フグ鯨を食べた数日後、キョウ達は再び特別実習の日を迎えた。
キョウ「ふあぁぁぁ…」
エマ「えっと…おはようございます」
フィー「おはよー」
キョウ「ああ。俺が最後みたいだな」
キョウは入り口エントランスにいるリィン達を見てそう言う。
ユーシス「……」
マキアス「……」
キョウ「朝っぱらから面倒な空気だな」
ズバッと言うキョウに、リィンとエマは苦笑いする。
エマ「あはは…皆揃ったみたいですね。早速出発しましょうか?」
リィン「そうだな…まだ列車の時間はあるけど」
ユーシス「フン…別に構わんぞ」
マキアス「…僕も異存はない」
フィー「それじゃあ、れっつごー…」
キョウ「お前は俺の背中から下りろ!」
そんなこんなで、キョウ達は駅へと向かった。駅に到着すると、既にアリサ達がいた。
ガイウス「来たか」
アリサ「あら、貴方達」
エリオット「おはよう。そっちももう出発なんだ?」
リィン「ああ。昼前には到着しておきたいからな。そちらはもう切符を購入したみたいだな?」
アリサ「ええ。帝都方面の列車が丁度来る頃合いみたいだし」
ラウラ「我等が向かうセントアークと、そちらのバリアハートは大体同じくらいの距離か」
エマ「ええ。どちらも特急を使えば5時間くらいだったと思います」
ピンポンパンポン…
『まもなく2番ホームに、帝都行き旅客列車が到着します。ご利用の方は、連絡階段を渡ったホームにてお待ちください』
エリオット「あ…もう来ちゃった」
アリサ「えっと、それじゃあ行くわね」
アリサ達A班はそう言い残して行ってしまった。
リィン「…俺達も切符を買って、バリアハート行きを待つか」
エマ「そ、そうですね…」
マキアス「…異存はない。こんな形で貴族共の巣窟に行くとは思わなかったが」
ユーシス「…フン」
そしてキョウ達もホームに来た列車に乗り込み、バリアハートを目指した。
キョウ(…ウゼェ)
エマ「えっと…と、取り敢えず実習先のおさらいをしましょうか?」
リィン「…そうだな。ユーシス、折角だから《バリアハート市》について概要を説明してくれないか?」
ユーシス「フン、別に構わないが。…そこの優秀な男に解説してもらった方がいいんじゃないか?貴族目線で語るより、さぞ批判的で気の利いた説明をしてくれるだろうさ」
マキアス「…くっ…僕がイデオロギーに歪んだ物の見方をしてると言うのか?」
ユーシス「いや、何しろ入学試験で次席を取ってる優等生どのだ。加えて日頃の脇目も振らぬ程の余裕のない勉学ぶり…さぞ教科書的な知識
マキアス「!!」
ユーシスにそう言われ、マキアスは立ち上がる。
エマ「ちょ、ちょっとお2人とも…!」
キョウ「…鬱陶しいな」
『!!』
キョウ「さっきから聞いてりゃ、くだらねぇ事でビービー喚きやがって」
マキアス「な、なんだと!?」
キョウ「そりゃ、お前らがいりゃ前回の実習が散々な結果だった訳だ。先月お前らが付けられた評価は、最も低いE…はっきり言って試験なら赤点だな」
キョウは笑いながら前回の評価の話をする。
キョウ「テメェ等2人だけならいいが、班の評価は真面目にやったエマにも適応される。お前らのせいで他の連中が赤点になるなら、はっきり言って帰ってくれ。邪魔だ」
「「…!!」」
フィー「キョウ、なんで私が入ってないの…」
キョウ「お前の場合か赤点ではねぇけどギリギリの点数だろうが」
フィー「むぅ…納得行かない」
キョウ「普段の行いだな」
俺は再び2人を見る。
キョウ「これ以上いざこざを起こすなら、俺直々に手を出すからな。後は好きにしろ」
そう言ってキョウは眠った。