真・異世界に迷い込んだ超戦士   作:blacktea

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はい、続けて23話です。今回の話を書いて思った事は映画でああならそうなってる可能性もあると思いました。何言ってるかわからないですよねぇ((。そんな訳で甘々もありな日常編完結編です。それではぁーっ!


第23話 孫悟飯のプレゼント

「これってアリサちゃんの……。」

 

 

気を辿りながら連れ去らわれたアリサを助けに向かう途中、悟飯は半開きになっていた非常扉を見つけて進むと階段付近で足元に落ちている物体を拾う。それはアリサが所持していた携帯に取り付けられていたストラップ。

更に倒れたポールのような物と引きちぎられた鎖、その奥から感じる複数の気。

 

―――間違いなく犯人は地下へ逃げ込んだ。そう確信して階段を降りようと足を踏み出すが。

 

 

「悟飯くーーーん!」

 

「なのはちゃん!? どうしてここに……。」

 

「はぁ、はぁ、悟飯くんの様子がおかしかったから気になって追いかけてきたの。」

 

 

息を切らしながら答えるなのは。まさか追いかけてくるとは思わなかった悟飯は驚きを隠せずにいたが、すぐに真面目な表情へと切り替わり。

 

 

「ボクは大丈夫だから今すぐみんなのところに戻るんだ。」

 

「で、でも……。」

 

「「「ぎゃあああああぁぁぁーーーっ!!!」」」

 

 

その時、悲鳴とも呼べる声が悟飯となのはの耳に届く。

 

「今の悲鳴は……!」

 

「あ、悟飯くん!! そっちは立ち入り禁止だよ!」

 

 

ただ事ではないと急いで地下へ続く長い階段を駆け降りて行く悟飯。なのはも彼の背中を追いかけて降りて行き、その先にある開かれたシャッターの中へ侵入すると。

 

 

「これは!?」

 

 

最初に視界に入ったのは燃え盛る炎、床には倒れている複数の人影、その中には

さらわれた少女と助けに向かった青年の姿も含まれており。

 

 

「アリサちゃん! おにーちゃん!」

 

(よかった、二人とも無事みたいだ……。)

 

 

真っ先に縄で縛られている恭也とアリサの元へと近寄れば安否を確認する。衣服は薄汚れていたが、特に怪我をした様子はなく気を失っているだけでひとまず一安心と言った所だ。

 

二人を拘束した縄を解くと今度は縄で縛られてない男達の元へと向かおうとするが。

 

 

「そいつらは悪人だ……。」

 

「え?」

 

 

―――刹那、空中から落下してくる物体。悟飯は咄嗟に避けようとしたが、途中で落下してきた物体の正体に気づき両手で受け止める。視線を下に向けると抱えていたのはボロボロとなった警備員の制服を着た老人。

 

 

「バケ……モノ……。」

 

 

虚ろな瞳で一言口にすると老人は意識を手放す。続いてゆっくりと空中から降下する黒髪の少年。彼の姿を捉えた悟飯となのはは目を丸くする。

 

はやてが間違えるのも無理はない。その容姿は双子だと思われても違和感がないくらい悟飯とそっくりで、違いがあるとすれば少年が着ている服と身に着けているアクセサリー。そして炎に照らされてくっきりと見える額と頬にできた傷跡。

 

 

「ご、悟飯くんが二人…!?」

 

 

―――彼こそがもう一人の“孫悟飯”だったのだ。

 

 

「キミが……もう一人のボク……。」

 

「……? なにを言って……なっ! なぜオレが目の前に……―――ッ!?」

 

 

悟飯の呟きに反応して対峙する少年もまた驚きを隠せずにいたが、突如彼の身に着けているアクセサリー…―――星形を模した漆黒の宝石が輝きだし光となって二人の悟飯を包み込む。

 

 

『はははは! もっと楽しませろよ。』

 

『サイヤ人ってたいしたことないねぇ。』

 

『くそったれえええええっ!!』

 

『ご、悟空さえいてくれれば……。』

 

『逃げろ……ごは……ん……。』

 

 

瞬間的な映像が二人の脳裏へと送られる。焼け野原化とした街、無差別に虐殺を行う少年と少女、彼等と闘い散っていく戦士達。

 

 

『ふっふっふ、それがタイムマシンの設計図か。』

 

『それだけは渡さないわ!』

 

『敵ヲ排除シマス。』

 

『かあさーーーん!!』

 

 

襲撃した老人と取り囲むロボット軍団から母親を守ろうとする少年。

 

 

『あーあ、怒らせてしまいましたね。』

 

『創造の前に破壊ありいいいいいいいいいいいいぃぃぃぃっ!!!!』

 

 

そして奇妙な二人組と放たれた膨大なエネルギーによって呑みこまれる地球。

 

 

「ハァッ、ハァッ、ハァッ……。」

 

 

光が消えると床に片膝と片手をつく悟飯。荒い息を吐きながら身体中から大量の汗が噴き出しポタポタと床に垂れ落ちていく。

 

 

「悟飯くん! 凄い汗だよ。」

 

「ありがとう、なのはちゃん(さっきのはなんだったんだ……。)」

 

 

ハンカチで汗を拭くなのはの善意を受け取りながら、脳裏で見せられたイメージを思い返す。

場面の展開が速すぎて頭の整理が追いつかない、ただ言えるのは現実では起きて欲しくない悪夢のような光景。

 

 

「―――うあああああああああああああああああぁぁぁぁっっ!!!」

 

 

鼓膜に響き渡る程の絶叫。その声量を発したのは両手で頭を押さえている悟飯と瓜二つの少年。周囲の床には亀裂が入りガタガタと部屋全体が揺れ始める。天井からは瓦礫が崩れ、突風が吹き荒れ大気に触れた炎はより一層燃え広がっていく。

 

 

「きゃあっ!」

 

(凄い勢いで気が膨れ上がっている……まずい!)

 

 

このままでは天井が崩れ落ちて建物全体が崩壊する恐れがある。当然、デパート内にいる者全員が巻き込まれるだろう。ただでさえ炎に囲まれたこの場所が崩れては大参事に成りかねない。それだけは阻止しなければと悟飯は立ち上がりもう一人の悟飯に近づき。

 

 

「早く気を静めるんだ!」

 

 

必死に呼びかける。しかしその声は届いてないのか止まる様子はなく、更に気が増幅し続けていくばかり。

 

 

「聞いてくれ! このままだとここは崩れる! はやてちゃんも、デパートに残ってる人達もみんな巻き込まれるんだぞ!!」

 

「―――!? はや……て……。」

 

 

少女の名を口にすると少年の気は徐々に弱くなっていき、完全に静まった頃には揺れも治まっていた。

 

 

「そうだ、はやてのところに戻らなきゃ……。」

 

「まって! キミに聞きたいことが―――」

 

 

大事なことを思い出したかのように呟く少年は悟飯に背を向けて駆け出していく。慌てて引き止めようとするも、もう一人の悟飯は開かれたシャッターの外へと出て行ってしまう。此処で直ぐに追いかければ間に合う可能性もあったが、気絶しているアリサ達を放っておく事はできず彼女達の救助を優先する。

 

 

「ボクは恭也さんと倒れている人達を運ぶから、なのはちゃんはアリサちゃんをお願い。」

 

「うん、わかったよ。」

 

 

なのはにアリサを任せると悟飯は自分よりも体重のある者達を同時に抱えて倉庫の外側へと運んでいき、全員を運び終えるとシャッターを閉めて燃え盛る炎の進行を封鎖させた。

 

それから直ぐに警察と消防隊が到着し、人質や犯人達も含めて全員が無事に救出される。

その後、病院で目覚めた恭也とアリサの証言と男女の自白で今回の事件の黒幕が数年前に捕まった盗賊団の残党だという事が判明する。詳しい話は本人達から聞く必要があるのだが、老人を含めて倒れていた男達は全員重傷で入院の必要があり、正式な逮捕は退院後となった。

 

 

 

 

 

 

 

「まったく! なんで今日に限ってこんなに災難に巻き込まれるのよ……。」

 

 

デパートでの騒動から数時間後、時刻は夜の9時を回った所で空は暗闇に覆われている。

検査で異常がないと判断されたアリサと悟飯はすずか達と別れ迎えに来た鮫島の車で自宅に帰宅していた。

本来はこの後恭也と共に事情聴取を受けなければならない立場だったが、時間も遅い上に子供達は明日も学校があるからと代わりに忍が受ける事となったのだ。

 

 

「気が付けばすずかやなのはがいるし、いろいろ起こりすぎて頭こんがらがりそうだったわ。」

 

「ははは、確かに今日は色々あったね。」

 

 

思えば今日は多くの出来事があった。大食い大会から始まり、映画館で見た夢、はやてとの出会い、誘拐事件等……。その中でも悟飯が特に印象が強かったのは自分と同じ気を持つ少年の存在。

 

 

「そういえば、あたしと恭也さんを助けてくれたのって悟飯なんでしょ?」

 

「え、それは……。」

 

「いまさら誤魔化さなくてもいいわよ。恭也さんも気絶する前に犯人達を睨み付けるあんたの姿を見たらしいし、犯人達をやっつけたのも悟飯じゃないかって言ってたわ。」

 

「ボクがやっつけた?」

 

 

確かにアリサと恭也も含めて倒れている者全員を救助したが、犯人達を睨み付けたり、ましてや倒してなどいない。そもそも駆けつけた時には犯人達は気を失っていた。

 

 

(それってもしかして……。)

 

 

恐らくアリサと恭也が言う人物は“もう一人の悟飯”の事だろう。彼は自分となのはよりも先に来ていた上に倒れている男達を「悪人」だと言っていた、つまり彼等が犯人だと知っていたのだ。だとしたら彼の行動も理解できる、自分と同じ正義感で動いたのだと。だが倒れている犯人達は恭也達や若い男女を除き全員が重傷を負っていた、一目でやり過ぎだと分かる程に。何故あそこまで痛めつける必要があったのか、それだけが理解できない。

 

 

「ま、安心しなさい。あたしも恭也さんも悟飯がやっつけたことは黙っててあげるから。」

 

「あ、ありがとう……。」

 

 

歯切れ悪く答える。本当は違うと言いたいが、もう一人の悟飯の存在はできれば公にしたくない。まだ彼が何者で何処から来たのかもわからず不明な点が多いのだ。そんな中途半端な状況で説明しても逆に混乱させるだけ。故に現段階ではなのはにも彼の事は内緒にしてもらうよう頼んである。

 

 

(はやてちゃんから聞ければよかったんだけど。)

 

 

一緒に住んでいるはやてから聞き出せば何か情報が掴めたかもしれないが一足遅かった。

というのも地下から戻ってきた時にはすずかと忍だけしかおらず、すずかと一緒にいた筈のはやての姿は何処にもなかったのだ。すずか曰く忍を迎えに行った数分の間にいなくなっていたとのこと。タイミングを考えれば彼女と入れ違いにもう一人の悟飯が来て連れて帰ったのだろう。

 

 

「ところで悟飯。あたしに何か言う事があるんじゃないの?」

 

 

さっきまでとは雰囲気が変わり腕を組みながら真っ直ぐに向けられる視線。それだけで彼女の言葉の意味は理解できる。それに対する返事も。

 

 

「ごめんなさい……。」

 

「すずかから聞いたわよ、悟飯と車椅子の女の子が一緒に買い物してたって。まぁ、あんたのことだから人助けのつもりだったんでしょうけど……。」

 

 

そこで一度言葉を止めるとアリサはゆっくりと息を吸い込み。

 

 

「それならそうと一言言いなさいよ!! ずっと心配だったんだから!!」

 

 

ここまで抱え込んでいた気持ちを解放させる。すずかから聞かされるまでずっと不安だったのだ、悟飯が自分から離れて行ってしまうのではないかと。携帯越しから聞こえた会話が何度も脳内を霞め、それが今回の事件を招く結果となってしまった。

 

暫く静寂が続いた後、悟飯はテーブルに置いてあった手提げ袋を漁る。そして取り出したのは銀色のペンダント。

 

 

「心配かけてごめん。これで許してもらえるとは思わないけど、受け取ってくれないかな。」

 

「え…?」

 

 

突然差し出されたペンダントに戸惑うアリサ。受け取るべきか迷ったがじっと見つめる悟飯の視線に耐え切れず小さく銀色に煌いた丸い宝石を受け取る。

手に取ったペンダントはあまり重さを感じず、宝石の中央には犬の形が彫られていた。

 

 

「これ、悟飯が選んだの?」

 

「うん。アリサちゃん犬がスキみたいだから似合うと思って。……えっと、もしかして気に入らなかった?」

 

 

宝石に目を向けたまま動かないアリサに悟飯は不安そうに問いかける。しかし一向に返答はなく心配して顔を覗きこもうとしたのと同時―――

 

 

「あ、ありがと……。」

 

 

両手でペンダントを包み込むように持ちながらアリサは頬を紅く染めて見上げる形で呟く。

悟飯から初めて貰ったプレゼント。それはアリサの不安を消し去るのに十分すぎる効果を持っていた。

 

 

「どういたしまして。今度また一緒に買い物に行こうね。」

 

「も、もちろんよ! 言っとくけど、まだ許したわけじゃないんだから。次の買い物の時はしっかりエスコートしなさいよね!」

 

 

すっかり普段の調子に戻ったアリサに悟飯も微笑む。こうして様々なハプニングに巻き込まれた長い一日が幕を閉じるのであった。




(おまけ)

忍「ねぇ、恭也。どうして警察に本当の事を話さなかったの?」

恭也「話しても信じて貰えないだろう、犯人を倒したのが子供だなんてな。それに確証がない。」

忍「そうね。私だって信じられないわよ。でも、悟飯くんの動きをみると……ね。」

恭也「もし、悟飯くんだとしても俺はあの子を警察に売ったりしない。」

忍「ええ、悟飯くんは素直で優しい子よ。何かあった時は私達で守りましょう。」
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