魔法少女リリカルなのはvivid 紅き鉄腕 作:tomato88
「それで、何か手がかりは見つかったの?」
「私もそれ気になってたんよ。あ、あがりや」
「んー、あんまりいい結果じゃなかったかな。はい、あがり」
「そうですが、それは残念ですね。そう言えば、紅音様に頼まれていた品が昨日届きましたから後でお持ちいたします。それと、私もあがりでございます」
「また最下位……」
「どんまい、ヴィクター。エドガー、もう持ってきてもらえる?」
「畏まりました。失礼します」
私はさっきエドガーに入れてもらった紅茶を飲んで一息つく。ジークも同じように紅茶を飲んでゆったりとし、ヴィクターはババ抜きで最下位だったので散らばっているトランプを回収してシャッフルし始めていた。まだ続けるんだ。
私が紅葉とジークとともにヴィクターの家を訪れたのは2時間も前の話だ。それからずっと今まであらゆるトランプのゲームで勝負している。今日、初めて知ったのだが、ヴィクターは運がない。確かに、今まで損な役回りが多いと思っていたが、今までのゲームが全て最下位だということから、ただ単に運がないということがわかった。
「紅音〜、エドガーになに頼んでたん? お姉ちゃん、気になるよ〜」
「ジークが優勝したから、約束通りデバイス作りに勤しんでるだけ」
ジークとの約束、それは私がジーク専用のデバイスを作るというもの。コアは従来のものを使用するとして、データは現在のものに更新、外見は新しく作成中である。
「来週から大会が始まるから完成するのは春頃になるけど」
「それでも嬉しいよ! おおきにな〜、紅音〜」
そう言ってジークは私にだきついてきた。暖房の効いたこの部屋では正直に言って暑いことこの上ないが、言っても離してくれないと思うのでされるがままにしておく。
「それで、どんな感じのデバイスにするつもりなの?」
紅葉を膝に乗せながら、優雅に座っているヴィクターがそう聞いてきた。
んー、ジークに見せないなら別にいっか。
そう思った私は手元に持っている携帯端末をヴィクターに差し出した。しばらく、それを眺めていたヴィクターだが、突然立ち上がると端末を私に返し、ジークに詰め寄った。
「私にデバイスを譲って頂けませんか? ジークリンデ・エレミアさん」
「ヴ、ヴィクター? なんか、顔が怖いんやけど……」
「そんなことございませんわ。私はいつも通りですわよ?」
「絶対嘘や!? 一応言っておくよ、ヴィクター。紅音が作ってくれるデバイスは私のものやー!」
2人の取っ組み合いを尻目に、私は自分の作った設計図を眺める。そこには黒色の柴犬がデザインされていた。
▽▽▽
ヴィヴィオからメールが来たのは4限目が始まる少し前のことだった。
『昨日話していた子をお昼に連れてきてもいいかな?』
そう書かれていた。昨日の子と言うと、私がヴィクターの家に行っている時にヴィヴィオとコロナが無限書庫で仲良くなったという子だろう。確か、名前はリオ・ウェズリー。2人と同じクラスだと聞いた。どんな子だろうか、ワクワクしながら、私は待ち合わせの場所である中庭へと向かった。
私が中庭に着く頃にはすでに準備万端っ! といった感じの3人がシートの上に座っていた。見慣れた金髪と薄い茶髪。それと見たことのない青みがかった黒髪。あの子がリオかな? そう思いながら3人の方に向かっていくとヴィヴィオがこちらに気づいて手を振ってくれる。
「ごめん、待たせた」
私はそう3人に一声かけ、シートにの上に座る。
「紅音、この子が昨日話してたーー」
「リオ・ウェズリーです! 日野紅音さんですよね!? インターミドルの試合観てました! チャンピオンとの試合はすっごく感動しました!」
「あ、ありがとう……?」
コロナが止めてくれたが、ぐいぐいとくるリオに一歩引いてしまう。リオは見た目に違わず笑顔が似合う元気な子らしい。私の知り合いにはいないタイプかも。
「あたしも春光拳っていう格闘技やってるんですけど、今度、手合わせお願いしてもいいですか?」
「もちろん。色々な相手とやるのは楽しいから」
リオともすぐに仲良くなることができ、4人での初めての食事は楽しく終了した。
来年のインターミドル、ノーヴェは大変だろうなぁ。
そう思いながらも賑やかになるであろう練習風景を想像し、笑ってしまう。来週からは冬の大会が始まる。ノーヴェの狙いではここで優勝してインターミドルではシード権を得ようという魂胆らしい。組み合わせを見たが、第一シードであるハリーと当たるのは反対のブロックにいる私は決勝までいくしかない。
「よしっ! 頑張ろうっ!」
時間は流れ、1週間後、大会が始まった。