真・異世界に迷い込んだ超戦士   作:blacktea

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はい、ようやくスランプから抜け出せました。まぁまたすぐにスランプに入ると思いますが(
さて、今回から日常編と入ります(と言っても数話ですけど)。それに加えてキャラも増えていく予定です!アイディアをくれたMさん本当にありがとうございます~。あと、今更ですが主人公は“少年悟飯”です。ヒロインは決まってます。それが単独が複数かは言えませんが、ハーレムにはなりませんのでご了承ください。


第18話 束の間の休日

あれから一週間が経とうとする。その間、特に問題も起こらず悟飯は普段通りに学校に通い平穏な日常を過ごしていた。ただ、なのははこの一週間の間にフェイトと出会ったらしい。そして説得を試みたが失敗し、更にデバイスを損傷して酷く落ち込んでいた。ユーノの話によれば破損は大きいが自動修復機能で明日には治るとのこと。

大体の事情を知っている悟飯だがフェイトとの約束で伝える事ができず、時折罪悪感に襲われる。そんな悟飯を心配したアリサは次の休みを利用して悟飯を買い物に誘ったのだ。

 

 

「アリサちゃん、まだかなぁ。」

 

 

海鳴駅の時計台前で私服姿の悟飯はアリサが来るのを待っていた。約束の待ち合わせ時間は10時なのだが、既に10分経過しており彼女の身になにかあったのかと不安な気持ちになる。

 

 

「お待たせーっ!」

 

「あ、アリサちゃん……だよね?」

 

 

一度家に戻ろうかと考えていた時、少女の声が聞こえて振り向くと小さな鞄を持ったアリサが駆け寄ってくる。が、おめかししている為か普段よりも雰囲気が大人っぽく見えて一瞬彼女だとわからなかった。

 

 

「あたりまえじゃない。それより遅れてごめん、ちょっと化粧に時間掛かっちゃって。」

 

「大丈夫だよ。でも、なんでわざわざ別の場所で待ちあわせしようなんて言ったの?」

 

 

以前にもアリサと買い物に出かけた事はあったが、その時は車で送迎してもらい鮫島も付き添っていた。しかし今回は車の送迎も付き添いもなくアリサと二人だけで買い物に行く……それだけでも違和感を抱いていたのに、更に駅前で待ち合わせすると言われ余計に理解できない。そんな回りくどい事をしなくても一緒に出掛けられるのだ、同じ家に住んでいるのだから。

 

 

「べ、別にいいでしょ! たまにはそうしたかったのよ。ほら、早く行くわよ!」

 

「わあっ!? ひ、引っ張らないでよアリサちゃん!」

 

 

悟飯に疑問を投げ掛けられたアリサは淡く頬を染めると、それを誤魔化すかのように彼のの腕を引っ張って歩き出す。突然引っ張られてバランスを崩しそうになりながらも悟飯はアリサに着いて行くのだった。

 

 

 

 

行き当たりばったりに歩き続けていると店が立ち並ぶ歩道に到着する。二人きりになったことから奇妙な緊張感が胸に焼きついてどうにもアリサは落ち着いていられなかった。

悟飯には気分転換の買い物としか告げておらず、実際は暫く会えないかもしれない悟飯と楽しい時間を共に過ごしたいと考えていたのだ。

 

なんだかんだで行き着こうとする先は雰囲気のいい喫茶店。初めから此処に行く事はアリサの中で決まっていた。

 

「ここってなのはの両親が経営してる喫茶店なのよ、女の子に大人気なんだから!」

 

「そうなんだ。……あ!」

 

「さっそく入り…―――って悟飯!?どこいくのよ!」

 

 

喫茶店を通り過ぎて進んで行く悟飯にアリサは反応の遅れた言葉を投げかけるも、こちらに振り向くことはなく目的地にまで歩いていってしまう。

 

 

「………。」

 

「どうしたのフェイトちゃん? なにか探しもの?」

 

 

悟飯の目指した先にいたのは喫茶店付近の歩道で立ち尽くしているフェイトの姿だった。彼の気配に気づかなかったのか声をかけられたフェイトは少し驚いたような反応と共に目線を悟飯と交わす。

 

 

「悟飯……うん、母さんのお土産を買いにきたんだ。でも財布を落として……。」

 

「ちょっと!勝手に出歩くんじゃ……フェイト!? どうしてあんたが…!」

 

 

アリサにとっては限られた時間を悟飯と過ごす予定なはずが意外な人物の登場により戸惑いを隠しきれずにいた。改めてフェイトから事情を聞き出せば、母親の為にお土産を探し回っているのだとか。だがその途中で財布をなくしてしまい途方にくれているらしい。

 

 

「なるほどね、事情はわかったわ。でも正直、今日は人通りも多いから見つけるのは厳しいんじゃない?交番もこの辺にはないし………。」

 

「…そうだね、財布は諦めてアルフに相談してみる。」

 

 

幸い、フェイトの財布は小銭程度しか入っていないので深く気にする必要もないのだ。彼女は相変わらず感情を余り見せないが、何処か暗い影が強くなってしまったように感じる。

そんなフェイトの様子に悟飯は思考して視線を巡らせれば一つのポスターが目に飛び込んでくる。喫茶店の壁に“参加者募集!”と大きく書かれた紙を読んでいるとぴんっと名案が浮かび―――

 

 

「アリサちゃん、ボクこの大会に参加するよ。」

 

「大会?なになに…翠屋新メニュー発売記念、優勝者には金一封と翠屋新作ケーキセットをプレゼント。珍しいわね、こんな大会を開くなんて……あれ? 悟飯は…?」

 

「悟飯ならお店の中に入っていったけど。」

 

「なんですって!? あーもう!また勝手に……あたし達も行くわよ!」

 

「え?う、うん……。」

 

 

壁に貼り付けられたポスターの内容は、喫茶店にて用意された沢山のメニューを制限時間内に食べきれた者が優勝商品を手に入れられるというイベント企画だったのだ。

アリサがポスターを読んでいる間に悟飯は喫茶店へと直行してしまう。軽く混乱を覚えながらもすぐにアリサは店内へと入っていきフェイトも彼女の気迫に押されて一緒に同行するのだった。

 

 

 

 

「いらっしゃいませー……あら? アリサちゃんいらっしゃい。一緒にいる子はアリサちゃんのお友達?」

 

「こんにちは桃子さん。え、えーと、はい!そうなんです。休みを利用して外国から遊びに来てて……。」

 

 

店に入った二人を出迎えたのは店のエプロンを着用した桃子。アリサは挨拶を返すもフェイトについて聞かれるとどう返答すればいいか悩み、外国での友達と言う形で誤魔化す。

フェイトは桃子の顔が誰かに似ていると思いながら二人のやり取りを静かに見つめていたが、ふと桃子と目が合うと軽く会釈し。

 

 

「はじめまして……フェイト・テスタロッサです。」

 

「フェイトちゃんね、私は高町桃子よ。」

 

「ところで、悟飯来てませんか?」

 

「えぇ、来てるわよ。大会に参加するつもりみたいだから美由希が選手席に案内してるわ。二人は悟飯くんの応援に来たのかしら?」

 

 

「そうです」とアリサが答えると桃子は二人を案内するように歩き出す。フェイトとアリサが案内された席は普通の客席だが中央のスペースには長テーブルが置かれており、その席の一つにちょうど悟飯が座る所だった。

 

 

 

 

「じゃあ悟飯くん。そこの椅子に座って待っててね。」

 

「わかりました。」

 

 

指示された通りに悟飯は席に座ると既に何人もの大人の男性、女性が並ぶように座っており、準備万端といった雰囲気に包まれる中で大量のケーキや料理が長いテーブルに並べられていた。

 

 

「おい、小僧。そんなちっちぇナリで参加するつもりか?」

 

「え? はい、そうですけど……。」

 

 

大会が始まるのを待っていると隣から声を掛けられて目を向ける——―そこには大男と呼ぶに相応しい男性が座っていたのだ。

 

 

「ガハハハ! そうか。だが、悪いがお前みたいなちっこい体じゃこの大会で優勝するのは無理だ。俺みてぇにデカくねぇとな!」

 

 

到底、一般常識を持つ人間からすれば理解不能な理論を叩きつけると同時に椅子から立ち上がり、男は更にその巨体さをアピールする。

悟飯にとっては見上げるだけでもその巨体ぶりは充分すぎるほどに確認できるにも関わらず、立ち上がれば更にインパクトも大きな物へとなってしまう。

 

 

「ああっ! あいつはいくつもの大食い大会で優勝を勝ち取ったチャンピオン“ドン・ハガネ”だ!」

 

「なにっ!? あのドン・ハガネだと…! まさかこの目で見れるとは……。」

 

「こりゃあ優勝はハガネに決まりだな。」

 

「……なによあいつ?」

 

「さぁ…?」

 

 

知らない者からすれば彼の理論には言葉を失うばかり、アリサやフェイトもまた例外ではない。しかし彼を知る者はまた違った反応を見せていた。

観客が言うにはドン・ハガネとは過去に幾つもの大食い大会を優勝し続けた無敗のチャンピオンという存在であり、その場にいるだけで優勝は決まったと思わせられるほどの偉人であるのだ。

 

 

「俺の体はデケェ、つまり胃袋も同じくデケェって事だ。ま、今回は運が悪かったと思って諦めるんだな。ガハハハッ!」

 

「ごはぁーーん!! そんなヤツに負けるんじゃないわよー!!」

 

「悟飯、頑張って……。」

 

 

勝利を確信している大男は不敵な笑みを浮かべながら悟飯に敗北宣言を下す。自信満々の男の態度が気に入らないアリサは激励を送り、フェイトも応援の言葉を投げ掛ける。

 

 

(確かに大きいけど、おじいちゃんの方がもっと大きいかな。)

 

 

だが当の本人は寧ろこの大男より更なる巨体を持つ牛魔王と呼ばれた自分の祖父を思い浮かべながら冷静に見比べていた。

 

そのまま暫く待機していると開催時間となりマイクを持った二人の女性が参加者達の前に出てくる。

 

 

「長らくお待たせしましたー、これより翠屋新作メニュー発売記念!第一回フードファイト大会を開催いたします。司会進行役を務めるのは私、高町美由希と。」

 

「ファリン・K・エーアリヒカイトです~。」

 

「え!?どうしてファリンさんが?」

 

「お手伝いとしてきてもらったの。みんな用事で出掛けちゃってるから。」

 

 

桃子の話だと士郎も恭也もなのはも用事でいない為、ファリンに手伝いに来て貰ったのだが何故だか頼んでもいない大会の進行も手伝ってくれるらしい。因みに大会の件は美由希が提案したとの事。一人でも多くの客に翠屋の味を知ってもらいたい理由から桃子も彼女の提案に乗ったのだ。尚、飲み物を一つ注文すれば誰でも参加できるようになっている。

 

 

「ルールは簡単! 制限時間内に用意された料理をより多く完食した人が優勝となります。」

 

「食べ終わったお皿の数でカウントします。もし食べ残しとかあったらカウントしませんので残さず食べてくださぁ~い。」

 

「それでは用意……」

 

「スタート~~。」

 

 

制限時間は砂時計が満ちるまで。今、此処に各々のプライドをかけた激戦の火花が切って落とされた―――。

 

 

 

 

 

「あの子、迷惑をかけていないかしら。」

 

 

同時刻、大通りを車で走行するメイド服の女性――ノエルは忍とすずかを送迎して月村邸に帰る途中であった。彼女は表情には出さないが、翠屋にヘルプに向かったファリンの事を心配していた。

普段から月村家で家事を行っている為、技能自体は問題ないだろう。ただ彼女はドジをやらかす事が度々あり、今回もそのドジを発揮して周囲に迷惑をかけてないかが不安だったのだ。

 

 

「やはり様子を見に行った方がいいわね。」

 

 

不安が募っていった結果、翠屋に立ち寄る事に決める。できれば何も起きない事を祈りたいが。

そのまま信号が変わるのを待ちながら前方を見つめていると横断歩道を渡る少年と少女の姿が視界に写る。少女の方は車椅子に乗っており、少年が後ろから車椅子を押していた。

 

 

「あれは……悟飯様?」

 

 

ガラス越しからじゃよく見えないが、車椅子を押す少年は悟飯の姿に似ている。服装は黒っぽい衣装で長ズボンを穿いているも、髪型や体格は悟飯そのものだった。

悟飯の性格を考えれば偶然、困っていた少女を見つけて親切心で手を差し伸べていると捉えられるが違和感を抱いてしまう。―――あまりにも手馴れているのだ、段差がある所ではすぐに彼女を片手で抱き抱えて車椅子を運んでいる。そして、異性の少年に抱えられているにも関わらず少女は恥ずかしがる事もなく少年の首に手を回してしがみつく、まるで昔から彼を信頼しているかのように。

 

 

(アリサお嬢様が見ていたら大変な事になってたわね。)

 

 

ノエルもアリサが悟飯に好意を抱いている事は知っている、いやノエルだけでなく二人のやり取りを見ている者なら気づいているだろう。それ故に今の構図はアリサにとって気に入らない構図だと容易に熟知できるのだ。

 

 

「―――!? 私とした事が……今は運転だけに集中しましょう。」

 

 

少年と少女に視線が集中していた事もあり、背後からクラクションを鳴らされて始めて青信号に変わっている事に気が付く。少年と少女は既に横断歩道を渡り切っていた。

 

ノエルは思考を切り替えると再び商店街へと車を走らせるのだった。

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