魔法少女リリカルなのはvivid 紅き鉄腕 作:tomato88
誰か、ジークの関西弁についてアドバイスください。 真面目にわからないです……
試合が開始されるというアナウンスが流れている中、コロナがこちらに近づいて来る人影に気づきました。
「ねぇ、ヴィヴィオ! あれって砲撃番長のハリー・トライベッカ選手じゃない!?」
「え? あ! 本当だ!?」
ハリー選手とハリー選手のセコンドの3人がこっちに向かって走ってくる。
「ふぅ〜 間に合ったぁ」
「この試合は絶対に観たいって言ってたのリーダーじゃないっすか! もっと早く起きてくださいよ!」
「わりぃわりぃ。 起こしてくれてありがとな、お前ら。 ミカ姉も席確保してくれてありがとな」
「いや、お礼なら私ではなくこの2人に言ってくれ」
そう言ってミカヤさんは私とコロナの方に目を向けます。
「この2人は?」
「紅音ちゃんのチームメイトだよ。私の隣にいるのがヴィヴィオちゃんでこっちがコロナちゃんだ。 来年には私たちのライバルになる子たちでもあるね」
ミカヤさんの紹介に私たちは照れ恥ずかしかなってしまいます。 なんて言ってもあのミカヤさんからライバルになると言ってもらえたんです。 嬉しくないはずがありません。
「ほー。 こいつらが……」
なんとも興味津々といった様子でハリー選手は私たちのことを見てきます。 紅音が何か言ったのでしょうか?
「とりあえず、席を確保してくれてありがとな」
「は、はい!」
ハリー選手は番長と呼ばれているので、怖いイメージがあったのですが、そんなことないように感じられました。
「あ! 紅音出てきたよ!」
コロナの声で私はリングの方に意識を戻します。
『ブルーコーナーからは4戦4勝4KO、地球生まれの期待のルーキー! 日野紅音ッ!!』
「やっぱり、地球生まれって珍しいのかな?」
「この大会で地球生まれの人って出たことないらしいよ?」
コロナがなぜそんなことを知っているのかはさておき、紅音もなかなか期待されているようです。 そこかしらから期待の声が囁かれるのを耳にします。
『レッドコーナーからは前大会の覇者。 現在、優勝に一番近いとされている選手、ジークリンデ・エレミアァァァ!!』
「やっぱし、ジークのやつの声援は凄まじいなぁ」
「仕方ないよ。 あの子の戦いは芸術だからね。 それだけ、みんな魅了されているということさ」
ミカヤさんとハリー選手の会話が聞こえます。 確かに、この歓声は今まで聞いたこともないような大きなものでした。
「コロナ! この声に負けないように、頑張って応援しよう!」
「うん!」
「ジークには悪いが私も紅音ちゃんを応援するとしよう。 君たちはどうするんだい?」
ミカヤさんは私たちを見た後、ハリー選手たちに問いかけます。
「そりゃ」 「まぁ」 「ねえ?」
「な、なんだよお前ら……」
「ふふ、そういうことか。 あの時の負けが相当悔しかったようだね」
「あぁ! もう! わかったよ! 紅音ー!! 負けんじゃねぇぞー!!」
私たちもハリー選手に負けじと声を張り上げます。
「「ファイトー!! 紅音ー!!」」
きっと、少しでも紅音の役に立てるように。
△△△
「ミカさんと番長はあの子を応援するんか……」
自分の知り合いが相手のことを応援してるとなんとも言えない気持ちになる。 だけど……
「あの子との勝負、楽しみや」
彼女の試合は全て一撃で終わっとる。 それも、カウンターのみで。 きっと実力の半分も出してない。
でも、なんやろうなぁ……
似とる気がするんよなぁ、私とあの子は。 現に、よー見たら服装もにとる気がするし。 んー、謎やな。
『両者、リングに入ってください』
まぁ、とりあえず。 いつも通りやるだけや。 殴り合えばきっと分かり合えるはずや。
▽▽▽
「いいか? 最後の確認だ。 基本はチャンピオンに組みつかれないように左で牽制、慣れてきたら積極的に攻めろ。 だけど、相手は総合格闘家だ。 それに、射撃戦も得意だ。だから何をしてくるか想像がつかねぇ。 そういう時は臨機応変に対応するんだ」
ノーヴェの言葉に私は黙って首を縦にふる。
「僕たちもついてるからね」
「頑張って!」
ヴィヴィオたちの応援も聞こえてくる。 大丈夫。 落ち着いてる。 視野も広い。 身体も軽い。
「それじゃあ、やろうか? 紅葉」
「ワォーン!!」
応援の返事をするように、会場中に紅葉の遠吠えが響いている。
▽▽▽
『両選手、リング中央まで移動してください』
アナウンスの指示通りに私はリング中央まで移動した。 構えるチャンピオンに私は待ったをかけた。
「チャンピオン。 ボクシングの最初の挨拶、わかる?」
「えーと、先ずは拳を合わせて〜、のやつよな?」
「うん。そう。それをやって欲しいんだけど……」
「ええよ。 やっぱ、礼儀は大事にせなあかんもん」
「ありがとう」
この大会、ほとんど拳を合わせないで始まってしまうのでなんか物足りない気がしてならないのだ。 うん。 よかった。 チャンピオンが気前のいい人で。
「ほんなら、始めよか」
「うん」
コツッ
これがスタートの合図だった。 お互い、一歩身を引き、出方を伺う。
トントントン、と相手に合わせてリズムを刻む。
トント
そのリズムを半テンポズラして、チャンピオンが姿勢を低くして、突撃してきた。
リズムをズラされた私は反応できず、モロにタックルを食らってしまった。
「……ッ!」
鋭く、速い。 タイミングも嵌められた。
「紅音ぇー!! 迎撃しろぉ!!」
言われなくてもわかってるッ!
バランスは崩れてるけど…… 手は自由。 なら、撃てる!
「ガンフレイム!」
私はちょうど手の位置にあった彼女の顔面に向かって砲撃を撃ち込む。
重心が前のめりになっている今なら、確実に当たる。 そう思った瞬間、彼女は私から手を離し、その場に倒れこむかのように一気に身を屈めた。
「……ッ!」
あの状態から避けられた。 判断が早い。 それにこの状況、結構まずい。
「追撃や!」
体勢が崩れている私より、先に動いたチャンピオンは再度、低い姿勢からのタックルをしてきた。 一気に関節技で終わらせる気だ。 なら、先ずはここから逃げることを優先しないと。
「点火!」
一瞬、視界が真っ白になる。 身体にGが重くのしかかる。
「あの体勢から避けられてもうた。 君、凄いなぁ〜」
「褒めてくれて、ありがとう」
原理は簡単。 ただ足元で小規模な爆発を起こしただけ。 その衝撃で移動したのだ。 一言で言うならジェット噴射。 瞬間的な速さは折り紙付きだが、いかんせん、身体への負担が大きい。 正直、使いたくなかった。
『今までにない攻防を繰り広げている両選手! これがまだ都市本戦ではないなど、冗談のように聞こえます!』
確かに、チャンピオンは強い。 それに総合格闘というところで拳と砲撃しか武器のない私には不利なのだ。 予定変更。 攻めよう。 様子見なんてしてたら確実に負ける。
「ほんなら、エレミアの技、見せたるよ」
「じゃあ、私もとっておきを見せてあげる」
今はエレミアなんて関係ないよね、お姉ちゃん。
「「鉄腕、解放……」」