魔法少女リリカルなのはvivid 紅き鉄腕 作:tomato88
「ナノハ……懐かしい名前ですね」
なのはに似た女性はそう言って、何かを懐かしむように空を見上げた。なのはを知ってるのか。
「私はナノハに似ているかもしれませんが、別人です」
なのはに似ているからかわからないが、何か不思議な感じだ。昔から知っているような、そんな感じ。
「あぁ、そう言えば自己紹介がまだでしたね」
少し彼女は何か考える素振りを見せてからこう名乗った。
「スタークスと、そう、呼んでください」
スタークスというのは確実に偽名だろう。本当はこの人のことを警戒しなくちゃならない。なのはに似ている容姿、チラチラと見えるレイジングハートに似た球体の付いているネックレス。他にもいろいろと理由がある。だけど、私はスタークスは大丈夫だと、なぜかそう思う。
「海鳴に来たのは今日で3回目です。だいたい、13年前の話ですね。前回は2回ともなのはたちに会うのが目的でした。だけど今日は、アカネ、あなたに話があってこの街に来ました」
別に私の名前を知っていようが驚くことじゃ無い。スタークスは13年前と言った。きっと、彼女はあの日に何か関係している。
「これは、ただの私のお節介です。あなたが期待しているようなことは話せませんし、あなたが、私の知っているあなたと同じ道を辿るとも限りません。それでも、聞いて欲しいんです」
そう前置きしてスタークスは話を続けた。
「彼女ら3人の戦いはまだ終わっていない」
スタークスの話を聞き逃してはいけない、本能がそう告げてる。
「あなたは近いうちに大きな敵に出会います。それは逃れられない運命です」
木々が風で揺れることもなく、波の音さえ聞こえないこの薄暗い公園にスタークスの声だけが響く。
「あなたはその戦いで大きな怪我を負うかもしれません。最悪、死ぬことも考えられます」
ここからが一番重要なのだろう、スタークスは一度、大きく息を吐き出してから、再度、話し始めた。
「それでも、あなたはそのーー」
スタークスは私の頭を指差して。
「記憶と」
次に腕を指して。
「拳と」
最後に脚を指差して。
「脚を使って」
私はスタークスの言いたいことがなんとなくわかってきた。
「打ち破ってください」
結局、私もジークと同じ、過去に縛られるもの、というわけか。自然と笑いがこみ上げてくる。『私は違う』そう思ってたんだけどなぁ。
「さて、話も終わったことですし、そろそろ私は帰ります」
スタークスは私が笑い終わるのを確認してからそう言った。
「それに、私のお迎えが来てしまいましたので」
確かに向こうで何人かの足音が聞こえる。その足音はどんどんこっちに近づいてきていて、時期にここへとたどり着くだろう。
「では、アカネ、また会いましょう」
スタークスのその言葉を聞き終わると同時に、私の意識は深い闇へと落ちて行った。
▽▽▽
「紅音ー! 朝だよー!」
「 ヴィヴィオ、うるさい……」
海鳴に来ても変わらず、ヴィヴィオに起こされて私の1日がはじまる。
「もう朝ごはん出来てるから、食べ終わったら海鳴の街を見に行こう?」
「ん……わかった……」
ヴィヴィオが部屋から出て行く音がするのと同時にもぞもぞとベットから体を起こす。
「なんか、変な夢見たな……」
なんか、随分とリアリティのある夢だった。夜の公園でなのはに似た女の人から話を聞く夢。
「あの人、最後に何を言ってたんだろ」
また会いましょう、とそこまでは聞こえていた。その後に何か言っていたような気がするけど、なんだろう。
「まぁ、いっか。 早く着がえよ」
今日はどこに行こうか、そう考えながら、私はヴィヴィオを待たせないように急いで準備を始めるのだった。
▽▽▽
「自分が何をしたかわかっているのか!?」
「まぁまぁ、王様、ちょっと落ち着こうよ」
どこかにある美しい緑がある星。そこには一軒、木造の家が建っていた。その中では現在、説教が行われていた。
「そもそもどうしてレヴィではなく、シュテル、貴様があんなことをしたんだ」
「ボクだってこんなことしないよ!」
「あー! うぬは黙っておれ! 我はシュテルと話しておるのだ!」
なのはに似た女性ーーシュテル・ザ・デストラクターはそんな2人のやり取りを尻目に地球に想いを馳せる。
「ユーリのことを頼みましたよ、アカネ」
「呼びましたか? シュテル」
「いいえ、何でもあいませんよ」
「シュテル! 貴様は我の話を聞いておるのかー!?」
「わー! 王様が起こったー!」
そんなシュテルの騒がしい日々はまだまだ続く。