魔法少女リリカルなのはvivid 紅き鉄腕 作:tomato88
「わりいわりい、遅くなった」
「救助隊の方は大丈夫?」
「あぁ、問題ねぇよ」
なら良かった。 突然呼び出されて中止とかは嫌だからね。
しばらく待つと離れたところからこちらにやってくる2人組が見えた。 たぶん、どちらかがシスターシャッハなのどろう。 もう1人は誰?
「こんにちは、皆さん。 あなたが紅音さんかしら?」
「うん、そう」
2人組の金髪で物腰が柔らかそうな人が声をかけてきた。
「私はカリム・グラシア。 騎士団に所属している騎士です。 今日はあなたに興味があって練習を見に来てしまいました」
「興味?」
「えぇ、私は聖王教会のものですから、エレミアに伝わる鉄腕を使うと聞いたら興味が出るのは当然ですよ」
そういうものなのだろうか? 私はヴィヴィオのオリジナルであるオリヴィエについては何も知らない。 そもそも、私の使っている鉄腕はその当時にあったものとは別物と言っていい代物だ。 だから、私の鉄腕に興味があったとしても当時の有益な情報なんてほとんど無いようなものだ。
まぁ、もしかしたらそんなものただの建前で、本当はただ見たかっただけかもしれないが。
「そういうものなの?」
「えぇ、そういうものです」
カリムは笑顔でそう返してくる。 その笑顔に私もつられて笑いそうになってしまう。 これがこの人の魅力なのかもしれない。
「えっと、そろそろ始めてもよろしいでしょうか?」
「あぁ、ごめんなさいね、シャッハ。 どうにも紅音さんの事が気になってしまって……」
「彼女に何かあるのですか?」
「いえ、そういうわけでは無いのですが……」
なんとも少し不気味な話をしている。 私だってまだ、全ての記憶を思い出したわけでは無いのだ。 一番肝心な『どうやって転移したのか』を思い出せないのだから。
それにしても
「おまえらー! 準備はいいかー!」
「「「おー!」」」
私もだいぶ、このノリに慣れてきた気がする。
▽▽▽
「そろそろここら辺で切り上げておきますか?」
「そうですね。 DSAAまでもう少しですからね。 疲れを残すといけないでしょうから」
や、やっと終わった……
「動けない〜!」
「私も〜!」
今日の練習はいつにも増してキツかった。 最初はいつも通りだったのだ。 だが、実戦形式の練習に入ってからが酷かった。
「シスターシャッハってあんなにスパルタなの〜! 私、そんなこと聞いてないよ〜!」
そう、シャッハはスパルタなのだ。 私たちが追いつかないギリギリのスピードを維持し、私たちが気を失わない攻撃を続ける。 そしてその最中、ひたすらダメだしされるのだ。 確かに上手くできたときは褒めてくれる。 だが、それ以上にダメ出しのの方が多かった気がする。 いつぞやのなのはを思い出すほどだった。
そんなとこを思い出しているとシャッハが声をかけてきた。
「紅音にぜひ、戦ってほしい子がいるんですが、やってくれませんか?」
「私は別にいいけど。 ノーヴェ、やっていい?」
「おう。 今日の総復習だと思って気楽にやってこい」
ノーヴェからの許しが出た。 なら、私はすぐに始められる。
「相手は?」
「たぶん、そろそろ来ると思うのですが…… あ! 来ましたよ」
シャッハが指を指した方向に目を向けると修道服を着た女の子が何かを運んでいるのが見えた。
「あ、シャンテだ」
「ヴィヴィオ、知り合い?」
「うん! シスターシャッハのお弟子さんだよ〜」
シャッハに弟子がいたのか。 通りで教えるのが上手いはずだ。
「シャンテちゃんがスポーツドリンクの差し入れに行きたよー」
「ありがと〜」 「ありがとうございますっ!」
ヴィヴィオとコロナはシャンテからドリンクを受け取っていた。 そして、シャッハは1つ、ため息をこぼして訝しげな視線を向けている。
「シャンテ、あなたがこんなことするなんて何が狙いですか?」
「ギクッ!」
「まぁ、ちょうど良かったですよ。 どうせ自分も参加したくてこんなことしたんでしょう?」
「うっ…… バレてたかー」
この人がシャッハの弟子のシャンテか……
「最後にあなたには紅音の相手をしてもらいます。 すぐに身体をほぐしに行ってください」
「え!? いいの!? さっすが師匠! 話がわかる〜!」
そう言ってシャンテはどこかへと走り去って行った。 それにしても足速いな。 やっぱりシャッハと同じスピード型か。
「紅音、シャンテは強いから気をつけてね!」
「紅音ならきっと勝てるよ!」
「ありがとう、2人とも。 でも、練習試合なんだし、そこまでテンションあげなくても……」
2人とも練習の疲れでテンションおかしくなってないかな? 私の気のせいならいいんだけど……
「お待たせ〜! さぁ! あたしの演奏楽しんでってよ!」
「うん。楽しみにしてる」