魔法少女リリカルなのはvivid 紅き鉄腕 作:tomato88
今月の雑誌の見出しには『ジークリンデ・エレミア、インターミドル二連覇達成!』と書いてあった。 早いもので、季節は冬。地球では12月の終わりに差し掛かっていた。
「ヴィヴィオー、紅音ちゃーん、準備できたー?」
「私はできた」
「私も大丈夫だよー!」
マリアージュ事件が原因で都市本戦の開催が1ヶ月遅れてしまった。それに伴い、世界大会開催にも遅れが生じた。しかし、その後は何事もなく順調に進み、ついに先日、世界大会が終了し優勝者が決まった。 圧倒的な力を見せつけ優勝したのはジーク、ジークリンデ・エレミアだった。 多少のアクシデントはあったが、ジークは己を優勝へと導いた。
ジークは優勝した。だから、約束はしっかりと守らないと。次元船の中で考えておくか。 とりあえず、今は……
「それじゃあ、地球に向けてしゅっぱーつ!」
「「しゅっぱーつ!」」
約1年ぶりの里帰り、目的があるとしても楽しまなくちゃね。まぁ、問題が一つあるわけだけど……
▽▽▽
「紅音ちゃん、大丈夫?」
「うぅ…… たぶん、大丈夫……」
現在、私たちは海鳴に1番近い空港にいる。 つい、数分前に次元船から降りて、後は電車に揺られるだけ、となるはずだったのだが……
「もう、長い船旅だから夜はしっかりと寝なきゃダメだよー! って言ったのにー」
「ごめん……ぅぅ……」
ジークとの約束、そのことについて色々とやっていたら楽しくなってしまい、夜更かし、船酔い、時差ぼけの三拍子をやらかしてしまった。 夜更かしは別の理由があるけどね。 うぅ……気持ち悪い……
「ママ、どうするの?」
「今の紅音ちゃんの状態じゃあ、電車は無理だよねぇ。 ちょっとお父さんに迎えに来れるか聞いてみるから、ヴィヴィオは紅音ちゃんと荷物をちゃんと見ててね?」
「はーい! わかった〜」
私とヴィヴィオに荷物を預け、なのはは公衆電話へと向かった。さすがにこんな人の多いところでレイジングハートなんて使えないから。
私がそんなことを考えている隣でヴィヴィオはルンルンと隣で上機嫌に鼻歌を歌っている。
「ヴィヴィオは、なんでそんなに元気なの……」
「えへへ〜」
まぁ、大方、出発前は楽しみ過ぎてよく寝れなかったから、次元船の中では爆睡してましたってパターンだろう。 実際に、出発の時は眠そうにしてたし。 次元船の中では私はほとんど画面とにらめっこしてたからよく覚えてない。
「連絡取れたよ〜。 お父さん、車で迎えに来てくれるって。 あと紅音ちゃんにこれ、薬買ってきたよ」
しばらくするとなのはが戻ってきた。 なのはの手にはさっき、コンビニか何かで買ったであろうビニール袋がぶら下がっていた。中身は私への薬とペットボトルが3本だった。
「ありがとう……」
「ありがとうっ! なのはママ!」
「どういたしましてっ」
薬を飲んでしばらく休んでいると気持ち悪さがだいぶ治まってきた。 たぶん、なのはのお父さんが迎えに来る頃には完全に治ってるだろう。
「お父さん、もう少しで着くって連絡来たけど…… 大丈夫? 紅音ちゃん」
「……」
約20分後、なのはがそう聞いてきた。 うん、体調は大丈夫だ。気持ち悪さはもうない。 ただ……
「そんな目で見ないでよ〜! 確かに、アリサちゃんとすずかちゃんに紅音ちゃんのことを連絡し忘れてたのは私が悪かったけど……」
そう、これだ。夜に緊張して寝れなくなり、ジークとのこと約束の品に逃げた理由だ。昨日、発覚したことだ。てっきり私はもう2人に伝わっていると思ってた。
『あ、もしかしたらアリサちゃんとすずかちゃんに紅音ちゃんのこと伝えてないかも……』
これは 次元船の中で、いきなりそんなことを言われた。理由を問いただしたところ……
『なかなか紅音ちゃんのこと切り出せなくて……気づいたえあ言ったと思い込んじゃってた』
あはは〜、と笑っていたなのはを叱ったのは言うまでもない。 あー、友達に会うってだけで緊張する……
「ほら、お父さん、着いたって。 行こ? 紅音ちゃん」
「うん……」
空港の出口付近になのはのお父さんは立っていた。 ヴィヴィオはなのはのお父さんに飛びつきに行き、なのはもヴィヴィオの後を追いかけて行った。 いつもの私なら、これからお世話になるなのはのお父さんに挨拶に行くところだろう。 だけど、今の私はそんなことを考える余裕もなかった。 なんたって、向こうに停めてある黒塗りの高級車の中にいるアリサと目が合ってしまったから……