「よかったじゃないですかぁ~!!」
先日の出来事を恥ずかしながらも後藤さんに報告すると、満面の笑みでそう返される。
「ちょっと、声大きいよぉ……後藤さんっ」
「えー? 何言ってるんですかぁ? 誰も気にしてませんよぉ」
そういうものの、いつも人の少ない花壇の周りに今日は珍しく人がちらほらといた。それを気にして言ったのだけど、後藤さんは全然気にしていない様子。先日のウワサの事があったものだから私も神経質になっているのかもしれない。ていうか、そのこともまだ解決してないんだけどね……。
「それで、いつに決まったんですか? デート!!」
「だから、声大きいって!」
私は後藤さんの口を手で覆って言う。
「気にしすぎですって横井さん、そもそもウワサをしずめるためにデートするんですから、別にバレてもいいじゃないですか」
「それでも恥ずかしいのっ!!」
も~~! 後藤さんったらそんなに嬉しいのかなぁ? テンション上がりすぎだよ~。普段のおしとやかさが消えちゃってずっとニコニコしてるし……。
でも、自分の事じゃないのにこんなに嬉しそうにしているなんて後藤さんも本当に変わってるなぁ。まるで自分も当事者かのような気にしようだよ~。
「えっとね……次の日曜日、明後日ね」
「へぇ~、楽しそうですね、もうどこに向かうか決めているんですかぁ?」
嬉しそうにおさげを両手でモフモフ触りながら言う。
デートの日時と場所は、今朝登校した時、下駄箱に関くんの手紙が入っていてそこに書いてあった。相変わらず用件だけを書いて、右下に自分のサインを書いたそっけないものだったけど。
「えっと、場所はね……」
「あっ! そうだ、私が当ててみましょうか?」
ハイテンションの後藤さんは間髪入れずにそう提案する。
「へ? あ、うん、どうぞ」
私はあっけにとられながら言う。
「えーーズバリ! 遊園地ですか……!?」
「えっ? すごーい!? 正解! なんでわかったの?」
手を叩き驚いて言う。
「ああ、やっぱり……あ、まあ、デートの定番ですからね……」
と、後藤さんは調子に乗りすぎたかのように、急に作り笑いになる。そのぎこちない笑顔が少し違和感を覚えたのだけど、その理由は分からなかった。
そして、約束した日の朝になった。私は相変わらずモヤモヤ気持ちを持ったまま、二日間を過ごした。関くんの私に対する気持ちをずっと考えていたのだ。あの日、私の部屋での出来事を何回も何回も繰り返し思い出し、夜中まで布団の中で考えていた。さすがに昨日はデートに支障が出てはいけないと頑張って早めにベッドに入って寝たけども、それでもちょっと寝不足かもしれない……。
関くんが、もし私の事を少なからず想ってくれているとして、逆に私自身はどうなんだろう? 一緒に部屋にいてドキドキした記憶……可愛いと言われて恥ずかしくも嬉しかったこと……デートに誘われたこと……その事々を考えると、やっぱり、私も関くんが好きなのかもしれない。
……ううん、違う。私は関くんが好き。それが恋人に向ける気持ちなのか、他の人じゃ考えられないほどの気持ちかどうかはわからないけど、とりあえず言えることは、私は関くんが好きなのだと心で思っても何も違和感が無いこと。むしろしっくりくる。
ずっと、私に興味を示さなかった関くんが少しずつ私に目を向けてくれるようになって、それは本当に少しずつでいつからというか、多分、私が関くんのとなりの席になった時からだったのだと思う。
その時からずっと今まで関くんを見てきて、思えば私の中学生活の半分位は『関くんの遊びを見る事』と言っても言い過ぎじゃない。だって、中学生の本分は勉強であって学校でやることのほとんどは授業……その授業のほとんどな訳だもんね。
そんな事を考えながら私は着替えて居間に行くと、顔を洗い冷蔵庫を開けた。お母さんは出かけているみたい。朝と言っても、もう11時前だからね。冷蔵庫からイチゴの入ったヨーグルトを取り出し買い置きのバターロールを袋から一つ出す。
ダノン……ブルガリア……ビヒタス……最近は、ヨーグルトブームなのかいっぱい種類がある――って、ヨーグルトが好きなお母さんが言っていた。おかげで色んなヨーグルトが週替わりで家の冷蔵庫には常備されている。私のお気に入りは森永アロエヨーグルトだ。あんな緑の葉にしっかりした果肉が入ってるなんて、砂漠の生命力ってすごいよね……。
朝ご飯を済ませると、取りあえずテレビを付けた。日曜日にやっているトラブルを漫才で説明した後、法律で解説する番組がやっていて日曜日感を感じた。お兄ちゃんはまだ寝ている様子。どうも、昨日夜遅くまで出掛けていたらしい。うん。なんだかんだで高校生って自由だね。夜遅くまで出歩いても怒られないし……。
約束の時間はお昼だったのでまだ1時間はある……さて、中途半端に余ったこの時間、どうしよう。あ、そういえば昼ご飯って関くん食べてくるのだろうか……? その辺りの事、手紙には書いていなかったから……昼って事は一緒に食べてからって事? そうだと思うけど、違ったら困ったことになりそうだな……。
迷った挙句、電話をして確認することにした。電話番号はクラスの緊急連絡表に書いてある。
「……あ、もしもし横井ですけど関くんのお宅でしょうか?」
「……あら、るみちゃん? どうしたの? あ、俊成に用事?」
電話に出たのは関くんのお母さんだった。優しい声で話しかけてきてくれ、私の中の緊張がスッと抜けた。
「ああ、はい……としなりくんお願いします……」
「は~い」
受話器が遠くなる。ていうか、俊成君って言ったの初めてだなぁ……(笑)
受話器ごしに関くん家のバタバタとした音が聞こえてくる。……どうやら関くんは、ゆったりとくつろいでいたようで、お母さんの何度目かの呼びかけでしぶしぶこちらに来たみたい。
「はい」
「あっ……関くん? 私だけど」
お母さんが『るみちゃんからよ!』と、2回は言っていたので名乗らなくても大丈夫。でも、横井さんって言ってほしかった……恥ずかしいから。
「うん……どうしたの? 横井さん」
「あ、あのね……デー……あの、約束って12時だよねっ!? それで、お昼は食べてもいいのかなぁって……」
デートと言いそうになってつい、早口でまくし立ててしまう。
「あーー、そっか、うん。俺は食べてからって思ってたんだけど、どうしようか?」
「あっ、そうなの? ああじゃあ、それでオッケー! うん、食べていいのね?」
「ははは……どうしたの? 横井さん、慌てて……ちょっと落ち着きなよ」
「えっ? ああ、そうだね……あはは」
なんだか、関くんいつもと違う……?
「今日行く遊園地は、最近、改装して新しい施設が3つも新設されてそれがかなり評判いいって、言われていて楽しいらしいから期待してても良いよ」
「えっ? あーーそうなんだ」
確かに最寄りの遊園地は半年くらい前に改装が終わったって評判になってたっけ……確かその頃は、テスト週間であんまり記憶に残らなかったけど……。
「……中でも都会で話題の映画とショーを融合したようなやつもあって、いわゆるプロジェクションマッピングみたいに、映像を投影してストーリーと組み合わせるみたいな、そんなやつがあって……」
「へ、へ~~」
なんだか、スイッチが入ったように関くんがずっと喋っている。……ああ分かった。多分、関くん電話だと相手が見えないから緊張が抜けて饒舌になるんだね。そういえば、お母さんもいつもよりおおらかだった気もする。
その後も、関くんが新しいアトラクションや施設の話をしていて、私はずっと聞いているだけだった。ようやく話が終わって、じゃあまた後で、と電話を切り通話時間を見ると、21分も経っていた。う~ん、普段からもっと話してほしいとは思っていたけど、ここまで饒舌にされると、無口な関くんの方がいいかもしれない……そんな風に思ってしまった。
我慢していたトイレを済ませると、そろそろデートに向かう時間になっていた。少し早いかも知れないけど遅刻するのは嫌なので早めに出ることにする。
待ち合わせ場所は遊園地行のバス停でそこまでは電車一本で行ける。一応待つことも考えて手提げバックに本を一冊入れ、家を出た。
「……っと、あった! ここだ」
電車を出て、案内板の通りに歩を進めると遊園地行のバス停を発見した。時刻表を確認すると、あと15分ほどだったので、ベンチに座りそのまま関くんを待つことにする。
持ってきた本を読みつつ辺りを気にしていると、7分ほど経った所で関くんが現れた。
「やっ」
手を挙げて手ぶらの関くんが挨拶する。
「って、関くん……手ぶら……!?」
「えっ……? 財布とかは持ってるよ?」
そう言ってズボンのポケットから財布を見せる。
「いやいや、もっと、ハンカチとかティッシュとか、折りたたみ傘とか、いるでしょ普通……」
私がそう言うも、そうかなぁとか、横井さん用意良いねとか、言うだけで特に気にしていないようだった。もう……男の子ってば、自由なんだから。
「とにかく、もう発車の時間だから乗ろう?」
そう言って関くんの背中を押してバスに乗り込む。バスは大勢の人が乗れる用の、真ん中が広く開いていて左右に一列ずつ椅子があるタイプだったので、一緒に乗れる一番後ろの席にさりげなく引っ張ってく。そして一番後ろの長い席に隣同士で腰を下ろした。
バスが発車すると、カーブで左右に揺れるたびにお互いの体があたり合って、ちょっと緊張する。もたれ掛からないよう気を使って踏ん張ってたりする内に、遊園地専用の道路に差し掛かり、そこから5分ほどで遊園地に着いた。広い駐車場を抜け入り口で入場料を払おうとすると、
「ここは俺が払うから……」
急に前にいた関くんが振り返って言う。
「えっ!? そんな、いいよ、悪いから」
「いや……」
と、関くんはお金を出そうともたついている私を尻目に、さっさと二人分払ってしまう。
「もうっ……そんな、悪いよ」
入り口を通り抜けると、180度の左右にカラフルな建物やアトラクションが立ち並んでおり、日曜日ともあって人も多くいた。関くんはもらったパンフレットを見て、これがあの乗り物か! とか、目の前に広がる建物に目をやり、既にそちらに意識が流れているようだった。
それで結局、人の波の邪魔にならないよう適当に進んだ後、どれから乗ろうか、という話になる。目の先にあったメリーゴーランドがなんとなく気になるも、近くに行って見てみると、小学生くらいの子ばかりが乗っていて親が満面の笑みで名前を呼んでいる。とても、中学生の私たちが乗る雰囲気ではない。メリーゴーランドと言えば、昔やっていたドラマなんかによく出ていたような気がする……小学生の頃に再放送していた古いドラマなんかに……。
そんな思い耽っていた私をよそに、関くんがジェットコースターに乗ろうと言う。ジェットコースター……ジェットコースターかぁ……怖いから苦手だ。関くんは好きなのだろうか?
「アレ、乗ろう! アレ」
そう言って、関くんが指さしたのは、入り口を出てすぐ左前にお目見えしていたジェットコースターで、CMなんかでも目玉のアトラクションといて宣伝されていたものだった。
「……う、うん」
怖い……というのも、なんだったのでなんとかそう言ってその気持ちを悟られないように列まで行くと、1時間半待ちの文字。私が心でガッツポーズを決め、
「あっ! ああ、残念だったね、関くん、こんなに待つなら他を回った方がよさそうね」
そう言って笑顔を見せ、他の方向に関くんを押した。
関くんは残念そうにしながらも意地を張ることなく、ブツブツ言いながらも私に素直に押されていく。そのうち人の少ないゲームセンターのような建物に行きついたので、
「入ってみる?」
と聞くと、
「……うん」
と、口数少なげに返事をしたのでそのまま入る。中はそのままゲームセンターになっていて暗めの室内にカラーライトがパトカーみたいにあちこちでファンファン動いている。
しばらく進むと、地下があるようでその入り口には、ファンタジーコースターと書かれているものを発見してしまう。
「しょうがない、これ乗ろう」
丁度、列も混んでいないのを確認すると関くんがそう言って列に並ぶ。私は少し迷っていると、
「どうしたの? 早く」
そう言って関くんが手招きする。
「ああ……ううう……」
私は行くか行かずか、咄嗟に決めなくてはならなくなってしまった。まさか、こんな室内にもコースターがあるとは思わかったし、早く決めないと関くんの後ろに並ばれてしまう。
「あっ……」
っと、迷っている私をひょいと手を伸ばした関くんが私の手を掴み引き寄せる。
「もしかして、怖いの? まあ、さっきのやつよりだいぶ、軽い方だから大丈夫でしょ」
「えっ……う、うん……」
私は関くんに手を引かれたドキドキとコースターの怖さのドキドキとで口が回らない。関くんにも乗るのが怖いことバレてしまったけど、今はそれどころじゃない。まあ、そんなに激しくないなら……大丈夫よね?
「ギャーー!!!! いやぁあああぁぁあぁあ!!」
全然、軽く無かった……。ナニコレ、コワイ。超コワイ。
まるでフロントガラスのない車の助手席で、200キロで飛ばされてカーブを曲がるそんな感じ……。
結局、怖いので、あんまり前を見ないことにする。あと、安全のためのお腹のバーがなんか『ぽーん!』って不意に空きそうで怖い。吹き飛ばされて死にそうで怖い。
なんとか、目をつぶって少し落ち着いた所で右の関くんを見てみる。叫びながらも凄い楽しんでいた。声を荒らげながら暗くて見えないけど、髪も後ろに引かれて凄いことになっているんだろう。ああ、少し楽になって来た。勿体ないから前を見よう。
「いーやぁーーっっッツ!!」
……やっぱり、ダメだった。怖すぎる。プラネタリウムのようにカラフルな照明があるみたいだけどゆっくり見る余裕がない。コースターの下から聞こえる、ガガガガッ! っていう音もなんかリアルで怖い。いやもちろん、効果音とかじゃないからなおさら交通事故みたいで怖い。そんなこと言ったら怒られそうだけど。
結局、前の手すりを手の跡が付くぐらいに力いっぱい掴み下を見てしのぐ。ああ、なんだか哲学者の言葉を思い出したよ。『人は疑似的な死の体験をすることで快感を得ている』だっけ……? まさに、それだよ!!
その後、2、3回、アップダウンがあってお尻に衝撃を受けた後、強烈なカーブでgがかかる。吹き飛ばされないようにこらえていると、ようやく減速し始め、悪夢は終わりを告げた。
「いやぁ、楽しかった」
「はぁああぁ……もう、絶対乗らないッ!」
……うう、まだ、目の前の視界がグルグルグルグル、激しく動いてるぅ……。
そんな私を見かねた関くんが溜息を付いた後、私の手を取り休憩コーナーへといざなってくれる。私はベンチにへたり込むと、人目もはばからずに大きく息を吐いた。
「横井さんって、こういうの苦手なんだね……」
「こっ……こんなの! 平気だっていう人の方がおかしいよーーっ!!」
私が半べそで言うと関くんは、はははっと、乾いた笑いで返した。
そのまま、お互いに少し休もうということになって私はベンチでくつろいでいた。
すると、何処かに行っていた関くんが戻ってくる。両手にジュースが握られていた。
「どっちにする?」
そう言って、二つのジュースを差し出してくる。リンゴとコーラ……か。
私はリンゴジュースをもらうと、
「ありがとう……あの、お金」
関くんはプシュっと音を鳴らして、コーラを開けると一口あおって、
「いい」
と言った。
「えっ? でも、さっきも出してもらったし」
「いいって」
私がねばるも、全く受け取るような感じがしなかったのでしぶしぶ小銭を財布にしまう。
う~ん。そんなに気を使わなくてもいいのに……。
そして関くんが、飲み干したコーラを前にあるゴミ箱に入れて戻ってくる。私のはまだ少し残っていたけど、キャップ付きだったのでそのままバッグにしまっていると、
「えーっと……次は、ちょっと付いてきてほしい所があるんだけど……」
なんだか、急にそわそわし始めた関くんが私の目を見ないで言う。
「えっ? ……なあに? 改まっちゃって」
「い、いや……実は知る人ぞ知る有名な占いがあってね……ぜひ、そこに行きたいと思ってたんだよねぇ……」
相変わらず自信なさげに言う。
「なんだか、怪しいけど……わかった」
そう言って関くんに付いていく。でも、関くんが占いなんて……興味あるのかな? あ、でも、普通の男の子だったら興味なさそうだけど、関くんだったら逆に興味あっても不思議じゃない? トランプのマジックなんかもやってたしね……。ん? でも、占いって何を占うんだろ……こんな、二人で行って…………ハッ!?
「……どうしたの?」
急に、立ち止まった私に怪訝な表情で関くんが言う。
「あっ……いやなんでもない」
私は冷静を装って歩き出した。
ちょっと……占いって、もしかして、恋占い? 男女二人で行くんだから、多分そうなるよねぇ? ……関くんも分かって? だから、さっきあんなに緊張してた……? やっぱり、関くんは私のこと…………?
また、紅くなってしまった顔を見られない様に伏せ気味で関くんに付いていく。と、なんだか、人気のない細道を進んでいく。
「えっ? 関くん……本当に、こっちで合ってるの?」
思わず、そう聞くも、
「うん……もう少し」
と、どんどん進んでいく。……って言ってもこの先、非常階段とか書いてるのに本当に大丈夫かなぁ? そんな風に心配していると、廊下を抜けたところに少し広い踊り場に出る。そこに即席で作ったような建物――布で覆われただけの――があった。それ自体は占いだからそんなものだと思うけど、なぜこんな所にあるのだろう? 予算の都合? なんて、少し不審に思っていると、関くんが入ろうと言うので、考える間もなくそのまま入る。
「いらっしゃい」
中は暗めでよく見ると、鉄骨に布をかぶせたような作りに見える。まあ、あんまり見ちゃダメなんだろう。奥には目は綺麗だけど、変な大きい帽子をかぶっていてシワのある年齢が良く分からないおばさんがいて台の上にはよく見る水晶があった。私たちは置いてあったパイプイスに隣同士座る。
「そ、それじゃあ、お願いします」
ぎこちなく関くんが言うと、
「まあ、お二人はカップルですか? じゃあ、恋占いですね!」
と、急に若々しい声で言った。高めで後藤さんに似た声だ。30歳後半くらい?
……ていうか、やっぱり、恋占いなんだ。関くんの表情をチラリと見ると、緊張ともリラックスとも取れる表情。若干こわばってはいる。
その後、お互いのフルネーム。年齢。生年月日。星座。血液型。とお互い聞かれ、『フムフム、愛称ピッタリですねぇ!』なんて、わざとらしく何度も言う。
その後、お互いの出会いを聞かせてくださいと言われ、あなたからと私の方を見て言われる。
「えっ? えと、私は……その、いつの間にか、関くんの遊びに見入っちゃって……気が付けば、気になっていたんです……」
うう……恥ずかしい。暗くて、顔がよく見えないから言いやすいけど。
「では、あなたは?」
占い師さんが関くんに向かって言う。関くんなんて言うんだろう……。
「…………いや、俺はいいんで、結果お願いします」
って、関くん! 自分で誘っておいて今更恥ずかしがって!!
その後、抗議する私をなだめて、占い師さんが占い結果を発表する。
「ズバリ……お二人は、ベストカップルです! 幸せにお付き合いを続けて、近い将来、結婚もするでしょう……!!」
と、満面の笑みで言った。
「え~~!?」
と、私は驚き恥ずかしくて困ってしまう。……って、まだ中学生なのに結婚って!
関くんを見てみると、意外と慌ててなくって私の方をただ見ている。
なんなのよもう! 関くんも恥ずかしがってよ!
それから、トイレ! と叫んで逃げるようにそこを出た私は、取りあえずさっきいた休憩コーナーに戻ると、ベンチに座り残っていたリンゴジュースを一気に飲み干した。人気の少ない所で一人になると、ちょっと冷静になる。
……なんだか、嬉しい……んだけど、それと同時に何か、違和感が……ある。なんだろう。なんだか最近……出来すぎているというか……なんなんだろう。たまたま、運気が巡ってきている? そういう歳なのかな? だから、良いこと尽くめってわけ? 単に私が疑り深いだけ……? 幸せすぎて、そんな訳ないって思い込みたいだけなのかな?
――何かが引っかかる。何か……いくつか、気になることが、それらが、私の中の不安を引き起こしているのだろうか。それとも、単なる杞憂なのか……。このまま流されて……いいのだろうか?