横須賀での会合の数日後、都内にある山本の自宅に長沢は招かれていた。
「立派なご自宅ですね」
山本宅へ足を踏み入れた長沢は言った。
「だろ?これでも住友商事の理事をやってたからな。資料は持って来てくれたかい?」
「ええ、こちらに。」
「ふむ、懐かしいな」
二人で資料めくりながら思い出話に花を咲かせた。山本夫人が淹れてくれた紅茶を飲みながら資料を見ていると、ふと山本が呟いた。
「この計画が上手く行ったら海軍はどうなっていただろうな…」
長沢も顔を上げる。山本は第五次海軍軍備充実計画についてまとめられた冊子を見ている。
「⑤計画ですか?」
「それもそうだけどさ。この計画が完成していたら、ここで戦争が終わっていればと考えてしまってね」
「八八艦隊は浪漫の塊ですよね」
「そこまで遡らなくても、例えば今の海自だって吉田茂が拒否しなければ軽空母を持ってたんだぞ?」
「そうかも知れませんが」
「研究の一環としていくつかのターニングポイントで歴史を切り替えて考えてみる。どうだ、面白そうだろ」
「ええまあ」
「やってみようじゃないか」
「具体的にどう分類するんですか」
「余り古いと幅が広がり過ぎるから⑤計画くらいからでいいんじゃないか」
「太平洋戦争で計画が狂わされた訳ですから、いいと思います」
「④計画までに完成している軍艦はどんな感じだったかな」
「昭和16年…、もう開戦間近ですね」
戦艦
大和型 (4)
長門型 2
扶桑級 4
金剛型 4
空母
大鳳 (1)
翔鶴型 2
蒼龍級 2
赤城級 2
龍驤 1
鳳翔 1
重巡
利根型 2
妙高級 12
古鷹級 4
軽巡
阿賀野型(4)
大淀型 (2)
球磨級 14
夕張 1
天龍型 2
駆逐艦
峯風級 34
特型 23
初春級 16
朝潮型 10
甲型 20+(10)
乙型 (6)
丙型 (1)
「大和型戦艦が4隻か。この時点でかなりの戦力だな」
「水雷戦隊もかなり新型に置き換えられますね」
「ではこれを基点にして…、そうだな昭和25年にどうなっているかを想定しよう」
一、開戦せず⑤計画が完成する
二、開戦せず⑥計画が完成する
三、開戦し、ミッドウェーで勝利する
四、開戦し、マリアナで休戦、改⑤計画が完成
五、開戦し、レイテで休戦、改⑤計画が完成
五、開戦し、敗北。そのまま再武装
六、開戦し、敗北。GHQの下で再軍備
「面白そうですね。対艦巨砲主義の成れの果てなどはいかがでしょう」
「それもいいが結局はアメリカが戦艦を大量に建造して終わりだ。戦後横須賀に来るのがミッドウェーが空母から戦艦になるだけで多きく変わらないだろう」
「分かりました。では具体的に考えてみましょうか」
話が強引です。我ながらひどい文章だとは思います。けど力を入れるべき本編は次からですからね。