魔法少女リリカルなのはvivid 紅き鉄腕 作:tomato88
久々に書いたので少し紅音のキャラがブレているような気がしますが、ご了承ください。
「紅音ちゃーん! 迎えに来たよ〜! ってあれ? どうしたの?」
「なのはぁ…… 助けてぇ……」
「大丈夫やで〜! お姉ちゃんがちょーとばかし紅音の髪を弄るだけやからな〜」
「ジークの言う通りよ。娘の髪を整えるのも母親の務め。一般常識ですわよ?」
私は今、前髪をジークに弄られ、後ろはヴィクターに抱きしめられながら髪を結んでは解いてと遊ばれている。そもそもこうなったのは10分ぐらい前にジークが言った一言から始まった。
「それでジーク? その子とはどんな関係なんですの?」
「私の妹や!」
「妹……? ジークに妹がいるなんて聞いたことないわよ?」
「そうなんやけど……でも! 紅音は私の妹やで!」
と、こんな感じに話しているのを寝ながら話半分に聞いていた。 そして、2人の話がヒートアップして声が大きくなり、寝れなくなった私はとりあえず起きたのだが、私の髪が寝起きでボサボサだったらしく「娘がだらしない格好をしていてはこのヴィクトーリア・ダールグリュンとしての名が廃りますわ!」とか言って現在、こんな感じになってしまった。かなり端折ってしまったがだいたいこんな感じ。 とりあえず言えることは、私はヴィクターの娘ではないし、ましてやジークの妹ではない。 まぁ、確かに遠い親戚ではあるのだけれど。
「え、えっと…… お取り込み中のようだし、私、車の中に戻るね? 紅音ちゃんはそれが終わったら駐車場に来てね! 待ってるから〜」
「待って、なのは! 私も行く!」
「ダメです。紅音はまだ支度が整っていませんもの。 帰る時も身だしなみを整えるのは淑女の嗜みでしてよ」
「せやで。 そんな時間はかからへんから、大丈夫や!」
そう思いたいのはやまやまなんだけど……
「ジーク。 ツインテールと三つ編みどちらがいいかしら?」
「ん〜。間をとっておさげってどうや?」
「それはいい考えね」
これは長いやつだ。 私にはそう確信できるものがある。 だって、目が私の髪を弄るときのヴィヴィオとコロナのあの、キラキラとした目にそっくりなんだもん。
「早く終わってくれないかなぁ……」
結局、この後1時間ぐらい髪を弄られて、満足した2人から開放された。
▽▽▽
「あははは…… それは大変だったね、紅音ちゃん」
「うん。本当にそう。こっちが両腕を使えないことをいいことに……ッ!」
次に試合で当たった時は絶対にボコボコにしてやる! そう思う私だった。
「紅音ちゃんの前髪を弄ってた黒髪のツインテールの子が今日戦ったチャンピオンなんだよね?」
「そうだよ」
「最初見たとき、試合中とは別人で誰かわからなかったよ〜」
「そうかな?」
「うん! もっとキリッとしている印象だったかなぁ」
そう言われて、試合中のジークと私の前髪を弄っている時のジークを思い返してみる。 どっちも変わらない。 私としては楽しそうにしている印象しかない。 ガイストを使った時と部屋に入ってきたときは暗い表情をしていたけど、約束したから、それは大丈夫だと思う。
車の窓から外を見ると家の近所まで着いていた。 もう5分もしないうちに着くだろう。
「そういえば、腕はいつ頃治りそう?」
「確か……左腕はヒビだけだから、明日には大丈夫だろうって。右腕はわかんないけど、明日またシャマルに診てもらうことになってる」
いくらヒビだからって1日、2日で治せる魔法って凄いなと思わざるを得ない。 地球で骨折すればそんなもんじゃ治らない。 魔法が改めてどんなものか思い知らされた。 その分、代償もあるわけだけど。
「送って行こうか? はやてちゃんの家だよね?」
「ノーヴェが送ってくれるって。 それぐらいはやらせてくれって、さっきメール来た」
「わかったよ〜。 さぁーて! 我が家に着いたよ〜」
車を車庫に入れてから車を降りる。 外の風はまだまだ生暖かくて、私がここに来てからそんなに時間が経っていないんだな、と感じさせる。
「紅音ちゃん? 中に入らないの?」
「待って、今行く」
こっちの生活は楽しい。ただ、私の家族がどうしているのか、今はそれが気がかりだ。 そのぐらいの余裕はできた。
「なのはママ〜! これで大丈夫かな〜?」
「すいません! 私のやつも見てもらっていいですか?」
「うん。上手にできてる! 2人ともバッチリだよ!」
「「やった〜!!」」
家の中に入り、着替えを持って風呂場に行く途中にそんな賑やかな声が聞こえてきた。 ヴィヴィオとコロナが何か作っていた様子だった。 なんだろう、とキッチンの方を覗こうとしたけど、フェイトに「紅音は先にお風呂に入らないとね〜」とそのまま風呂場に連行されてしまった。
とりあえず、今は身体の疲れを癒すのを先決にしよう。
▽▽▽
「今日はなのは特製、紅音ちゃんの好物の和食御膳でーす!」
今日の夕食に出てきたのは和食だった。 白米、豚汁、切り干し大根、豆腐ハンバーグと魚の煮付けに玉子焼き。後はご飯のお供に味付け海苔だった。 高町家では基本的に洋食の方が多い。 なのはの実家がカフェだったり、こっちでは米が少し高かったりで和食の出る機会が少ないのだ。
「今回はなんと! ヴィヴィオとコロナちゃんがほとんど作ってくれました!」
「えへへ〜」
「頑張りましたっ!」
「凄い、2人とも」
私は素直に2人を褒める。見た目からも美味しさが伝わってくる。 白米のふっくらした感じとか、玉子焼きのキレイな形とかだ。 きっと、煮付けの柔らかさも煮崩れしないいい具合な感じだろう。
明日に学校がないからか、コロナは泊まっていくそうで、本日は5人での夕食だ。 私の隣にはヴィヴィオとコロナ。 向かい側にはなのはとフェイトがいる席順だ。
「そういうことで、食べよっか?」
「せーの!」
「「「「「いただきまーす!」」」」」
とは言ったものの。
「私、どうやって食べればいいの?」
今日は両腕が塞がっていて箸は持てない。 さっきまで美味しそうな料理にテンションが上がって忘れていたが、どうすればいいのだろう?
「あーうん。頑張って! 紅音ちゃん!」
「私たちのことは気にしなくて大丈夫だからね!」
なのはとフェイトのよくわからない言葉に首をかしげる。 だが、その意味は隣から突き出された料理を見て、わかった。
「はい、あ〜ん」
「ヴィヴィオ……?」
私が箸で摘んでいる料理をまじまじと見ていたらヴィヴィオはもう一度「あーん」と言って私の口元にその料理を持っていく。
「えっと、あーん」
料理を口に含みながら、状況を理解する。 多分、自分で食べられないなら誰かが食べさせればいい。 そういうことでこの配置なのか。 つまり、コロナからも来るのか? そう思ってもう片方を見ると。
「はぁ……はぁ……ッ!」
今にも鼻血を出してしまいそうなふにゃけた顔をしているコロナがいた。 本能的に危険を察知して、ヴィヴィオの方に向き直る。 あれは関わっちゃいけない。そう思わせる何かがあった。
「あーん」
「美味しい」
「ありがと〜。次は何がいい?」
「それじゃあ、玉子焼きで」
「これが良さそうかなぁ。 はい、あーん」
「あーん」
こんな感じで今日の夕食は進んでいった。 3人に見られながら食べさせられるのは恥ずかしかったけど、美味しいから良しとしよう。 うん。 そうしないと顔の火照りが収まりそうにない。
「「「「「ごちそうさまでした!」」」」」
夕食も終わり、各々、片付けやお風呂など動き始めた。 後は寝ることしかすることがない私は紅葉を連れて、庭に出た。
「負けちゃったね。紅葉」
「くーん」
「心配しないで。 負けたのは悔しいけど、死ぬわけじゃないし。 また来年、チャレンジ出来るから。 私ね。 腕が治ったら一度、海鳴に戻ろうと思ってるんだ。 紅葉もついてきてくれるよね?」
「わん!」
「ありがとう」
少しだけ思い出した、あの時の記憶。 海鳴に行けば何か思い出すかもしれない。 そう思いながら、私は夜空を見上げる。
「あの日も、こんな綺麗な夜空だったな……」
しばらくはほのぼのが続きます。 それが終わったら進級かな?