしめ出したからだ。身動きが取れなくなってしまった明。思考は「ヤバい」しかない。
「(どうする!?どうする!?どうしたら良い!?)」
とりあえず消えるしかなく、そのまま朝を迎えてしまった。
その時には姿を現していて、奏の叫び、そして茜の叫び。その後、明の弁明タイムが始まった。
明がどう思っているのかは想像に任せます。
え?誰にかって?そこもお任せします。
栞は明達に懐いてます。
一応な説明ですけどね。
次のあとがきで、白の紹介をしますね。
では、また次回に。