魔法少女リリカルなのはvivid 紅き鉄腕 作:tomato88
今回は日常回。 次回で終わらせるつもりです。
「さっすが紅音! 似合ってるぅ〜!」
「私がこんな格好してなにか意味ある?」
「もっちろん!」
「どんな?」
「売り上げが上がる」
「えー……」
今日はみんなが待ちに待った学院祭。当然、先週に右腕が完治した私はほとんどお手伝いできなかったため、当日のお仕事に回された。 その内容は接客。そう、接客だ。
「そんな目で見ないでよ〜! 時間ないから渡されたやつで決まりって言ったでしょー?」
「いや、でもさすがにもう少しいいのあったでしょ?」
「わかってないな〜 その格好だから良いんじゃないの! そう! メイド服は最強のコスプレよ!!」
コスプレ。つまり、学院祭での私たちのお店はメイドアンド執事喫茶だ。だから、今の私の服装はメイド服。
「それじゃあ、頑張ってね〜」
「え、あ、うん」
私の友達はこういう子多いなぁ……
私はそんなことを考えながら言われた持ち場についた。
▽▽▽
「いらっしゃ………………いませ、お嬢様」
「お姉ちゃんが来たで〜」
「もちろん、私もね」
学院祭がスタートし、あっという間にお昼時が近づいてきた。店が飲食店のため、少し早めのランチを食べようとほぼ席が満席に近い状態。なんやかんや出入りは激しいためお客様を長時間待たせるようなことにはなっていなかった。知り合いはまだ誰1人来ていない。 順調に進んでいるはずだったのだが……
「お席へとご案内します」
「はーい」
「うぅ……娘の頑張っている姿を見れるなんて……」
今は何も考えるな。相手は客だ。 決してジークとヴィクターなのではない。 客だ。 断じて知り合いだと思うな。 特にこの2人の前では。
「こちらへどうぞ」
「おおきに〜」
「ありがとう、紅音」
「メニューはこちらになります。 お決まりになりましたら、お呼びください」
一礼してから私はその場から逃げるよう去った。なんであの2人が来たの? 誰かが呼んだの? しかも、あの2人が、特にジークの方が、有名だからか他のお客さんも少しざわつき始めている。 それだけならいいのだけど、ちらほらと「さっきお姉ちゃんとかなんとか言ってたよね……?」 「あっちの金髪の子がお母さん……?」 なんて聞こえてきている。 遠縁の親戚なんだけどなぁ……
「紅音〜! 注文ええか〜?」
「あ、はい! ただいま!」
考えるのは後だ。 それに、どうせ後でなのはとフェイトが来るんだ。 この2人に恥ずかしがってたら接客なんてできやしない。
「私はこの『萌え萌えオムライス 〜メイドの魔法付き〜』で!」
「なら、私はそれに加えて『メイドのご奉仕』もつけるわ!」
「そんなんがあるんか!? あ、いや、でも今月はお金あらへん……」
「もう、それぐらい私がどうにかするわ。だから、頼みたいなら頼んでもいいのよ?」
「ええの!? おおきに、ヴィクター」
「ええ。それじゃあ、紅音。 オーダーはこれでお願いね」
2人はワクワクしたような、楽しんでいるような顔をしているから気づかないかもしれないけど、たぶん、今の私の顔はかなり引きつってると思う。 だって『メイドのご奉仕』はかなり値段が跳ね上がるから誰も頼まないと思ってたし、その内容がメイドがご主人様に食べさせるというものだし、それをこの大勢の中でやるとか……
「かしこまりました。 料理をお持ちいたしますのでしばらくお待ちください」
それでも笑顔は絶やさない。そうでもしないと恥ずかしさで逃げ出したくなる。 さっきメイドアンド執事喫茶を提案したやつがこっちを見て親指を立てて来たけど、後で文句の1つでも言ってやろう。そう思いながらも、私は無心で作業をするのだった。
▽▽▽
「ほな、次はヴィクターの家でな〜」
「いつでも歓迎するわ」
「うん。 行ってらっしゃいませ、お嬢様」
長い、本当に長い30分だった……
最初に「おいしくな〜れっ! おいしくな〜れっ!」と魔法? をかけさせられ、2人へ「あ〜ん」をやった。 正直に言って、かなり恥ずかしかった。
とりあえずこれで一安心、だが、そうはさせてくれないのが私の知り合いなわけで。
「マイスター! 来たぜー!」
「こんにちはです!」
「こんにちはっ!」
「悪りぃな、騒がしくて」
「あーうん。 お帰りなさいませ、お嬢様」
次に来たのはアギト、リイン、ミウラ、ヴィータのちびっこ4人組だった。
「そんで、身体の調子はどうなんだ? また無茶なことしてねーだろうな?」
お昼はそこらへんの屋台で食べたらしく、4人はドリンクとケーキを頼んでゆっくりとしていた。 ついでに私は接客と言う名の休憩に入っていた。サボりじゃないよ? 一応、接客と言うことになってるから。
「してないよ。 というより、ヴィヴィオのランニングに付き合ってるぐらいで、ここ最近はまともな練習してないよ」
「いや、それ結構無茶してねーか?」
「そうかな? そんなことないと思うけど」
たかだか10キロやそこらだし、ダッシュで! とかならまだしもただのランニングだしなぁ。
「まぁ、大丈夫ならいいんだけどよ。 毎回そんなことしてっとなのはからの雷が落ちるからな?」
「気をつけます……」
なのは、怒ったら怖いからなぁ……
そんなことを考えながら私は話題を変えようと他の人に話を振る。
「ミウラは来年の大会、出るんだよね?」
「え? あ、はい! もちろんですっ!」
「もう今からザフィーラも熱が入ってて練習が大変そうなんですよ〜」
「ミウラなんかこの前のシグナムとの組手でボコボコにされてたもんなー」
「あはは…… ボクは紅音さんにはまだまだ届かきそうにないですね……」
「そんなことをやってみなくちゃわからないよ。ミウラの攻撃が1回でも当たったら私なんてすぐ終わっちゃうだろうし。 ねぇ、ヴィータ?」
「あぁ。 そもそもなぁ、 本番までにこいつより強くなってりゃいい話なんだからな!」
「は、はい! 頑張ります!」
その後、しばらく雑談してから4人は教室を出て行った。