真・異世界に迷い込んだ超戦士   作:blacktea

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はい、今回はひたすら説明回です。ちょっと最近スランプ気味になってきたので次の更新は更に不定期になるかもです。とりあえず、文章力を上達させたい……


第17話 交わした約束

暖かな風が心地よく過ぎ去っていく、花畑に囲まれた場所で金色の髪を揺らした少女と黒髪の女性は互いに寄り添いあうようにいた。

 

 

「ほら、アリシア…できたわ。」

 

 

優しく少女の名前を呼んだ母親は花冠を手に持っており、静かに少女は母親の傍に寄っていけばそれを頭に乗せて添えさせる。

その事が嬉しいのか自然と少女は明るい笑顔を浮かべていた。無論、母親の方も穏やかな笑顔を浮かべて。

 

 

(———アリシア…? 違うよ、母さん……。)

 

 

だが一つ違和感があった。母親は少女を“アリシア”と呼んでいたのだ。

 

 

(私の名前は……。)

 

 

母親の暖かな笑顔を前にして口にしようとした言葉は届く事はなく、突然花畑に囲まれていた風景が変わり——————

 

 

 

 

 

 

 

「……ここは?」

 

 

フェイトは重い瞼を開くと柔らかい感触を頭と背に受けてベッドに寝かされている事に気がつく。

何故、自分はベッドに寝かされているのか?中々自分の状況を理解できず頭が混乱する中で軽く顔だけを動かしてみると隣には金色のペンダント“バルディッシュ”が置かれてあった。

 

 

「クアッ、クアー!」

 

「きゃっ!!」

 

 

直後、真上から鼓膜に響くほどの奇妙な鳴き声が耳に入ってくる。その声に驚きパニックに陥れば咄嗟に上体を横に反らして視界に入ったものにしがみ付く。暖かな体温を感じながら……。

 

 

「おっと……。」

 

「———あ…。」

 

 

体温の正体が気になりゆっくりと顔を上げれば、目の前には見知った少年の顔があった。

フェイトは自分がしがみ付いているものの正体が悟飯である事がわかると、みるみると頬が紅潮していき恥ずかしさが湧き上がってくる。

 

 

「あ、あ…えっ、と……。」

 

「気が付いたんだね。カラダに痛みとかない?」

 

「痛み?あ…うん、大丈夫だよ。」

 

「ならよかった。それとここはアリサちゃ……ボクがお世話になっている人の家だよ。あの後、気絶したフェイトちゃん達をボクとハイヤードラゴンで運んできたんだ。」

 

 

 

 

悟飯の方は特に気にしておらず、フェイトが目覚めた事に純粋に喜ぶと彼女達を此処に連れて来た経緯を簡単に説明する。フェイトは悟飯からの説明を聞いている内に昨日の記憶を鮮明に思い出していき。

 

 

「そうだ! アルフ!アルフは!?」

 

「アルフって赤い髪の女の人だよね? その人ならベッドの下で寝ているよ。」

 

「え…?」

 

「ケガの方も治ってるから心配しないで。」

 

 

驚いた表情でベッドの下へと視線を落とせば赤髪の女性がすやすやと眠っていたのだ。

悟飯が言った通り怪我の痕跡は何処にも見当たらず、気持ちよさそうな表情で丸くなっていた。

 

 

「フェイトちゃんより先に目覚めたんだけど、またすぐに眠っちゃって。」

 

「アルフ……よかった……。」

 

 

昨夜のアルフの悲惨な光景を目にしてただけに彼女が無事な様子を目撃すれば涙が流れる。

ハイヤードラゴンは床で寝ているアルフの頭を起こそうとつんつんと軽く頭突きを食らわせているとアルフもくすぐったそうに笑う。そんな穏やかな時間に悟飯も気が緩んでいた為か―――此方に近づいてくる気に気づかなかった。

 

 

「ふわぁ〜…ハイヤードラゴン、夜中にうるさいわよ……。」

 

「………あ。」

 

「クアッ、クアー!」

 

「…っ!?」

 

 

ガチャリと扉が開かれるとパジャマ姿のアリサが入ってきた。眠そうにしながら片手で目を擦っている。無論、アリサにはフェイト達がハイヤードラゴンの部屋にいることなど知らない、というより悟飯の独断行動なので知らなくて当然なのだ。

突然の来訪者に驚いたフェイトは再び悟飯に抱きつく。ハイヤードラゴンはアリサが来た事に喜び大きく鳴き声を上げていたのだが、悟飯はフリーズしたかのように体を硬直させて少女を見つめていた。

 

 

「ん?なんで悟飯がハイヤードラゴンの部屋に………。」

 

 

其処でようやく気が付く。アリサの視界に写るのはベッドの下で寝ているアルフと隣にいるハイヤードラゴン。そしてベッドの前で呆然と立ち尽くす悟飯と悟飯に抱き付いているフェイト。彼女にとってその構図は気に入らない以外の何者でもないわけであり―――

 

 

「な、な、ななな……なにやってるのよーーーーーーーっ!!!」

 

 

真夜中に少女の絶叫が五月蠅く木霊する。その声に反応してアルフは飛び起きるのだった。

 

 

 

 

 

時計の長針と単身が真上を指した深夜。客室ではフェイトやアルフを含めてそれぞれが椅子に座っていた。ハイヤードラゴンは体長の関係上、席は用意されていない。

中央のテーブルには運ばれてきた料理が置かれてあり、ステーキやサラダ、スープにライス等、見事に高級料理のフルコースだった。

 

 

 

「クアッ、クアックアー!」

 

「アルフ、これも食べてみて。」

 

「んぐんぐ…ありがとうフェイト!どれどれ……。」

 

「どう…?」

 

「うん!この肉すごく美味しいよ!!」

 

「クアーッ!」

 

「「…………。」」

 

 

余程、空腹だったのかアルフはガツガツと勢いよく料理を胃の中に収めていき、彼女の元気な姿を眺めていたフェイトは自分の近くに置かれた料理を差し出す、穏やかな微笑を浮かべながら。

ハイヤードラゴンも小皿に盛りつけられた料理を堪能している中、悟飯と隣に座っているアリサだけは食事中一言も喋らず無言が続く。異質な雰囲気に悟飯の頬からは冷や汗が流れていた。

 

 

「この子もおいしいって言ってるのかな?」

 

「そうなんじゃないのかい。」

 

「クア-ッ!!」

 

「「…………。」」

 

 

何時までも無言の時間が続くかと思われたが、食事が一段落ついた所を見計らいアリサは沈黙を破る一言を落とす。

 

 

「……で、この人達は誰なのよ?」

 

「誰って…それは…その……。」

 

「こ、た、え、な、さ、い!」

 

「フェイト…フェイト・テスタロッサ。」

 

「んぐ……あたしはアルフだよ。」

 

 

アリサから発する威圧に悟飯がしどろもどろとなっている時、正面から透き通る小さな声でフェイトが名乗り、口の中に入れた物を呑み込んだアルフも続くように名乗る。

 

 

「そ、そう…。あたしはアリサよ、アリサ・バニングス……。」

 

 

二人が名乗った事でアリサも戸惑いを露にしながら自己紹介をする。尚、悟飯については全員が彼の名前を知っている為、省く形となった。アリサは最初戸惑いを見せていたが、彼女達の顔をよく見ると何かが引っかかり。

 

 

「あれ?この顔何処かで見たような……———ああっ!そうよ!あんた達って夢に出てきた変なコスプレしてた子と狼女じゃないっ!」

 

 

夢だと思い込んでいたはずの記憶が蘇ってくる。記憶の中の少女と女性が目の前にいる、それだけでアリサにとっては驚愕的なのだ。

 

 

「コスプレ…?」

 

「あたしは使い魔なんだけどねぇ。」

 

 

 

彼女の言葉にフェイトは意味がわからずかくんと首を傾げ、アルフは否定しながらも食事の手を止めず。もはや言い訳もできなくなってしまった状況に悟飯はこれ以上誤魔化すのは無理だと判断し、なのはとユーノに申し訳なさを感じながらも昨夜の出来事を説明する事となった。

 

 

「はぁ……悟飯、あんたねぇ…。」

 

「隠しててごめんなさい……。」

 

「…もういいわよ。どうせ心配かけたくなかったんでしょ?あんたもなのはも。」

 

 

過ぎた事を何時までも責めるつもりはなく、二人の性格を知っているからこそ気持ちを理解できる。ただ事情を聞けば聞くほどフェイト達への対応に少しばかり緊張感が増していく。

 

 

「あの怪物、フェイトにそんな酷い事を……!」

 

「ジュエルシードはあの子が封印したんだ……。」

 

 

二人とも途中で気絶していた事もあり詳しい状況がわからずにいたが、悟飯からの話を聞き終えるとアルフはフェイトがクローン戦士にいたぶられてた事に対して激怒し、フェイトはジュエルシードが埋め込まれたドラゴンボールが敵対しているなのは達の手に渡った事に落ち込んだ表情を浮かべ俯いていた。

 

それから数分の時間を用いて落ち着くと、フェイトは顔を上げて視線を悟飯に向ける。

 

 

「そういえば、悟飯の魔力についてだけど。」

 

 

唐突に発したフェイトの言葉にアリサはきょとん、とした顔を見せた。魔力の知識がないせいで中々ピンとこないのだろう。無理もない、悟飯も最近知ったばかりなのだから。

 

 

「ちょっと悟飯、魔力ってなによ?」

 

「魔力は魔法の源のこと……でも、悟飯の魔力は少ないのにどうやってジュエルシードを取り出したの?」

 

「どうやってあいつを倒したのかも気になるねぇ。」

 

 

悟飯はドラゴンボールを取り返してからクローン戦士を倒したとしか説明しておらず、その方法までは言ってない。彼の実力は実際目の当たりにしていたが、確かに並はずれた力を持っている。だがそれでも駆けつけた時には紫色の怪物にやられていた。だからこそ気になったのだ―――怪物からジュエルシードを取り戻して倒した逆転劇を。

 

 

「そ、それは……。」

 

「じーーっ。」

 

 

視線だけをアリサの方に向ければ早く話しなさいと言わんばかりの眼差しを送られて仕方なく悟飯は事細かに説明を始める。怒りが頂点に達して超サイヤ人に覚醒した事、その状態で魔力が混ざり合った結果、膨大な魔力オーラを生み出して魔力ダメージを与えられた事。逆上して邪悪なエネルギーを放ったクローン戦士をかめはめ波で仕留めた事など。

 

彼の説明を聞いてる彼女達は目を丸くしていた。アリサに関してはもはやちんぷんかんぷんと言った状態だ。魔力だけでも頭がいっぱいなのに超サイヤ人、更にその壁を超えた超サイヤ人と言われても理解が追いつかない。

 

そんなアリサを置いてアルフとフェイトは気になった疑問を投げ掛ける。

 

 

「気と言うのはなんだい?」

 

「気は簡単に言うなら体の中に隠されたエネルギーの事です。ある意味魔力と似ているかもしれません。」

 

「……やっぱり私が気絶する前に見た金色の髪の子は悟飯だったんだ。じゃあ、スーパーサイヤ人になれば魔力を制御できるって事?」

 

「それなんだけど、どうやらデバイスが関係してるみたいなんだ。」

 

 

車の中で悟飯が意識を落とす前、ユーノからの説明で魔力が使えるようになった原因は白い星型のデバイスが関係するのではないかと告げられたのだ。そのデバイスは極めて珍しい物らしく未だ正体も掴めていないが、彼が調べた文献には複数のエネルギーを一つに纏める効果を持つ特殊なロストロギアが存在するらしく、このデバイスがそれではないかという可能性が挙げられた。実際デバイスが起動している間、気を解放しても体内の痛みは全く感じなかったのだ。反発しあう力が溶け込んで一体化したかのように。

 

 

「へぇ~、そんなデバイスがあるんだね。」

 

「はは、その分消費するエネルギーが多いんですけど。」

 

 

二つの力を同時に扱うにはやはりそれ相応のデメリットがあり、一つのエネルギーを使用すればもう一つのエネルギーも消費される。悟飯があれだけの疲労を感じたのは気と魔力を同時に消費したからである。

 

 

「それじゃあ、ボクからも質問していいかな?」

 

「質問?」

 

「うん。ドラゴンボールを集めている理由とか……。」

 

「悪いけど、それは教えられない。」

 

「はぁ!? ふざけないでよ!こっちは情報をたくさん教えてあげたのよ!」

 

 

突然、蚊帳の外にいたアリサが反論する。機嫌を悪くした状態でフェイト達を睨み付けながら。

 

 

「こっちにも答えたくない事情があるのさ。」

 

「ごめん……。」

 

「そんなんで納得するわけないでしょ!あんた達の所為で悟飯となのはは……。」

 

 

余計に苛立ちを募らせたアリサは刺々しい声と共を二人へぶつけて問いただす。だが一向に口を割ろうともせず沈黙だけが流れ込むだが一向に口を割ろうともせず沈黙だけが流れ込む。

 

 

「え、えーっと…教えたくないなら言わなくていいよ。でも、ドラゴンボールは元々ボク達の世界にあったものなんだ。」

 

「あの玉が元々あんたの世界に…?それってどういうことなんだい?」

 

「……悟飯は異世界から来たのよ。」

 

「異世界?」

 

「はい、アリサちゃんが言った通りボクはこの地球とは違う別の地球から来ました。それでボクの住む世界にはドラゴンボールと呼ばれる球が7つあって、全部揃えて合言葉を唱えると神龍と呼ばれる龍が現れてどんな願いでも叶えてくれます。」

 

 

悟飯はざらっと自身の世界やドラゴンボールについてなど説明し始める。それはまさにオカルト的な信じられない話を向けられたも同然でありアルフとフェイトは互いの目を見合す。途中から嘘なんじゃないかと疑惑を持つがそれでも話のつじつまが合いすぎるのと悟飯の態度が嘘を言っているようにも見えないせいで余計に信憑性が増していくのだ。

 

 

「……私は母さんに頼まれたから、ジュエルシードを集めてる。」

 

「フェイト!そんなこと言わなくても……。」

 

「お母さんに? じゃあ、フェイトちゃんのお母さんはドラゴンボールのことを知ってるの?」

 

 

母親という言葉が出てきたのはあまりにも予想外だった、だからこそ悟飯は咄嗟に反応する。

 

 

「それはわからない。ただあの玉の中にジュエルシードが入ってることは母さんに教えてもらった。」

 

「…それで集めて来いって言い出したのもフェイトの母親さ。」

 

「じゃあ、これからもドラゴンボールを集めるんだね。」

 

「うん、母さんが喜んでくれるなら……。」

 

 

アリサは相変わらずむすっとしながらも黙って話を聞く。一方で悟飯の思考は回転していた。

 

 

「それならセルジュニアに狙われた心当たりは?」

 

「あの怪物のこと…?私にはわからない。」

 

「でも、あのセルジュニア達はフェイトちゃんに強い恨みを持っていたみたいだけど。」

 

「あんた達の仲間なんじゃないの?あいつらもあたしが持ってた玉を狙ってきたし。」

 

「ううん、あんな怪物見るの初めて……。」

 

「それに仲間だったらフェイトを襲うわけないだろ!」

 

 

フェイトにとっては訳もわからないまま八つ当たりの為に痛めつけられていたような物だ。

そもそもあの状況で考えられるほどの余裕も持ち合わせていない。今に至る流れにもその余裕がなかったのでフェイト達は頭の整理がついていけてないのだ。

 

 

「つまり、フェイトちゃん達はセルジュニアについて何も知らないんだね。」

 

「…うん。」

 

「そっか……。ねえ、一度フェイトちゃんのお母さんに会わせてくれないかな?」

 

「「「え…!?」」」

 

 

悟飯の思考結果———それはフェイトの母親が鍵を握っているかもしれないという事だ。

ドラゴンボールの謎、セルジュニア達の謎、彼女達やクローン戦士の発言を元にそれが直接的にしろ間接的にしろ何らかの形で関わっているのではないかと。

それならば母親と話すことができれば、全てといかなくても大体の謎は解けると考えたのだ。どうにもフェイト達は完璧に話を知っているようには見えない。

 

 

「フェイト、悟飯だったら会わせてやってもいいんじゃないのかい?」

 

「そうだね。ジュエルシードの事なら会ってくれるかも。」

 

「ホント? ありがとう!」

 

「それで、あんたの母親はどこに住んでいるのよ。」

 

「別次元の空間にいるよ、次元転移魔法で其処へ行くの。」

 

 

彼女達の会話や母親の行動性を聞いているとどこか違和感を感じてしまっていたが、場所を聞いた途端にアリサの不安は更に強くなっていく。

 

 

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!それ危なすぎるじゃない…!」

 

「まぁ、危険がないとは保証できないかもねぇ。」

 

「それでも行くの?」

 

「うん、どうしても確かめたい事があるんだ。」

 

「……だったらあたしも行く!悟飯についていくから。」

 

「ええっ!? そ、それはダメだよ!危険だし、それにアリサちゃんは無関係なんだから。」

 

「無関係……ですって?」

 

 

勢いよく席から立ち上がると、声を低くさせて睨めつけるかのような眼光を悟飯へと叩きつけながら握り締めた拳を震わせる。その目には彼女としては珍しく涙が溜められていた。

 

 

「悟飯やなのはが危険な事に巻き込まれてるのに、無関係でいられるわけないじゃない……。」

 

「アリサちゃん………。」

 

「確かにあたしは悟飯みたいに強くないし、なのはみたいに魔法が使えるわけでもない……でも、あたしにだってできる事はある!だから、頼りなさいよ……友達なんだから!!」

 

 

ずっと秘めていた想いを吐き出す。危険な事に巻き込まれててそれを黙って見過ごす事などできない、もっと自分を頼ってほしい、力になりたい……それは“友達”だからこそ出来上がる感情であった。

 

 

「……ありがとうアリサちゃん。アリサちゃんが友達だと言ってくれたようにボクもアリサちゃんのことを大切な友達だと思ってる。けど、やっぱり連れて行けない…友達だから危険な目に巻き込ませたくないんだ。」

 

 

それはアリサの事を考えた上での発言だった。正直協力してくれるのは嬉しい、だけどまた危険な目に合う可能性だってある。セルジュニアに襲われた時のような怖い思いをするかもしれない。

 

だが、アリサは納得できず更に拳を強く握りしめて自分では役に立てないのかと無力感を抱く。

 

 

「………あたしには何もできないの。」

 

「ううん、できるよ。アリサちゃんには信じて待ってて欲しいんだ。ボクが帰ってくる家で……。」

 

 

静かな声で呟くとアリサの溜まっていた涙が頬から流れ出て床に落ちていく。帰ってくるべき場所は自分の家である事を再確認したアリサにとって涙は止まらなくなっていた。

 

 

「…わかったわよ。信じて待ってるから……絶対に帰ってきなさいよね。」

 

 

このまま二度と会えないかもしれない、抱きたくもない妄想が脳裏を横切る中でアリサは悟飯に近づき強く抱き寄せて温もりを感じることで不安を消そうとする。

 

 

「うん……絶対に帰ってくるよ。約束する…!」

 

 

暫くするとぽんっと優しく添えられた片手がアリサの頭を撫でていた、気になって見上げてみれば悟飯の微笑が目に写る。彼の小さな手から温かさを感じると、不安が吹き飛び安心するように目を瞑る。

 

 

「…クアックアッ!!」

 

「きゃあぁぁ!!」

 

「わっ!」

 

 

―――が、横からハイヤードラゴンの鳴き声が響き、驚いてアリサはすぐに悟飯から離れてしまう。よく考えてみれば人が見ているときに何をやっていたんだろうとアリサは顔面を真っ赤に染めていく。

 

 

「アリサちゃん、顔が赤いよ? 熱でもあるんじゃ……。」

 

「う、うるさいわね!熱なんかないわよ!!」

 

「何をやってるんだろうねぇ…ってフェイト、どうしたんだい?」

 

「とも…だち……。」

 

 

赤い目線が二人を捉えていたことに気づいていても、その本心まで気づくことはできないだろう。フェイトの心は何処かもやもやとしていた。

 

 

 

 

 

 

ずっと話し込んでいた為か気が付けば夜明けとなっており、ジュエルシードを集める為に十分に体を休めたフェイトとアルフは玄関で靴を履き支度の最中である。悟飯とアリサも学校がある為に制服に着替えていた。

 

 

「ジュエルシードの報告をする日は決められているんだ。その時になったらまた来るよ。」

 

「わかった!ボクもそれまでには準備をしておくから。」

 

 

ドラゴンボール集めに関しては悟飯も手伝おうか悩んだ末になのは達と敵対する可能性もあり、フェイトが無理にしなくていいとの言葉も貰ったので手伝わない事に決めたのだ。もっともセルジュニアのような規格外の強さを持つ敵が現れた場合はすぐに駆け付けるつもりだが。

又、フェイト達の希望で今回の話はなのは達には内緒にする方針となった。アリサもなのはから話してくれるまでは黙ってるらしい。

 

 

一通り挨拶を澄まして玄関の扉を開けた所でフェイトは何かを思い出したかのように振り返り。

 

 

「それと、悟飯の魔力反応で気づいた事なんだけど…私の魔力に似ているんだ。」

 

「え?フェイトちゃんの魔力に……?」

 

「それ、どういう―――」

 

「じゃあね!フェイトとあたしを助けてくれてありがとう!」

 

 

アリサが聞き返す前に二人は朝日が昇る空へと消えていく、感謝の言葉を述べながら。また一つ新たな謎が残るも一先ず悟飯は日常へと戻る事になるのだった。




(オマケ/子供達のいる部屋の外では)

鮫島「おや、旦那様。こんな所でどうなさいました?」

デビット「鮫島!? いや、ちょっと入るタイミングが見つからなくてな。」

鮫島「…?では、私が先に入って様子を伺ってきましょうか?」

デビット「だ、駄目だ!今、アリサと悟飯くんが……。」

鮫島「……はぁ。」

(オマケ2/ドラゴンボールとジュエルシード)

アリサ「そういえば、悟飯はドラゴンボール、フェイトはジュエルシードって呼ぶけど、正直同じものなんだから一つに名前絞ったら?」

悟飯「一つに? ドラゴンボールジュエルシードとか?」

アリサ「それ、名前を二つくっつけただけじゃない。しかも長いし。」

ハイヤードラゴン「クアァーッ!」

悟飯「ドドはどうかって。」

アリサ「短すぎだし、意味がわからないわよ!もう、こうなったらあたしが決めるわ。基本はドラゴンボールで中にジュエルシードが入ってる訳だから、“ジュエルボール”うん、長すぎず短すぎず互いの特徴も捉えて響きもいいし完璧ね!今度からそう呼びなさい!」

悟飯「ジュエルボールか……。」
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