魔法少女リリカルなのはvivid 紅き鉄腕 作:tomato88
「ねぇねぇ! これとかどうかな?」
「いいんじゃないかな? よく似合ってる」
「それじゃあこれにしよーと! 紅音、ちょっと待っててね?」
「わかってる」
私はヴィヴィオがレジに小走りで向かって行くのを見送って、その店を出た。この店は女の子向けの小物が売っているところだ。
「私がいた時とほとんど変わってないなぁ」
ここは海鳴にある一番大きなショッピングモールだ。店は多少変わっているが、大まかなところは13年前とほとんど変わらない。
今日は元々、買い物をするために外に来たわけじゃない。今日は私の記憶を取り戻すためにあちこち周ろうという計画だ。結局のところ、ただのショッピングになってしまっているけど。
「お待たせ〜」
ベンチに座って一息ついていると、ヴィヴィオが小さめの紙袋を持って店から出てきた。その髪には先ほど買った青いリボンが結ばれている。
「なんかヴィヴィオ、顔がニヤついてない?」
気にするほどではないかもしれないけど、今のヴィヴィオは悪戯を思いついた時のような顔をしている。
「えへへ〜、ちょっと待ててね〜」
そう言って、ヴィヴィオは持っていた紙袋をガサゴソと何かを取り出した。
「はい、これ。紅音にプレゼント!」
ヴィヴィオが取り出したのは彼女が持っていた紙袋よりもっと小さい袋だった。
「開けていい?」
「うん! もちろん!」
私は袋を破かないように貼ってあったテープを剥がした。
「あ、これって……」
中身は今ヴィヴィオが付けているリボンの色違い、赤色のリボンとシンプルなデザインの赤いゴムだった。
「私とお揃いっ! コロナの分も買ってあるよ〜」
そう言えば、ヴィヴィオが前に私も髪を結んだらどうかって言ってたっけ。確かに試合中、自分の炎で毛先が変になることがあるんだよね。
「ありがとう、ヴィヴィオ。大切にするよ」
「よかった〜」
折角だから、早速付けてみることにする。簡単にゴムで後ろ髪を1つに束ねて、結び目のところにリボンを蝶々結びで結ぶ。
「えっと……、どう、かな?」
なんだか首がスースーしてなんだか落ち着かない。んー、夏はいいけど、冬はちょっと寒いかも……
「おー! 似合ってるよー!」
「なら、よかった」
暫く休憩した私たちはショッピングモールから出て、他の場所へと移動を開始した。
まずは図書館。確か、古い新聞も置いてあったはず。
「あ、あった。これか」
13年前の3月、その新聞の小さな記事。
「海鳴市で起こった少女ひき逃げ事件?」
「うん。これがお姉ちゃんが死んだ事件だと思う」
「あ……」
記事の内容はこうだ。海鳴市で2人の少女がトラックか何かでひき逃げされる事件が起こった。2人は姉妹で姉は死亡、妹は意識不明の重体。犯人は未だ逃走中。
「犯人は結局、今も捕まらずじまい、か……」
「え!? 犯人捕まってないの!?」
「そうらしい。フェイトがそう言ってた」
そもそもこの事件、不自然な点が多すぎて一部ではオカルト事件として未だに騒がれてる、とかなんとか。
「はっきり言って、何かの次元犯罪に巻き込まれた線もあるかな、って私は思ってる」
「魔法ってこと……?」
「うん、そう言うこと」
記事の小さな写真は凹んだ電柱を中心として取られていた。ここは…… あの動物病院の近くかな?
「ヴィヴィオ、これから結構、歩き回ると思うけど、大丈夫?」
「うん!」
「じゃあ、行こうか」
大まかなルートを決めてから。私たちは図書館を後にした。次の行き先はなのはがフェレットを預けた動物病院の近くだ。