魔法少女リリカルなのはvivid 紅き鉄腕   作:tomato88

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対エルス

『大会もいよいよ大詰め! ハリー選手に続き決勝に進出するのはエルス選手か!それとも紅音選手か! いったいどちらになるのかぁぁ!』

 

外からはそんなアナウンスとともに大きな歓声が響き渡っている。早いもので気づいたらもう準決勝。第3シードに苦戦した以外は特に危なげなく勝ち進んできた。ノーヴェ曰く、「うまく体力を使わずに勝ち進んでいるからここからは多少無理ができるぞ」だそうだ。

 

「それじゃあ、今日もよろしくね。紅葉」

「わん!」

 

バインド対策はしっかりしてきたつもりだ。実際になのはと模擬戦したり、キャロにバインドのセオリーを教えてもらったり。やってきたことができれば勝てない試合じゃない。勝って、決勝だ。

 

 

 

▽▽▽

 

 

 

「やはり、あなたがここまで来ましたか。紅音選手」

「ハリーと約束したから。決勝の舞台でやり合うって」

「そうですか。ですが、残念ながら勝つのは私です。ハリー選手を倒すのはこの私です!」

「へぇ、なら見せてよ。あなたの力」

「もちろんですッ!」

 

安い挑発にもエルス選手は乗ってくれる。なんとなく、私は彼女の人柄がわかった気がした。ノリがよく、単純で優しい人。たけど、今はそれすら使わせてもらう。

ゴングがなる。試合開始。私は一気に駆け出した。

 

「真っ直ぐ来るとは……舐められたものですねッ!」

 

エルス選手のバインドは、なのはやキャロとは違い物理的な手錠の形をしている。そんなものが何十本と一斉に殺到してくる。私はその手錠の数に足を止めざるを得なかった。

 

「チィ!」

 

私は手錠に触れないよう、細心の注意を払いながら、エルス選手のことを観察する。前から来たと思ったら後ろから、右に意識を向ければ左から。転送と遠隔操作をうまく混ぜたバインド。シュータータイプならいざ知らず、私みたいな格闘タイプなら捕まえることは簡単だろう。ただ、よく見ているとトラップがない。なのははバインド使いで一番警戒するべきはトラップだと言っていた。これなら……いけるッ!

 

「ソニックシューター……ファイア!」

 

ずっとバインドが飛んでくるわけじゃない。相手だって人間だ。魔力の量には限りがある。私はエルス選手の攻撃が弱まった瞬間、ソニックシューターをエルス選手に向けて1つ飛ばした。当然、ガードするためにエルス選手の攻撃の手は止まる。ここがチャンスだ、一気に行け!

点火で距離を詰め、拳を大きく振り上げる。

 

「甘いですよ! そんな攻撃ッ!」

 

私が距離を詰めている間にリカバリーしていたエルス選手は手錠を持った手で右ストレートのカウンターを放った。拳を大きく振り上げている私よりも先に当たるだろうパンチ。だけど、読みが甘い。

エルス選手が驚愕した表情を浮かべる。何せ、感触がないどころか、腕が体を突き抜けてしまっているから。シグナム相手に使った時とは違い、上手くいった。蜃気楼、公式戦初使用だ。

「はぁッ!」

 

ジョルトカウンター。エルス選手の体重が前に乗っている状態の今、私は彼女の顎を狙ってそのパンチを打つ。会場にゴンッ! という鈍い音が響き渡る。エルス選手は背中から落ちるようにして倒れこんだ。

 

『エルス選手ダウンだぁぁぁ!』

 

ニュートラルコーナーに移動を促された私は痛む右手を摩りながら移動する。結論から言うと私の渾身のカウンターはエルス選手の硬い頭でガードされた。

 

咄嗟に避けるや防御するんじゃなくて頭突きをしてくるとかどういう事……

 

そんなことを思いながら次の手を考える。

 

『おーと! エルス選手立ち上がりましたぁぁ!』

「あれで私を倒せると思ったら大間違えですよ!」

 

アナウンスと同時にエルス選手はそう言いながらリングまで上がってきた。試合再開だ。

 

「紅音! ダメージが残ってるこのラウンドで決着付けろ!」

 

チラリと時計を見ると残り時間は約10秒、時間がない。一気に近距離で砲撃をーー

 

「えっ!?」

「すみませんが、不意打ちを取らせて頂きました。このラウンドはあなたに差し上げます!」

 

バインド、それも気づかないうちに仕込まれていたなんて……ッ!

 

無情にもこの状態のまま、大きな動きも見せず第一ラウンド終了のブザーが鳴り響いた。

 

 

 

▽▽▽

 

 

「ごめん、仕留めきれなかった」

「いや、あれは仕方ない。あたしだって外から見ていても気づかなかった。それぐらい上手いタイミングでやられちまったな」

 

私はノーヴェの言葉に無言で頷く。きっと、倒れる瞬間にもう仕込んでいたはずだ。それはあのラウンドを逃れる算段が付いていたということ。してやられたな。

 

「それに、まだブレイカーを撃つべきタイミングじゃなかったんだろ?」

「うん。距離も遠かったし、魔力もまだ足りない」

「なるほどな……。まぁ、とりあえずは次のラウンドもその調子でいってこい。バインドに捕まった時はどうするか、わかってるよな? 練習通りだぞ!」

「わかってる。そのために苦手なプールに通い詰めたんだもん。さっきは出来なかったけど、今度こそ」

 

ノーヴェと拳を合わせると私はリングに上がる。第2ラウンドの始まりだ。

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