魔法少女リリカルなのはvivid 紅き鉄腕 作:tomato88
「へ〜 それが噂の鉄腕かぁ」
「そんなに噂になってるの?」
「うんっ! 陛下が来た時に毎回話してたよ。 だからあたしも興味あったんだよねぇ。 1本ぐらいやってみたいなーってさ」
だからカリムも知っていたのかもしれない。 正直、そこまで広がって欲しくないと思っている。 ヴィヴィオには少し注意を促すべきかもしれない。
今はそれよりもシャンテの相手だ。 彼女もきっと、シャッハのように私より速いと思う。 相性としては最悪だ。 どう攻略しようか。
▽▽▽
「ヴィヴィオは紅音がどう動くと思う?」
「んー、そうだねぇ。 たぶんスピードはシャンテの方が速いと思うけど、いつもと変わらないんじゃないかなぁ?」
私の考えは『いつもと変わらない』です。 紅音は私と同じカウンターヒッターだからかやっぱりパワーが足りません。 だから勝つためには相手の力を利用する戦法しかありません。私はそう思っていました。
だけど、紅音は違いました。
「ヴィヴィオ、紅音、いつもと構えが違うよ?」
「あれ? 本当だー」
いつもはヒットマンスタイルを前傾にした構えでした。 スピード重視の攻撃的構え。 でも、今回のは……ノーガード?
「な、なんでノーガードなの!?」
「今日の練習であれやってたっけ?」
「わ、わかんないけど…… どうするんだろ?」
ノーヴェがなにも言わないってことはたぶん何かあるんだろうけど……
私たちの心配とは関係なく試合は始まってしまいました。
「まずは、小手調べ、っと!」
シャンテは消えたように見えるぐらいのスピードで真っ直ぐに動き、剣を横薙ぎに振りました。
「いっただき〜! って、あれ?」
「え〜!?」
「あ、あんな避け方できるの〜!?」
上半身だけを後方に反らすスウェーディフェンス。 紅音はこんな避け方もできるんだ…… 凄いな〜!
「はっ!」
「痛っ! そこから攻撃してくるとかどんな腹筋してんだよ〜!」
紅音はそのままの体勢から顎を狙って拳を撃ちました。 私には出来そうにないかなぁ……
「コロナはあれ、できると思う?」
「どうなんだろう〜? やってみなくちゃわからないかなぁ」
「だよねー。 でも、あんな避け方真似したらノーヴェから怒られそ〜」
「それもそうだねぇ。 私たちは私たちなりにね!」
「うんっ!」
戦いは続いています。 シャンテが攻撃をしているのに対し、紅音が攻撃することは少ないですがほとんどの攻撃を捌き切っています。 きっと、これが練習の成果だと思います。
「も〜! なんで当たらないのさ〜!」
「もう少し、コンパクトに鋭く。 シャンテの振りは少し大きい」
確かに、紅音が言ったようにシスターシャッハの振りに比べると少し大振りのような気がします。 それでも充分速いことには変わりないのですが……
「なら! これならどう!?」
そう言って、シャンテがした攻撃は上と横から同時に来る十字のように振りました。 これならさっきみたいなスウェーもできないしガードもし難い。 後ろに下がったらそのまま追撃される。 なかなか対応に困る攻撃です。
「なら、前に出ればいいだけ」
紅音は少し速い縦の剣を鉄腕の上を滑らせるように逸らし、横からの剣が来る前に懐へと潜り込みました。
「あ…… やばいかも」
「アクセルスマッシュ!」
紅音のアクセルスマッシュが決まり、シャンテは綺麗な弧を描いて飛んで行きました。
「綺麗に決まったね〜!」
「だね〜 でもいつの間に私のアクセルスマッシュ使えるようになったんだろう? コロナ見たことある?」
「んー、前に魔力付与打撃を練習してたのは見たことあったかなぁ。 でもそれぐらいかも」
「やっぱり? 隠れて練習したりしてるのかなぁ?」
DSAAも近いですし、少しでも手伝えることがあったらやりたいんですけどね〜
「ねぇ、ヴィヴィオ。 私たち、いつか紅音に追いつけるよね?」
「もちろんっ! 追いつけ追い越せ、だよ〜!」
「そうだよねっ! よーし、頑張るぞ〜!」
「おー!」
▽▽▽
「今日はありがとうございました。 チビたちもいい経験になったと思います」
「こちらこそありがとうございました。 私もいい経験になりましたよ。 それに、シャンテが紅音にリベンジするために張り切っていますからね。 最近ダラけていたあの子にはちょうど良かったです」
「そう言っていただけると助かります」
大人組が会話をしている中、私はシャンテから因縁をつけられていた。
「次は私が勝つからな!」
「負けないよ」
よほどあの負けが悔しかったらしい。 少し涙が溜まっている。
「暇だったら、いつでも来なよ。 練習相手ぐらいするからさ。 結局、あたしが勝つけど」
「ありがとう。 まぁ、私が勝つかな?」
しばらく、こんな不毛なやり取りが続いた。
DSAA開催まで、後1週間。
次回から大会入る予定です。