魔法少女リリカルなのはvivid 紅き鉄腕   作:tomato88

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閲覧ありがとうございます。 今回で海鳴編終了です。アリサとすずかの出番少なくてすいません。


記憶を求めて その2

6年生が卒業し私たちも4年生に進級する、その間にある春休み。あまり宿題も出ることがなく、みんなが、例えばなのはやフェイトが2人でどこかに旅行に行っていたように遊んでいるそんな日。その日は快晴だった。たったそれだけ、いつもと変わらない、日常だった。

 

 

 

▽▽▽

 

 

 

「ここだ」

「もう道路も電柱も直されてて事件の面影が何もないね」

 

なのはが最初に魔法と出会ったと聞かされた場所。そこが私が事件に巻き込まれたところだった。特に2つは関係がないと思うが、私が魔法に関わると予言されていたように見えて苦笑いを浮かべてしまう。

 

「どう? 紅音。 何か思い出せそう?」

 

ヴィヴィオが心配そうにこっちの顔を覗き込んできた。ヴィヴィオは私が事件のこと、お姉ちゃんが死んだ光景を見てしまっていた場合のことを心配してくれている。私にとって人死になんて今更なのに。それが身内であれ、他人であれ。だけど、そんなことヴィヴィオには言えない。こんな光景は私の中だけで十分だから。あぁ、考えが逸れてた。今はあの日のことを考えないと。

 

「そうだね……」

 

さっきの考えを頭から振り落とすように外側へと押し出しておく。どこまで憶えているか、私にとってももう1年近く前になってしまった記憶。詳細はよく覚えていないが、これだけははっきりしている。その日の夜の記憶だけがない。それだけは。

 

「夜か……」

 

私は一言、そう言葉をこぼす。夜に何かあったか? 夜、夜、夜…………

 

「空が光ってた」

「光ってた?」

「うん。ピンクや黄色、黒に白。他にも色んな色が光ってた……気がする」

 

一瞬、お姉ちゃんに手を引っ張られながらも空を眺めている自分が見えた、気がした。

 

「ごめん、折角付き合ってもらってるのに、今はそれしか思い出せない……」

「大丈夫だよ!」

 

付き合ってもらってるのに何も成果のない申し訳なさと何も思い出せない自分への不甲斐なさで俯向く私にヴィヴィオは笑顔で言った。

 

「少しは思い出せたんだよ? それなら紅音は大丈夫。きっと全部思い出せるよ!」

 

ヴィヴィオの底抜けの優しさ、それはヴィヴィオが過去を乗り越えたからこそ手にできたもの。今の私には到底手に入れることができないもの。それでも、今の私にはその優しさがありがたかった。

 

「そう、だね。うん、そう。ありがとう、ヴィヴィオ」

「えへへ〜、どういたしましてっ!」

 

いつかは私も少しはヴィヴィオに近ずくことができるだろうか。

 

 

 

▽▽▽

 

 

 

「ここが最後」

 

ここは住宅街にある空き地。高町家からそう離れていない場所にある。もうとっくに陽は落ちて、辺りは照明灯と月明かりで照らされている。

 

「私の家があった場所」

「ここが……」

 

地球に来たら、一度、ここに寄りたかった。今の私の場所はどこか、改めて認識するために。

 

「昔はなのはがここを通るからって、ここで待ち合わせして、よく一緒に学校に行ってた」

 

よく私が寝坊して遅刻しそうになったのを覚えてる。バスに置いてかれそうになったのが一体何回あったことか。だけど、私にとってはつい1年前でもなのはにとってそれはもう昔話。随分と遠いところに来てしまったな、と思わせられる。

 

「全部、なくなっちゃたなぁ」

 

赤い屋根が目印だった家も少し広めの庭も『日野』と言う表札も、どれもこれも無くなっている。だからって、悲しくなるわけじゃない。今の私の居場所はここじゃない、そう、わかっているから。

 

「ヴィヴィオ、そろそろ帰ろーー」

 

私の視線の先。照明灯の光に照らされながら向こうから歩いてくる人影。その影は成長しててもアリサ同様、私にとって見慣れたものだった。

 

「あ、すずかさんだ。 おーいっ!」

ヴィヴィオが元気よく手を振って呼びかける。向こうもこっちに気づいて手を振りながら小走りで走ってくる。

 

「ヴィヴィオちゃん、久しぶり〜。元気にしてた? えっと、そっちの子は……え……紅音ちゃん……?」

「うん、久しぶり、すずか……すずか?」

 

すずかは固まっていた。さすがにこんな反応されると思ってなかった私は結構、動揺した。

 

「紅音ちゃんが元気そうで本当に良かったよ……」

「私も、すずかが元気そうで良かった」

 

10分後、私はヴィヴィオと協力して固まっていたすずかを動かすことに成功した。オロオロとしていたすずかにこうなっている経緯を説明した。その際、なのはとフェイトとアリサ、誰も私の安否をすずかに説明してなかったことがわかった。そりゃ、知らなかったんだから、あんな反応もするか。

 

「立ち話もなんだから、早く家に帰ろ? すずかさんも来る予定なんだよね?」

「そうだね、そうしよっか」

「わかった」

 

ヴィヴィオの声かけで私たちは高町家へと向かった。

 

その日の夜は4人でどんちゃん騒ぎをしたのは言うまでもない。

 

 

 

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