魔法少女リリカルなのはvivid 紅き鉄腕 作:tomato88
進んでないです。
紅音とシグナムの戦いは両者互角の戦いとなっていた。シグナムはレヴァンティンのリーチの長さが仇となり、紅音は怪我明けのせいか身体のキレが少し悪い。それでも、2人のハイレベルな攻防は観るものを魅了していた。
▽▽▽
「は、はやてさん!! あの人、シグナムさんと互角に戦ってますよ!!」
「せやなぁ」
みんなが歓声を上げている中、私の隣にいるミウラは一際大きな声でその興奮を私に伝えていた。
「すごいなぁ……」
「後で話してみるか?」
「いいんですか!?」
「紅音ちゃん、いい子やからすぐに仲良くなれると思うで」
キラキラと輝いている目をしながら紅音ちゃんとシグナムの試合を観ているミウラは微笑ましく見えた。 それにしても……
「「ハァッ!!」」
紅音ちゃんは紅い鉄腕に包まれた拳を、シグナムはレヴァンティンを振り、ぶつけ合い、火花を散らす姿はあんな理由から始まったとは思えないほどに綺麗で美しいものだった。
「ミウラも来年は紅音ちゃんと戦うことになるかもしれへんで? よ〜く観て、学ぶところはしっかりと学ぶんやで?」
「はい!」
「いい返事や」
ミウラみたいに尊敬の眼差しを向けるものがいる中、逆に不安そうに試合を観ている者もいる。
「大丈夫やでー、アギト」
「な、なんだよ、はやて」
私は前にいる2人の頭を撫でる。
「ほら、2人の顔、よー見てみー」
きっかけは負の感情だったかもしれない。だけど、それだけじゃあこんな試合にはならない。 今の2人は楽しそうに、シグナムは口角を上げ微かに、紅音ちゃんは闘志むき出しの顔で、笑っている。
「楽しそうですね〜」
「リインもそう思うやろー? 確かに、きっかけはアギトの取り合いだったかもしれへんけど、今の2人はそんなこと忘れて戦いを楽しんでるはずや」
「うぅ〜 それはそれでショックだ〜!」
「まぁ、2人ともアギトのことが大好きなのは疑うことなく本当のことなんやけどなー」
シャマルが言ってた事が正しいなら、私は2人にはしっかりと仲直りして欲しい。
「フッ、もう降参か?」
「まだまだッ!!」
もう大丈夫だとは思うけどなー
▽▽▽
今回の試合は病み上がりの私のことを考慮して3分1ラウンドの5ラウンド制だ。 試合ももう中盤。 次は第3ラウンドだ。
「ハァ……ハァ……ハァ……シャマル、水……」
「どうぞ! でも、大丈夫? 凄く息が上がっているけど……」
「だい、じょうぶ……」
シャマルにはそう言ったものの実際のところ、かなりキツイ。 ペースは握られっぱなしだし、 未だ有効打すら与えられていない。 シグナムのあの剣捌きに身体が追いついていない。
「クソッ……」
水を頭からぶっかける。 ヒヤリと冷たい水が火照った身体に心地よい。 これで少し、冷静になる事ができた。
「シャマルからみて、どう?」
「うーん…… 押されている、としか言えないわ……」
「やっぱり、そうだよね」
練習不足、実践不足、怪我明け。 言い訳をしたらキリがない。だけど、そんなんじゃダメだ。
「やるっきゃない、だね。よしっ! 行ってくるね、シャマル」
「う、うん! 頑張って!」
勢いよく出てきたはいいが、実際のところどうする? あれを使うにしてもたぶん、チャンスは一度きりだ。 その一度で決めなくちゃならない。
「結局、力不足の私にはカウンターしか決め手がないよね」
「そんな気持ちで私に勝てると思っているのか?」
そんな私の独り言にもシグナムは目ざとく反応してくる。 まぁ、仕方ないとは思うけど。
「今の私じゃあ出来ることは限られてるから。 その中で全力で当たるだけ」
「なら、今のお前の力、私に見せてくれ」
「もちろん」
会話はそこらへんにしておく。 私の体力も限界だ。 ここで、決める。
「さて、新技試そうか、紅葉」
「わん!」