魔法少女リリカルなのはvivid 紅き鉄腕   作:tomato88

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試合後

「シャマル先生。 紅音の様子は……?」

「右腕は折れてるわね…… それに、左手にもヒビがはいってそうだわ。 でも、脳には異常は見られないから、まだ安心ね」

「そうですか…… わざわざありがとございます」

「大丈夫よ。 それじゃあ、私はもう行くから、何かあったら連絡してね」

「はい……」

 

あたしはシャマル先生が部屋を出て行くのを見送ってから医務室いあるイスを紅音が寝ているベッドの隣に持ってきてから腰掛けた。

 

あの後……

 

あたしは急いでタオルを投げたがもうすでに遅かった。

ガンッ! とチャンピオンのカウンターが紅音の顔面に綺麗に決まった。 そして、紅音はそのまま地面に崩れ落ちた。

 

しん……とさっきまでの大声援が嘘のように会場が静まり返った。

 

『試合終了ッッッッ!! 不利な状況からの逆転劇! この熱戦を制したのはチャンピオン、ジークリンデ・エレミアだぁぁぁ!!!』

 

わーっ! というチャンピオンへの大歓声の中、わたしたちは急いで紅音の元へと駆け寄った。

 

「すみません! 担架お願いします!」

 

紅音の容態を確認してから担架の用意ととエリオとキャロにシャマル先生を連れてくるようにと指示を出す。

 

「「は、はい!」」

 

2人はそう返事をしてから、大急ぎでシャマル先生を探しに向かった。 2人とは入れ違いにDSAAの救護班が担架を持ってやってきた。 両腕を動かさないように頼みながら、あたしは救護室に運ばれていく紅音を見送った。

 

歓声はまだ止まない。 この中には少なからず紅音に対してのものもあるはずだ。 紅音は大怪我をした。 これはあたしにとって謝っても許されることではないだろうし、きっと、これからも後悔する。 だけど、あいつがここまでチャンピオンを追い詰めて、観客を沸かせたことに希望を持っても、いいだろう。

 

「あの、すみません」

 

水筒やタオルなどをカバンに詰め込んで、急いで紅音の元へと向かおうとした矢先、後ろから声をかけられた。 声の主は、チャンピオンだった。

 

「なんだ?」

「今日はごめんなさい! 私のせいで紅音選手に大怪我を……」

なんとなく、チャンピオンが申し訳なさそうにしてたのはわかってた。 でも、試合中の事故は選手の責任じゃない。 あたしたちセコンドや大会運営側の責任だ。 だから、チャンピオンが申し訳ないと思うのは違う。 だけど、あたしが言っても彼女はわかってくれないだろう。 そういうわけで。

 

「あたしに謝っても意味ないだろ。 だから、インタビューやらなんやら終わったら紅音の病室に来いよ。 あいつはチャンピオンと話しがってたしな」

 

あいつはクールな性格とは反対に感情が顔に出やすいからな。 言葉に出なくてもなんとなくわかる。 これは、あいつにとって、いい方向に転がるかもしれない。 あたしは、そう判断した。

 

「でも…… 合わせる顔が…… ないんよ……」

 

そういう感情はよくわかる。 あたしだってそうだった。 だから、紅音のためにもチャンピオンのためにもここは引けない。

 

「卑怯かもしれねーが、本当に申し訳ないと思うならあいつに会ってやってくれないか?」

 

こんな言い方をされたら流石のチャンピオンも渋々と頷くしかなかった。

 

「安心しろ。 そん時は2人にしてやるからよ。 そんじゃ、また後でな」

 

そう言ってあたしは紅音のいる部屋へと向かった。

 

そんなついさっきのことを思い出しながら、同時にそろそろ来るかな、と別のことも考えていた。

 

ドタバタと廊下から数人の走っているような音が聞こえてきた。 その音はこの部屋の前で一度止まり、その後、静かにゆっくりと扉が開かれた。

 

「入っても大丈夫だぞ」

 

あたしの言葉に安堵したのかぞろぞろと入ってきた。 ヴィヴィオにコロナ、ミカヤちゃんにハリー選手とそのセコンドの人たち。 ヴィヴィオとコロナだけが来ると、もしかしたらなのはさんたちが付いてくると考えていたあたしは予想外の人物に少し、面を食らった。

 

「紅音が寝てるからあんまり騒がしくするなよ」

 

一応、そう注意してからみんなに紅音の容態を大まかに説明した。 右腕が折れていること、左腕にもヒビがはいってること、今は疲れなどで寝ているだけだということ、後遺症は特にないこと。

 

「とりあえず、しばらくは安静だな。 ヴィヴィオ、家の時とかなるべく手伝ってあげてくれ」

「うん! もちろん!」

「コロナも、頼むな」

「はい!」

 

2人の元気のいい返事にあたしは大きく頷いてから、今度はミカヤちゃんやハリー選手の方を向いて、チャンピオンのあの技に注意するようにと伝えておく。

 

「わかった。注意するよ」

「オレは何があっても自分を曲げねーぞ! 真正面からやってやらぁー!」

「よっ!」 「さすがリーダー!」 「女の中の女!」

「お前ら、それって褒めてるのか……?」

 

なんとも頼もしい返事を頂いた。 まぁ、彼女らなら大丈夫だとは思うが。 一応、な?

 

「ん…… うるさい……」

 

ベットに寝ていた紅音がもぞもぞと上半身だけ体を持ち上げた。 そして、目を擦ろうと左手を上げたが、その時、ギブスに巻かれている自分の腕を見て、自分がどんな状況かを把握したようだった。 すぐわかった。 目に見えて落ち込んでいる。 あたしたちはそんな紅音の姿にどう声をかけていいかわからず、あたふたしていた。 そんな中、紅音がポツリと一言、言葉を零した。

 

「そっか、負けたのか……」

紅音は少しだけ、間を空けてもう一言「あと少しだったんだけどな……」 そう言って、あたしたちの方を向いて、失敗しちゃったという風に苦笑いをした。

 

暗い雰囲気のまま、静まり返った部屋の中に、コンコン、というノックの音が響いた。

 

「失礼しま〜す」

 

そう言って部屋に入ってきた人物はチャンピオン、ジークリンデ・エレミアだった。

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