魔法少女リリカルなのはvivid 紅き鉄腕 作:tomato88
「エリオくん。 本当に連れて行くの?」
「うん。 もしかしら紅音について何かわかるかもしれないからね」
紅音がここに来てから一ヶ月が経った。その間に起こったことと言えば、紅音は炎熱の魔力変換資質を持っていながら通常魔法も得意であること。 デバイスの設計図を持ってきたが材料がなく、作らなかったこと。僕たちの休みが取れなくなりそうになったことぐらいだ。
今日から4日間、ルーのいる世界にオフトレーニングの合宿に行く。 これには僕たち、元機動六課の面々とヴィヴィオとその友達。 それに引率としてノーヴェさんが参加するそうだ。
「それに、フェイトさんと話したんだけど、紅音をミッドチルダの方に預けようかなって話になっているんだ」
「えー?! 私、その話聞いてないよ!?」
「昨日、いきなりフェイトさんから電話が来て、話した話だったからね。 昨日、キャロは紅音を連れて出掛けてたでしょ? その時に来たんだ」
「それでも時間あったでしょ! 私と紅音ちゃんを除け者にするなんて酷いよ!」
「ごめん。 言おうとは思ってたんだけどなかなかタイミングが」
「もう、次からは気をつけてね!」
「はい……」
そんなことで僕がキャロに怒られていると紅音が裾を引っ張ってきた。
「エリオ、今日、行くところってどんなとこ?」
紅音も段々とこちらに慣れてきたのか最初の頃に比べるとかなり話しかけてくるようになった。 正直、かなり安心である。
「んーとね、自然がいっぱいあって、温泉とかもあるところなんだ」
「温泉に入れるの? やった!」
偶にこうしてはしゃいでるのをみるとまだ幼い子供なんだなと改めて確認させられる。 クールな子なのでこういう姿は珍しい。 まぁ、思っていることはすぐに顔に出るのだが。
「それに、今日はなのはさんとフェイトさんも来るし、紅音と同じぐらいの年の子たちが来ることになってるよ」
「そうなんだ。 仲良くなれるといいな」
「そうだね」
こうして僕たちはルーたちが待つ世界へと向かった。
▽▽▽
「いらっしゃーい! ようこそ、ホテルアルピーノへ!」
「久しぶり、ルー」 「ルーちゃん、久しぶりー」
僕たちはカルナールに着いて、そしてルーの待つ彼女の家にたどり着いた。 どうやら僕たちが一番乗りのようだ。
「この子が紅音ちゃん?」
「うん、そうだよ」
「日野紅音。 よろしく」
「私はルーテシア・アルピーノ。 よろしくね、紅音」
そう言って彼女たちは握手をしていた。 キャロをみるとどうしてか悲しい顔をして項垂れていた。
「私だって少しは身長伸びたのにまた差が広がってる……」
この呟きが聞こえたので僕にはどうすることもできないと感じ、すぐに放置した。 キャロに身長の話をするとかなり根に持つのだ。 それは勘弁したい。
「あ、エリオとキャロに頼みがあるんだけど、いいかな?」
「ん? 僕たちにできることなら」
「ガリューと一緒に薪を取ってきてくれないかな? ちょっと数が足らなくて……」
「それぐらいなら大丈夫。 その間、紅音の面倒見ててくれないかな?」
「頼んでるのはこっちだから、それぐらい大丈夫ー」
「それじゃあ荷物を置いて、少し休憩したら行くよ」
「よろしく〜」
▽▽▽
エリオとキャロはガリューとかいう召喚獣とともに薪を取りに行ってしまった。 一方、私というとルーテシアの膝に座って髪を梳いて貰っていた。
「紅音の髪って綺麗ねー」
「そんなことないと思うけど、 よくキャロに洗ってもらってるからかな?」
「そうなんだー。 なら、今日は私が洗っちゃおうかなぁ〜」
「本当? なら、お願い」
「お姉さんに任せなさ〜い」
昔、お姉ちゃんによく頭を洗ってもらっていたような気がする。
……そうか、私には姉がいたのか。
段々と少しずつだけど、思い出していく記憶。 どうしてこんなに大切なことを忘れてしまったのだろうか。 思い出せない。 何も。 あの二人に会えば少しは思い出せるのだろうか。
「あ! そろそろみんなが来る時間! 準備しないと!」
「準備?」
「そう、準備。 今日は大人数だからねー、やることも多いんだ」
「そうなんだ。 なら私はここで待っていればいいの?」
「ん〜、そうなるかなぁ。 大人しくしてるんだよ?」
「うん」
そう言ってルーテシアは外に出て行った。
その30分後、ルーテシアは大人数を連れて帰ってきた。
この出会いは私にとって良いことなのだろうか、それても悪いことなのだろう。 どっちだろう。