真・異世界に迷い込んだ超戦士   作:blacktea

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はいっ!ついに温泉編完結です!思えば長かったなぁ。あ、今回はオマケもありますのでどうぞお楽しみに~。


第16話 少年の新たな力

「ハァツ、ハァッ、ハァッ……。」

 

 

クローン戦士を倒した直後、悟飯は激しい息切れを起こして金色のオーラが消え去ると髪は金髪から黒髪に変わって碧眼の瞳も元の黒目に戻り地面へと倒れてしまう。その際、マントの隙間からオレンジ色の球体が零れ落ちる。

 

 

「———悟飯くん!! ユーノくん、わたしはジュエルシードを封印するから悟飯くんをお願い!」

 

「わかった!なのは頑張って…!」

 

 

なのはは槍のような形状をした武器をドラゴンボールへと突きつける。そして桜のように輝くリングが杖を纏いながら前方に向かって凄まじい桜色の魔力を叩きつける———。

 

 

「…ジュエルシード封印!!」

 

 

天空へと続く桜色の柱と共に銀白の光がドラゴンボールから流れ出し破壊された環境が修復されていき、なぎ倒された森も抉られた大地も全て戦う前の背景へと満ちていく。

白い背景の中にただ一つ、桜色の光だけがハッキリと写し出されていた。なのはの声が響けば周辺を満たしている光が消失してドラゴンボールが赤い宝石に埋め込まれる。

 

 

「ユーノくん、こっちは封印できたよ?」

 

「お疲れなのは。悟飯の方も無事だよ、凄い回復力だ。」

 

 

身体の至る所にセルとの闘いで受けた傷が多少残っていたが、ほとんど治っており更にユーノの回復魔法のおかげでただでさえ早い回復が更に早くなりすぐに怪我が完治するだろうとの事。

 

 

(なんでだろう、カラダにうまく力が入らない……。)

 

 

だが怪我は軽傷である筈にも関わらずそれを飛び超えるほどの異常な疲労感が体に残っていた、ユーノの回復魔法で更に回復力は早くなっているはずだが何故か疲労感が中々取り除かれない。

 

 

「えっと悟飯くん、立てる?」

 

 

なのはは心配そうな声と共に倒れている悟飯に呼びかけると彼は強引に力を入れて起き上がる。

 

 

「大丈夫だよ。ありがとうユーノ、なのはちゃん。」

 

「それならよかった。でも、変わったバリアジャケットだね。」

 

「バリアジャケット…?」

 

「悟飯が着ている服の事だよ。」

 

「服…?あれ?いつの間にか浴衣じゃなくなってる!」

 

 

怒りで我を忘れていたという事もあって、服の変化を指南されて初めて気がついた悟飯は服装が違う事に驚いた表情を浮かべていたが衣装をまじまじと見ると徐々に頬が綻んでいき。

 

 

「わぁ~ピッコロさんから貰った服だ。」

 

「ピッコロさんって確か悟飯の武術の先生だっけ?」

 

「そうだよ。ははっ!懐かしいなぁ。」

 

 

その衣装は父親の孫悟空と同じくらい慕っている師匠のピッコロから貰った服とまったく同じもので、師弟の絆を紡いだ思い出深い道着だった。ずっとこの世界の服しか着ていなかった為か懐かしささえ覚えてしまう。

そんな無邪気に喜ぶ悟飯の様子を眺めていたなのはは金髪碧眼の彼の雰囲気と比べると別人かと思う程のギャップを感じていた。

 

 

(さっきの悟飯くん、凄かったけどちょっと怖かったな……。あ、あの金色の光について聞かなきゃ!)

 

 

悟飯が纏っていた魔力ではない金色の炎の正体。ついでに金髪碧眼の姿の事についても尋ねようと声を掛ける。

 

 

「ねえ、悟飯くん。さっきの金色の光って何?髪型や目の色も変わっていたけど……。」

 

「そうだ! 悟飯、あの怪物からジュエルシードを取り出す時、銀色の光を出してたよね?あの光から魔力を感じたから魔力オーラだってわかったけど、あんな凄い魔力を今まで何処に隠していたの?」

 

 

「え!?えーっと、それは……。」

 

 

なのはの後に続いてユーノが疑問を投げかければ悟飯は戸惑いながらも自分が答えられる範囲で順番に説明を始める。彼の話を聞いていたなのはとユーノは一つ目の説明が終わる頃には呆然としていた。

 

 

「……って事なんだけど。」

 

「つまり、あの金色の姿は穏やかで純粋な心を持ったサイヤ人だけが変身できるスーパーサイヤ人って変身形態で……。」

 

「悟飯くんが変身したのはそのスーパーサイヤ人の壁を超えたスーパーサイヤ人…なんだよね?」

 

「うん、でもその超サイヤ人にはボクの意志で変身できないんだ。なれたのは多分ボクが本気で怒ったからだと思う。」

 

 

悟飯が変身した金色の戦士は“超サイヤ人”と呼ばれる形態なのだが、クローン戦士と戦った時はそれを更に超えた超サイヤ人に変身していたのだ。過去にも悟飯は幾度かその形態になった事があるが自分の意志では変身できず、何か“きっかけ”が必要としていた。

今回のケースの場合、卑劣な手段で無抵抗のフェイトを痛みつけるクローン戦士に対する怒りが大きなきっかけとなったのである。

 

 

「それで、銀色の光についてはボクにもよくわからないんだ。ユーノが言った通り気と違う感じがしたから魔力だとは気づいてたけど、あの時は無我夢中でどうやって使ったのかは………。」

 

「覚えてないんだね。」

 

「魔力オーラを使っても桁違いに魔力が増える訳じゃないから他に理由があると思うんだけどなぁ。」

 

(理由……そういえば、合体したセルがなにか言ってたような……。)

 

 

銀色の炎を纏った時、彼もその炎を見て驚き何か言葉を発していたのだ。意識を集中すると徐々に脳裏に記憶が蘇り。

 

 

「思い出した! 確か“気がそのまま魔力に変化を”って言ってたんだ!」

 

「気が魔力に?」

 

「………なるほど、最初悟飯が纏っていた金色の炎が気だとするなら、その気がそのまま魔力に移り変わったんだ。悟飯の魔力が高かったのもそれなら頷ける。」

 

 

ユーノは一つの結論を導きだしていた。悟飯の膨大な魔力の正体――それは“気”でないかと。

まだ確定した訳ではないが、金色の炎を纏っていた時と銀色の炎を纏っていた時の悟飯は何れも規格外れの強さを誇っていた。故に性質だけが変化して力はそのまま受け継いだ、言わば“表裏一体化”したとの考えに至る。

 

 

「悟飯、試しに…「クアッ!クアックアッー!」うわああぁっ!?」

 

「ハイヤードラゴン!」

 

 

ユーノの背後から登場した生物はハイヤードラゴン、悟飯達を見つけて嬉しそうな声で鳴くと近寄っていく。

 

 

「ハイヤードラゴン、どうして此処に……あ、背中に乗せているのって。」

 

「アリサちゃん…!!」

 

 

目を見開いて声を上げるなのは。ドラゴンの背中には金色の髪を伸ばした少女――アリサが気絶した状態で乗せられていたのだ。

 

 

「よかった、怪我はしてないみたいだ。」

 

「ごめん、なのは、悟飯。彼女が気絶してるのは僕が守れなかったから……。」

 

「ううん、ユーノくんは悪くないよ。わたしがアリサちゃんを逃がす事を優先していれば……そういえば、フェイトちゃんは!」

 

 

大木の方へと振り向けば其処には二人の姿はなかった。辺りを見回しても視界が暗くてよく見えず。ユーノは自分達が話している間に気が付いて撤退したのではないかと予測する。

 

 

「また、会えるかな……。」

 

「きっと会えると思うよ。彼女達がジュエルシードを狙い続ける限りは。」

 

 

セルジュニア達の襲撃がなければ、ドラゴンボールは間違いなくフェイト達の手に渡っていただろう。彼女達がジュエルシードを集めている目的はわからないが、このまま大人しく引き下がるとは思えない。次に出会った時こそ話し合いで解決させようと誓うなのはであった。

 

 

 

 

(本当にフェイトちゃん達は此処を離れたのかな……。)

 

 

一方で悟飯は何処か腑に落ちないような表情を浮かべていた。というのも悟飯は気を察知する能力を持っている為、彼女達が目覚めればすぐに反応できるのだ。仮に話に集中していたとしても気を探ればすぐに場所がわかる。にも関わらず彼女達の気は感じられない。

 

 

「クアッ!クアァーーッ!!」

 

「わあぁっ!?ど、どうしたのハイヤードラゴン。」

 

 

突然、首に巻かれた白いマントの先をハイヤードラゴンに噛まれると引っ張られる形で何処かへ連れて行かれる。

 

 

「そんなに強く引っ張ると破けちゃ……わっ!とととと…――フェイトちゃん!」

 

 

急にハイヤードラゴンがマントを離した所為でバランスを崩しそうになるがどうにか体制を立て直す。そして足元に布のようなものが触れて顔を下に向けると視界に入ってきたのは仰向けに気絶しているフェイトとアルフ。フェイトに関しては私服に戻っており予想通り彼女達は目覚めていなかった。

 

 

「もしかして、ボクにこの事を知らせる為に?」

 

「クアァァーッ!」

 

 

そうだと言わんばかりにドラゴンは大きく返事を返す。二人の位置が変わっているのを確認しながらハイヤードラゴンが運んだのかとも考えたが、アリサとフェイトだけならともかく使い魔の女性まで乗せるのは厳しく、また引きずった形跡もない。他に可能性があるとすれば自分がクローンセルと撃ちあいをしている時、衝撃で吹き飛んだとも考えられるが今はそれよりも気絶した彼女達をどうするかだ。

 

 

(なのはちゃん達に知らせた方がいいのかな。……けど。)

 

 

普通ならなのはとユーノに報告すべき所だが、フェイト達とはドラゴンボールを廻って対立した関係である為、伝えていいのか迷う。なのは達に限って二人を危険な目に合わせないとは思うがフェイト達が目覚めれば戦闘が発生する事は否めず、頭を悩ませていると聞きなれた声が耳に入り。

 

 

「あ、悟飯くん!こんな所にいた。」

 

「急にいなくなるもんだから驚いたよ。」

 

「ははは、ごめん。ちょっとハイヤードラゴンに引っ張られて。」

 

 

苦笑を浮かべながらなのはとユーノに答えると視線をハイヤードラゴンに向ける。名前を呼ばれたハイヤードラゴンは「クアァー」と鳴き声で頷くとなのはとユーノは軽く首を傾げていた。どうやら、暗闇の為かフェイト達がいる事に気づいてないようだ。

 

その直後、二人の目の前で悟飯の衣装が輝きだして―――

 

 

「ご、悟飯くん! バリアジャケットが…!」

 

「へ?あ、浴衣に戻っちゃった……。」

 

 

眩い輝きが悟飯の体を包んだかと思えば紫の道着から青い浴衣へと服装が戻っていたのだ。

それと同時に白い星型の宝石が空中で形成されるとそのまま静かに地面へと落下する。軽い音と共に落ちてきた星型の宝石を拾い上げたユーノはまじまじと見つめていた。

 

 

「やっぱり! これってデバイスだよ!」

 

「えっ!? じゃあ、バリアジャケットに変わったのは……。」

 

「デバイス…?」

 

 

唐突に出てきた言葉にまったく理解ができない様子で悟飯は目を丸くさせながら首を傾げる、それに対して説明に困ったような反応を見せるなのは。

 

 

「え、えーと…デバイスっていうのはね、つまり……。」

 

「それについては後で説明するよ、魔法の事も含めてね。それと、少しの間でいいからこれ借りててもいいかな?調べたい事があるんだ。」

 

 

「いいよ」と悟飯は特に気にする様子も無く答える。実際の所、悟飯自身もこの宝石について今一つわからないのだ。元々、ハイヤードラゴンが拾ってきたものを受け取っただけなので使い方もわからない。ならば、魔法に詳しいユーノに調べてもらった方がいいだろう。

 

 

「とりあえず、旅館に戻ろうか。結界が破壊されてから結構時間が経ってるみたいだし。」

 

「にゃはは、早く戻らないと朝になっちゃうね。」

 

「あ、ボクはハイヤードラゴンを家に連れて帰るから、なのはちゃん達はアリサちゃんを連れて先に戻ってて。」

 

 

再び森の中にハイヤードラゴンを隠しても誰かに見つからない保証はなく、それなら夜の時間帯に帰らせた方が安全だろうとの判断に至る。

 

 

「わかったよ!気を付けてね悟飯くん。」

 

「あまり見たことがないデバイスだ…一体どうなっているんだろう。」

 

 

なのはは防護服を解除してからハイヤードラゴンの背に乗ったアリサを背負うと踵を返して今にも少ない体力を振り絞って旅館を目指す。ユーノもなのはの肩に乗って白い星型の宝石の角度を変えて観察したり手で触ってみたりしながら呟いており、悟飯は二人の姿が見えなくなるまで見送った。

 

 

 

「ふうっ。さてと、ボク達も行こうか?」

 

「クアァーッ!」

 

 

なのは達が森を抜け出た事を確認するとすぐに悟飯は気絶しているアルフとフェイトをハイヤードラゴンの背中に乗せて、自分も地面に落ちている逆三角形型の金色のペンダントを拾い上げると穏やかな風が流れる夜空へと舞い上がる。

結局、何時目覚めるかわからないフェイト達を置き去りにする事はできず、誰かに見つかる可能性も考慮してバニングス邸に連れて行く方針に決めたのだ。彼女達の家がわからない以上、仕方がないと割り切りつつ。

 

 

「クアーッ。」

 

「しっ、静かに……。」

 

 

目的地に到着すれば持ち前の怪力で窓をこじ開けてハイヤードラゴンの部屋に侵入し、二人をベッドに寝かせて毛布をかける。ペットの部屋であるにも関わらずスペースが充分すぎるほどの大きさであり、ドラゴンがいるこの部屋なら誰も近づこうとしないと踏んだ上で選んだのだ。

 

 

「これで、よし……と。それじゃあ、ボクは旅館に戻るから二人の事を頼んだよ。」

 

「クアッ、クアッ!」

 

 

最後にペンダントをフェイトの横に置いて気絶している二人の顔を目に留めておけば、後はハイヤードラゴンに託して窓際から外に出ると舞空術で再び旅館に向けて飛行していく。

 

その頃にはすっかり体に圧し掛かる疲労はなくなっていた。試しに一度気を限界まで高めようとしてみるが、やはりある程度の所で痛みが発生する。原因が魔力なのはわかっている為、後でユーノに相談する事に決めて急いで旅館へと帰還するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「むー…やっぱり、アレは夢だったのかしら?」

 

 

———―太陽が暖かく地上に光を与える中、アリサは朝から思い悩んだ様子で考え事をしていた。詳しくは覚えてないが、森の中で見たことのない怪物に襲われたり、巨大な狼に追われたりと散々な目にあう夢を見たのだ。

その時、オレンジ色の球体を持っていたのだが朝目覚めたら布団の中にいて球体は何処にも見当たらず、夢に出てきた森へと向かってみたが戦闘の形跡は何処にもなかった。

 

 

「どうしたのアリサちゃん?悪い夢とか見たの?」

 

「あ、なのは。昨日なにかなかった?」

 

「ええっと。何かって言われてもよくわからないよ〜。」

 

 

本当はアリサが言いたい事はわかっているが、なのははあえて知らない振りをした。

理由はユーノから民間人を巻き込むのは危険だと言われた為。確かに本当の事を伝えれば彼女の性格からして首を突っ込む事は間違いない。協力してもらえるのは嬉しいが、その分危険な目に合う事だってある。昨夜の出来事も悟飯がいなければどうなっていたかわからなかったのだ。

 

 

「そう?わからないならいいわ。あ、悟飯!あんたはどう?」

 

「ふあぁ~~……。」

 

「はぁ……ほら、シャキッとしなさいっ!」

 

 

廊下で呼びかけても欠伸をするだけで通り過ぎようとする悟飯に対して、アリサは彼の浴衣の襟首に手を伸ばして強く掴むと自分の方へと引き寄せて背中を叩く。すると悟飯はビックリして辺りを見渡し。

 

 

「――え!? な、何?」

 

「だから、昨日なにかなかった?」

 

「き、昨日?あ、うん。えっと……ハイヤードラゴンを家に連れて帰ったよ。」

 

「……あぁーっ!なんかヘンだと思ったら。じゃあ、昨日悟飯が夜に起きたのはハイヤードラゴンを連れて帰る為だったのね。」

 

 

何やら悟飯は驚いているせいもあって言葉が上手く繋がっていないが、なのはから見れば彼にしてはまだ上手い誤魔化し方のように見えたのだ。事実、アリサも納得していた。

 

 

「みんなー、もう帰るから荷物を整理してだって。」

 

 

すずかの一言でこの話題は終わり、各自着替えを終えて荷物を纏めると車に乗り込み旅館を後にする。車内では“念話”を通してユーノとなのはが魔法やデバイスについて説明するが、睡眠不足だった悟飯は途中で意識を落としてしまい、続きはまた今度と言う事になった。

 

―――こうして様々なハプニングが起こるも温泉旅行は無事に幕を閉じ、悟飯は新たな力を手に入れたのだった。




(オマケ/温泉旅行の帰りの車の中)

桃子「あらあら、悟飯くん。気持ちよさそうに眠ってるわね。」

士郎「よっぽど疲れてたのかな?」

すずか「朝も眠そうにしてたし、昨日眠れなかったのかなぁ?」

アリサ「な、なのは!場所変わってあげるわよ。悟飯に寄り掛かられて大変でしょ?」

なのは「にゃはは、わたしなら大丈夫だよ『お疲れ様、悟飯くん』」

悟飯「おとう……さん……。」


(オマケ/温泉旅行の帰りの車の中2)

美由希「恭ちゃん大丈夫~?」

ノエル「恭也様。体調が優れないように見えるのですが。」

ファリン「お薬を用意しましょうかぁ~?」

忍「平気よ、恭也はこれくらいで参らないもの。ねー?」

恭也「………(ね、眠い……)」
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